永い後日談のヒーローアカデミア~黒絢を添えて~   作:アルテリア

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【敵との戦闘です。】

「ハァ!?ヴィラン!?ここに襲撃仕掛けて来るとかバカだろ!?」

 

 切島君が声を上げます。まあ仮にもトップクラスのセキュリティを備えてる雄英高校を襲撃してきたら普通そう思いますよね。

 これが計画性の無い犯行でしたら私も同様の感想を抱いたと思います。

「これは計画された奇襲だ、馬鹿だがアホじゃねぇ」と轟君が冷静に分析しました。周りの情報をきっちりと読んでいます。推薦組ってやっぱり優秀なんですね。

 つまり相手には先程聞いた(遠くて聞き取り辛かったせいで確実にそうだったかは怪しいけど)目的である平和の象徴を殺す算段があるという事になります。

 一番あり得るのは見た目が既に筋肉モリモリマッチョマンの変態で、他三人は外見だけ見ればオールマイトに勝てる要素は見当たりません。

 

「13号!ここは任せたぞ!」

 

 相澤先生が私達を13号先生に任せて敵達のど真ん中に突入しました。

 凄いですね。視線を隠すゴーグルと特別製の布を利用した戦闘法は大量の敵を相手に全ての攻撃を捌き切っています。

 私が相澤先生の戦闘を見つめてる間に飯田君を含めた何人かが脱出しようとし、上鳴君は通信を試していました。

 同時に私は少し人の声が聞こえた気がしました。何故でしょうか?

 

「させませんよ」

 

 気味の悪い音を背後から聞いた瞬間、反射的に非殺傷弾頭を装填し振り向き構えます。

 

「初めまして。我々は(ヴィラン)連合。

 僭越ながらこの雄英高校に入らせていただいたのは、平和の象徴……オールマイトに息絶えて頂いてもらいたいと思いまして」

 

 わぁ、ご丁寧に教えてもらってありがとうございます。

 お陰でこっちもやりやすくなりました。

 

「本来ならばこちらにオールマイトがいらっしゃる筈でしたが、何か変更があったのでしょうか?

 ……まぁ、それとは関係なく、私の役目は……」

 

 黒い靄を私達を覆う様に展開しました。

 足止め、或いは分散からの各個殲滅が目的でしょうか?

 

「その前に俺らにやられる事は考えて無かったかァ!?」

 

「駄目です!どきなさい、二人とも!」

 

 広がる前に本体に切島君と爆豪君が同時に攻撃を仕掛けます。

 13号先生が制止の声を発する前に攻撃のモーションに入ってしまっていた為止まれずに攻撃してしまいましたが、二人の息は綺麗に合っていて、攻撃も相手が普通の人間ならばきっちり当たっていました。

 ですが、何ともない様子で黒い靄が私達を覆います。私は鞄を持って横っ飛びに飛んで外に逃げ出し、何とか間に合いました。

 

「上鳴君!!通信機は常に起動したままにしてください!!」

 

「うぇっ!?そりゃどういう意味──」

 

 上鳴君に伝えられましたが、最後まで会話は出来ませんでした。靄が晴れると、そこに居た人数は4分の1程度に減っていました。

 足の速い飯田君や飯田君が抱えて助けた人など、数人だけが残っています。手の内の銃を握りしめて相手に話しかけました。

 

「確か……黒霧、そうあの手だらけ男に呼ばれてましたっけ。個性は転移系統、恐らくその靄がワープの起点で、終点には靄が渦の形状を取って、多少の時間差を置いて飛ばされると言ったところですか」

 

「おや、私を知っている……もしやあの時、傍に居たのですか?」

 

 その質問には答えず、【Re-DIASPORA】を黒霧に向けて発砲します。あの個性の能力では望み薄ですけど。

 案の定私の背後に銃弾を転移させてきました。振り向かずに無造作に片手で掴み取ります。非殺傷弾じゃなかったら到底無理な芸当でした。

 

「私に銃火器の類は下策ですよ」

 

「ダフネ!無策に撃つのはやめて下さい!

 ……飯田君、君はここを脱出して救援を呼んでください。君の個性が一番脱出に適しています」

 

 13号先生が飯田君に脱出して救援を呼ぶ係を任せました。飯田君は抗議しましたが、最終的に13号先生の説得で受け入れました。

 私達は飯田君の脱出を援護する事になります。飯田君とほぼ等速で動ける私は脱出直前まで飯田君に並走し、黒霧の妨害から守る係を任されました。

 バッグから比較的取り回しのいい【Dafne003(ダフネ)】と【蜉蝣(かげろう)】を取り出します。

 

「敵の目の前で作戦会議する余裕があるのですか?」

 

「しても問題ないから、やってるんでしょうが!!」

 

 13号先生の啖呵と共に私と飯田君が駆け出します。

 13号先生が黒霧の靄を吸い取って足を止めている内に4分の1程を走り抜けます。後ろから麗日さんが13号先生を悲痛な声で呼びました。

 私は首だけ後ろに向けて状況を確認すると、13号先生が背中からボロボロになっていました。恐らく黒霧の前の空間と13号先生の背中側の空間を繋げたのでしょう。

 つまり、私達の障害が本格的に動き始めたという事です。

 非殺傷弾を装填した【Dafne003】を飯田君の後ろから足元を撃って目の前に出て来ようとした黒霧を妨害します。その間に障子君が黒い渦を掴んで覆い隠して、飯田君が方向転換して更に走ります。

 私は障子君ごと黒霧を飛び越えて飯田君が後ろ、私が前に入れ替わります。

 

「させません……!!」

 

 妨害を超えてきた黒霧が私の前に立ちます。目の前に3発撃った直後に方向転換して3発を背後に発射、更に回転して黒い渦をを避けて3発を撃ちます。

 最初の3発は黒霧に転移させられましたが、直後に打ち出された3発で全て迎撃し、最後の3発は2発回避されましたが、1発は黒霧に命中しました。

 

「くっ……!」

 

 体勢を崩した黒霧に【蜉蝣】で追撃を仕掛けます。その追撃に気を取られている間に飯田君はドア直前まで到達しました。

 転移させようと靄を伸ばしますが、麗日さんと瀬呂君、13号先生の連携で阻止され、無事に飯田君を外に逃がす事が出来ました。

 黒霧は「ゲームオーバーですね」と言い残して広場方面に転移しました。

 一度放置でもいいのでしょうか。

 

 その時、通信機にからピンチになった音声が届いたので鞄から取り出して【Lia Fail(リア・ファル)】を組み立てます。通信機使ってる本人が何故かウェイウェイうるさいですけど、なんででしょう。

A-Carlotta21(カルロッタ)】の右腕を利用し、構えたレールカノンは300m以上先も狙い撃てます。特に私はこれで1㎞スナイパーをできます。砲身を向けるのは山岳ゾーン。

 

「【超長距離ジアド粒子通信(ZQT)】なんて、いつ上鳴君の通信機に組み込んだんですか……」

 

「え、ダフネちゃん、そのデカい砲台……何なん?」

 

 麗日さんが私の用意した【Lia Fail】を見て声を上げます。

 

「【Lia Fail】。全長12mのレールを備えたレールガンです。ちなみにレールガンである以上他の手持ちとは違って実弾以外は撃てません」

 

「え……そ、そんなん撃ったら人が死ぬやん!?」

 

「相手は既にこちらを殺す気で来ていますよ?それを相手に躊躇していたらこっちが殺されます。そうお姉さまに教わりました。

 最近お姉さまが世間的には異常な方である事を知りましたけど。

 ……まあ、死なない様に手は尽くします。何せ、どっちにしろ外してはいけない一撃なので」

 

 私は麗日さんにそう言って通信を切り替えます。

 正直なところ「撃たれる前に撃て」っていうのはヒーローというよりはヴィラン的な思考回路な気がしますが、ヒーローよりもヴィランの方が打てる手が多い以上選択肢には入れなければいけない物だと思います。

 

『上鳴君、言葉はわかりますよね。

 決してそこから動かないでください。最悪の場合死にますから』

 

『ウェイ!?』

 

【Lia Fail】の砲撃の準備を始めます。お姉さまに教えてもらったジアドスフィアからジアド粒子を漏らさずに電力を使う兵器を使用する方法。

 内部でジアド粒子の動きの全てを完結させるという簡単な手法です。高性能なジアドスフィア製波装置を利用する事でやっと使えるようになりました。

 

「……ジアドスフィア、限定起動。外部に漏洩しているジアド粒子が0である事を確認。動力の作動に問題なし、【Lia Fail】との回路連結完了。弾薬装填、砲身への送電を開始します」

 

 レールの間に放電が走り始めました。ところでこれって見た目からしたらかなり異常ですよね。150cm後半の少女が12mの砲身を備えたキャノン砲構えてるってどんな絵面してるんでしょう。

 発射以外の準備が完了した為、私の持つ全てを駆使します。

 

「【スカザックの知慧】、【強化生体受像機】、【思考活性】、【ウィザードブレイン】。照準固定……撃ちます」

 

 打ち出した銃弾は、全ての音を置き去りに山岳の先、捕まっていた上鳴君と動けなかった八百万さんと耳郎さんを傷つけず、過たず敵の足をもぎ取りました。

 序でに言うと、帯電した銃弾から僅かに電流が流れて上鳴君をいつもの状態に戻しました。

 ……あれ、これってこんな威力でしたか?

 

『……うぉぉぉい!!?ダフネお前、オレ死ぬかと思ったぞ!?足元に音より速く来るレベルの速度の弾をぶち込むのやめてくれね!?

 つかどれだけ力が籠ってんだコレ!?敵の足がガチで跡形もねぇんだけど!?

 良くオレの足無事だったな!?』

 

『……掠る程度にしたはずなんですが……あぁぁ!?思い出しました!これ、そういえば移動する要塞(金属の塊)用でした!?

 あ、あわわ……や、ヤバいです、お姉さまに全責任ぶつけましょうか!?このままだと相澤先生に殺されます!』

 

『責任を押し付けるとかお姉ちゃんが可哀想じゃねぇ!?』

 

『【Lia Fail(コレ)】持ってけって言ったのお姉さまなんですよぉ!!まさか威力がそのまま(デチューンしてない)なんて思わないじゃないですか!?』

 

 悲痛に叫びながら通信で上鳴君と会話します。全部終わった後で気づきましたが、これ完全に相互が通信できる事の報告を忘れてますね。

 傍から見たら阿鼻叫喚の七面相してるだけのカオスな絵面ですよ。

 

『そ、そうです!そっちに八百万さんと耳郎さんが居ますよね!?その二人をどうにかして目を離させて、その隙に敵に全弾撃ち込んでうまく証拠隠滅を……』

 

『やめろやめろ!?今二人がお前が撃ったせいで気絶した敵の止血してるから!まだお前がやったってバレてねぇし似た個性のオレがどうにかして言いくるめるからさ!?』

 

『じゃ、じゃあこれは相手の個性がなんか暴発して自爆した事にしましょう!私は何もやってないって事にします!』

 

 上鳴君は二人を上手く言いくるめるのと、私は【Lia Fail】を撃った形跡を消そうとするので大慌てな状態でした。

 その間に相澤先生がピンチに陥ってる事に気付けない程に。




【Lia Fail】でやりすぎました。
ぶっちゃけ近くに着弾させただけで足くらいは持ってけると思ったので上鳴に当たらないギリギリを狙って撃ちました。
ちなみに【スカザックの知慧】【思考活性】【ウィザードブレイン】が無かったら上鳴の足も吹っ飛んでた可能性があります。
ちなみに今回は単発でしたが、本来はコレを四連発します。人に向けて撃ったら粉微塵になるわこんなん。

あと上鳴君微強化、耳に付けてる通信機が【超長距離ジアド粒子通信】に対応してます。
今のところダフネとモルガナ以外には通じないオーバーテクノロジーをしれっと付け足されました。

あとほぼ同じ速度で走れてかつ高火力な主人公がいる為黒霧攻略がイージーモードと化してます。
流石に【Dafne003】でやりすぎたかもなぁ…というか今回色々とやりたい放題にやりすぎたので反省します。

相澤先生方面の出来事を次回は書こうと思います。
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