東方被常識 あべこべなこの世界で俺は   作:自律他律

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 現代から幻想入りした人の視点だと躊躇なく横文字やパロディを出せるのが、作者にとっての利点だと思いました 描写し易さが段違いです



夢見と流行りと仲直りと

 

 

 人間の里の住民たちは“流行”というものに敏感で、周りの人がやっているからという軽い理由ですぐにそれに同調してしまう、ある種のノリの良さを持つ傾向がある──と言えるのかもしれない。

 

 所謂、ミーハーと呼ばれるものだ。

 

 人里の裏町、薄汚れた長屋のいつもの一室にて、俺は前代未聞の数量の依頼書を一枚ずつひたすらに捌きながら、ただ何となく物思いに耽っていた。

 

 

 

 

 

 人間が充実した人生を送る為には、まず大目標を打ち立てて、それに向かって精進を重ねるのが一番の方法だと常々思っている。

 

 今の俺の大目標は言わずもがな、『外の世界への帰還』である。その為には“幻想側”に俺という存在を寄せる必要があり、それには幻想郷での暮らしに馴染むという細分化された課題を成し遂げる事が肝となる。

 

 だが、その進捗具合が目に見えないものであるという事実に、いつしか俺は少々の徒労感を覚えるようになってしまっていた。

 

 馴染ませる。常識を身につける。

 言葉では容易く表せる事なのだが、実際にその進捗はどうなのか自分に問い(ただ)しても、ピンと来ない。

 お金を貯める、体重を減らす、成績を上げる。

 例えばこれらの進捗を確かめるのであれば、帳簿を確認する、体重計に乗る、テストの点数を見るといった方法でこの目で確かめる事ができる。しかも具体的な数値まで付いてくるのだ。目安として、これ以上明確な表記は無い。

 

──具体的、そう、具体的な『自分が前進している感覚』が欲しい。

 

 抽象的なものでなく、出来れば、これは頑張ったなぁと堂々と人に自慢出来るような目に見える目標が欲しい。

 

 誰が見ても納得せざるを得なくなるような、努力の証。

 今の俺は、それを渇望している。

 

 

 

 そんな事を、雨が降りしきる人里で俺は家に篭りながら考えていた。

 雨足は強く、この天候では仕事にならないと、読書に精を出す。

 ぽちょんと滴る水滴の音。これは、外から聞こえる雨音ではなくこの長屋の一室から発せられた音だ。

 詳しく言えば、天井から落ちてくる雨水を、俺の設置した木桶が受け止めた音。

 そう、今までボロいボロいと愚痴ってきたこの物件、なんと雨漏りをするのである。……他所の家賃と比較してえらく安かったし、まあ別に意外でも何でもないか。

 

 

 

 ぺらりぺらりとページを捲っていく。内容は日本昔話、その内のいくつか有名な話をまとめた小説だ。

 

 子供の頃に良く読んでいた絵本の話を、こうして文字だけの小説という媒体で見てみるとまた違った印象を受けて、中々に面白いものだ。

 

 『金太郎』、『かぐや姫』、『一寸法師』、『因幡の白兎』、などなど。

 『迷い家』など、まんまスキマ妖怪と藍さんと橙ちゃんのいるマヨヒガと同じ名称なんだなぁ、と幻想郷ならではの面白いポイントがあって結構楽しい。

 

 マヨヒガかあ、あそこは立派な建物だった。それと比べてうちの貧相さといったら──

 

 

 

 お引っ越し、そして夢のマイホーム。

 

 突如そんなフレーズが、まるで天啓のように脳裏に浮かんできた。

 手に持った小説を一旦置いて、腕を組んで考え込んでみる。

 

 『外の世界への帰還』の達成まで、長期戦の模様を見せている。ならば具体的で目に見える目標として、一旦引っ越しをしてみるというのは、案外悪くないアイデアなのかもしれない。

 それが文句なしの上等な家へのものだとしたら、尚更だろう。

 完全に思いつきなのだが、今の俺が薄らと感じているこの停滞感の解消に、一役買ってくれる可能性は十分にある。

 

……ふむ、やってみるか。

 

 

 

 そう思い立って、俺は引っ越しの為の資金を集めるべく早急に行動を開始した。

 どこかの商店と長期契約でも結べたら良いのだが、いつ幻想郷を去るか分からぬこの身である。短期、それも数日でパパッと終わらせられる実入りと都合の良い依頼が運良くやって来ないものか。

 

 そんな思案を巡らせていたところ、数日後、飛脚さんから沢山の依頼書が届いてきたのだ。

 

 

 

 

 

 今、それを一つ一つ内容を確認しながら整理している。

 

 全ての依頼書の割り振りを終わらせて、人里に住む彼らのミーハーさに呆れる。

 大量に送られてきた仕事依頼のうちの九割が、殆ど同じものだった。

 

 『永遠亭の薬の調達をお願いします』

 

 

 

 現在、人間の里では謎の薬売りの噂で持ち切りだ。

 

 そのブームの火付け役に(図らずも)なった、運送屋兼便利屋の俺に調達役としての白羽の矢が立ったのは、当然の流れなのかもしれない。

 

 

 

 『薄紫の薬売り』

 

 その噂は巷の注目を集めているようで、永遠亭の薬を求める声が日増しに大きくなっている。

 その殆どが特に体調を崩している訳ではない者によるものだ。単に「皆が買っているから私も」というような軽い動機で動いているのだろう。

 その証拠に、具体的に何の病気に効く薬を、というような具体性のある指定をする依頼書の数は少ない。

 

 思わず苦笑する。人間という生き物が、『同調性』とか『和』とかに振り回されがちなのは、どこでも同じらしい。

 

 

 

 兎にも角にも、人間の里における永遠亭印の薬に対する需要が、現在その極限にまで膨れ上がっているのである。

 

 では供給が滞りなく行われているのか? そう聞かれたらこう答えるしかない。

 

 供給全く足りてないです、と。

 

 あの薬売りの少女は毎日人里に通っているという訳ではない。しかも、例え満を持してやって来たとしても、人一人が背負える程度の大きさの葛籠分しか量がないのである。

 

 困った。噂の永遠亭の薬が手に入らない。

 そう頭を抱えた者たちは、とある発想に至るのである。

 

『そういえば、この流行の発端になった元外来人がいたような。そして、その人物は“人里の外でも活動出来る”何でも屋だったよなあ。あれ? 彼に依頼すれば薬を持ってきてくれるんじゃね?』

 

 多分、こんな感じ。

 

 これらはあくまで俺の想像なのだが、当たらずとも遠からずだと思う。

 だって、既に何名かがここへやってきて、『ここでは例の薬を取り扱ってないんですか?』と訪ねてきているのだ。

 あの薬売りさんには、あれっきり出会っていないのだ。なのに何処かで噂に尾ひれが付いて、今や俺が薬を売っているだなんて誤解する連中が現れる始末。

 

 

 

 こんもり溜まった依頼書を見て、いい機会だと自分に言い聞かせる。

 

 折角こんな多くの依頼が舞い込んだのだ。これらを一気にモノにすれば、一度に多くの依頼達成料をせしめられる。引っ越し代を貯める一番最初の足掛かりに相応しい合計金額となるだろう。

 

 夢見るは、長閑な場所にひっそりと佇む一軒家。それを目指して、今日から邁進しようではないか。

 

 

 

 

 

 ••••••

 

 

 

 

 

 そんな感じで決意を新たにしたまでは良いものの、『永遠亭の薬の入手』を成し遂げるにあたって、大きな障壁が俺に立ち塞がっていた。

 

 即ち、永遠亭って具体的にどこに位置するの?

 という超初歩的な問題である。

 

 これが外の世界ならば、ネットで住所を調べてマップで位置を表示させる事で、何の苦労も無く解決するのだが──

 

 迷いの竹林、その奥深くに存在するという話自体は聞いていた。

 が、俺はそこまで分け入った事がない。

 

 そこの周囲は見渡す限りの竹林で、徒歩で進めば遭難する事間違い無し。そして俺は特別方向感覚に優れてなどいないのだ。

 

 かと言って、上空で行き当たりばったりに探すというのは非常に効率が悪い。では、どうすれば永遠亭へと無事辿り着く事が出来るのだろう?

 

……あまり考えないようにしていたのだが、俺は一つだけその方法に気づいている。

 

 その上で他の選択肢が本当に存在しないのかと悩んでいたのだが、やはりこれ以上あの問題を先延ばしにするのは人として駄目だろう。

 

 

 

 『今日はもう帰ってくれ』

 

 そう拒絶され、結局俺は彼女の沈黙に耐えることが出来なかった。

 

 

 

 藤原妹紅──彼女を頼る他ない。

 

 いや、もはや仕事など二の次だ。最後に良くない別れ方をして以来、一切顔を合わせていない。

 純粋に会いづらかったのだ、心情的に。未だに何故彼女を悲しませてしまったのか原因が分からないし、『また明日また明日』と謝りに行く日を先延ばしにする内に、いつの間にか今日になってしまっていた。

 仕事や外の世界への帰還に向けて色々忙しかったから仕方ない──そう言い訳できない事もないが、それを言ったら余計に彼女の怒りを買う事になりそうだ。

 

 

 

 いい加減、覚悟を決めるべきだろう。

 

 まず、妹紅のところへ謝りに行こう。永遠亭の薬の調達についてはその結果次第という事で。

 おお、そう腹を決めたらなんだか身体が震えてきた。これが武者震いというやつなのだろうか。

 

 

 

 長屋から出て迷いの竹林へと向かう。

 

──その前に飯屋に寄って、お弁当と水筒をそれぞれ二つずつ購入する。

 

 別に妹紅を食べ物で釣ろうなどと考えてはいない。どうせまた何も食わずに日々を過ごしているのだろうという、彼女への厚い信頼の賜物なのだ、これは。

 

 決して、『これが仲直りするのに役立つといいなあ』という下心を持っている訳ではない。

 俺の言葉と態度だけで、万事上手く事を運ばせる自信がないという訳でもない。

 

 ホントダヨ?

 

 

 

 

 

 ••••••

 

 

 

 

 

 迷いの竹林の入り口辺り、妹紅の住む廃屋を目の前にして俺は深呼吸をする。

 いざ参る、という時分になって急に怖気付いてしまうのはあるあるだと思いたい。なんかもう弱気になっているのが自分で分かる、もう帰りたい。

 

 うんうん唸って考え事をする。

 

 大丈夫、彼女はきっと許してくれるさ。あれからそこそこ時間が経っている。……いや、もしかしたら期間が空いたからこそ逆に許されないパターンもあり得るのか、これは? 謝罪はもう遅い、的な感じで。

 

 もしそうなのであれば、やっぱり追い出された時の次の日でも捨て身で突撃するべきだったかも。ああでも、ある程度時間を置かないと妹紅も気持ちの整理が出来ないかもしれないし。

 

 そうだ、そもそも俺と妹紅が知り合うきっかけになったのは、慧音さんが紹介したからじゃなかったか? ならば、慧音さんに俺と妹紅の仲を取り持ってもらうという選択肢もあったんじゃ──

 

 

 

「おい、そんなところで何突っ立ってるんだよ」

 

「いやあ、どうすれば許してもらえるかなーって、うおっと!」

 

 振り向くと、そこには彼女の姿があった。

 

 

 

 俺はかなり慌ててしまった。

 

 妹紅の家に俺から乗り込む、といういつもの流れではなかったからでもあるし、前別れた時の事を聞くかひとまず土下座するかで咄嗟の判断が出来なかったというのもある。

 若干パニックになりながらも少女の服装を見て、まずこんな言葉が出ていた。

 

「……なんかいつもより服がボロくなってない? 特に肩と袖の部分とか。大丈夫か?」

 

 赤いもんぺは所々がほつれていて、肩口がビリビリと破けている。袖の所なんか手首の部分しか覆えていない。何故だか紅白巫女の独立した袖を想起した。というかまんまそれな感じがする。

 

「ん? あー、ちょっとそこらで殺──んん、喧嘩してな。その所為じゃないか?」

 

「妹紅が喧嘩? へえ、なんか意外だな」

 

 主に相手が務まる奴が存在するのか、という意味で。

 そこいらの野良妖怪じゃ即刻蒸発するだろう。

 

 なんて考えていると、妹紅は目敏く俺の手にぶら下げている包みを発見した。

 

「お、いつも悪いな。腹が空いていたから丁度良い」

 

 すれ違いざまにスッと弁当と水筒の入った風呂敷を俺の手から回収し、廃屋の中へ彼女は入っていった。

 

「ちょ、待てよ」

 

 あまりにも自然な動きに翻弄されたが、最終兵器が奪われては堪らない。アレで許しを乞う算段だったのだ。

 俺も慌てて彼女の後をついて行く。

 

 

 

 

 

 沈黙。

 半壊した小屋の中で、もぐもぐと二人して弁当を消費していく。

 

 ここを満たすのは沈黙、ただそれだけである。

 いつもは俺から話しかけて場を盛り上げるのであるが、妹紅が前に別れた時の事をどう思っているのか不明である以上、なんの話題を出すべきか全然分からない。

 

 何もなかったかのように、いつもの感じで話す? それとも、謝罪してから妹紅の反応を窺うべき?

 

 分からん、分からんぞ。

 

 もう弁当箱の底が見えてきている。お詫びの印として最上級のものを買ったのであるが、味を楽しむ余裕がない。

 

 どうして妹紅は黙ったままなの? やっぱり怒ってるの? やっぱおこなの?

 

 ぐにゃあと視界が揺れているような気がする。

 ほんとに弁当の中身がなくなってきたぞ、これ以上は間が持たん。どうする、どうする──

 

 

 

「なあ」

 

 

 

 ビクリと身体が反応してしまった。

 

「な、なんでしょう?」

 

 なんか敬語になってしまった。

 

「なんで今日はだんまりなんだ? その、割と楽しみにしてたんだけど、あんたの話」

 

 眼前の少女を恐る恐る観察しても、怒っている様子はなく、純粋に疑問に思っている様子だった。心なしか、不満げな感じも。

 

「ええっと、怒ってないの?」

 

「怒る? 私が? なんで?」

 

「いやなんでって……前回の別れ際、ちょっと変な空気になったろ?」

 

 ピシャリと抵抗虚しく拒絶された記憶があるのだが、妹紅はあの時の事を忘れてしまっているのだろうか。

 そう思って聞いてみると、忘れたのではないらしい。

 

 申し訳なさそうな顔で、逆にこちらに対して謝ってきた。

 

「あの時は……うん。どちらかと言えば私の方に落ち度があったからな。急に追い出して悪かったと思ってるよ。──なんだよ、その顔は」

 

 そこに、怒りや哀しみといった色はない。

 深刻に苦悩してたのは俺だけ? ……それはそれは、何というか。

 

「滅茶苦茶落ち着いたわーって時の顔だよ。ほっとすると人はこんな感じの表情になるもんなの」

 

 ふうん、と納得したのだかイマイチ伝わってこない反応をする妹紅を見て、心の中で胸を撫で下ろす。

 

 ああ、良かったー。妹紅、別にもう気にしてなかったー。さっきまで結構ウジウジと悩んでたけど取り越し苦労だったー。

 なんだか、喉の奥に引っかかっていた魚の骨をやっとこさ取り外せたような、そんな爽やかな気分。

 

 

 

 

 

 ひとまず、これで一安心。

 

 いやー本当に良かった、と水筒で喉を潤す。話しかけられた瞬間に喉がカラカラになっていた。緊張し過ぎである。

 

 こう安心していると、あの時どうして妹紅の機嫌が一変したのかその原因を俄然知りたくなってくる。

 

 が、それで再び気分を害されたら困るし、触らぬ神に祟りなしって言うくらいだし、ここはぐっと好奇心を抑えて我慢するのが無難か。

 俺が何か、致命的なやらかしをしたのではないという事が分かっただけでも十分な収穫だ。

 

 妹紅は自分に落ち度があると言っていたが、これまでの付き合いからして俺に気を遣って嘘をついているのではないだろう。

 

 彼女は言葉を着飾らない、その率直な在り方に対して俺は好感を持っているのだから。

 

 

 

 

 

 

「妹紅、折り入ってお願いがある」

 

 すっかりいつもの調子に戻ったが、親しき者にも礼儀ありである。頼み事をする時なんかは特に。

 彼女との仲直りはクリアした。そもそも妹紅の性格的に、後になってまでねちっこく責めるという事自体があり得ない話だったのだ。

 

 となれば、ここからはお仕事の時間だ。夢の一軒家の為にあくせく働く事になるであろう俺にとって、これは大事な第一歩。是非ともモノにしたい案件だ。

 

 そもそも、妹紅が永遠亭の場所を知っていると判断したのは、初めて俺と彼女が出会った時の博麗神社までの道中で話していた事を思い出して推理したからだ。

 

 流石に会話の細部までは覚えていないが、彼女は『迷いの竹林の奥深くに化け物がいる』とかなんとか言っていた。

 そしてつい最近、俺がハイテンションで演説をぶち上げた食事処の親父さんが、『永遠亭は迷いの竹林の奥深くにある』と言っていた。そして『化け物が潜んでいる』とも。

 『化け物はこちらから接触しない限り無害だ』と妹紅は言っていた覚えがある。

 まるで自分から接触した事があるかのような言い回しだった。

 

 “化け物”は永遠亭に居て、妹紅はソレと出会っている。

 

 以上の事から、俺は妹紅が永遠亭の場所を知っているのだと推測していた。

 

 

 

 

 

「俺を永遠亭にまで案内してほしい」

 

 そう頼んでみると、彼女はあからさまに怪訝な顔をした。唐突に俺がそこに行きたいと言い出して疑問に思っているのだろう。

 

……ちょっと説明を端折り過ぎたかもしれない。

 

 それを見て、慌てて何故俺がそこに行きたいと思っているのかを説明する。

 人里で永遠亭の薬が流行っている事。その供給が足りてなくて『薬の調達よろしく』と俺に依頼がいっぱい来た事。

 

 要点をまとめて伝えると、妹紅は硬い表情をしつつも納得してくれたようだ。

 

「薄紫の薬売り──多分、鈴仙ちゃんの事だな」

 

「その薬売りさんに会って、薬を融通してくれないか頼んでみるだけだよ。妹紅の言ってた化け物とやらを探すつもりなんてないし、用事を済ませたらすぐに帰るつもりなんだけど……駄目か?」

 

 聞くと、うーん、と悩んでいる様子。

 が、暫くすると「あいつと会わなければ大丈夫か」と小さく呟き、妹紅は俺の頼みを引き受けてくれた。

 

「ただし、私はあんたを永遠亭に案内したらすぐに帰る。悪いけど帰りは方角を覚えて飛んで帰ってくれ」

 

「子どものお使いじゃないんだ、帰りくらいは自力で出来るから平気だよ」

 

「それと、一応忠告しておく。──鈴仙ちゃんと会って用事を済ませたら、寄り道せずさっさと屋敷から去れ。死にたくなければな」

 

「お、おう? わかった、そうする」

 

 永遠亭に居るという化け物を警戒しての事なのか、妹紅の迫力はかなりのものだった。

 彼女の実力をして、そこまで言わしめる化け物。

 俺なんかが相対した日には木っ端の如く吹き飛ばされるに違いない。

 だが、そいつは滅多に永遠亭から出る事はなく、玄関口辺りで薬売りと出会えたらまず接触せずに済むらしいから、まあ大丈夫でしょ。

 

 

 

 廃屋から出ると、妹紅は宙に浮き上がった。

 どうやら飛んで向かうらしい。ぶっちゃけ歩きより楽なので助かる。霊力のガス欠より、体力を切らす方が個人的には辛いのだ。

 

「ついてこい、はぐれるなよ?」

 

──何そのカッコいい台詞。男の俺より格好いいとかちょっと反則じゃない?

 

「だから、子供扱いすんなっての」

 

 なんて事を言い返しつつ、超低空飛行にて彼女を追う。

 鬱蒼と生い茂っている竹が邪魔してスピード自体はそこそこなのだが、それでも徒歩で行くよりも断然速い。

 

 何回か、緑の竹と薄茶の地表に混じって真っ白な小さな塊が視界に入った。

 アレは何なのか質問したかったのだが、正直その余裕がない。妹紅の描く軌道に沿うだけで精一杯だ。

 

 最近、飛び方が結構上手くなってきたとひっそり自負していたのが、まだまだ未熟という事だろうか。

 

 

 

 そう苦戦する事暫く。

 

 

 

……まだ永遠亭に到着しないの? 今にも竹に突っ込みそうで精神的につらいんだけど。

 なんてヒヤヒヤしつつ、俺は彼女の後を追いながら竹林の中を飛んでいくのであった。

 




 
 今読み返すと、オリ主はもこたんを始めお世話になった方たちに別れの挨拶すらせずに外の世界に帰ろうとしてるんですよね ちょっと礼を欠き過ぎているなコイツと思いました そんな裏話
 


 この作品と全く関係ない話になりますが、私が東方projectを知るきっかけとなった、某二次創作系格闘ゲームの一方的な試合展開が基本となる大会の本家様が新しく大会を開催していて、歓喜したことをここに報告致します いや本当に後書きで書くような話題ではないのですが、それだけ作者にとっての生きる“希望”となり得るくらい大好きな動画シリーズなのです 心当たりがある人は、この私情挟みまくりのこの後書きを見てニヤリとしてほしいですね
 狂った試合を童心に帰りながら一緒に楽しみましょう



 そして、東方虹龍洞 発売おめでとうございます

 遊べる環境がある人はすぐに買いましょう こんな作品読んでる場合ちゃうでホンマに
 STG苦手、やった事ないって人も安心してプレイ出来ると思います 作者も難易度ノーマルをノーコンテニューでクリア出来ないへっぽこシューターなのですから
 下手っぴでも充分ゲームを楽しめるのだと、ともに胸を張ろうではありませんか
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