永い後日談のヒーローアカデミア~黒絢を添えて~ 作:アルテリア
一話目からアクセルベタ踏みでぶっ飛ばしていきます。
黄色い雲に覆われた空、油の膜に覆われた海に、突然降って湧いて来る嵐。地上は荒野か生物兵器の群棲地の二択。
恐らくキリスト教に描かれる「
大量の機械が詰め込まれた廃墟のような場所……かつての「エンブリオ」の拠点であった場所を改装した部屋でキーボードを叩いてプログラムを作成していく。
「あくまで検証用のサヴァントだからなぁ……余り物で適当に体を組んだ物を素体に、知性は原始的なものだけでいいか」
人格を一から作成して体にぶち込む。ぞんざいな扱いだが、事実余り物もとい失敗作で構成しているから手駒としての価値は0に等しい。
辛うじて人の形を保った異形に向けて起動を命令し、問題なく動けるかを確認する。
異形をあえて形容するならば、「左手はカマキリの如く節のある鎌状の生物のものに、右手は口のついた掌を持つ不健康そうな紫色をした不釣り合いなほどに大きく歪な腕に差し替えられ、腰から下はタコが如く8本の触手が足の代わりを果たすように蠢いている。胴体からは飛べるのか怪しいが大きな翼の如き皮膜が背中から飛び出ていた。そして、それらの上に無垢な少女の首を二つくっつけている」といったところか。
我ながら悪趣味だと思うが、捨て場に困っていた物を投棄するのに極めて効率的なのでよく利用している。
精神に一部私の片鱗を埋め込む事で自我次元上で私と同期して(一方的にだが)情報を受け取る事も出来るから私はほぼノーリスクだ。
実験台との意思疎通も確認できた所で実験を開始する。
「さて、実験台223号。実はこの実験、これで129回目なんだ。どうか成功してくれ、僕は君に期待しているから」
128回目の定型文を口から出しつつ装置を起動した。この装置の原理を説明するならば、まず自我次元論から説明しなければならない。
自我次元論を簡潔に表すならば「私達の脳は『自我次元』と呼称されるある種の異次元との接触能力を保有しており、自我は自我次元との接触により発生した物である」という理論だ。
自我次元は平行世界というよりは集合的無意識のような概念だ。これに干渉するのは中々難しかった。
ちなみにこの理論は21世紀中頃に提唱され、証明された。
そして人類文明崩壊直前に自我次元との接触を人為的に再現する方法を発見し、「人格ダウンロード技術」が確立された。ちなみに発見者は私の親である。なのでこの辺の知識はその辺のネクロマンサーよりずっと詳しい。
第二に説明するのは「ブレーンワールド」もしくは「気泡」という概念だ。
ブレーンワールドとは私達の宇宙は「バルク」と呼ばれるより大きな囲いで覆われていて、私達の宇宙はバルクの内側にある「膜」であるという考え方だ。
このバルクの内側には理論上いくつでも膜を張れる……つまり宇宙が複数存在する事が出来る。例えるならミルフィーユみたいな感じだな。
宇宙を気泡と捉えるのも同様だ。コップの中に炭酸水が入ってると思えばいい。
……まあ、並行世界の存在は確認できてる。自我次元への干渉実験の時に明らかに私達の世界とは違う荒野が映った事があるからね。
第三に量子論だ。
簡単にいえばシュレーディンガーの猫の「観測者が居ない限りにおいてはあらゆる可能性が同時に存在しうる」という事を利用する。
ここまで長々と説明しておいてあれだけど、簡潔に説明するならば「次元に穴を開けて対象を宇宙の外側に放り出す」という事だ。
ちなみに、今のところ成功例は0だ。
「はてさてどうなる事やら……って、えぇぇぇぇえええええええ!!?」
突如として光が部屋中に満ちていく。訳も分からず昔みたく子供のように叫びながら光に抱かれる。
失敗で爆死かぁ……あ、でもこれで家族の下に行けるのかな、とか適当な事を思っている内に意識が消失した。
*****
「……ター!マスター!おきて!」
「……あれ、生きてる?」
首を傾げながら私は起き上がる。部屋はそのまま、光に包まれる直前の状態のまま存在している。
目の前には先程製作したサヴァントが私を見つめている姿があった。体をぺとぺと触って異常がない事を確認する。
問題なく「ダフネ」の体である事を確認して息を一つ吐く。
「223号、何があったかわかるかな?」
「わたし、みたことないばしょ。マスターなら、わかるかも。かめらはつけてある」
ありがとう、と頭を両方撫でてお礼を言う。モニターへと近づいて外部カメラの映像を確認する。
私はこの景色を見た事があった。
「……はは、マジで言ってます?これ」
私は息を吸って叫ぶ。
「なんで施設丸ごとで転移しちゃうんですか!?しかもよりにもよって地上汚染がヤバいから私達が活動できないとこじゃん!移動できない、詰んだ!とりあえず生物兵器とか機械人形使って浄化と情報収集を試みよう!」
……はい、自我次元に干渉した時に見た世界でした。
確かこの世界の歴史を確認したところ、ある企業が「ジアド粒子」というとんでもなく毒性が強いけど強力なエネルギーを内包する物質を発見した事により色々あって地球が荒廃したって感じだった。
なんですか、私の行くところは世界が荒廃してないといけないんですか。
しかもこの世界の厄介な事は「ピグマリオナイズ」という厄介な病気が存在する事だ。ジアド粒子に触れた部分から一か月ほどをかけて陶器のような物質に変質する事によって最終的に死亡する厄介な病(有効な治療法なし)……つまるところ、生命体特攻の病気だ。
障壁で何重にも密閉している上にきっちり空気の清浄化までしてるからここにいる限りピグマリオナイズにかかる事は無いだろうが、調査の為には多少なりとも人員を派遣する必要がある。
「……ここの知識を手に入れたらさっさと世界旅行しよう、そうしよう」
私はひそかにそう決意した。
*****
ぶっちゃけこの世界では情報収集と自身の体の改造、技術盗難しかしなかった。
今の私の状況について箇条書きで説明しよう。
・後から調べたら私の本拠地は次元の狭間に位置しているみたい。ス〇ロボか?
・私の家は「世界の座標さえわかっていればその世界に入り込める状態」らしい。紅い瞳のオーブとサイン蝋石は持ってません。
・ブレインファームを基地に増設した。管理AIは私の姉妹の一人「モルガナ(故人…いや、アンデッドな時点で既に死んでるわ。どちらかといえばMIA?)」にお願いした。お姉さま優しい。
・兵器をバラして構造を把握して原理を把握したおかげでここの武器が自分で生産できるようになった。ネクロマンサーって電子工学から生物学まで専門知識がたくさん必要で大変だね。そのおかげで兵器の構造が理解できたけど。
・私はアヴァンドナーになった。正確には私の人格をインストールしたアヴァンドナーを作った。ジアド粒子マジパネェっす。
・エンブリオを蘇生して味方にして、ESPを習得した。(ちょっと人格を改変して私の言う事は聞く
・拠点を襲撃してきた美少女Air-Brain4体を
・ニームハインっていい人。
・世界旅行にジアド粒子を利用したら装置が簡略化できた。というか私がこの世界に流れ着いた理由はこの世界からジアド粒子を引っ張り込んだ結果その流れに引っ張られたからっぽい。
・つまるところ、かなり安全に世界旅行が出来るようになった。第二魔法ェ……
…… 過 剰 戦 力 じ ゃ ね ?
この状況で世界旅行したらブレインファームによる人的資源の無限化、ピグマリオナイズを引き起こす大規模テロも起こせる(もちろん私の陣営にはジアド粒子中和システムを標準装備させたので効かない)、仮にアヴァンドナーが死んでも生命体である以上アンデットの素材にできるし、しかも首魁である私はアヴァンドナーの兵器とエンブリオが使ってたESPが両方使える。
うん、これもうヤバいわ。
……まぁ私の遊び場になってくれたまえ、次の世界!
はい、アヴァンドナーの世界については大分書くのを省きましたが、戦力を雑に説明すると
・ブレインファーム
簡単に言えば人型兵器自動生産工場。
大体一人の育成に2~3年かかるが、ダフネのとこではモルガナが複数体同時に育成してる為それなりに効率がいい。
・アヴァンドナー世界の装備
3~4機いればACfAのSoMくらい大きさの比率が違う奴も倒せる兵器がどっさり。
これだけでも相当なのに更に「ネクロニカ」の技術も利用するってもう勝ち目無い気がする。
正直なところネクロマンサーの性質上敵にしかなり得ないんだけど、こいつを敵側にしたら脳無の弱点がカバーされて手が付けられなくなる可能性が高いからどうしようかと思ってる。
ちなみに「エンブリオ」はネクロニカのサンプルシナリオに出て来るやべーやつ。
次回、ネクロマンサーがヒロアカの世界に旅行します。
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また、分かり辛い部分がありましたら修正しますのでガンガン指摘してください。