永い後日談のヒーローアカデミア~黒絢を添えて~ 作:アルテリア
その結果ヒロアカ世界は最後にちょろっと出て来るだけになってしまいました。
本体であるアンデッドの私が色々次の世界旅行の候補を捜している間に自我次元を定期的に同期しているアヴァンドナーの私はこの世界の特殊な物を収集していた。
この世界に転移した数日後に突然現れた施設に関する調査で来た人達……いや、アヴァンドナーさんと平和的な話し合いの結果、幾つかの情報をもらった。
それを基に自分でブレインファームを建設、アヴァンドナーとして活動する為の私の身体を作成した。その後は兵器と情報の収集に努めて数年後。
ジアド粒子によって様々な機能の精度が上がったものの、平和な世界を捜すための「窓」では今のところ近縁の世界しか見つかっておらず、むしろ
中々次の転移先が見つからないので、一度223号に移住する世界の捜索を引き継ぎ私は息抜きにお姉さまの下へ向かう事にした。
*****
「お姉さま、おはよう。今のところの調子はどう?」
『うーん、今は身体がないから調子が悪い=サーバーの不調なのよね。サーバー的には絶好調、私の機嫌的にはちょっと不調って感じね。
アヴァンドナーの育成を私に放り投げないで欲しいわ。こういうのはリーダーの方が得意だったじゃない。
というか、ここの兵器のアヴァンドナーって生産効率悪すぎないかしら。一通り生産するのに最大で実時間で3年、体感時間では6年かかるって。いくら無垢な精神から一つの存在を作ってるとはいえ非効率だわ。
いっそのこと
生産に時間がかかりまくってるのに問題なくアンダーグラウンドの守護ができる時点でアヴァンドナーってチートよねぇ』
「お姉さま、ここは私達の世界程地獄じゃないよ。
ブレインファーム「ファタ・モルガーナ・ラネズ」を管理するAI(本当はAIなんてちゃちな物ではないけれど便宜上そうしないと面倒だからそう呼ぶ事にした)である
なんとも厨二なネーミングのブレインファームだが、色々とそういう事に詳しかったお姉さまは初めて会った時から本名を名乗ってくれなくて、いなくなる最期まで私に教えてくれなかった。そして、今もまだ教えてくれていない。
「お姉さまの本当の名前、知りたいなぁ。もう教えてくれても良いでしょ?」
『ダメよ。私は私の名前が一番嫌いなの。だからドールになった時は正直かなり助かったわ。本名を名乗る必要性がなくなったんですもの。
とはいえ、本当にヤバくなったら名乗るつもりだわ。まあ、だからと言って何かが変わる訳でもないのだけれど』
ならないのかい、と内心突っ込む。表情に出さない様に気を付けたが、それでも私は微妙な顔になってたようで後でお姉さまに散々笑われた。
『それにしても、最後に会った時から随分変わったわね。やっぱり私達のせいかしら?』
「んー……確かにそれは少しあるかもね。一人ぼっちになったら流石に私でもちょっとは狂うよ。正直なところ寂しくて
できるなら他のお姉さまも蘇らせたいけど、
『アンデッドは兵器として実用化された時点で既に想像の範疇だったからすぐに納得できただけよ。体の無い情報生命体にされるとは予想も出来ないわ。心の準備のあるのとなしとでは結構違うのよ。
ところでこれって疑似的な監禁だと思うのだけれど、その点どうなんですか比較的良心的なネクロマンサーのダフネさん』
「それはごめんって毎回言ってるし、別に培養槽使って自分の身体を作ってもいいんだよ?お姉さまにはここの全権を任せてるんだし、私は何しても基本的に気にしないよ」
そういえば言ってなかった、と頭を掻く。
ESPを使って近くの端末を手元に引き寄せて223号にチャットを送りながら会話をする。
『……貴方、もしかしてエンブリオを蘇らせてないわよね?ESPなんて一人でそうそうできるようになるものじゃないわ。
もしかして教えてもらった後野放しにしてないよね』
「え?
……ああ、彼と取引をしてね。私にESPを教える代わりに
襲撃かけてきた中で彼が気に入ったエアブレインの女の子を4体ほどあげた。今はもう彼女達と外じゃないかなぁ?」
『とんでもないことしてないかしら!?この世界の処女の人達が危険なんだけど!?』
「いや、多分もう死んでるし意味無いでしょ」
え?とお姉さまが呆けた声を上げる。私だってアレを傍に置いておくのは嫌だよ。寝首を掻かれるのはかもしれないし、アレの姿には生理的嫌悪が強いから。
「あ、これもお姉さまには言ってなかったっけ。この世界にはジアド粒子っていうのがあってね。それに少量でも触れると生命体は「ピグマリオナイズ」っていう病気にかかるの。
まぁ、自身を更生する物質が変質するだけだから、病気とはいいがたいんだけどね。これに対する有効な治療法はなし。だから人間は「アンダーグラウンド」っていう安全地帯に逃げ延びたの。
ジアド粒子の中で活動できる生命体はアヴァンドナー及びエアブレインだけってわけ」
『エンブリオは今現在エアブレインの中にそのまま入りこんでる
「エンブリオは胎の中で死んでんじゃね?まあ可哀想だとは思わないけど」
そんな話をしているところに、223号から返信が帰って来た。それは待ちわびた吉報だった。
「……お姉さま!次の
『マジで言ってる?今度は次元を飛ぶの?貴方どこまで破天荒な事をしてるのよ……』
上機嫌なのが見てわかるくらいにウキウキしている足取りで自分の部屋に戻っていく。その後ろでお姉さまが呆れた声を上げていたのに私は気付かなかった・
*****
「……よし、準備完了。世界旅行装置改、座標入力良し、出力良し。成功確率試算……99.9999%、最低限の要求条件はクリアっと」
モニターとにらめっこしながらキーボードを高速で叩いて最終調整を重ねる。
223号はその後ろで心配そうに私を眺めていた。
「ますたー。すこしやすんだら?もうふつかめだよ」
「あと少しなの、この転移が終わるまでは寝られないわ。万が一がありうるから、完璧に成功を確認できるまで起きてなきゃ」
幾つものデータを彼女の計算したデータと機械の計測による必要なエネルギーの試算などの結果を参照して微調整を繰り返す。
そうして更に数日が経って、私は全てのチェックを終えた。アンデッドじゃなければ死んでたと思う(もう死んでるんだけど)。
*****
「……やってきました!新世界!」
はい、どうもネクロマンサー「ダフネ」こと私です。現在私は数十年振りの直射日光を浴びています。
青い空に白い雲。決して襲ってくる事がない植物達。私の知る21世紀の平和だった時代の世界その物がここにありました。
青々とした木々に囲まれたせいか私はテンションが上がって「最高にハイってヤツだァーッ!」って感じです。
心拍数がないので物理的にドキドキしないのが残念ですけど。アヴァンドナーの私だったらちゃんと物理的にも精神的にもドキドキできたのかな?
「よーし!このまま街まで行っちゃおう!」
私は好奇心が抑えきれず一番近い山の麓の街に向かって直進していった。私の常識が崩される10分前。
*****
「……」
何から突っ込めばよいのか分からず、私は笑顔で硬直していた。街並みは普通だった。街並みは。問題は在住のUMAだ。
頭に手裏剣がぶっ刺さったみたいな頭をしてる人、二足歩行するクソでか怪獣、それを捕まえようとする全身が木の変な人、怪獣を蹴っ飛ばす巨人。そしてそれらを囲む群衆。この世界、これらを皆「ヒト」と判定しているらしい。
私は頭を思わず抱えてしゃがむ。
「それもうヒトじゃないよ……別の種族名を名乗って下さい、私のヒト関連の常識が崩れる……いや、割とマジで」
小声でそうつぶやくしかなかった。
ダフネ、思ったよりカオスな世界だった事にショックを食らい大ダメージ。
そしてエンブリオ、使い捨てにされる。
ちなみにダフネの容姿はネクロニカ冒頭の漫画に出て来て初っ端に内臓引き摺り出されてた女の子みたいな感じです。
次回はとりあえず現状の保有戦力とそれぞれの原作作品関係の単語について整理したいと思います。