永い後日談のヒーローアカデミア~黒絢を添えて~ 作:アルテリア
「さて、今回の戦闘、MVPは誰だと思うかな!?」
私の訓練が終わった後、オールマイトは皆にそう問いかけました。
八百万さんが手を上げて発言します。
「やはりダフネさんではないかと思いますわ。
開始までに階段を塞いで進む道を阻みかつ自身は一階で待機し相手を分断しにかかり、事実一人を確保しました。
砂藤さんに抜けられたのは失敗でしたが即座にカバーし持久戦を展開、結果的に二人を無力化する事に成功しましたから」
「うん!だそうだが、ダフネ少女!今回の訓練はどうだったかな!?」
「えっ!!?」
いきなり話を振られてうろたえてしまいました。急いで返答しようと慌てて言葉をまとめます。
「そ、その……高く評価していただけたのは嬉しいですが、まだ至らない点が多いな、と思いました」
「うん、その理由は何かな?」
「えと、まず今回の序盤で妨害手段として時間が少なかったのも単純に階段を破壊しましたが、現実的には悪手です。これは相手がごく少数かつ地面を歩く相手だったから成立した手法です。
それと、一人を無力化した際にも油断してしまったせいで一撃をもらい砂藤君が妨害を突破するだけの時間を与えてしまいました。
そして、追撃の為に窓の外に出て駆け上がりましたが、これも外にも相手がいる可能性も考慮すれば悪手でした。
そしてバールを奪われたのも問題ですが、一番大きいのは芦戸さんの使い方です。芦戸さんの個性を利用すればもっと別の策を用意する事も出来ました……
私だけが先行した結果砂藤君が4階まで到達してしまいました。大いに反省すべき点です。
……ですが八百万さんの言葉で少し自信がつきました。ありがとうございます」
慌てて真面目に全部反省点を答えようとしたら一息にたくさん言ってしまいました。あぅ、皆の目が気になります。
ていうかオールマイトまでなんでそんな顔をしてるんですか。「思ってたより言われた!」って顔ですけど。緑谷君の時に八百万さんにいろいろ言われた時と同じ顔してますよ?
「んん!八百万少女の言う事も確かに事実だ!だが、ダフネ少女の言う通り、完全にいい所ばかりではなかったね!
だけど今回、砂藤少年に抜かれた後にも次の策を用意していた点もあるからMVPはダフネ少女だ!ただしいくら偽物の核とはいえ自爆作戦を実行するのはやめてね!
現実ではそういう事もありうるけど、今回ヴィラン側は核の防衛がミッションだからね!」
それ今突っ込みますか?実際にはやらなかったから良いじゃないですか。
……「火種があったら実行する」って言っちゃったからですかね?
そっと芦戸さんに近付く。
「ごめんなさい……もうちょっと色々考えてればもっといい策があったかもしれないのに……私が突っ走ったせいで芦戸さんがただの案山子みたいになってしまいました……」
「いやー、そんなに気にしなくても良いって!ダフネちゃんの作戦に乗ったのアタシなんだからさ!もっと自信もって!」
「……は、はい!」
背中をちょっと強くはたかれました。底抜けに明るい人に勇気づけられるとなんだか少し「自分も出来るかも」って感じがしていいですよね。
ちょっとだけ胸を張って答えたら、芦戸さんが目を合わせて笑いかけてくれました。芦戸さんは人を勇気づけるのが上手だなぁ、と思いました。
*****
そして最後の一組の訓練が終わり、教室に戻ります。
手早く荷物をまとめて帰宅しようとすると、赤い髪の男の子が近寄ってきました。確か、切島君でしたっけ。
「……あのさ!これからみんなで戦闘訓練の反省会すんだけど、お前も来ねェか?
爆豪はさっき帰っちまったけど……」
「……そうですね、参加します。皆と、友達になりたいので」
「おお!ありがとな!じゃあ少し待っててくれ!緑谷ももうすぐ戻ってくるらしいからな!」
そうなんですか。リカバリーガール……
少し輪から離れたところで皆の話を聞いていると、教室の扉が開いて、緑谷君が戻ってきました。
切島君が先頭切って緑谷の下に行ってそれにクラスの半分くらいがついて行って口々に自己紹介してました。
緑谷君は爆豪君を捜しに来たらしくて、切島君がまだ出て数分だと言ったら飛び出して行きました。何か言いたい事があったんでしょうか。
切島君達が訓練の話をしていると、突然切島君が私に聞いてきました。
「そういや、ダフネがをバールでぶん殴った時、右手になんか棒を嵌めた後に腕が変な形に変わってたけど、あれ何なんだ?一発であの体格差をひっくり返せる程の凄い威力だったけど」
「あ、あれは……【
「えっ、あれ義手なのか!?」
「あ、えっと……」
あわあわとどう説明した物かと両手で変な舞をしていると、芦戸さんがフォローに来てくれた。
「そーいう個性なんだって!確か『いるなー、ドク?』だったっけ?」
「なんかタイムスリップするデロリアン作りそうな人を読んでませんか!?『イルドナーク』です!どう間違えたんですか!?」
フォローじゃなくてボケでした。いや、アレは本気なのでしょうか?
「あーそうだったそうだった。……で、その『イルドナーク』はねー、事前に用意する必要こそあるけど腕や足を工夫する事でいろんな状況に対応できるんだってさ!
ダフネちゃん、アレ見せてあげてよ、授業の時にアタシに見せた奴!」
「私は見世物じゃないですからね……?まぁ見せた方が速いのはそうですからやりますけど……」
そう言って右手を外して左手に持って振って見せる。やっぱり皆が同じ反応をした。
「「「はぁっ!?」」」
「ごめん、皆!遅くなっちゃっ……ダフネちゃん!?腕が……!」
皆が驚いた顔をしてるところに、緑谷君が戻ってきました。外してる右手を見て顔が分かりやすく驚きとか色々な感情で顔がカオスな事になってます。
流石にびっくりしました。
「あ、あの、大丈夫ですよ、私がそういう個性なだけですから!スプラッターな絵面じゃないですから!」
「お、おう!ダフネ、さっさと戻してくれ!」
切島君に言われたので右手を元に戻します。念のため動作を確認しますが特に問題はなさそうです。
右手を振って緑谷君に「ほら、戻った」と見せると納得しました。
その後、ワイワイと戦闘訓練の反省を皆で仲良くしました。凄く仲のいい友達は出来ませんでしたが、それなりに話の出来る人は増えました。もう少し内心みたいにうまく話せたらいいんですけどね。
*****
翌日になりました。
希乃子ちゃんと一緒に登校したら、門の目の前にたくさん報道陣が居て困っちゃいました。面倒なので希乃子ちゃんを抱えてジャンプしてすり抜けました。
他のクラスメイトが報道陣に捕まってましたが、まあ自分で何とかするでしょう。
その後、学級委員長を決める話がありました。投票の結果、緑谷君4票、八百万さん2票で、緑谷君が委員長で八百万さんが副委員長になりました。自分に入れるのありだったんですね。
そして、今日は希乃子ちゃんと一緒に昼ご飯です。今日はチキン南蛮を選びました。おいしいです。カロリーを気にしなくていいというのは安心できるところです。
「……そうだ、あそこに他のB組の人達がいるノコ。あの人達と一緒に食べない?また違う話が聞けるかもしれないよ」
「えっ……私が混じっても迷惑じゃないでしょうか……?」
「まぁ約一人ほど気にする人が居ると思うけど、失礼な事を言ったら私がそいつの肺にスエヒロダケ生やしてやるノコ」
「発想が物騒ですね!?やめて下さい!」
まあ希乃子ちゃんが言うならその一人以外は大丈夫なんでしょうか。
取り敢えず希乃子ちゃんの後ろに隠れるようにそっとついて行きます。身長は私の方がちょっと高いくらいで、そう変わらないからできる事ですね。
そして、席に近付いて希乃子ちゃんがそこに座ってる女子に話しかけます。オレンジ色の髪って珍しいですね。
「ちょっと紹介したい子がいるんだけど、お昼ご飯一緒に食べても良い?」
「へぇ、後ろの隠れてる子の事かな?良いよ。ほら、座って座って」
希乃子ちゃんが後ろを向いてじっと見てきます。うぅ、隠れて何が悪いんですか、どうせ人付き合いになるとチキンな弱虫ですよ私は。
「……まぁ、こうなるのはわかってたししょうがないノコ。さ、ダフネちゃん、一佳ちゃんの前に座って座って」
「うぇ!?初対面の人の目の前にですか!?」
「人見知りは治そう?一佳ちゃんは話しやすい子だから安心するといいノコ」
「そ、そういう事じゃなくて……!」
希乃子ちゃんは私の言う事を聞き流してオレンジ髪の子の目の前の席を空けて座りました。時々思いますけど、希乃子ちゃんって意外と鬼じゃないですか……?
諦めてオレンジ髪の子の目の前に座ります。初対面の人との会話は緊張します。ご飯にも中々手が付きません。
そんな時に相手から話しかけてきました。
「私は拳藤一佳。1年B組だよ。ダフネって呼んでもいいかな?」
「あ、は、はい。大丈夫です。ダフネ・ル・フェイです。A組です」
ガッチガチに固まってると、拳藤さんがまた話しかけてくれました。
「A組ってさ、入学式の時いなかったよね。何かやってたの?」
「えっと、除籍処分を懸けた個性使用有の体力テストを……」
「え!?そんなことやってたの!?初日から飛ばしてるねぇ、A組の担任……相澤先生だっけ?」
「はい。でもどちらかというと見込みの無い人間を篩い落とす最初の関門みたいなもの……だったと思います。
本人からそういう意図でやったって言質は取っていませんけど」
へぇー、と拳藤さんが相槌を打ちます。何というか想像上の姉みたいな人だと思いました。包容力と言いますか、そういう感じの雰囲気が強く感じられます。
お姉さまがもう少しこんな感じで優しかったらなぁ、と遠い眼をします。
「どうしたの、ダフネ。急に遠い眼をして」
「あ、いえ。ちょっと拳藤さんがお姉さまだったら良かったなぁって思って……
下手に喰らったら頭蓋骨が圧し折れる攻撃ですら本気じゃないってマジですか……」
「どんな訓練してたらそんな物騒な攻撃出て来るの!?」
「そういう逸話良く話してるけど、本当にあなたの姉は何者なの?」
「希乃子、これが珍しくないの!?」
「ダフネちゃんと一緒に帰ってる時に色々聞いたノコ。むしろこれは逸話の中ではマイルドな方ね」
「ちなみに、お姉さまは何故かいつの間にかサポートアイテム開発免許を取得していた全距離に対応して戦闘できる博士号を持った自称天才学者です……
なんでそんなにいろいろできるのか聞いたら『なぜなら私が
「無駄にハイスペック!?なんでそんなどこかの
というか絶対言葉の節々に影響入ってるよ!」
気付いたら私の愚痴になってしまいました。それといつの間にか拳藤さんがツッコミ役に回っています。
そりゃ社会で普通に生きてたら頭蓋骨が割れるレベルの攻撃なんてされる事無いですよね。お姉さま手加減の言葉を知ってても手加減が苦手過ぎてレベル1と50と100しかないですから……
そんな事を話していたら、突如として校舎中に警報が鳴り響きました。
そういえば報道陣侵入事件なんてのもありましたね。(B組と話すイベントを入れる隙が無い…)
なのでこういう形で組み合わせてつなげようと思います。
ちなみに空気になってますがこの空間には物間君がいます。劇中でも拳藤さんと一緒にご飯食べに来てる描写はあったので。
物間君って一体どのタイミングでA組嫌いになったんでしょうかね。
分からなかったので空気に徹してもらいました。
特に新しく出てきたパーツもないのでお姉ちゃんのボケの元ネタを軽く解説します。
今回出てきた「何故なら私がアメリカ合衆国大統領だからだ!」は下で拳藤さんが突っ込んだように「メタルウルフカオス」というゲームが元ネタです。
ぶっちゃけ私はプレイした事が無いのでわかりませんが、相当はっちゃけたゲームであると思います。ジャンルは「破壊戦闘アクション」。なにその超限定的なジャンル。
主人公の第47代アメリカ合衆国大統領マイケル・ウィルソンが「メタルウルフカオス」というパワードスーツを着て、クーデターを起こした副大統領を相手に戦うのですが、上記のセリフで大体の物事を解決します。
次回、飯田、委員長就任とUSJ襲撃の最序盤。