東方被常識 あべこべなこの世界で俺は   作:自律他律

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Charisma is Unbreakable

 

 

 ここは紅魔館、その地下室。

 

 部屋の主、フランドール・スカーレットは棺桶が置かれたベッドの端で横になって、両腕で頬杖を突きながらこちらをじっくり凝視している。

 口角を緩く持ち上げていたり、子供がするように脚をパタパタと動かしたり、なんだかとても楽しそうである。

 しかしながら、感情の読めないその瞳がどうして()()に楽しみを見出しているのかは謎であった。

 

 俺の手にはナイフとフォーク。そして目線を下に落とすと、そこには既に半分程消費された極上のステーキと、色彩豊かな付け合わせの野菜達が熱の残る鉄製プレートに乗っていた。

 

 久しぶりに外の世界で慣れ親しんだ、いやそれ以上に美味な料理に舌鼓を打てて、俺個人としては非常に満足である。

 

──男一人がただ孤独に食事(グルメ)するだけという光景に、吸血鬼の少女は何を感じているのだろう。食べてる本人には測り得ないエンターテイメント性が、そこには含まれているのだろうか?

 

 何故か微妙な心境になりつつ、引き続き提供されたステーキ肉と野菜をもりもり口に運んで咀嚼する。貧血になったのなら、その分だけ肉を食べればいいじゃない──そう言いたげに現れたこの品はまさにその狙いを(あやま)たず、すっかり俺の体調を正常なものに戻してくれていた。

 

 視線をプレートから、こっそりと部屋の隅に向ける。

 

 この絶品な料理を載せてパッとこの地下室に現れたメイド服の少女──フランドールから“サクヤ”と呼ばれていた──は、こちらの視線に気付いたかと思うと俺のつくテーブルに瞬間移動した。そのまま手に持っていたガラスの水差しを手前のグラスに注いだかと思うと、次の瞬間にはまた元の定位置に控えている。

 

「あ、ありがとうございます…?」

 

 別にサービスを所望したつもりはなかったので、そんな困惑した声音が出てしまった。無表情な顔をしたメイドさんは、それを受けて恭しそうに頭を下げる。

 

……今日の昼頃、ウキウキ気分でナイフを突き立て脅迫してきた彼女と同一人物だとはとても思えない。双子かそっくりさんが存在している可能性あり? いやいやクローン人間という可能性も…?

 

 なんてふざけた事を半ば本気で考えながら、無言でステーキと野菜を頬張る。ヤクザなメイド少女と狂人な吸血鬼少女、両者に観察されながらするこの食事は、なんとも心の落ち着かないひと時であった。

 

 

 

 

 

 ことの始まりはフランドールに断りを入れて、ベッドの傍にもたれ掛かり貧血状態を落ち着かせようとして暫く経った時のこと。

 

 中々回復しない俺に呆れてか、少女は部屋から出てどこかへと向かっていった。そして少し間が空いて戻って来たかと思うと、その後ろにメイド姿の彼女を連れていた訳だ。

 

 人間の里、紅魔館正門、地下室と、本日三度目の再会。

 

 ぐったりと項垂れる俺を見て何を思ったのかは知らないが、フランドールがあれこれこっそりと耳打ちすると彼女は慇懃に礼をして、テレポートしていった。

 そうして間を置かず再び彼女が現れたかと思うと、洒落たカートに載せられたこの食事が配膳されてきたという次第である。

 

 

 

 

 

 

「……ご馳走様でした」

 

 両の手を合わせてそう言うと、眼下の空になったプレートとグラスは消失して、メイドさんの姿もなくなった。……こう何度もまざまざと“能力”を見せつけられると、いい加減驚く気力も無くなってしまうというものだ。

 

「アナタ、私の能力は効かないのに咲夜の能力は効くってどういうこと? ちょっと生意気じゃない?」

 

「生意気って、そんなの俺に言われてもなあ……」

 

 半眼で睨め付けてくる吸血鬼には、わざとらしく肩を竦ませて遺憾の意を表明する。俺の能力が適応される範囲は自分でもよく分かっていないのだから、そう迫られても返すべき言葉が見つからないのだ。

 

 『常識に囚われる程度の能力』

 

 この常時発動型──その言葉の響きは細やかに中二心をくすぐる──の効果は、あの胡散臭いスキマ妖怪曰く、『自分の常識にない事象を拒絶する』といったものである。

 

 フランドールの持つ『ありとあらゆるものを破壊する程度の能力』が俺に対して効力を発揮しなかったのはその為だ。『万物には“目”という弱点が存在しており、そこを潰されたらそれがどれ程頑丈な物であっても問答無用で破壊される』──という説明を受けた今でも、その能力の概要が頭に全然しっくりと来ない。

 硬度が非常に高いダイヤモンドなんかは意外にもハンマーで容易く粉砕できるとかいう有名な雑学に近いものを感じるが、別に俺はダイヤモンドではなく人間なわけだしな。

……いや巨大なハンマーで殴られたらそれはもう痛いのだろうが、どう考えても流石に一振りで粉砕するまではいかない、普通に考えて。

 

 その辺が、俺の持てる想像力の限界なのかもしれない。

 

 対してサクヤと呼ばれていたメイドさんの能力は、フランドール曰く『時間を操る程度の能力』である。時間を止めたり早めたり、果ては空間を拡張したりと、聞く限りだと割と何でもありな能力だ。

 さっき瞬間移動したように見えたのも、やたらとステーキが出されるのが早かったのも、その時間を操るとかいう便利な能力の所為だった。恐らく彼女は時の止まった世界の中で、ただ一人自由に動いているのだろう。

 

 『時を止めるとかなにそれ超カッコいい』──なんて戯言(中二心)は抜きにして、何故彼女の“非常識”的な力が自分に及んでしまうのかを真剣に考える。

 

 流石に『時間が止まる』という現象に対して、『え? そんなん当たり前っしょ』などと抜かすことはできない。いくら心霊・怪奇現象に慣れ親しんだ俺と言えども、時止めという超常現象には流石に理解が及んでいないのだ。

 無理に理屈をつけるとすれば、魔力か何かで身体を極限まで加速させることで擬似的な時止めを体験するという手法は思いついた。しかしそれは現実的にあり得るのだろうか?

 いや、何事にも限度というものがあるし、そもそもその理屈では空間云々についての説明がつかない。……これまた、俺の想像力の限界である。

 

──まあ、それが出来そうな人物(住職)に全く心当たりがない訳ではないけれども。

 

 兎も角、そんな“時間を操る”という『自分の常識にない事象』であるというのに、俺の程度の能力は彼女の力を無効化できていない。それが何故なのかがさっぱり訳が分からない。完全にお手上げだった。

 

 

 

 未だに連絡の取れない八雲紫が、この能力に関して出鱈目を言っていたという可能性は勿論考慮した。だが、過去の出来事を色々と思い返してみても、彼女の言ったことを否定できるような判断材料は皆無だった。逆に中学時代での集団記憶喪失事件など、アイツの発言を保証するような事ばかりを思い出すまであったのだ。

 

 『常識に囚われる程度の能力』、その能力の些細を明らかにする必要性は、正直言って無さそうかなぁと感じている。少なくとも必須ではないだろう。ただ、“折角”自分に根ざした異能であるからして──それについて詳しく知りたいと思うのは、決して不自然なことではないのだと思う。

 

 遅咲きの中二病……という頭に浮かんで来たワードは、見なかったことにする。『時間を操る』とか、『ありとあらゆるものを破壊する』とか、そういったものに、男の子として少々の浪漫を感じただけなのだ。遊び心を持つ余裕がある、うん、いい事じゃあないか。

 虚空に向かって、そう言い訳をする。

 

 

 

 

 

 

「むう、不可解ね」

 

 “メイドさんの能力は対処できないが、フランドールの能力は難なく対処できる”──俺の能力はそう雄弁に物語っているのも同然だ。

 そのせいで、従者よりも力に劣っている──とでも思ったのか『本当に気に食わない』というような表情を浮かべて、フランドールはふんすと鼻を鳴らす。

 

 幼い外見と妙にマッチしたその様子に苦笑しながら、メイドさんが居ないこの間に……と俺は吸血鬼の少女が寛いでいるベッドへと近付く。

 

「あー、フランドール? 良ければなんだが、さっき話したこと、聞かなかった事にしてくれないか?」

 

「さっき話したことって?」

 

 突然頼みごとをされて疑問符を頭上に浮かべた少女に、なんと言って説得しようかと少しだけ言い淀む。だが誤魔化したってしょうがない。頭を掻いて、素直にこちらの要求を提示する。

 

「何って、その、……俺の能力のこととか、君の容姿を“綺麗だ”って言っちゃったこととか」

 

「……え〜、あれって嘘だったの?」

 

 何故か大層不満げな顔を見せた彼女に狼狽えつつ、慌てて発言の補足をする。百歩譲って『程度の能力』がバレるんならまだしも、俺にとって“美醜感覚の逆転”が明かされることは非常にまずい事態なのだ。人間の里で暮らしていく前提条件──“隣人に受け入れてもらう”が、あべこべの所為でなされなくなってしまう。それはもはや致命的、と表現しても良い。

 

「いやいやいや、綺麗と思っているのは本当だ。今でもそう感じている。ただ万が一俺の歪んだ感覚が皆に広まりでもしたら──」

 

「広まったら?」

 

「広まったら……」

 

 カチリ、と動かしていた口が固まる。次に続けようとしていたその言葉に、俺はのっぴきならない違和感を覚えたからである。

 

 あれ、どうなるんだったっけ?

 

 無論、決まっている。俺という異物は、きっとその居心地良い人の輪から、異端者として排斥されるに決まっているのだ。

 物心ついて周囲との埋め難い差異に気がついたその瞬間から、ずっとずっと恐怖していた事態──“一生孤独に苛まれ続ける”という事態に陥る事になるのだと、俺は生まれた瞬間からそう宿命付けられていて──

 

 

 

………本当に?

 

 

 

 フランドールの疑問の瞳に、吸い寄せられる。

 その頭の中では、ずっと『そうなるに決まっている』と断定していた考えに、一つの亀裂が生じているのを感じ取っていた。一体いつの間にそうなっていたのか、自身の“根幹”が揺るがされていたと今更知って、動揺を隠せない。

 自分のこの美醜感覚のズレは、みんなとのどうしようもない“乖離”を意味しているのだと、幼い頃から長年信じ続けていた。

 

 しかし。しかし、である。

 

 道行けば気さくに声をかけてくれる人間の里のみんなは、ひょんな事がきっかけで知り合えたあの少女達は、この本性を認知してちゃんと嫌ってくれるのだろうか? 『アイツは頭がおかしい』のだと、『コイツは平凡ななりしてその正体は狂人なのだ』と、きちんと侮蔑の眼差しを向けてくれるのだろうか?

 

 いや、きっと彼ら彼女らは──

 

 

 

 

 

 

「藤宮様、お嬢様がお待ちです」

 

 何も言えずに固まっていると、メイドさんが地下室の扉の前に現れた。……どうやら時間切れのようである。

 

 まずい。吸血鬼の少女を口止めするのに十分な説得を、全く行えていない。

 

 長年一人きりで抱え込んできたものが大衆に暴露されてしまう──そんな光景が脳裏に浮かんできて、俺はどうしようもなく怯んでしまう。

 頭に浮かんで来たその()()は心の拠り所とするには心許なく、幼少の頃から深く根差してきたこの小心な思考からは、中々逃れることができない。

 焦燥感に駆られて、フランドールに縋るような目を向けてしまう。

 すると、これ見よがしにため息をつかれた。

 

 その内心はきっと、『()()()()()()()に何うじうじしているんだか』──といったものだったのだろう。

 

「……一応()()については黙っててあげるから、今は大人しく咲夜の後について行きなさい」

 

「! ありがとう、恩に着る」

 

 その言葉は、あまりにも俺に優しく寄り添っていて。

 目の前の狂気の吸血鬼が、その時だけは天使に見えた。

 

 そして苦笑する。……少し前まではその少女に殺される覚悟を決めていたというのに、今では逆に感謝の言葉を送っている。

 なんて温度差の激しい関係性の移ろい方なのだろう。

 

 その奇妙な事実に心底愉快な気分を味わいながら、銀髪のメイド少女へと歩み寄る。無論、秘密を口外しないと約束してくれたフランドールには頭が上がらない。

 なので扉を潜る前に振り返って、フランドールに黙礼を捧げる。

 

 

 

 

 

「──シント」

 

 声をかけられたので頭を上げて見てみる。

 

「もしみんなに()()がバレて困っちゃったら、特別にこの部屋に匿ってあげてもいいよ? 新鮮な血を毎日飲めるのは、私としてもとっても嬉しい事だから」

 

 

 

 

 

 フランドール・スカーレットはそんな事を提案し、無垢な子供のように微笑む。しかし少女の口から覗く牙は如何にも吸血鬼らしく、それはキラリと妖しく光って見えた。

 

 

 

 

 

 ••••••

 

 

 

 

 

 重厚そうな大扉を目前にして、緊張に張り詰めていた身体を深呼吸にて鎮める。

 

……ある意味、ここが真の正念場といっても良いだろう。紅魔館の主との対面、そのやり直しが始まろうとしているのだから。

 

 先程拾い直したばかりのこの命、しかと掴んで二度と放さぬよう心掛けねば。

 

 銀髪のメイドさんはこちらに背を向けながらにして、俺の心の準備が整ったと把握したらしい。最後に深い息を吐いて、武者震いに揺れる身体に喝を入れた瞬間に、その扉の片側がゆっくりと少女の手によって開かれた。

 

 

 

 階を跨いで案内されたそこは、絢爛(けんらん)な装飾が施された応接室だった。壁には暗い配色の絵画が掛けられていて、キャビネットに置かれた高級そうな花瓶には一本紅色の花が差されている。中央にはテーブルを挟んで対面に向かい合った二つのソファが置いてあり、俺は無言で促されるままに手前のそれに座る。

 

 上座に目をやれば、紅魔館入り口で遭遇した、紅く幼い風貌の吸血鬼の姿がある。いつの間にやら、メイドさんはひっそりと彼女の後ろに控えていた。

 

 紅魔館の主──レミリア・スカーレットは、俺が部屋に入って向かい側に座るその時までずっと目を瞑っていた。その双眼が見開かれることになったのは、まさしく俺がその瞼に覆われた両の目を直視した時である。

 

 そこには、フランドールと同じ真紅の瞳があった。

 不機嫌そうな鋭い眼光と、息が詰まるような威圧が、こちらに襲い来る。

 

……俺は一度、彼女相手に恐怖を覚えて逃げ出した。

 

 正直言って、今でもその胃が竦み上がるような感覚に変化はない。彼女は紛れもなく強大な大妖怪で、俺はちっぽけで無力な人間だった。

 だがしかし、少なくない畏怖を抱きながらもここに不思議な心境の変化が起きていた。現在俺は、おっかなくてしょうがない筈の吸血鬼相手に、怯むことなく真っ直ぐ見つめ返すことができているのだ。

 

 これは危機感知の本能が鈍ってしまった所為なのか、それとも曲がりなりにもあの死線(フランドール)を乗り越えた報酬なのか。

 

 兎も角これで、睨まれても酷く恐怖して再び逃げ出さないのだと、相手方に示すことができた。

 それを確認してか、威厳とあどけなさが同居する吸血鬼の顔に、ちょっとだけ安堵の色が浮かんだのが窺えた。

 もしかすると、目の前の少女はまたそうなる(ガン逃げされる)可能性をそこそこに懸念していたのかもしれない。

 

 

 

「妹が世話になったようだな。一応、礼を言っておこう」

 

「え? あ、ハイ。それはどうも」

 

 「本題に移る前に」と前置きしてかけられた最初の言葉は、そんな感謝の言葉であった。

 その場に居なかったのにどうしてそれを知っているのだろう、と疑問に思いかけた。だがそれは瞬時に氷解する。時を操るというメイド少女、きっと彼女がステーキプレートを下げるついでに報告もしていたのだろう。

 第一声が感謝であったことに驚いてつい生返事をしてしまったが、幸いにも咎められなかった。……次はちゃんと失礼のない受け答えをしなければ──と気を引き締めながら、一語一句聞き逃さないように耳を澄ませる。

 

「で? 結局の所、お前は私の話をどこまで聞いていたのだ? お前が今この事態をどれほど把握しているのか、取り敢えず知っておきたい」

 

 皮肉げに放たれたその問いかけを受けて、少しだけ考え込む。今問いかけていることは即ち、紅魔館のエントランスにおいて、俺がいつ彼女の前から逃げ出したのか? そのタイミングだった。

 

 えーと、初めてレミリア・スカーレットと相対した瞬間にはその存在感で既にびびってたから……確か途中で途切れ途切れに耳に情報が入ってきたりもしてたかもだが、その間も逃走ルートを考えるのに手一杯だったような覚えがある。

 メイド服の妖精と短くない逃走劇を繰り広げ、果てはフランドールと出会って死を覚悟して……ううむ、こうもインパクトの強い出来事を連続で挟むと、その前の記憶がどうもあやふやになってしまう。

 

 覚えている事と言ったら、『あの時やたら尊大そうに胸を張っていたなあ』という点くらいなものである。こんな見事な洋館の主なのだし、偉そうなのは当然なのだが。

 

「生憎、語りかけてやっている最中に逃げ出されるのは予期してなかったからな。さあ、白状してみろ。あんなに時間をかけて悩ん──んん! ……とにかく、我が口上を、お前はどこまで聞いていた!?」

 

 考え込む俺に痺れを切らしたのか、なんだか悲痛そうな声をあげて返事を催促してくる館の主。

 『ん? 時間をかけて悩んで?』とその発言に引っかかりを感じつつ、急いで思考をまとめ上げる。

 結局、フランドールとの問答が頭にこびりついて、それ以外がどうにも記憶に薄い。なんだったら紅魔館内部に足を運ぶ前の、あのチャイナドレス風の服を着たお昼寝少女によって、見事に組み伏せられたことの方が鮮烈に印象に残っているというか──

 

……うん、『私の話をどこまで聞いていた?』という質問には、やはりこう答える他ない。

 

「殆ど聞いていませんでした。あっそれと本音を言えば、自分が何故この館に招待されたのかもよく分かってませんので出来ればその事について教えてもらえないかなぁって」

 

 単に『話はあまり聞いてなかった』と答えればいいのに、なんかつい余計なことを付け足してしまっていた。

 なんだか『自分に過失は一切ない』と言わんばかりにあっけらかんとした口調が出てしまったこともあり、一瞬冷や汗が出てくる。

 

 そして己を叱責する。

 ここはどう考えても平謝りして、先方のご機嫌を伺う場面だっただろ!

 吸血鬼相手に、なに怒りを煽ってんだ俺。

 

 恐る恐る、レミリア・スカーレットの様子を盗み見る。

 

 しかし目の前の少女は特に怒ることもなく、意外にも深刻なショックを受けたような表情を見せた。

 ガーン、という効果音が鳴った気がする。

 それを視界に収めて、『まるで無理に格好付けたのが無視されて不発に終わった時ような反応だあ』──という何の脈絡も無いがやけに具体的な予想が唐突に頭に浮かんできた。

 

 いや、本当に脈絡が無いな。

 ただ何となく直感的にそう感じただけなのだが……

 いやあ、まさかねえ。

 

「ぐ………ふん、まあ良い、また説明してやろう。次はないと思うんだな」

 

 目元にキラリと光る何かを湛えながら、吸血鬼の少女はそう尊大に言い放つ。

 

 あ、態々再度説明してくれるのか……

 

 元々は俺が逃走しなきゃ済んだ話なので、有り難さを感じつつもなんだか非常に申し訳ない気持ちになってしまう。

 

 人里で『紅い悪魔(スカーレットデビル)』と恐れられている割には、なんだか親切なような気がしてきた。……いや、いかんいかん。相手は泣く子も黙る大妖怪である。手間をかけて再度事情を話してくれるのは、きっと絶対強者としての余裕の表れなのだろう。

 そう解釈して、真剣な眼差しを向けて彼女の語る“ことの真相”というものに聴覚を全集中させ、理解に努める。

 

 

 

 結論。

……ざっくりと要約してしまえば、それは『私に仕えてみないか?』という意外な勧誘であった。

 




 
 おぜうに! カリスマは! おとずれなぁい!
 古事記にもそう書かれている

 前回と今回の前半の内容が真面目なばかりに、その皺寄せが彼女に… しかしシリアスな感じになったのはほぼほぼ妹様の仕業と言ってもいいですからね 妹の不始末は姉が支払う、なんて美しい姉妹愛なのでしょう(すっとぼけ)


 とまあ本編でも後書きでもこうして散々言ってますが、誤解なきようお願いします 好きな女の子にイタズラしちゃう男の子みたいなノリです、多分 おぜう様が何をしても輝く存在なのが悪い

 カリスマブレイク なんて良く言われていますがそもそもの話、”何も持たなければ失うものもない理論”で逆説的に”レミリアにカリスマ有り”と証明してるようなもんですからね、この言葉は
 もはや“カリスマが服を着て歩いている”とさえ言えるかもしれません …言い過ぎかもしれません うん、そこら辺の解釈も人それぞれだね…

 ぶっちゃけ今回のサブタイトルも、別にレミリアのこととは書いてないし言ってないし…
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