東方不動語 〜岸辺露伴の幻想入り〜   作:佐々木邦泰 

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ここんとこの前書きにあらすじ載せてほしいよって人います?
自分としてはどっちでもいいんだけど。


幻想郷の奇妙な事件簿 第十四話

翌日、露伴は徳田味噌へと来ていた。

(あのジジイは芸術家として尊敬に値するッ! 僕ほどじゃあないが素晴らしい!)

「どうだった? やっぱり美味しかったでしょ。そりゃそうだ。この特殊な作り方で作ると美味しいんだ」

「...その作り方、見せてもらってもいいか?」

「ちょっと無理かな。なんでって少しばかり危険なものでね」

味噌作りが危険ンンンン? そうは思えない。

「何か特注の機械を使うとか?」

「無理は無理なんだなぁ。いくら君が里一の漫画家でもねぇ」

そうも言われれば仕方ない。企業秘密なのだろう。小さい集落である人里とはいえ、味噌屋はいくつかある。露伴を触媒に他店に味噌の情報がバレるのは好ましくないのだろう。

「そうかい...残念だ...」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

露伴は帰宅中に慧音と出会った。

「どうだった? あそこの味噌はうまいだろう」

「ああ芸術だ。はっきり言える。うまい」

「そうだろう。そうだろう。幻想郷の生活も悪くないだろう? 外の世界は...はいきがす? だかで空が白っぽく見えるらしいじゃないか。ここは空が青い。人も優しいものばかりだ」

「...忠告しといてやる。これから僕は岸辺露伴としてではなく能力者として言うぞ。その優しさ、甘さが伴実さんを殺したんじゃあないか? 別の選択をした結末はどうなったかわからないし知りたくないが...。君は優しすぎる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「優しすぎる...か。ハハハ。なにを言っているんだ私は。十分人里の守護者として働いているじゃないか」

露伴と別れ、帰宅した慧音は露伴との会話を思い出していた。時刻は午後十時をとっくにまわり、腹も鳴っている。

 

「優しすぎる」

 

これほど慧音を傷つける言葉はあるだろうか。人里のために時に危険を犯し、みんなを守って来た。

「...伴実ちゃん...どうするのが正解だったんだ...?」

自問しつつ、軽い食事をと思い、小さな鍋を取り出し昨日の残りの炊き込みご飯を具なしの味噌汁へ突っ込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

またまた翌日。

「なあなあなあなあジジイ。本当にダメェ?」

「あのねぇ...」

露伴はしつこいのだ。

「ダメはダメなの。Do you understand? Can you speak English?」

ネイティブ顔負けの発音で露伴に英語で話す店主。

「じゃあ見なくていい。どう作るか口頭で伝えてくれよ。それならいいだろ?」

「でも断る」

「そこまで自分のとこの味噌の情報の流出が怖いのか? 頼むよ。この僕がここまでやってるんだぜ?」

「なにもされた覚えはないんだけどなぁ...」

何度でも言おう。露伴はしつこいのだ。

「どうしても知りたいんだ。なあ頼むよ、僕はアンタの味噌を芸術品だと思ってるんだ。この手段は使いたくないんだ」

「...なにするつもり?」

「...敬意を払え。か...。まあ...もういいか。天国の扉(ヘブンズドアー)

「ダメなんだな」

一言そう老人が言うとちょうど天国の扉(ヘブンズドアー)の射程距離外に移動した。

「このくらいで射程距離外だね。そっかぁ...君が...」

どこか悲しげな顔をして老人は

「いいよ。見せてあげる。味噌作りの作業現場」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なにやってんだけーねのやつ。10時にここで待ち合わせって言ったのに」

約束を破られてかれこれ30分も待っている妹紅は底知れない気味の悪さを感じていた。

真面目な慧音がこんなに遅れるなんて。

妹紅の足は慧音の家へ向かっていた。

「けーね? どうしたんだ? なにやってんだ!?

上白沢慧音の家の扉は開いており、中が見えていた。そこからは壁に寄りかかり、手首を包丁で切ったのだろう。血濡れた包丁を握って倒れている友の姿が見える。

「おい! しっかりしろ! 慧音! 何があったんだ!?」

「...違う。体が熱いんだ。こうすると涼しいんだ。血で冷えていいぞ。妹紅もやってみろ?」

トロリとした目で妹紅に訴える慧音。その様は動く屍の様。

「う...ウワァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これなーんだ?」

「桶に見えるけど。なにこれ?」

「Exactly! 桶だよ」

作業風景を見せてくれると言い、倉へ案内された...がずっとこの調子だ。露伴のイライラはもう限界だった。

「ジジイ...。作業現場を見せてくれるんじゃあなかったのか? こんなくだらないクイズが味噌作りに重要なのか?」

「人間とその他の動物の明確な差ってなんだろうか」

「...なに?」

「思うに感情の有無だと思ってる。味噌って素直だ。温度管理をしなくちゃいけない。夏に味噌を作ろうと思ったら相当苦労するんだ。35°を超えてるのにコタツを使うんだよ。手間がかかるねぇ。幼子のように愛おしい」

どういう性癖? 否定するつもりはないが...。

「なにが言いたいんだ?」

思考を停止してクリアな頭で考えよう! ...わっかんないや!(CV:サーバル)

「だからぁ...実際に幼子なんだよ。この味噌」

この味噌高かったんだ〜みたいな異様なテンションで話す老人。ハッと我にかえる露伴。

「鳥井さんがねぇ...いいこと教えてくれたんだ。曰くヒトの脳は実際には数%しか稼働してないんだってさ(諸説アリ。ソースはどこだったか忘れた。)。だからぁ妖怪の血液を使ったんだ。人間の脳を覚醒させるんだってさ。でも注射嫌いでさぁ...味噌汁に混ぜたんだ。ビビったね。いいアイデアだと思ったよ。血液は鳥井さんが始末に困るっていうからもらってきて、幼子は幻想入りしてくる子供を使えば誰も迷惑しない。塩漬けにして魚醬ならぬ人醤! まだまだ製品段階じゃないから個人で食べてるよ。ゆっくり大豆と一緒に煮るんだぁぁぁぁぁ...泣き叫ぶ悲鳴が心地いいぃぃぃ。あの感覚は最高だよ」

恍惚の表情を浮かべ、露伴に狂った行動を暴露する。

「以前...人肉は豚肉か羊肉に近い味だと聞いたんだが...あの味噌はそんな味はしなかった。それどころかとんでもなくうまい味噌じゃあないか? 一体どういう...?」

「罪の味は蜜の味ってね♪ ああそうだ。なんかあの味噌、面白い特徴があってさぁなにかを思い詰めたりしてる人が食べると死にたくなったり、気が狂ったりするらしいんだよねぇ。どうしてだろ? 鳥居家も食べてたけどもしかして...」

ニタニタと笑い出した老人。どんな理由があれ死者を冒涜するのは許せなかった。

天国の(ヘブンズ)「ダメだってば」

またもやヒラリと射程距離外に逃げる老人。

「味噌作りの過程で幼子を使う。仕上げに血を1kgあたり100CCほど混ぜれば完成! いい塩加減になるんだよ? この話をしても誰も理解してくれないんだ。君もそうでしょ? スタンド使い(運命に抗う者)さん。理解されない超常の力。この幻想郷において能力者は珍しくないんだけど...『程度の能力』はスタンドと似ているようで非なるものだ。『程度の能力』は何らかの加護や魔法の勉強なんかで発現するよ。なんでこんなこと知ってるのかって? さぁてね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『程度の能力』と『スタンド』

よく似たものだが実は少し違う。『スタンド』は精神の具現化。『程度の能力』は人や妖怪などの外側に付随するものである。中と外。大きく異なる点である。例としてスタンドは奪われてしまうと動けなくなることもしばしばだ。『程度の能力』は使えなくたっても大した弊害はない。幻想郷における多くの能力者は稗田阿求という転生を繰り返す、能力者によって幻想郷縁起に書き記されている。対して『スタンド』には記録者はいない。ここも異なる点である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ジジイ,,,お前はいったい何者なんだ?」

「,,,僕は...キミだよ。君の中に存在する狂気さ。いつも外に出ることを望んでる。普段は理性(ロゴス)によって抑えられている」

「...」

沈黙する露伴。

「へへへへへへへへへ。わかってもらおうとは思わないよ。他人を本当に理解することは決してできない。傲慢なんだよ。君のスタンドは」

「おい! 露伴!? いるか!? ここにいるか!」

徳田味噌の倉に響く聞き覚えのある声。藤原妹紅の声だ。

「なんだよそんなに慌てて。お前のことよりこのジジイの方がよっぽど興味深いんだ。お呼びじゃない...ってその背中のソレどうしたんだよ。その二日酔いした酔っ払いみたいなの」

「酔っぱらって自殺なんてするか! 早く! 気が狂ってんだ! お前ならなんとかできるだろ!」

? なにを...いってるんだ...????

「お前さんか? それとも背中のソイツか?」

「け...っー...゛......゛ねええっをぉ...ぉったす゛......゛けええっ! てぇ...く...! れ゛ぇぇえ」

泣き叫びながら露伴に懇願する妹紅。うまく聞き取れなかったが慧音と言った様な気がする。

「おい...ソレ慧音ちゃんかよ。なんか血の気がないな」

「手.........゛首............! をぉぉお掻.........っ............! 切...............っ...! て......ぇ゛っ! 自...っ! 殺............しぃ............よ......う...と゛しぃ゛た......ぁぁんんだ......あ......っよ...っ! ぉ............゛っ」

,,,ひとまず妹紅を天国の扉(ヘブンズドアー)で黙らせた露伴は慧音に天国の扉(ヘブンズドアー)を向け、発動する。

「んんんんん? 慧音ちゃんの記述の上に上書きしたみたいな...全く異なる字が書かれてる」

慧音の文字は辞書のように丁寧な字だがこっちは...

「なんだか汚くて拙い字だな。しかも全部ひらがな。まるでガキ...おい」

いやな汗が露伴の背中に流れ、頬を伝う汗が地に落ちる。

「ジジイ...お前さんとこの味噌を何か思いつめた人間が食べると死にたくなるっていったな」

「そぉだぁよぉ? どぉしぃたぁのぉ?」

「お前...隠してることがあるだろ。自殺したくなるんじゃあない。死に導かれる。違うか?」

慧音に書かれた文字は

 

『しにたくない?』

『らくになるよ』

『くるしいだけだよ』

『いっしょにいこ』

 

書き込まれた文字...。

「お前、僕と...」

「似た者同士だよ。君もいつかこうなるんだよ。はははははははははははははははははははははははははははははははははははは」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜、徳田味噌で火事が発生した。

焼け跡から黒焦げになった店主が見つかり、人々は『あの味噌が食べられなくなった』と悲しんだ。

 

「気が狂う味噌。死にたくなる味噌。なぜ僕はあれを芸術品だと誤認したんだろうか」

死を題材にした作品は古来よりある。例えばメメントモリ。死という題材ながら根強い人気のあるテーマだ。

「死だけが全てを解放してくれる...水木しげる作の短編にもあったようにあらゆる苦しみから解放を目指すならそれが一番なんだろう。材料に使われた子供たちからのメッセージだったのだろうか。苦しみながら死んでいった...だが...あのジジイ、僕と似た者同士だって言ってたな。僕もそうなっちまうって? バカにしやがって」

他人の心の奥底に忍び込み無理やりこじ開ける天国の扉(ヘブンズドアー)。この力はどう使うのが正解か。未だ正解は見えない。

「死は美しい...か。僕にとって最高に美しいのは僕のマンガを読む読者だけだ」

立ち上がり、就寝の準備を始めた露伴。

「とはいえ、あのジジイは悪魔だ。人の心に住み着く狂気の悪魔。そいつを表に出しちまったんだ。芸術家でも何でもない。ただの狂気だ。もし、僕があの味噌を食べ続けていたら...? もし慧音ちゃんに『上書きされた命令を全て無効化する』という指示が効かなかったら? 考えただけで恐ろしい」




音mad作ってみようと思ってます。
東方ロストワードの紹介動画にポンポロロっていう音楽だけの動画があるんでソイツと露伴先生をアニメとOVAから切り抜いて貼り付けようと思ってます。
一体作成に何か月かかるやら...
作成でき次第、Twitterにリンク貼ります。

♪次回投稿は〜未定なの〜仕事が〜この時期で〜忙しいの〜。
月二投稿?すまん。ありゃウソだ。
仕事がひと段落したら、東方不動語の再編集版を書きます。具体的に言うと一話完結型に編集します。んで再編集に当たって、いくらか独自シーン+尺の都合上で大幅に変わります。大筋は変わらない予定です。多分そっちのほうが読みやすいハズ。
いつになるかわからないけどね。
まあ気長に待っててくださいね。

次回は予定上風見幽香さんにひどい目にあってもらう予定です。乞うご期待?

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