東方不動語 〜岸辺露伴の幻想入り〜   作:佐々木邦泰 

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アレルギー (独: Allergie)とは、免疫反応が特定の抗原に対して過剰に起こることを指す。過敏反応とも呼ばれる。免疫反応は、外来性の異物(抗原)を排除するために働く、生体にとって不可欠な生理機能である。語源はギリシア語の allos(変わる)と ergon(力、反応)を組み合わせた造語で、疫を免れるはずの免疫反応が有害な反応に変わるという意味である


アレルギー
幻想郷の奇妙な事件簿 第十八話


異物排除は生物生理にとって当然の反応である...というのは今更語るべきではないかな

例えばホロコースト、イスラーム排斥運動

ある民族を特定の遺伝子の集合体、例えば生物であったと仮定すると、これも広義的にはアレルギー反応と言えなくもない...

もっとも、人にとって悪い方向へ働くものをアレルギーと一般に言われるようなものだが、この辺りは発酵腐敗に通じるような人間主体的な意志を感じざるを得ない

 

つまり本質的に、人間や生き物には手出しできない領分というものがあるのだ...

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

人里で「名医といえば?」と聞けば八意殿であると皆口を揃えてそういうが、人の評判というのはそこまで当てにならないため、片眉唾で聞いていたが、どうやらその認識は改めた方が良さそうだ

たまたま先日、画材の補充のために人里で買い物をしていたら、目の前を大怪我を負った土方の兄ちゃんが担架でえっさほいさと運ばれていったのを見た

露伴は医師ではないので怪我の程度の正確はわからないが、もし治療となると相当難しいのだろうなと予想できるほどひどかった

が、つい先ほど、ここへ向かう途中でその時分に見た土方の兄ちゃんが元気にしているところを見たので、どうやら八意という医者は有能でその名実は確かなのだろう

しかしその八意が客として露伴を招くというのも妙な話であった...

話は永遠亭と呼ばれる、蓬莱山かぐやを筆頭とする月に由来を持つ者らが住まう宅で行われた

「私、お世話係をさせていただきます、鈴仙と申します。外からいらっしゃった画家様とお聞きしました」

印象的なのはうさぎ耳

うさぎの印象を受ける少女は鈴仙と名乗った

「ああそうだよ...『漫』画家だね」

漫を強調して発音したがキョトンとしていたので、どうやら漫画自体を知らないのかもしれない

『わざわざ招いたんだから相手のことくらい多少は勉強しておけよなァ〜』と詰め寄りたくなったが、そこまで子供ではないし厄介事を起こしたくはなかった

「八意様はまもなくいらっしゃいます。しばらくお待ちください」

そういうと下がっていってしまった

なんとなく手持ち無沙汰で、部屋を見回していて、それにも飽きてしまうと竹林を眺めていた

永遠亭は竹林で囲まれた中にある邸宅で、病院でもあるが、病院特有の空気感は竹藪が吸って染まったのだろうか?

「お待たせ致しました。八意様です」

鈴仙ともう一人、幾ばくか年上の落ち着いた雰囲気をした女性がいた

人というのは不思議なもので、案外感覚的な直感力もばかにはできない精度を持つのである

「初めまして。岸辺です。岸辺露伴と言います。御主人たるかぐや姫様の御評判はかねてより」

「お待たせしてしまい申し訳ありません。八意永琳です」

社交辞令的な自己紹介をお互いに終えると、鈴仙に席を外すように伝えて、少し堅苦しい空気が和らいだ

「本来、こういう堅苦しいのは苦手なんです。ですからどうか楽に。多少の失礼に青筋を浮かべるほど度量の狭い人間が出来ていませんから」

「堅苦しさは緊張から生まれるからな。わかるよそりゃ...まあ、『招いた側』と『招かれた側』って立場がある以上はな」

本題を語り始めた

「その立場。というのが厄介で不思議なのですよ」

「不思議ィ?ハァ...」

「私は確かに医者ですが、それでも一介の医者に過ぎないのです。ということです。苦い薬を処方して子供を泣かせていないかとか、術後経過はどうかとか...ある程度は鈴仙には頼んでいますが、それでもやっぱり、どうしても...」

「ハッハーン、『リアル』な声が聞きたいってことかい...しかしそれ、どうして僕に話す必要がある?」

不思議でたまらないと言った顔をすると、評価されていたと今更ながら気がついた

「まさしくその『リアル』ですよ。その『リアル』が必要なんです。患者の表情、汗のかき方、息づかい、そういうものが全部伝わって初めて遠くから察すことができるわけです」

「確かブン屋の...えっと、なんて言ったかちょっと思い出せないんだけど、あいつカメラ持ってたぜ。天狗のヤツだ。姫なんちゃらだ」

「あんなものではいけません!必要なのは重厚感、立体感、存在感です」

『リアリティ』へのこだわりは一点においてこの二人、妙に気が合った

ウマが合うのだ

「わからんわけじゃないよけどなァー僕だって仕事があるんだぜ?アンタら名義で依頼を出すならともかくよしみでやってくれなんてのはナシだぜ?」

「もちろん報酬はお渡しします。私の持つ知識で開示可能なものであれば提供できますし、医学の知識が必要なら授業だって多少はできますよ」

「僕は僕の描くものに誇りを持ってる。プライドだ。一番だNo.1だって自信がある。そういう自信に対して対価を払わないのは『失礼』だよなァ〜?」

ここから言ったって鈴仙には聞こえるわけがないのに、うさぎの耳を試してみたくなった

「報酬は...一件毎にしましょうか。出来れば顔と、あとは処置の方法によって変わってきますから、その都度の指示した部位をスケッチして頂ければ助かります」

少ないながら露伴にはリスペクトの心があった

その道を探求する者、極める者、先人を追い越す者...

そう言ったある種のプロと呼べる者には敬意を表するそんな心があった

なにかを極めたその先に、自身と同じ力があるかもしれないという少しの期待が、そのリスペクトの大半でもあったと、露伴は今後知ることになる




次回更新未定
今月中?

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