永い後日談のヒーローアカデミア~黒絢を添えて~   作:アルテリア

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【マスコミって常識がない人しかいないんですか?】

お姉さまに関する話をしていたところ、突然警報が鳴り響いて学校内のスピーカーから音声が流されました。

曰く「セキュリティ3」なる物が突破された、訓練ではないので早急に避難しろ、との事です。

周りの人が急にバタバタして出口に駆け込んでいきます。余りの喧騒にびっくりして、椅子から転げ落ちてしまいました。

 

「いたた…け、拳藤さん、希乃子ちゃん、『セキュリティ3』って何からの防衛策かわかりますか?」

 

「わからない!…けど、周りの人達の慌て方とわざわざ放送するって事から考えると、一番可能性が高いのは侵入者かも!」

 

「侵入者って、雄英高校のセキュリティを突破する人が居るノコ!?ここってセキュリティもトップクラスじゃないの!?」

 

なるほど、それならこんなに慌てるのも分かりますね。ほぼほぼ前代未聞の事態だから誰もこの状況に慣れていない、という事ですか。

取り敢えず周りの人に巻き込まれて離れ離れにならない様に一塊になって行動します。

 

「あ…あれ、そういえば金髪の人は?一応同じテーブルにいましたよね。気にしてませんでしたけど。」

 

「え、ちょっと待って、本当だ!物間がいない!?」

 

気付いたら同じテーブルにいた(ほぼ空気だった)金髪の人(物間君というらしいですね)がどこかへ行っていた。

少なくとも今の状況で変な場所には行ってないでしょうけど、少し心配です。

ともかく出口近くまで行くと、空中に飯田君が浮かんで入り口に飛んでいく姿が見えました。何をやってるんでしょうか?ていうかどうやって飛んでるんでしょう。

非常口って書いてある所の上に変な姿勢で立ちながら大声を上げました。

 

「大丈ーー夫!!!

ただのマスコミです!何もパニックになる事はありません!ここは雄英!最高峰に相応しい行動を取りましょう!!」

 

…えぇ、マスコミってもしかして今朝のアレですか?どういう事でしょう。

いくら本当に知りたい事がある時は無遠慮にプライベートにまで踏み込んで来る(お姉さま談)マスコミでも一般常識があると私は思ってます。学校への不法侵入で得たスクープを出したとしてもバッシングが集まって酷い目に遭うだけです。

だから、普通マスコミがわざわざセキュリティを破壊する事はないと予測できます。だとしたらマスコミとは別人の行動によってセキュリティが破壊された?

 

「…なら、マスコミは囮で、他の目的が?拳藤さん、少し集中しますので、私を運んでください。」

 

「え、うん、わかった。」

 

お姉さまが「便利なアクセサリは全部ついてるから、使い方も教えとく」で教えてもらった、「オールドネットワーク」と「アドヴァンスドネットワーク」を起動、「アドヴァンスドネットワーク」で自宅のスパコンを利用してサーバーへ不正接続しました。雄英のパソコンを全部閲覧して不自然な行動を起こしている端末を捜します。頑張って数秒で変な動きをした端末を見つける事が出来ました。

見ているのは今年の授業や行事の予定。それだけなら普通ですが、不自然なまでにオールマイトの授業に関する情報がそれまでに閲覧されていました。

接続を確認しつつ食堂の開ける事の出来る窓から飛び出ます。

 

「ごめんなさい!ちょっと急用が出来ましたので、少しショートカットします!」

 

「えっ、ダフネ!?」

 

拳藤さんの驚いた声を余所に全力で外を走り抜けて職員室に向かいます。教師のパソコンはそこ以外にありませんし、該当する端末がそこにありますからね。

 

時速100㎞の全力ダッシュで近付き踏み込んでジャンプして職員室の窓の下にしがみつきます。

見た目がシュールですがしょうがありません。推測が正しければこっちが本命の狙いですから、少しは相手の事を知りたいです。

 

「…黒霧。そろそろ時間切れだ、帰るぞ。」

 

「ええ、戻りましょう。必要な情報は手に入りました。生徒の個性を把握できなかったのは痛いですが、仕方ないでしょう。」

 

耳を澄ましたら二人の話が聞こえてきました。ちらっと顔を出してその姿を捉えます。

顔に手を付けた青年と、靄がかかった変な人(服装的に男ですね)がいました。その男から出てきた黒い靄が何やら渦を巻いて変な空間を作ると二人がそこに入り、消えました。まさかの転移の個性ですか。

ネットワークとの接続を切り、職員室の窓から離れます。

これはどうするべきか私には判断しかねます。あれが何の目的で行われた事で、あの二人が何者なのかが不明すぎます。

心配してるであろう二人の下に走って戻りながら、私はどうするべきかを考えていました。

 

 

*****

 

 

「全く、急に走り出していったからどうしたのかと思ったノコ!」

 

「急用って言ってたけど、もしかして今回の騒動で何かに気付いたの?」

 

急いで食堂の近くに辿り着くと、昼休みももうすぐ終わるのに二人が待っててくれました。

希乃子ちゃんは単純に私を心配してくれて、いなくなるまでの私の動きを知っている拳藤さんは何かに気付いた事に気付いたようです。

 

「…そう、ですね。単刀直入に言います。あのマスコミ侵入は囮です。あの時の隙に二人の人間が職員室に侵入、何かのデータを盗み見ていました。」

 

「え!?それって先生に言った方が良いんじゃ…!?」

 

「普通ならばそうかもしれません。ですが、これを不用意に先生に伝えるのもまた危険です。

…あの混乱状態の食堂に居た人間が職員室に侵入者が居る事を把握し、しかもその姿を目撃したと言って、信憑性があると思いますか?」

 

あれは計画的犯行でした。全てが予定調和のように進み過ぎていましたから、確証は持てませんがその可能性が高いと思っています。

何の証拠もない状態でこれは流石に勘繰りすぎだとは思いますが、最悪の場合、雄英高校の内側にスパイがいます。それを想定すると、この事実を伝える相手は慎重に選ぶ必要があります。

ほぼ100%安全なのはオールマイトでしょう。ですが今日は非番、会おうと思ってもどこにいるのか私は知らないですから駄目です。

次点では相澤先生です。あの人はヒーローを教える事に関しては極めて熱心ですから、少なくとも現時点で把握できる人柄ではかなり信用できます。

後の先生は関わりが少なすぎてどうとも言えません。

 

「…少なくとも相澤先生には伝えるつもりですが、信用できる相手にしか伝えない様にお願いするつもりです。

希乃子ちゃんと拳藤さんも、この事は不用意に人に言わないでください。」

 

「分かった。ダフネちゃんが何を危惧しているのか分からないけど、多分重要な事なんだよね。

…さっ、戻ろう戻ろう!もうすぐ予鈴がなっちゃうからね!」

 

「えっ、もうそんな時間なんですか!?だったら二人とも無理してここで待たなくても…!」

 

「友達が心配だから残って待ってたの。いきなり車の前に飛び出るような無茶な事はしないで欲しいなぁ。いなくなってる間何をしてたのかの話を聞いて余計心配になったノコ。」

 

速度を二人に合わせて走って教室に戻りながら希乃子ちゃんの言葉を聞きます。

確かに今考えると当時の私はかなり無謀な行動をしてますね。これからは心配させない様にもう少し自重を持たなければいけないですね。

 

その後、その他の委員を決める時に緑谷君からの推薦で委員長が飯田君になりました。

クラスメイトの「非常口飯田」呼ばわりにちょっと吹き出してしまいました。確かにあのポーズは非常口のピクトさんでしたね。

飯田君が相変わらず硬い動きで意思を表明しました。やっぱり飯田君は動きがカックカクで個性的ですね。一人だけfps低いみたいです。

 

 

*****

 

 

放課後、私は廊下で相澤先生を呼び止めました。

 

「あ、あの。相澤先生。できれば人目のつかない場所で話したい事があるんです。」

 

「…ダフネか。分かった、生徒指導室で聞こう。あそこなら中々人が入ってこないだろうからな。」

 

相澤先生について行って生徒指導室に入ります。

椅子に座ってから相澤先生から話を切り出してきます。

 

「で?話したい事はなんだ?」

 

「そ、その…今日の侵入者騒ぎの話なんですけど。」

 

相澤先生が少しだけ動きます。

 

「…あれはマスコミが殴りこんできただけだ。そこまで大変な事は…」

 

「違います、そうじゃなくて…まず、謝らなければならない事から言います。

私、一時的に雄英のパソコン全部にハッキングを仕掛けて動きをモニタリングしてました。」

 

「…何故だ?何の目的があってそんな事をした?」

 

相澤先生の目が怖いー!!やった事は確かにこんな目されてもしょうがない事ですけど怖いです!

 

「マスコミは囮で、本命は別にあるんじゃないかって思いましたから…とりあえず現時点で狙われる可能性があるのは人か情報だと思って。

人だったら私じゃどうにもできませんから、とりあえず不審な動きをしてる端末を捜す為にしました。

そしたら、一つだけあって。急いでその端末の場所に向かって、何をしてるのか覗き見したら…いたんです。明らかに生徒でも教師でもない人が。」

 

「…!!そいつの見た目は覚えてるのか?」

 

「はい、一人は「黒霧」と呼ばれた黒い靄に覆われた頭をした転移系の個性の人で、もう一人は名前はわかりませんでしたが、顔に手を付けた男の人がいました。」

 

相澤先生は紙に特徴を書き込み、顔を上げました。

 

「分かった、情報をありがとう。

…だが、いくら疑念を確かめる為でも学校にハッキングを仕掛けるのは駄目だ。

今回は情報提供の礼代わりに不問にするが、次があると思うなよ。」

 

相澤先生に鋭く見られて思わず肩を震わせてしまいます。

 

「は、はい…それと、もう一つ。

出来ればその情報は、信頼できる人のみに開示してください。本当に最悪の場合を考えたら…」

 

「…内通者がいるかもしれない、からか?ほぼありえない話だが、念の為信頼できる人間のみに話す事にしよう。」

 

「ありがとうございます。私の話はこれだけです。聞いてくれてありがとうございました。」

 

相澤先生が頷いてくれたのでほっとします。

そっと外に出ようとドアに手を掛けたところで相澤先生が思い出したように呼び止めました。

 

「そういえば雄英体育祭が今日から大体2週間後にあるんだが、一年ステージの宣誓は入試の総合1位、つまりお前がやる事になる。

だけどお前は内気だからな、無理だと思ったら言ってくれ。爆豪に代えるからな。」

 

「…か、考えておきます。」

 

え、マジですか。選手宣誓を私がやるんですか。

と思ったら私の性格を鑑みてくれたのか無理そうだったら変えてくれるそうです。相澤先生って案外優しいところは優しいですね。

 

「…それと、今日みたいな行動は自分の墓穴を掘りかねないから程々にしとけよ。」

 

あ、はい。分かりました…衝動的行動は慎まないとですよね。

そうして生徒指導室を後にして、校門で待っていた希乃子ちゃんと今日の帰路に就きました。




ヒロアカのマスコミって常識が欠如しすぎな気がします。
それともマスコミって総じてこんなモノなんでしょうかね?

それと雄英体育祭の選手宣誓に関する話も入れました。
こういうスピーチ系の話は事前に何か連絡があるだろうと思ったので。

そして今回登場の【アドヴァンスドネットワーク】。
黒絢のアヴァンドナーに登場するアクセサリ(サポート機能)の一つです。
新世代のネットワークに接続する無線ポートを脳内に備える能力です。
今回は「アドヴァンスドネットワーク」で自拠点のネットワークに繋いで機能を利用し、「オールドネットワーク」で雄英のサーバーに接続しました。

ちなみに現在のダフネはモルガナの思考を教えられてる為、ネクロニカで例えるとアリスというよりもコートとオートマトンを足して2で割ったような状態になってます。
でもポジションはアリスです。そう決められてますから。

次回は大量のアヴァンドナー出典パーツが登場する予定の為、後書きが長くなりそうなので話中に出てきた時に大雑把な説明をして、後から数話分をまとめた解説回を置こうと思っています。

次回、お姉さまから渡された(押し付けられた)過剰火力でUSJ編へ突入。
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