「おいもう少し丁寧に掘れ。死体に傷がつくだろ」
できるだけ綺麗な状態で読みたいんだ。と露伴。
「死体に綺麗もなにもないでしょう...っていうかよくこんなことしようって思いましたね」
命蓮寺の墓場で必死に墓を荒らす二人組。字面だけでも相当お腹一杯だがそのうちの一人は岸辺露伴だ。
「さて...随分臭いしとっとと読んで帰るか。
パラパラッ
捲れ捲れ捲れていく。死体と暗木の腕が、足が、顔が、腹部が、腰部が、胸部が。本のページのように捲れていく。
「ごくろう。手伝ってくれてありがとな。さてさて...?」
『今から数えて24時間、全ての記憶を全て失う』
「どうせ他人だし? 困るのはコイツ。僕が知ったことじゃないし」
手伝った時点で君の負けは決まっていたね。と。書き込んだ後にフッと笑う。
「ンー...............大ハズレ! 面白そうな記述はない! でもおかしいな。人間ってもう少し大きくないか?」
言われてみれば小さい。140センチあるかどうかだ。
「人間って...こんなモンンンン?」
幻想郷は確かに隔離された空間だ。時代は明治で止まっており、肉類を食す機会はあまりないのかもしれない。かつての日本人が西洋人と比べてブッちぎりで背が低かったのも食肉の機会があまりなかったからという説もある。
とはいえ。
低い。
デバックじみているが違う。こうすることでもう一段階、踏み込んだ読みができるのだ。
通常よりも時間が詳しく書かれる。
「ン。なっ、なんだこれ??? 『花』。花ァ? ここ一ヶ月だけ花の記述が多いな。もう少し...おっ! いいもんあるじゃん。口の中になにか入ってるぞ。ン。うわっ! 溶けた肉が服に付いた! 帰ったら捨てよ。でこれは一体何の種なわけ?」
捲る捲る捲る。
削れ削れ削れていく。
「変な花の種を拾った...この前見た火球が降ってきたあたりにあった、紫色の毒々しい種。変な色をしているがとっても綺麗な紫。持って帰って育ててみた。一ヶ月くらいで成長して...すっごいキレイなんだな♡ちょうど花瓶もあるし挿してみようかな」
火球といえばごく稀に観測される、宇宙に漂う
「これも紫色だが...植物の方面は明るくないなァ。花、花、花ァ..................行きたくないけど行くか。あの花妖怪ンとこ。ああっ今回こそマジで殺されるぞ」
軽く死期を悟ると同時に「これが走馬灯か」と思う露伴だった。
「おはよ~ございますっ! 露伴先生! 今度単行本出ますよ! 楽しみですよね! って...あれ? 居眠りですか? しっかりしてくださいよ。これからはさらに発行ペースを上げる予定ですからね! 露伴先生にもバリバリ描いてもらいますよ!」
墓を掘り起こして一人で埋めて。(暗木は起きなかった。強めにあてすぎたせいだろう)
帰ってきたのは朝五時。現在の時刻九時。
「んあ? ああ文くんか。はあ............眠いんだ寝かせてくれ」
「うええっ!? ちょっとしっかりしてくださいよ! ホラペン持って」
「............スゥ」
「寝るなー!」
「ああ! わかってるよ。わかってるさ! でも眠いんだよ...........................ネェ突然だけどさァ~~~~君ってさァ...1000年近くは生きてるよねェ??? 紫色の種子をもつ植物についてなにか知らない?」
「女性に対して失礼じゃないですか!? ほんっとデリカシーないですよね」
「いいから答えろ。僕のマンガのおかげで君の新聞は売り上げが伸びてるんだろォ? 今僕を切ったらどうなるか。賢い君ならわかってるはずだ。つまりは僕の方が上ということだ。正直君の書く記事を読んでるヤツはいないと思うよ」
さっきまで寝ていた人物とは思えないほどハキハキと息を吐くように煽る露伴。煽るという行為においては右に出るものはいないだろう。...決して褒められるようなことではないのだが。
「最後の一言、余計ですよ」
「スマン。そりゃ事実だよ。で? 実際のところどうなのさ」
「知らないですっ!」
知らないようだ。
「結局あの花妖怪のとこに行くしかないのね。ハァ...本当に参ったよ...どんな拷問だよ」
「露伴先生、やっぱり僕怖くなってきましたよぉぉぉぉぉぉぉ」
暗木を誘い、花妖怪を訪ねる二名。が。未だに里の外に出られずにいた。
「いつもの威勢はどうしたんだよ。家にでも忘れたか? いやならついてこなくてもいいんだぜ? キミがどうしてもっていうから僕がわざわざついて行っていってやってるんだが」
「だってだって! 関わってはいけない妖怪リスト一位の妖怪ですよ!? 怖いじゃないですか!?」
「じゃあ帰るか。うんそうしよう。この種について知ってるかもしれないけど帰ろう。そうしよう! 自分の身の安全が一番だもんな!」
「いやでも...」
「キミってめんどくさいなァ~~~~~~~~!? どっちなんだよはっきりしろよ! 行く行かないの二択だ!」
「う~う~う~う~う~う~う~........................行きます! もうどうにでもなぁれ!!!」
覚悟を決めた暗木。
「さあ行こうか」
「死ににですか?」
当然違う。
太陽の畑に到着した二人。途中妖怪に襲われながらもなんとか五体満足でたどり着いた。
「マジで保険見直そう。特に労災。だってこれは取材だもん。そうだよそう!」
「風見くん。いるかい?」
コンコンとノックをする。
「その声は...露伴先生? 一体どうしてここへ? とっとりあえずお茶でも」
「この種に見覚えはあるか? 先日火球が落ちたあたりに落ちてたものらしいんだが」
この間と同様に特製ブレンドティーを頂き、暗木は「へっへぇぇぇ~ろっ露伴先生って花妖怪と友達だったんですね...」とガタガタ震えながら言っていた。
紅茶を一口、口に含む。
ボソリ「甘っ」
ボソリ「で、ですよね」
「ナア風見君。キミって甘党だっけ?」
「それになんか散らかってない? 気のせい?」
幽香はそれらに答えない。
少しムッとした。
露伴は種を渡す。
「ちょっといいですか? ンー...わからないですね。色々育ててきて身ですが...こればっかりはどうも。悔しいなぁ...あっそういえば! 私の花畑にも肥料を埋めたところに変な花が咲いたんですよね...わからないことばっかりですよ。これじゃ花妖怪の名もウソみたく思われちゃいますよね...」
シュン...とする風見幽香。
「気に病む必要はないさ」
「ご期待に沿えず申し訳ございません」
「いやいやいやァ! キミは立派にやってるよ。あの向日葵畑を全部一人で管理してるんだろ? 十分だよ。自分に自信を持て。せめて自分ぐらいは『私は無敵だ!』って思ってやらないと簡単に心をすり潰すよ」
露伴は今まで何人も若き漫画家を見てきた。キャリアも長くなってきて、度々新人賞の審査員に選ばれる。もちろん自分が一番であることに変わりはないが中には「コイツは凄いぞ!?」と思う漫画家が何人もいた。
しかし彼らが最終的に芽を出すことはなかった。
元々生存競争の激しい職業である漫画家でそれ一本で食べていけるようになるのはごく稀。
「どうしてだ...」「こんなはずじゃ...」「今回も落選...」
そうやって心と体を蝕まれ、ボロボロになって...
そんな漫画家の先輩、後輩、同期を両手で数えられないほど見た。
だからこそ言うのだ。
「自分に自信を持て」と。
ありふれた言葉だが露伴なりの優しさだった。
「ところで風見くん。その花ってさァ...種とかもう出来てたりする?」
「えっ? ええ。あと二日もすれば種はできると思います。表に出てる植木鉢に移し替えますから持って帰って貰っても結構ですよ?」
「本当かい? じゃあありがたくもらっていくよ。なにか...妙に引っかかるんだ」
「その種と花畑の変な花がですか? そうは思えないんですが...」
「ここまで来たら徹底的に調べ上げてやる。この岸辺露伴を舐めるなよ」
朝に出発したのに人里に戻ってくると午後7時。二人で軽く食事を済ませる。かき揚げうどんと塩むすびだ。
「露伴先生。そんなにその種が気になるんですか?」
「モチロンだ。なんのために妖怪に追い掛け回されながら花妖怪の元へ行ったんだい?」
「何かわかったら連絡するよ」と暗木に伝えると二人は別れた。
「オラァッ!」
三ヶ月後、とある茶屋を借り切って風見幽香、上白沢慧音、藤原妹紅、暗木輝助、岸辺露伴が集まった。
「結論から話そう。この植物はエイリアンだ。.....................キョットーンってカンジだね。僕もびっくりしたよ」
「意味がわかんないっす! どうしてその結論に至ったんスカ?」
暗木が問う。
「あの後件の火球を調べてみたんだ...岩石部分を慎重に砕いていくと中になにがあったと思う?」
これだ。といって箱のようなものをカバンから取り出す。
「この中にたっぷり例の種が詰まってたよ。考えてみろよ。普通箱詰めの種が宇宙から降ってくると思うか? そう! ありえないんだよ。顕微鏡を借りて
「おい露伴。お前が人間としてやってはいけないことをした件については後でみっちり怒るとして、なぜ佐ノ木智彦が自殺したんだ?」
「そこっスよ! なんでやつは自殺なんて!」
「すべての結果には必ず理由がある。あの種さぁ...里の近くをうろついてた妖怪に投げつけてみたんだ...その妖怪を洞穴に軟禁してみたらさ、ビックリよ。だんだん小さくなりながら種を植えて、育てて、種を収穫したら最終的には種を飲み込んで自決したんだ」
あ、もちろん意思のない無名の妖怪だよ。と付け加える。
「つまり、あの種は他の生物の行動を制御する力があって、隕石として惑星に降り立ち、そこでその星の生物を洗脳して増殖するつもりだったと? そういうことですか? でっでも生物が小さくなるとは...?」
風見幽香が露伴に問う。
「おそらくは養分が吸われたんじゃないかね。外にいたんだよそんなやつ」
はて誰のことだろう?
「僕は彼らの真意がどうなのかは知らない。し、知りたくもない」
「おやっ? 今日は随分と弱気じゃん? どったの露伴?」
「あの種が一体どのくらいの範囲まで洗脳できるのかわからないからだよ。少なくとも種を一番弄くり回したのはこの僕だ。こりゃあしばらく療養だな。文くんになんて言い訳しようか...それになにをしでかすかわからないだろ?」
「「いやそれは普段からだろ」」
と彼をよく知る二名が声を合わせる。
「じゃあ...私の花畑に生えてきたのは...?」
「キミが埋めた肥料がエイリアンに洗脳されていたか。たまたま持って帰る途中だったんじゃあないか? そう考えればすべて説明できるよ。風見くんも要注意人物だろ。君もしばらくは大人しくしてるんだな。だってあの花に水やったんだろ? そりゃあマズイだろ」
「結局のところ芽が出る出ないは環境次第か...もっとも僕は常に咲き続ける花だがね」
岸辺露伴。その性格、エゴイスト。
次回は布都か文をとりあえず怖がらせようと思います。やる気出ない時ってほんとに出ないんですね。はぁ...疲れた...
共感出来たら評価していってね。
療養するので気長に待っててね。
Hunter×Hunterで鍛えた精神だ。
それぐらい大丈夫でしょ?
前書き部分にあらすじを書いてほしいか
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書いてほしい
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いらない
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今のままくだらない雑談でいい
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何も書かなくていい