永い後日談のヒーローアカデミア~黒絢を添えて~ 作:アルテリア
『あー、おはようダフネ。
偉い人達との話し合いの結果、私達が出てきた建造物をこれからも私達の住居にしていいって言われたけど、君をヒーローにさせたいって言ったら倍率300倍の雄英高校ってとこを受験して入ってもらう事になったから。
なに、安心してくれ。私が勉強を見てあげるからね!』
妙なまでに小綺麗なベッドで目覚めた後、私は突然モルガナお姉さまにこんな事を言われて地獄のように勉強させられました。わざわざブレインファームの空間を利用して残り半年弱の時間を1年近くに引き延ばさないで欲しかったです。そんなことを試験中に考えています、初めましての方は初めまして、生前の私を知っている方はこんにちは、ダフネ・ル・フェイです。
ところで目覚めて半年弱の私(小学生の勉強までしかしてない)にいきなり高校受験っておかしくないですか?享年12歳ですよ?
ですけど、私の肉体年齢は来年度で16歳らしいです。一度死んだと思ったら15歳に成長してました。
後、知らない内に体が超高度な技術で作られた機械になってました。普通の生体パーツもあるので日常生活は問題ないですけど、明らかに命を刈り取る形をしているのもあるので何のためにこんなパーツが出来たのか不思議でなりません。どういう原理が働いてこんな体になったんでしょうか。不思議ですね。
と、そんな事を考えながら答案を埋めきって筆記試験を終えました。これから実技試験の説明に行くのですが、人が多くてさっきから人酔いしちゃいそうです。更に実技試験用の手足を入れたクソデカキャリーバッグのせいでかなり移動が不便で困ります。
「あ、ダフネちゃん……?」
「あひゃい!ダ、ダフネですけど……!」
フラフラと不安げな足取りで歩いていたらいきなり後ろから声をかけられて変な声をあげてしまいました。
はて、ここに知り合いっていましたっけ?
「やっぱり……!後ろ姿が似てたから声をかけてみたんだけど、あっててよかった!一回しか会わなかったんだけど、凄く大きくなったね」
どうやら記憶の空白期間に一度会ってたみたいです。だったらちゃんと説明しないといけないですよね。
「……ごめんなさい。実は、私ここ数年の記憶が飛んじゃってて……」
ブロッコリーみたいな髪の毛をしている子がぽかんと口を開けている。変な物でも見たのでしょうか?あ、もしかしてご飯粒が私の顔についてたのかな!?(ここで記憶喪失という事自体が珍しい事に気付けない私も私ですね)
「ごめん、ダフネちゃんが言い辛い事だったかな……」
「へっ!?い、いや、そんなことは全然ないですよ?むしろ空白の期間を知っている人がいるだけで十分ですから」
「そうなんだ……。僕は緑谷 出久。よろしく、ダフネちゃん」
少しだけ緑谷さんが微妙な顔をしました。なんででしょう。
立ち止まって話した事で多少は気分がマシになったのでまた目的地に向かいます。まだ少し気持ち悪いので足が覚束ないけれど、気になるほどじゃない。
でも緑谷さんは心配してくれたのかついて来てくれました。……あ、受験生ですから目的地一緒でしたね、自惚れてましたごめんなさい。
無事会場に辿り着いて自分の席に座ると、少し時間をおいてからなんかすごく珍妙な格好した男の人が出てきました。
『今日は俺のライヴへようこそー!!エビバディセイヘイ!』
……なんだこの人。私は困惑しました。ライブじゃなくて実技試験の説明会を受けに来たんですけど。
でもその後は普通に説明していました。所々変な人感があふれる動きはしましたけど。そして受験生をリスナーと呼ばないでください。私は貴方を知らないのでリスナーになれません。
(それにしても1Pから3Pまでのポイントが与えられたロボットをタイムアタックで潰す試験、ですか。暴力は苦手なんですけど…
ていうかお姉さま絶対実技試験がどういうパターンなのかわかっててこの脚部にしましたよね。武器を持たせなかったのは、まあ使ったらチートですからしょうがないですね)
あと説明終了後の質問タイムで見た目がとても真面目なそうな眼鏡の人が質問ついでに緑谷君を注意しました。あの人何がしたいんでしょうか。人を吊るし上げるような真似は嫌いです。
それを口に出すのは怖いので何もできませんでしたが。巻き込まれたくない一心で傍観してしまったので後で謝りに行こうと思います。
まぁ、彼の質問内容はタメになったので良いですけど。要約すると0Pの妨害ロボットがいて、そいつは強いので逃げる事をお勧めする、という事らしい。
『さて、最後にリスナー諸君にわが校の「校訓」をプレゼントしよう!かの英雄ナポレオン・ボナパルトは言った!「真の英雄は人生の不幸を乗り越えて行く者」と!
そして説明会会場から出てすぐに私は人酔いしながらキャリーバッグを持って実技会場へのバスへと乗り込みました。
*****
受験会場の一つに辿り着いた。正直な所、私はこの中で一番異質な姿をしていると思う。
足元まで隠す貫頭衣に付けられた被ってないフード。ファンタジーなお話によく出て来る外套とフードが合体したアレみたいな奴です。
ちなみにこれを着た後にバスの中でパーツを変えてました。オートセパレートって便利ですね。自分から体を切り離して別パーツをくっつければいいんですから。
私はキャリーバッグをバスに置いて行き、外で集まってる人混みから少し離れたところで縮こまっています。あんな人の塊に行くの怖いです。
雄英高校の志望者多過ぎで『はい、スタート!』……えっ、いきなりですか?いきなりすぎて皆止まってますよ?
『ほらほら、どうした?敵は待ってくれないぞ!?』
本気で言ってますか、それ。
確かに犯罪者は突然現れますけど、実技試験にすらその要素を入れますか。
そんな事を思っていたら皆より一拍遅れてしまいました。流石にまずいですね。受かれってお姉さまに言われてますから、此処で失敗したらお姉さまにお尻を叩かれちゃいます。
あれ痛いから本当にやめて欲しいです。
入り口に殺到する受験生の頭上を壁キックを連発して走り抜けます。非常時じゃない時は生命活動の維持以外に使えないようにプログラムされてますから、ジアド粒子は使ってません。ホントこの身体能力どうなっているんでしょうか。
それでも時速100㎞は出せるので余裕で先頭で会場内へ入り込みました。
そのまま中心まで爆走して、ついでに見かけたロボットは全部蹴り飛ばして破壊しました。マニューバ
「でも、この試験方式やっぱり好きじゃないです……暴力は苦手ですし。
もしこれを振るう相手がロボットじゃなかったらどうなってしまうのか考えたくもないです……」
ポイントを数えてないので正確なポイントはわからないが大体30体程倒して周辺を走り回っていたのですが、残り時間が1分近くとなった所で轟音とともに大きなロボットが目の前に出現しました。
あれが説明されてた0Pロボットなのでしょう。あんな大きさだったら妨害扱いされて当然ですね。受験生は全力で逃げてますね。
私も怖いと言えば怖いですが、記憶の欠片にある恐怖の感情に比べたら大した事じゃないと思う。
そんなことを思っていたらロボットの足元に瓦礫に足を取られたのか倒れている小っちゃい茸みたいな子……長いから茸でいっか。茸がいて、ロボットがそれに狙いを定めて攻撃しようとしていたのが目に入る。
皆逃げるばかりで茸に気付けてない。
まあまあ離れていたので間に合うか心配でしたが全力で疾走した結果、あと一秒判断が遅れてたら間に合わなかったくらいのギリギリで救い出す事に成功しました。
序でに腕部を駆け上がってお返しに全力で蹴りをぶつけてからそのままを安全圏まで連れて行きます。
『終了────!!!』
安全圏に着いたところで試験の終了を告げる声が響きました。
女の子を地面に下ろしてさっさと荷物を取りに行こうと思ったら、茸が話しかけてきた。
「た、助けてくれてありがとう。足に瓦礫が当たっちゃって少し動けなかったノコ……」
「ひゃっ!?あ、ご、ごめんなさい……急に話しかけられてびっくりしちゃいました。ていうか別にそこまで思わなくてもいいですよ……むしろ普通なら抱えたまま攻撃しにいったりなんてしませんし……」
こうして心の内では問題なく喋れるんですけど、やっぱり他人と話すのは苦手です……いつかもうちょっとコミュニケーションが取れる様になりたいんですけど、生まれ付いた性格を変えるのは中々難しいですね……
「いきなり抱えあげられて巨大ロボの腕を駆け上がったのにはちょっとびっくりしたけど、助けてくれたのは事実でしょ。ちょっとジェットコースターみたいでおもしろかったし」
「ええ……」
この茸ちゃん、意外と強いですね……精神的な方向で。時速60㎞(人を抱えていたので速度は抑えておきました)は確かにジェットコースターよりちょっと遅いくらいの速度だけど……
「じゃ、じゃあ良かったです。
わ、私はダフネ・ル・フェイ。もし受かったら仲良くしていただけると助かります……私、臆病だし気弱だから人付き合いが苦手で……」
「分かった!私は小森 希乃子ノコ!あ、でも受かってもクラスが同じになるとは限らないからね?」
「ふぇっ!?あ、そ、そういえばそんな事もガイドに書いてありました……」
「意外とアホの子ノコね」
希乃子ちゃんの純粋な言葉が
その言葉で凹んでしゃがみ込んでしまった私を希乃子ちゃんが慌てて慰めてくれました。いい人です、お姉さまよりずっと優しいです。
ちなみにその後希乃子ちゃんの足(普通に立てるくらいの軽傷でした)をリカバリーガール?っておばあさんに治してもらって、帰りは希乃子ちゃんと「受かったらまた会おうね」みたいな事を話して別れました。
友達ができてうれしいです。
入試が一話で終わっちゃいました。
どれもこれもネクロニカだけでも過剰なのに追加でアヴァンドナーをクロスさせた奴が悪いんだ。
殆ど全機能を封じた状態でも全力疾走で時速100㎞出せるっておかしいでしょ。
しかも環境汚染を気にしなければ更に速くなるとか…
ちなみに今回のダフネの装備はマニューバしか出ませんでしたが、ちゃんと全身決めてました。
とはいっても全部のパーツが【Beatrice】なんですけど。
【Beatrice】は射撃型の中量パーツですが、初期で使えるパーツの中で比較的安定性に長けているパーツです(個人的意見)。名前も含めて筆者が好きなパーツの一つ。
ちなみに本来【Beatrice】の胴体パーツには「タンデム」という能力があります。
簡単に言うと人一人を上に乗せて走れる能力で、時間があれば希乃子を乗せられましたが、今回は至近距離に敵がいる状態なので時間が取れず後ろに乗せる事が出来ませんでした。
「オートセパレート」はネクロニカ登場のパーツです。
ぶった切られそうになると切断される前に切り離して、刃物が振り切られた後に元に戻す感じだと思います。
ダフネはこれを利用してパーツ換装を簡略化しました。ただし胴体だけはオートセパレートでもどうにもならないので最初っからつけてました。
ちなみに普段ダフネが行動する時は【素体】シリーズを使ってます。
普通の人間を模したパーツ、というか時速100㎞で走れたり微妙にジアドスフィアを使えたりする以外は普通にヒトの身体と遜色ないパーツです。耐久力も完全再現。
「記憶の欠片」という文言はネクロニカが元です。
今手元にルールブックが無いので詳しい事は書けませんが、簡単に言うと「記憶の中の世界」と「現状の世界」の大きな違いでドールが狂ってしまわない様に意図的に殆どの記憶を奪っています。で、大部分の記憶を失った後に残っている僅かな残滓が「記憶の欠片」(ネクロニカでは違う呼称ですけど、この小説の本文中の表現で書いてます)です。
滅茶苦茶ざっくりとした説明で、私自身あっているのか確信が持ててません。少なくとも本作ではそういう感じの物だと思ってください。
そして希乃子ちゃんと友達になりました。基本的な舞台はA組だけど、やっぱりB組のキャラも好きだから絡ませやすくしたかった(ただし物間、テメーは駄目だ)。その中から希乃子ちゃんを選んだ理由は菌繋がりだから。後はかわいいから。
でも選んだのはいいけど希乃子ちゃんの口調がいまいちつかめないノコ…
次回、ダフネ、雄英高校に入学の巻。