永い後日談のヒーローアカデミア~黒絢を添えて~   作:アルテリア

7 / 18
サブタイトルはもともと【どろどろ、のうないまやく】にしようと思ってました。
ですが最高にハイなロールプレイが出来なかったので没になりました。


【やったのバレたら無期懲役ものだよね、これ】

「今度はちゃんと通ったね。君の防御はあの皮膜に頼っていたのかな?」

 

腕を身体から引き抜かれる。潰れた臓器がその行動で更に摺り潰された。

べちゃりという擬音が最も適切であろう形で地面に頽れる。

思ったよりずっと痛い。「おおあな」の開いていた女の子はいつもこんな感覚だったんだなぁ、と他人事のように自分の傷を思う。

 

「返事がないね。もしかして死んじゃったかな。」

 

一応まだ生きている。生きているが、この痛みを抱えたまま戦うのは正直に言って辛い。だから体に仕込まれたパーツが活動を始めるのを待っていた。

数秒後、本命のパーツが動き始め、脳が一気に活動を始める。ドーパミン、β‐エンドルフィンなどの脳内麻薬を自身がダメージを受ける事をトリガーとして過剰分泌する改造の効果で痛みをごまかす。

 

「…くふふっ、コートちゃんとお揃いだァ。嬉しいなぁ。お揃いって仲がいい子みたいでいいよね。」

 

「うわぁ、その傷でなんで平然と出来るのかな。とっくに失血量が致死量を超えてると思うんだけど。君、滅茶苦茶タフだね。」

 

問題は頭の気分がハイになっちゃって色々おかしくなっちゃう事だけど。

ちなみにこうして冷静に物を見ていられるのはどんなに怒ってもどこか頭の一部は冷えてるみたいなのあるじゃん、そういう感じ。でも指示系統が最高にハイってヤツなせいで冷静に動かない。

今の私は会話こそできるものの、体はほとんど本能で動いている。元々「アリス」だったんだけどなぁ、私。バリバリ「ホリック」じゃん。

 

「それは人間の話だろ?ははは、僕にその法則は当てはまらないよ。」

 

「君は、人間じゃなくてキメラだからって事かい?それでも血液は生命活動には必須な物だ、キメラだからと言ってその法則から外れるはずがない。

…まさか、君は生きた死体(リビングデッド)って事か!」

 

「せいかーい。くふふっ、思ったより気付くのが遅かったね。まさか、死体が動く事がないと思ったのかい?

こんな常識を鼻で笑うような世界でもその常識が通用すると思ったのかい?ま、僕は極めて特殊な例だけどね。

序でに言っておくと、今の僕は対ホラー、サヴァント戦闘に特化したアンデッドだよ。でも対人間はあまり想定しなかったから、正直付け焼刃だ。

君相手にここまで善戦できてるだけマシという物だと思うがね。」

 

ふらふらと立ち上がりながら身体から僅かに零れた腸を乱暴に引きずり出して口に入れる。中々グロい絵面だけど、肉を食べる事で自身を再生する性質を持ってるんだからしょうがないよね。

ネクロマンサーになってから知ったけど、私のメインクラスがステーシーじゃなくてゴシックなのはちょっと不満だった。エンブリオは何を求めてアリスにこんな性質を付けたんだろうか、って思った。

 

「あは、オールマイトと互角に戦った君からはどんな味がするのか僕は気になるなぁ。一口ちょうだいよ。」

 

「それで僕が『はいどうぞ』って渡すと思うかい?でも、君はとても面白い個性を持っている。

言う前に吹き飛ばされてしまったし何なら言う前に思いっきり拒否されたけど、僕の口からちゃんと言おうか。やっぱり僕は君を仲間に勧誘したい。

君の言葉を借りるなら面白い物、もしくは未来像を見せれば僕について来てくれるのかな?」

 

まあそうだろうね。誰だって食べられたくはない。

…さて、そう来たか。断片的情報ではあまり面白くなさそうだったけど、具体的に何をするのかが気になるっちゃ気になる。

 

「聞くけどぉ、僕は今すぐに君の身体を食べたいんだ。だから、戦い(喰べ)ながら聞くとしようか。」

 

「十分だよ。正直少し乱暴だと思うところはあるけど、君に話を聞いてもらえるのならそうしながらでも話そうか。」

 

よぶんなうでを袖から垂らして四本腕にする。機械化された腕が特徴的なものだ。申し訳程度に元から出してた両手でバールを持つ。

 

「身体を滅茶苦茶弄ってるね。もしかして僕対策?」

 

「そうじゃないよ。ちょっと昔に色々あって、その関係で色々増やす必要があったんだ。正直弄りすぎたかなとは思ってるけど。」

 

事実エンブリオの領地を引き継いだ直後は場所を奪いに来た奴らを蹴散らす必要があった。その関係で使えるものから切って貼ってをずっと続けたのが今の身体だ。

実のところ見た目をそのままにしながら体を弄るのが一番大変だった。服を改良して色々増えても見た目を損なわない様にするとか細部を変えたり試行錯誤を繰り返した。

変なところに執着するとか言うな、私だってある程度生前の見た目は残したいんだよ。

 

「じゃあ、まず僕の目的から話そうか…」

 

そうして、私達は宵闇の中、オールフォーワンの語りの開始と同時に戦闘を再開した。

 

 

*****

 

報告書

 

 

XXXX年7月28日発生「××山事件」について

 

概要:

 

静岡県某市の山奥にある「××山」が一夜にして荒れ山になった事件。

幾つかの爆発の痕跡、様々な傷のついた樹の幹などから何者かが戦闘していたという結論が出た。ただしその正体は人数不明で、僅かに残った足跡から最小で2名が戦闘していたと思われる。

追記:二人だけの戦闘で起きるような傷跡ではないが、あくまで最小の人数であり、断定したわけではない。

No.1ヒーロー「オールマイト」を含めた数十人で山を探索した際、辛うじて樹木が残っていた地点から建造物を発見し、内部から三名の生存者を救出した。

建造物の詳細及び救出者については別紙に記載する。

 

 

戦闘痕について:

 

先ほど記述した建造物周辺を除いてほぼ山全体に存在している。

樹木には「一般的な銃器」「強力な何らかの砲弾」「極めて鋭利な刃物」「通常の刃物」のような痕跡があり、地面にはクレーターが数十個存在。

内一つはTNT1kg相当の爆発が発生しており、大量の爆発物が使われた事が推測される。また、現場に落ちていた焼け焦げた鞄から溶けた日本刀と銃器が発見された。

現状では建造物或いは生存者を狙った組織同士の大規模な抗争ではないかと推測されているが、当時大きな動きをしていた組織は存在せず、未だに謎は解けていない。

また、血痕のような物も残っていたが残らず蒸発しきってしまっていて、シミが残っているだけでDNAによる判定も出来なかった。

 

 

建造物について:

 

内部を統括している人間の助手であった「223号」(詳細は後述)により内部の構造が説明された。

彼女の説明によると、この施設の名前は「ファタ・モルガーナ・ラネズ」であり、以前の主は「エンブリオ」という老人だった。

ここは死体を生き返らせる技術「ネクロマンシー」及び残りの二名の持つ個性「アヴァンドナー」の人為的な作成が行われていた実験場であり、223号もその実験の失敗作の一人らしい。

説明を裏付けるように建造物内部には人間を含めた様々な生物の死体が存在し、ヒトの身体を滅茶苦茶につなぎ合わされた冒涜的な死体や、背骨に少女の頭部が付いた生物(223号曰く主のペット)も存在した。

建造物そのものは、外壁及び内壁の材質と通路の形状からから推測するに核兵器の直撃に備えて作られたシェルターのようなものだと推測されるが、この地点にそのような物が建築された届け出はなく、誰がいつどういう意図で立てたのかは不明である。

 

 

救出者:

 

「223号」

性別:女

年齢:不明(測定不能、作成年的には4歳くらいらしい)

個性:不明(異形型であると推測)

足は触手、片腕は人間大のカマキリの鎌、もう片腕は肥大した腕で、少女の頭部が二つくっついている。

備考:

身体の大きさに反して知能が幼い為、恐らく若くして死んだものと思われる。

生前の本名不明。

 

 

「モルガナ・ル・フェイ」

性別:女

年齢:16

個性:「アヴァンドナー(本人呼称)」

滅多に本領を発揮できない為、本気を出した際の出力は不明との事。

主動力が人類には有毒な物質である「ジアド粒子」の為、普段は生命活動以外に使用されることはない。また、その場合ジアド粒子は外に漏れる事はない。

ただし、その状態でも普通に走るだけで時速100㎞は出せる。

備考:外部の情報を探る為に違法行為を何回かしていた事を自白。状況を鑑み厳重注意で不問とした。

 

 

「ダフネ・ル・フェイ」

性別:女

年齢:12

個性:「イルドナーク」

名前が違うだけでアヴァンドナーと同じ。

モルガナによると本来は二つが示す物は違うらしいが、同じ個性名だとかっこよくないからという理由でこの名前にしたらしい。

備考:名前からわかる通り、モルガナ・ル・フェイの妹。ここに来る以前の記憶がない。

 

 

 

 




これ以上戦闘描写を書こうとするとマンネリ化しそうだったので、途中で報告書的な方式にして大幅にカットしました。

そして今回もネクロニカから幾つかパーツが登場しました。
「よぶんなうで」はもう言葉通り余分に腕が生えます。
「よぶんな○○」は他にも「あたま」と「あし」があります。

「きもちいいくすり」はもう説明しようがない。でも筆者お気に入りのパーツ。
ダメージに反応して脳内麻薬もしくはそれに類するものを過剰分泌するパーツです。
ダメージを受けたら強制的にヤク中にされるヤバい奴。
これを使用したサンプルキャラの瞳は虚ろな感じでキラキラしてて好きです(唐突)。

「バール」はバールです。
名状しがたきバールのようなものではない正真正銘のバールです。

突然ですが「殺伐ネクロマンサーダフネちゃん」は今回で最終回です。
次回からは「きれいな青春ライフダフネちゃん」が始まります(適当)。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。