今作は宇宙戦艦ヤマト2202の登場艦艇を艦隊これくしょんの艦娘風に擬人化した宇宙艦娘が登場キャラとなっております。
主人公アンドロメダ他ヤマトやちょっとマイナーな艦もも登場します。

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ANDOROMEDA —人間の宇宙艦娘—

アンドロメダ。

 

地球防衛軍総旗艦を務めるアンドロメダ級前衛武装宇宙艦艦娘の長女。

宇宙の艦娘の一人であり、アンドロメダ五人姉妹の長女として四人の妹、アルデバラン、アポロノーム、アキレス、アンタレスと共に宇宙の海を駆ける艦娘としての夢を叶えたアンドロメダ。

 

穏やかながら芯があり、リーダーシップとプライドに溢れ、大任への責任感を強く持つ彼女は、地球防衛軍の総旗艦として沢山のドレッドノート級前衛航宙艦の艦娘仲間たちと共に艦隊を組んで、地球を守る存在となった。

やがて始まったガトランティス戦役では多くのドレッドノート級仲間と姉妹四人と共に土星沖に赴いて、侵攻して来るガトランティスを迎え撃った。

劣勢のエンケラドゥス艦隊の生き残りを救い、押し寄せるガトランティスの大艦隊を強力な波動砲の力を駆使して蹴散らした。

 

しかしその直後に現れたガトランティスの本拠点を前に、艦隊は壊滅的な被害を受けた。

多くのドレッドノート級艦娘が命を落とし、重傷を負ったアンドロメダ自身も艤装が故障して動けなくなり沈みかけた。

手負いの長女を救ったのは、助かる見込みが潰えていた三女アポロノーム。

艤装が故障して動けないアンドロメダを、深手を負った自らの手で助け、長女に「最善を尽くしました」と遺しアポロノームは宇宙の海に沈んだ。

 

 

アポロノームと言うかけがえのない大切な妹、多くの仲間を無残にも殺され、屈辱的大敗を喫したアンドロメダは一度後方に下げられ治療を受けた。

再び戦線に戻ったアンドロメダを見た妹たちは、その姿に驚愕した。

穏やかながら芯のある、頼れる姉の姿、顔では無かった。

感情を消し去ってしまった顔と、色を失った目。

青みがかった灰色の艤装と制服は、軍艦色と赤のツートンカラーに代わり、白の制帽は黒い制帽へと変わった。

自らをアンドロメダ改と名乗り、以前の穏やかな口調から堅く、どこか機械的なモノすら覚えるモノへと変わっていた。

 

 

妹と仲間を大勢失い、プライドを徹底的に潰された彼女の心境は、まさに豹変そのものだった。

何より妹たちを驚かせたのは、黒い制服と艤装を見にまとったアンドロメダとそっくりの容姿の艦娘達だった。

アンドロメダの遺伝子を基にクローン技術で作り出された、いわゆるコピー人間。

BBB、ブラックバーサーカーバタリオンと言う艦隊を形成するアンドロメダの黒いコピー達。アンドロメダはその艦隊の旗艦となった。

彼女が一時戦線を離れている間、地球側は完全に防戦一方になっていた。友軍ガミラスと共に戦線を維持するだけで手一杯になりつつある中、次第に戦線を支える宇宙艦娘も頭数の不足を補うのが間に合わなくなり始め、クローンで構成されるようになっていた。

同じ顔、同じ姿の艦娘達が戦線に大量に投入され、命を落ちしていった。まるで替えなど幾らでも効く消耗品の機械の様に。

実際の所、消耗品感覚でクローンは作られていた。

アンドロメダのクローン、アンドロメダブラックと呼ばれる彼女達も同じだった。

 

 

やがて火星での戦いで奮戦する友軍とそれを追い詰めるガトランティスを殲滅するべく、自らの分身達を率いて彼女は戦場へと赴いた。

彼女と彼女の分身達の一撃は本拠点を陥とす事は叶わず、分身達は全て沈んだ。たった一人生き残ったアンドロメダはその後もタガが外れた様に戦い続けた。

無数の敵艦を相手に狂気に満ちた笑みを浮かべて主砲を撃ち放ち、ミサイルと魚雷をばら撒き、群がる敵艦と踊る様に屠り、喰らい、沈め続けた。

その身と、艤装に敵艦の返り血を浴び続けて尚、アンドロメダは戦い続けた。

 

 

 

 

もう、私には喪う物などない。何故なら何もかも手持ちの武器を使い果たした後は、自分が消えてしまえばいいのだから。

自分が消える、つまり死ぬ。それまでに一隻でも多くの敵を沈め、殺す。殺して、殺して殺し続け、一隻でも多くの敵を沈める。

あの世へ行くことを決意した自分の道連れだ。一隻でも敵が残れば他の仲間や妹達が失われる。

そんな事はさせない。自分諸共にお前たちも死ね。

自分が死ねばもう自分が失うものなどない。

 

 

さあ、もっと来い。もっと、もっと、もっと私を狂わさせろ。

お前達が私を狂わせた。ならば私はお望み通りお前たちを殺し、滅ぼし尽くす狂気の塊として狂い尽くしてやろう。

狂気に満ちた笑みを浮かべたアンドロメダは自分へ迫り、群がる敵を一隻、また一隻と喰らい、壊した。

ひたすらに主砲を撃ち、ミサイルと魚雷、機銃、ありとあらゆる艤装の火器を撃ち散らし、貪り食らうかの様に敵艦隊をたった一人で切り崩し続けた。

尚も湧き続ける敵艦。だからどうした。沈めて殺してしまえばいい。

機械のする作業の様に、ひたすらアンドロメダはガトランティスの艦隊を壊し続けた。

 

 

自分は総旗艦と言う立場で大勢の仲間を、地球を護る大任を授けられた。

全ては憧れたあの「先輩」の跡を追って、積み重ねた努力の末掴んだ地位と名声。

それに溺れたつもりは全くなかったが、自分を助ける為に命を落としたアポロノームや、無残に成す術もなく沈められていった多くのドレッドノート級の姿を見て、自分の中の何かが壊れた。

一度壊れたモノは、もう治す事は出来ない。妹や仲間を失い、屈辱感に塗れた敗北を喫した自分の中で何かが壊れてしまった。

後送された先で手当てを受ける中、続々と入る悪化する戦線の状況。

何故、自分は負けたのか。何故大切な妹を、何故大切な仲間達を自分は失ったのか?

 

自分が人間だからだ。

そう思いついた時、アンドロメダは心の中に残っていた人間としての理性を自らの手で壊した。

人間はどうしようもない程弱くて、ちっぽけな存在だ。弱くて脆いから取り返しのつかない間違いをしてしまう。

後悔してもし切れない間違い。

自分はそれに耐えられそうもない。だって自分は人間だからだ。

これからも続く戦争から自分が外される事はありえない。傷が癒え、艤装の修理が終わったら、すぐに前線に戻ることになるだろう。

戻った時、自分は人間であった時また間違いを犯してしまうだろう。取り返しのつかない間違いをまた繰り返す。

それで自分の身に因果応報の如く返るのなら良い。しかし自分の間違いで他者が傷付く事は許せなかった。

自分の間違いで誰かが死ぬ。自分が人間であり続けたら、他者の死を防ぐ事は出来ないだろう。

弱くて、恥に脆い。それに耐えられないのなら、人間の心を捨て機械に近づけば苦痛となる事は無い。

 

無心に敵艦を壊す彼女が「疲労」を感じ始めた時、敵の本拠地が見えた。

目指していた本拠地。アポロノーム、ドレッドノート級の仲間、分身達。彼女達の命を奪い、喰らい、殺した本拠地。

あそこを自分は目指していたのだ。あそこを潰せば、ケリがつく。

この場にたどり着くまでに負った傷で、既に自分はボロボロだ。どの道生きて帰る気など無かったから、傷の手当てもしていない。

刺し違えてでもあそこを潰すまで。

 

 

改修された自分の波動砲を本拠地の中心核へ撃ち込む構えを取った隙を突く様に、アンドロメダの目の前に敵の兵器が迫った。

エンケラドゥスの仲間達を串刺しにして屠ったと言う兵器だ。

躱し様がない。手負いの自分には回避機動をするほどの力が残っていない。

 

ここまで来て……。

 

悔しさから歯をぎりりと鳴らした時、彼女の視界に白い何かが見えた。

「あれは……」

何気なく呟いた時、アンドロメダの頭の中で「お姉ちゃん」と誰かが呼ぶ声がした。

その一言のお陰か、それともアンドロメダ自身の咄嗟の行動だったのか。

頭を下げたアンドロメダの頭すれすれを敵の兵器は飛び抜けた。黒い制帽が切り裂かれ、どこかへ吹っ飛んで行った。

躱したとは言え、ギリギリの躱し方だっただけに衝撃が体に押し寄せる。

歯を食い縛って堪えていた時、白い何かが視界にはっきりと見えた。

 

 

動けなくなった自分を押し出し、助け、散ったアポロノームが被っていた制帽だった。

ボロボロになっていたが、アポロノームのモノと分かる金モールが入った鍔の制帽。

「……アポロノーム……」

返事が返る事は無いのは分かっていても、アンドロメダは漂う妹の制帽に向かって呼び掛けていた。

自分の元に自然に漂って来たそれを掴む。

ただの制帽なのに、まるでアポロノームと再会した様な気分だった。

 

 

その時、遠くで何かが爆発する音が聞こえた。

爆発音が聞こえた方へアンドロメダが視線を向けると、一つの星が敵の本拠地からの攻撃で崩壊していくのが見えた。

そうだ、まだ自分の務めは終わっていない。あの敵の本拠地を、この身と引き換えにしてでも、もう失うものなどない自分の命を引き換えにしてでも。

あそこを潰せば全て終わる。その為に私はここまで……。

そう思いながら波動砲を敵の本拠地の中心核へ向け直した時、崩壊する星から手負いの艦娘が一人よろよろと脱出して来るのが見えた。

あれは、と崩壊する星の残骸から姿を現した艦娘の影に注意を引かれたアンドロメダのヘッドセットに、懐かしくも思えるあの声が入った。

 

《アンドロメダ》

 

ヘッドセットから入った声にアンドロメダは目を見開いた。

 

「ヤマト……さん」

 

 

ヤマト。宇宙戦艦艦娘ヤマト。

自分が宇宙の艦娘になる夢の目標として定め、先輩と呼び、敬った宇宙戦艦ヤマト。

 

自分と同じく手負いながらもはっきりとした声でヤマトはアンドロメダに呼びかけた。

 

《アンドロメダ。死んで取れる責任等はありませんよ、アンドロメダ》

「え」

思いがけない言葉にアンドロメダは困惑した。「先輩」は、ヤマトは何を言っている?

困惑するアンドロメダに構わず、時折よろめきながらも力強いはっきりとした声でヤマトは続けた。

 

《生きなさい。生きて恥を掻きなさい。

 

どんな屈辱に塗れたとしても、生き抜くんです!

 

人間は弱い存在です。間違えてしまいます。

 

それがどうしたと言うのですか。

 

私達は機械ではありません。機械は恥を知りません。

 

恥を掻くのも、間違えるのも、全て人間の特権なのです!》

 

「先輩……」

 

ヤマトからのその言葉に急に自分に何かが戻って来るのが分かった。

それが最初何なのか、すぐには理解出来なかった。ただぼんやりとした、本能的なモノを感じる。

波動砲を撃つ引き金の指に込めていた力を僅かに抜いた時、アンドロメダは理解した。

 

「自分」が、「自分」に戻る。

 

人間である自分が、人間であることを再認識して、人間に戻る事を。

一度捨てた筈の人間としての心を、自分が取り戻そうとしている。

 

何故か? 何のためか? 誰の為か?

 

複雑な理由などいらなかった。

 

何故とか、何の為とか、誰の為に等ではない。

 

他ならぬ自分自身の為に、自分は人間に戻らねばならない。

弱くて、間違えた時の恥に脆い。だからこそ自分は人間なのだと。

思い返せば、自分が土星沖で犯してしまった取り返しのつかない間違い、屈辱を誰も咎めなかった。

アポロノームを含む大勢の仲間を失い、塞ぎ込む自分をみんなが励ましてくれた。

それなのに、自分は皆からの声に耳を貸さず一人復讐心からの狂気の塊に、機械になる事を決めて、分身を率いて生還など考えていない出撃を強行した。

自分にとって失うモノは無いかも知れない。だが、妹達を含む仲間達にとっては自分と言う人間を失う事になる。

自分は人間だ。弱いし、間違えてしまうし、恥に脆い。土星沖での挫折と屈辱がそれらを物語る。でもそれは人間だから感じる事が出来るモノなのだ。

 

「私は、機械じゃない……」

 

そう呟いた時、背後に味方艦娘が一人現れた。

 

銀河。

 

ヤマトの妹だ。もう一回しか使えないコスモリバースを始動させ、構えながら銀河は自分に敬礼を送った。

 

《お供します、アンドロメダさん》

ヘッドセットから入る銀河の言葉に、ふっと柔らかな微笑を口元に浮かべると、アンドロメダは答礼した。

 

 

満身創痍の自分を銀河はコスモリバースで支え、アンドロメダは波動砲を放った。コスモリバースのサポートを受けて威力を増幅された波動砲の光芒が、敵の本拠地の中心核を貫く。

波動砲の直撃を受けた中心核が破壊され、閃光を放つ中、銀河はアンドロメダに撤退を促す。

「アンドロメダさん、離脱しましょう」

しかし、アンドロメダはゆっくりと頭を振って踵を返した。

「まだやることがあります」

 

 

 

 

崩壊する星の残骸が艤装に当たる。すでに酷く傷ついていた艤装や機関部に損傷が嵩んでいき、ヤマト自身の身体にも激痛が走る。

敵の本拠地の中心核と刺し違えようとしていたアンドロメダ、可愛い後輩へ生きろと諭したが、自分は流石に無理があった。

機関部の出力が上がらないのだ。このままでは航行不能になって残骸に潰されてしまうだろう。

何とか出来ないか、とまた艤装に直撃する破片の衝撃に体を振られ思わず目を閉じた時、別の衝撃が艤装に走った。

 

「え?」

 

何の衝撃だ? とゆっくり目を見開くと、艤装のノズル口から全開出力の噴煙を吐きながらロケットアンカーをヤマトの艤装につないで曳航するアンドロメダの姿があった。

「アンドロメダ!」

「先輩、いえ……ヤマトさん。帰りましょう……しっかり付いて来てくださいね」

 

 

 

 

動けなくなる寸前のヤマト救援に向かったアンドロメダから救援隊を呼ぶように頼まれた銀河は、艦隊司令部へ救援艦隊の派遣を要請した。

その要請を二つ返事で受けた司令部から六隻の艦隊が出発し、旗艦ゆうなぎから全速力で向かっていると言う報告が入る。

《あと五分、いえ三分で着きます》

「了解」

二人ともボロボロだ。すぐに手当てをしないと、と銀河が思った時、ヤマトの悲痛な声がヘッドセットから飛び込んできた。

 

 

《アンドロメダ! しっかりして!》

「申し訳ありません……ヤマトさん……もう、機関部が……」

艤装から次々に悲鳴のような警報が鳴り出している。機能不全の部分がどんどん増えて、機関部の出力が急激に低下していく。

《死んではいけません! 言った筈です、生きなさいと!》

「……ダメです、もう機関部が持ちそうにありません。火星の重力にひかれてて、このままでは……」

ボロボロだった機関部に無茶を言わせてヤマトを曳航したのが祟ったらしい。

それでもと無理を言わせてヤマトだけでもと曳航を続けていると、遂に機関部から火災が発生し、それに続くかの様に艤装の各部から炎が溢れだした。

「これ以上の曳航は無理か……アンカー解除。ヤマトさん、行って下さい。銀河が待っています」

《アンドロメダ!》

「生きろと言うあなたの言葉……最善を尽くします……」

アンカーを解除して先に送り出したヤマトへ向かってアンドロメダは敬礼するとやんわりとした笑みを浮かべた。

穏やかな、本来の人間である彼女が浮かべる事が出来る柔らかく、温かみのある笑みだった。

 

 

機能を停止し、艤装から出火した炎と黒煙に包まれたアンドロメダは、何も出来る術もないヤマトが見つめる中火星の大地へと消えていった。

 

 

 

 

本当に初めて会った時からアイツは無茶をするし、頑固だし、時には先輩の私の言葉に首を縦に振らなかったりするし、果てには下手くそな射撃で敵の大戦艦を取り逃がしてしまい、私の火力ではどうにもならない大戦艦を私が押し上げなきゃいけない羽目になるし。

そんな失態しながら総旗艦になって、艦隊率いて、土星沖で派手にやって、帰って来たら勝手に「人間やめます」宣言して分身率いて敵の本拠地にカチコミ。

自分より後輩で、経験も浅い、いわゆる若造の癖に何だかんだ大振る舞いに大活躍して、大無双して、最後はヤマトさんを引っ張り上げて自分は火星にドボン。

全くいい迷惑だ。世話が焼けると言ったらありゃしない。

 

散々愚痴をこぼす艦隊旗艦にわだつみが苦笑を浮かべながら返した。

「でも、気になるんでしょ? とても心配で仕方ない。違う?」

その言葉にゆうなぎはやっと黙り込んだ。

一緒に随伴して来ているイントレピッド、ケルマディック、マーシーも苦笑していた。

 

 

 

 

《全艦救助に向かってください! アンドロメダは生きている、彼女は絶対生きています!》

そう叫んで止まなかったヤマトを銀河は宥め救援隊のゆうなぎ、わだつみ、イントレピッド、ケルマディック、マーシー、ふゆづきの内、ふゆづきをヤマトの随伴艦にし、先に後方で待機している前線基地に送らせると銀河は一人アンドロメダ捜索に送ったゆうなぎたちの報告を待った。

ヤマトの証言が確かなら、アンドロメダが墜落した場所はおそらく火星の旧アルカディアシティ近辺の筈だ。

今では廃墟しか残っていないが、無人の救難用施設がまだ残っている。

生きていればアンドロメダがそこを目指している可能性は充分ある。

人間として生きる事を選びなおした彼女なら、絶対に生きる為に足掻いている筈だ。

ゆうなぎは愚痴ばかり呟いていたが、素直にわだつみ達を連れて火星の大地へと降りて行った。

愚痴や文句を言いながらも、ゆうなぎはアンドロメダの事を気にかけているから、必ず探し出してくれるだろう。

艦隊司令部からはアンドロメダの生存は絶望的と見ていたが、銀河は構わず捜索を続行させ、自らもここに踏みとどまった。

 

アンドロメダ発見の報告が来たらヤマトに直ぐに伝える為に。

 

 

 

火星の赤い大地に墜落し、大破、炎上するアンドロメダの艤装をゆうなぎたちは発見した。

各種艤装は大破し、機関部からは激しい炎が吹き上がっている。

だがその場にアンドロメダの姿は無かった。

ヤマトの言う通り、アンドロメダの落ちた場所はアルカディアシティから少しずれた位置。

そう遠くない所に無人の救難用施設が残っているから、アンドロメダはそこを目指している筈だ。

「行きましょう。時間的にまだそう遠くまで離れていない筈です」

「そうだな。行こう」

わだつみに促されたゆうなぎが歩き出した時、イントレピッドから通信が入った。

《アンドロメダの足跡と血痕を発見! この分なら近くにいる筈です》

「仕事が早いな。すぐに向かう。行くぞ、わだつみ」

「はいはい」

先にイントレピッド達の方へと駆けだすゆうなぎの顔に、少し歓喜の思いが現れているのをわだつみは見逃さなかった。

 

 

 

 

応急手当をした傷口を抑えながら、アンドロメダはゆっくり、ゆっくりと救難用施設を目指していた。

 

(絶対に生きて帰る……私はヤマトさんと約束したのだから)

 

生還を期さない出撃だったから、帰ったら自分はおめおめと戻って来た、と呼ばれて生き恥を晒し続けることになるだろう。

なじられたり、処分を受けたりするかもしれない。

 

でも、それでもいい。自分は一人の人間なのだから。

人間だから恥を掻ける。人間だから間違えてしまう。

 

これからの時間が辛くて仕方が無い事ばかりになるかもしれない。

でも、それが生きる事の素晴らしさ、人間の特権でもあるのなら、自分はそれを甘んじて受け入れよう。

 

それに、自分にはアルデバラン、アキレス、アンタレスと言う三人の妹もいる。

あの三人の事だ。帰った自分を見たら涙を流して喜ぶだろう。自分は長女だから妹たちがどう反応するかくらい分かる。

 

「生きて帰る事は……決して間違っているとは限らないわよね……アポロノーム……」

 

頭に被るアポロノームのモノだった制帽を被り直すとアンドロメダはまた一歩、「人間の艦娘」としての一歩を踏み出した。

 

(完)

 




登場艦娘(宇宙艦娘)

前衛武装宇宙艦アンドロメダ
宇宙戦艦ヤマト
波動実験艦銀河
金剛改型宇宙戦艦ゆうなぎ わだつみ
村雨改型宇宙巡洋艦(病院船仕様)イントレピッド ケルマディック マーシー

名前のみ登場
護衛艦ふゆづき


ふゆづきは完結編のふゆづき縁から名前のみ出演です。
病院船仕様の村雨改型三隻に関して、アニメ本編では四隻登場していますが、残る一隻の艦名が不明な為四隻目は出演させられませんでした。
その代役にオリジナルの護衛艦としてふゆづきを「完結編」の駆逐艦冬月繋がりで出しております。

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