Muv-Luv UNTITLED   作:厨ニ@不治の病

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Muv-Luv UNTITLED 10

2002年 12月 ―

 

 

臘月。

朝鮮半島北東部、北緯38度近辺。

鉄原ハイヴより東へ約90kmの海岸線。内陸へ広がるは草木もまばらな荒涼たる原野。

 

吹き荒ぶ寒風に微かな雪が舞い散る中、近海にまで接近した日本帝国軍の戦術機母艦群及び琵琶湖運河経由の米太平洋艦隊より発した甲20号攻略の主攻部隊が上陸を開始していた。

 

 

本来はもう2日ほど早く開始できた作戦は、その日付が意味するところを配慮した日本の意思を米国が受け容れての号砲となり。

 

上陸兵力は共に戦術機中心。帝国軍4個連隊、米軍約3個連隊。

これに帝国斯衛軍と在日国連軍併せておよそ1個連隊規模が加わる。

 

砲戦力は帝国海軍並びに米太平洋艦隊によるロケット補助推進弾の艦砲およびミサイル。

帝国海軍は連合艦隊第2・第3戦隊の信濃・美濃・加賀・大和・武蔵の大和級・改大和級戦艦がその砲を並べ、米太平洋艦隊は純戦艦こそは国連憲章第43条の下国連軍指揮下となっているものの、イージス艦・ミサイル駆逐艦複数隻により対地支援を行う。

戦車部隊並びに自走砲・MLRSの投入は海上輸送の問題から限定的となったが、戦術機部隊に帝国軍およそ各大隊1ないし2門程度、米軍同2門の電磁投射砲に加え、帝国軍3・斯衛軍2・在日国連軍1と計6門の新兵器・大型電磁投射砲が配備された。

 

半島西部からは国連軍に統合された大東亜連合を中心とする戦力が混成ながら3個連隊規模、座視できるはずもない統一中華戦線も3個連隊相当の戦力を投入する。

 

自国領域に最近活発化した戦線を抱える欧州連合・ソ連は共に距離的な制約もあり軌道降下兵の投入に留まりそれぞれ1個連隊規模。豪州もまた同程度を海路派遣した。

日米司令部から半島南部より域内BETAを駆逐しつつの北上策を打診されたこの3軍は、しかし次回作戦にて攻略が見込まれる甲08号・ロヴァニエミハイヴを抱える欧州連合とそれに足並みを揃えた豪州はこれに同意したものの、極東地域でのプレゼンスを維持したいソ連は反発。

 

これによりソ連軍がハイヴ直上への降下とその後の作戦への積極参加を求めたのと共に、自国の台所事情により大東亜連合中心の国連軍と統一中華軍は額面戦力にその内実が伴わない二線級戦力が多く含まれ、作戦上の不安定要素と化していた。

 

しかしながら、各軍合わせて総兵力60万。

甲21号攻略時に等しい戦力の投入となる。

 

 

上陸した主攻部隊は、近隣の漸減を兼ねて先行していた部隊が基礎を設営していたものを拡張増強する形で橋頭堡を構築。

 

そして閲兵出陣式などは出立前に行われていたが上陸部隊の本格始動に際し、すでに意気軒昂の帝国軍部隊の前に――

 

 

「おい、なんか後ろから来るぞ」

 

最初に発見したのは誰だったか。

戦術機の管制ユニット内、データリンクにも表示されるのにCPはなにも言わなかった。

周囲は起動した戦術機と跳躍機が奏でる騒音に満ち満ち、海上から飛来する数機の飛行音などは直接聞くことは出来なかったにせよ。

 

「なんだ……、おい! こりゃ…!」

 

驚きに喜色を滲ませて。

その帝国衛士は空を振り仰いだ。

 

瞬間、FE108跳躍機 ― その中でもとりわけ甲高い轟音を上げて、先陣を切る部隊の直上、ほぼ頭上とすら言ってよい高度を4機の戦術機がフライパスした。

 

― 00式戦術歩行戦闘機《Type00》 武御雷 ―

 

先頭を切るは紫のR型。追随するは青のRに赤のFが2機。

 

「殿下!」

「殿下だぞ!」

「殿下の武御雷だ!!」

 

帝国斯衛が誇る鬼神、それを操る衛士達の技量を見せつけるかの如く一糸乱れぬ鋭角な機動でターンしたその小隊は、今まさに前進を開始しようとしていた帝国軍部隊の眼前に降り立った。

 

そして青と赤とを従え、傲然とさえ言える立ち姿で抜き放った長刀を地に突き立てたは紫の00式R。日本帝国軍最高司令官 政威大将軍・煌武院悠陽殿下の御座乗機。

そしてせり出す管制ユニット、開いたハッチの上。

 

舞い散る雪の中現れた、美々しく紫の零式強化装備に身を包み宝刀を提げたその御姿。

風に流れる青成す黒髪に、深海の如き冥い夜を湛えた瞳。

 

同じく青と赤から現れた、帝国屈指の斯衛を従え。

今、そのまなじりは決然として厳しく。

 

「我が忠勇なる帝国の将兵たちよ」

 

常より僅か低く、そして強い言葉で。

外部音声と通信とを通じて届けられるその響きに、万を超える兵が静まりかえった。

 

 

護国の武士達よ、神州が暁の為に死地に赴かんとする精兵達よ

血縁地縁・有縁無縁の輩よ、瑞穂の国に住まいし絆持つ人々よ

 

本土劫掠より二年、堪え難きを堪え忍び難きを忍び

そしてその奪還から更に二年、我々は日々待ち続けた

 

異星種の残虐は今尚世の大勢を圧し、徒に無辜を殺傷し

その慘害の及ぶ処真に測るべからざる迄に至る

是れを坐視すれば帝国の滅亡を招来するのみ為らず何れ人類をも破却するであろう…

 

皇国の神兵、我が精鋭達よ!

 

蹂躙されし力無き民を思え 忍辱を続ける人々を思え

我等の後ろには彼らがいる 勝利の凱歌を信じる彼らがいる!

 

戦陣に挺身し散華した先人達を想え 九段へ赴きし英霊達を想え

我等と共に彼らがいる! 明日の礎となった彼らがいる!

 

時は来た!

今こそ人類共闘の御旗の下、異星起源種討滅の狼煙上げる時!

 

日本帝国全権代理、政威大将軍煌武院悠陽が名に於いて命ず――

 

起て! 起ちて集え! そして征こう!

 

我等人類が大敵、BETA共を討ち滅ぼすのだ!

 

頭槌い石鎚い持ち撃ちてし止まん!

 

 

「鋭鋭!」

「応!!」

「エイエイ!!」

「オォォ!!」

 

殿下の手により握り締め突き上げられる、その黒鞘の魂の刃 ― その銘こそは。

そして合わせた居並ぶ将兵達もまた、手に手に長刀を、突撃砲を掲げて怒濤の如き鬨の声をあげた。

 

「やるぞ!」

「おぉお!」

「撃ちてし止まん! 我等総火の玉と成りて!」

「日本帝国万歳! 煌武院悠陽殿下、万歳!!」

 

満足げに兵どもを睥睨し、頷かれた殿下は。

 

「斑鳩公…」

「御意」

 

そのお声に政威軍監・斑鳩公崇継が言葉を継いだ。

 

「――御親征である! 皇国の興廃この一戦にあり! 各員一層奮励努力せよ!」

 

鬨の声の余韻冷めやらぬ中、その端正な面差しからは想像も出来ぬ大音声。

そして振り伸ばされたその腕に将兵らは答礼した。

 

「はッ!!!!」

「主機始動! まわせーっ!」

「行くぞぉ! 大隊前進!」

「殿下の御前だ、無様な姿は見せられんぞ!」

 

再び一斉に始動した戦術機と跳躍機の轟音が周囲を満たす。

整然と、しかし意気さらに軒昂となりて。

必ずや勝利を、御照覧あれ、と異口同音に誓って通り過ぎ征く将兵らを、将軍機と付き従う斯衛機が見送った――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんだか盛りあがっているわねえ、と。

自機のF-22A EMD ラプター の管制ユニット内にて、日本語を解さないシャロン・エイム少尉はしかし、傍受している日本軍の無線を聞いた。

 

帝国軍部隊より南へ20km。

布陣し前進を開始する米軍部隊の最後尾に彼らはいた。

 

 

アメリカ陸軍第65戦闘教導団 インフィニティーズ。その精鋭中隊。

 

ほぼ黒に近い、薄暗い濃紺の機体色は電波吸収特殊塗料。

EMD先行量産型ながら元々その後のHRP全規模量産機体群と遜色ない性能を誇り、本来12機編成の中隊は予算削減により生産が止まって9機に留まるも、その戦力は対第3世代戦術機比でなお大隊規模に匹敵するとされ。

さらには今年半ばからは日本帝国より試験供与が開始された新型特殊装置のテストベッドともなり、以降は帝国が誇るインペリアル・ロイヤルガード等とは合同訓練・演習も行ってきた。

 

彼らの主な任務と表の顔は、腕利きを集めたステルス戦術機対策専門の特殊戦教導部隊。

しかしその実、その機体色が示すが如くに、裏では数々の非正規任務にも従事してきた。

 

それこそ例えば ― 昨年秋、ブレイザー中尉率いるシャロン達の小隊はユーコンにてプロミネンス計画協力の影で秘匿されていたソ連G弾研究施設を破壊した。

そして同時期、教導団他中隊は欧州連合が中心となって攻略を進めていた旧フランス・リヨンハイヴ深部へ侵入して「ヒドゥン・トレジャー」を頂戴してきた…ともっぱらの噂。任務の詳細は、同部隊でもチームが違えば明かされることはない。

 

 

しかしそんな、彼らをして。

 

「やる気だぜ、奴さん連中」

「おい見ろよ、アテられた海兵連中もいきり立ってかっ飛んでいきやがった」

「意味わかってたのかね、あいつら」

「どこの部隊だワーグナーかけてる奴?」

「終わったらサーフィンするんだとよ。良い波があったとか」

「なんだと、もっと早く言えよ。BETA共はサーフィンなんてしないからな」

「なら支援砲撃は抑えめにしとかないとな? 波が消えちまうぜ」

「しまった、俺は重いボードじゃないとダメなんだよ」

 

口笛を吹いたり、軽く笑ったり。

整列する中隊列機の皆も、言いつつ内心の高揚を滲ませて。

 

 

最初から望んで、裏仕事に就いた衛士など殆どいないだろう。

ある者は正義感に燃え、ある者は自らの限界を試さんと。

その技量の高さゆえに、他者では果たせぬ任を受けただけ。

個人差こそあれ、皆本当は胸を張り、人類が為にBETA共へその力を振るいたいのだ。

 

まさに今回はその――

 

 

「…本懐だ…」

 

隣に立つレオン・クゼ少尉機からの、陶然としたため息。

それを聞きつつ網膜投影の彼の顔も見。また始まったわとシャロンは、レオンとは違う色のため息をついた。

 

 

今夏、ロイヤルガードとの訓練が始まり。

帝国軍より試験供与された新型装置のテストと慣熟に際し、シャロンとレオンは同中隊の他の面々とはまた異なる驚きを抱いた。新型装置に記録されていた、あるパターン。

 

覚えのある機動。

 

昔の「彼」のとは少し違っていて。

でもステイツの北の果てで再会した時の。

 

訓練で一緒になった旧知のロイヤルガード中尉に問いただせば。

さてな機密だと言って、しかし意味ありげな笑み。

察したレオンは早速TSUNDEREを発動して、悪態を吐き顔をしかめながらも目を輝かせて習熟に勤しみそれを凌駕せんと励んだ。

不名誉除隊とされその後の再就職にも苦しんでいたところをレオンに拾われていたヴィンセントが、格納庫の片隅で独り男泣きしていたのも知っている。

 

 

まったくオトコノコってやつよねえ。

 

半ば以上呆れながらも。

 

「なんだレオン、先祖返りで里心がついちまったか?」

「いえ、自分の忠誠はステイツにあります」

「でもタマシイはニホン人だって言うんじゃない?」

「混ぜっ返すな、シャロン」

「確かにあんなキュートなショーグンがいるんなら、鞍替えすんのも悪くない…おい誰かウチのちょいとばかり皺が多いファーストレディと交換してもらってこい」

「隊長、その手のジョークが過ぎるとタカムラ中尉にまたスライスされますよ」

「おっとそいつは勘弁だ、軽口も戦闘も遠くからするようにしよう」

 

ゼロの近接戦能力は確かに脅威、操る衛士の練度も高い。

だから「そうしなければ、いい」。帝国軍お得意の銃剣突撃で先の大戦はどうなった?

たまたま対BETA戦で白兵能力が再評価されただけの話で、数と質とが揃った銃に剣で勝てる道理なし。

 

ともあれ練達の衛士が高性能機体を駆るインフィニティーズは、今回は火消し役とハイヴ突入戦が主たる任務――

 

――というのが、やはりというか表のお話。

 

「ま、しばらくは観戦だ。スターリニストのウォッカベアにフランジヘッドが良い子にしていてくれりゃ、騎兵隊の真似事だけで済ませられる。そうすりゃめでたしめでたし、で終わるからな」

「サー・イエス・サー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦域はハイヴまで延々と草木もまばらな寒々として乾いた大地が続き、ちらついていた雪が強くなり出した。重く垂れ込める曇天。

 

 

甲20号・鉄原ハイヴより東20km付近にて、日米連合軍は交戦圏に入った。

相対するは突撃級を先頭とする師団規模BETA群。

同様に半島西岸より上陸したUN大東亜連合軍並びに統一中華戦線軍も、ほぼ同規模のBETA群と会敵したらしい。もうしばらくで降下位置に就きそうなソ連の軌道部隊は、光線級の有無を見極めてからの投入になる――はずだが。

 

接敵した日米連合攻略主攻部隊・前衛は、甲20号東側面・南に米海兵隊・陸軍合同の2個連隊、北に帝国軍2個連隊。

柚香たち日本帝国軍帝国陸軍技術開発第壱局・第104実験小隊はその右翼端にいた。

 

 

いかな荒野といえどフェイズ4ハイヴで高さ300mほどの地表構造物は肉眼ではまだ小さく、その手前に布陣するBETA群のあげる土煙でほとんど見えない。

予想される甲20号の地下茎構造半径は10km程度、なんにせよBETA群が事前の想定より進出している。それが第一印象。

 

「…どう思われますか」

「先月からの漸減が空振りだったとは思えんがな」

 

網膜投影に映り込んだ、駒木咲代子中尉の冷静な表情に油断はなく。

視界前方には遠く、邀撃態勢を整える戦術機部隊。

 

 

104実験小隊は94式改 不知火弐型 4機編成。

主攻本隊の到着以前、先月末から先遣部隊に加わって実戦参加を重ねてきた。

 

帝都防衛師団出身の駒木中尉を実戦配置の長機に、野戦ずれして経験豊富な氷川中尉と元欧州派遣組ドレイク分隊の2名。そして今回は御親征に際しての督戦として、後方指揮所には隊長職に就く巌谷榮二中佐も控えられている。

 

 

「ロック02より01、この長槍はどうします?」

「待て氷川中尉、こちらロック01、CP。光線級の有無は」

「こちらCP、現在のところ確認されていません」

「了解。まだそいつを使う必要はない、支援も艦隊に任せておけ」

「了解」「了解」「了解」

 

付近の隊と共に艦砲の支援待ちで進軍は一時停止。

砲を抱えた氷川中尉機には待機が下される。

99型砲が対BETA戦で極めて有効なことは実戦投入以来証明されてきたが、大型の01型砲ほどまでではないにせよ使いどころの見極めは重要になる。

 

「始まったな」

「はい」

 

隣に立つ龍浪機から。

灰色の雲の下、空を引き裂いて数発の砲弾が飛んだ。

後方70km以上、高城沖の艦隊からの準備砲撃。先行部隊の索敵では光線属種は確認されていないようで、これが迎撃されなければ本砲撃が続く――BETA群中央に着弾。

そして10秒足らずの間を置き。猛烈な数の砲弾とミサイルが柚香たちが見やる空を突き進んでいき、BETA群の先鋒たる突撃級群の只中に壁の如く爆炎が上がった。

 

たーまやー、と氷川中尉が不謹慎な声を上げ。

本来は同調したかったろう龍浪少尉を柚香は見たが、今は黙っていた。駒木中尉も何も言わず、2次3次と続いていく支援砲撃を遠望する。

 

突入前はこれで終われば、いいな…

 

そうはならないだろうとと嫌な確信をしつつも、気がつけばハイヴ攻略2回目という、歴とした古参になりつつある柚香はもう一度機体と装備を確認した。

 

「一同傾注」

「は」

「指揮所から連絡があった、ソ連軍が降下を強行するとのことだ」

「…了解」

 

声音を変えない駒木中尉の通達に、一同はいちおうの応えを返す。

 

おそらく向こうに言わせれば強行ではなく予定通り。

降下兵を運ぶ低軌道上の再突入駆逐艦群の待機高度は200km。今回の降下機会を逃せば次は周回後の約90分後になる、現状の作戦通りの進行ならばその頃には第1陣はハイヴ突入を果たしているだろう。

だからその前にという腹積もりなのだろうが、長竿担当としては他軍との連携は死活問題になる――と。

 

「震度計に感あり!」

 

CPからの報に緊張が走った。

 

「着弾震とは違います!」

「母艦級か、地下侵攻か?」

「波形照合中……地下侵攻です! っ、いえ待って下さい、別波形も共に確認。タイプ331、地下茎構造の崩壊に類似」

「浅層が崩れたのか? 砲撃はまだ…」

「波形が混在しています、出現予測地点の割り出しはお待ちを」

「砲撃態勢」

「了解っ」

 

駒木中尉の指示の下、99型砲を構える氷川中尉機の直掩位置に就く。

この1年ほどで母艦級出現前、それとはまた別のBETA地下侵攻両者の震動パターンも収集・解析されてきている。

 

「龍浪、お前ホント足下攻めに縁があるな」

「勘弁して下さい…」

 

確かに母艦級も含めるともう4度目になるのか。

氷川中尉の軽口に、龍浪少尉が苦笑い。

駒木中尉はなれ合わないが、隊の雰囲気は悪くない。

 

「こちらCP、震度並びに衛星観測、地下侵攻の『出口』予測来ました」

「こちら104小隊、支援砲撃準備よし」

「了解。引き続き艦砲射撃主軸、そのまま待機願います」

「了解、小隊待機」

 

まだ体感でわかる震度ではなく。欧州で遭遇した直下型でないと随分と違う。

 

戦力にも現状余裕がありBETAの出方も予測と観測が機能している。

緊張を切るほどではないが、元々本番はハイヴ突入戦からだ。

 

 

始まる準備砲撃、そして続く本砲撃が空を千々に引き裂き――

 

 

「地下に高熱源反応!!」

 

 

大地から突如湧き出た複数の光条が一瞬で天へと突き立った。

前方、地表構造物の数km手前。迫り来るBETA群の向こう。

 

 

レーザー!?

 

その本数はざっとでは数えきれず。

宙空に爆炎と爆煙が一斉に広がり、それを仰ぎ見た柚香は続いて前を向いた。

 

「砲弾が迎撃されました!」

「光線級か!?」

「地下から撃ってきた!?」

「出力計算……重光線級です…っ!?」

 

CPのそのコールが終わる前に。

曇天の雲を切り裂き続ける幾筋もの光条。それは途切れる間のない死の光芒。

 

「何体いやがる!?」

 

龍浪少尉の毒づき、あまりの光景に皆ほんの一瞬呆気にとられる。

 

 

重光線級は通常、その照射間隔が36秒。

にも関わらず、今地下から突き上げる光条は切れ間なく ― いや、正確には断続的だがその間隔がおよそ瞬きほどの時間しかない。

それから逆算すれば、今地下にはとんでもない数の重光線級がいるはず――

 

 

「AL弾装填急げ!」

「戦術機部隊を下げろっ!」

 

しかし一際巨大な光線が地下から伸び上がった。

 

「な、なんだ!?」

「巨大照射! 重光線級どころじゃありません!!」

 

やや角度をつけ、天空を刺し貫いて掃射されたその光条は。

 

「降下援護の軌道爆撃部隊が!」

「ソ連軍軌道降下部隊通信途絶!!」

「なんだと!?」

 

厚い雲に閉ざされた地上からでは爆光すらも見えず。

その光条の発振源が確実に地上へと近づいて来る――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「軌道上のソ連軍が通信途絶しました!!」

 

後方10km。

篁唯依中尉は山吹の零式強化装備に身を包み、同色の愛機の中でその報を聞いた。

外地とは云え近隣、短期決着を旨に00式も投入。近接戦に秀でる斯衛部隊はハイヴ突入後こそが本分とされ、配下の中隊と共に。

そして後方にいたが故に、遠望する形で現状を把握する事も出来た。

 

重光線級…? いや、なんだ……?

 

先程地の底から天を貫いた光条は、その比では無かった。

ソ連軍軌道降下兵一個連隊及び援護の軌道爆撃艦隊の再突入型駆逐艦、数十隻を数秒で掃射撃滅したというのだ。

 

「映像来ます!」

 

そして衛士達が見る戦術機の情報窓、また野戦指揮所のスクリーンに映し出されたのは――

 

「な……」

 

居並ぶ指揮官級将校連、唯依を含む衛士達は絶句した。

 

なんだあれは…!?

 

 

新種か。巨大種なのは間違いない。全高は100m近いはず。

 

要塞級の装甲脚に似た ― 通常要塞級は1対10本だが、赤黒いそれが4対12本。

 

その上に載る巨大な主体節は汚れた雪の色。それは醜い瘤に覆われ、戦術機の全長をも超える巨大な円柱が3本 ― 放射頭節か。その先端部には重光線級同等と思しき照射レンズが3基ずつ。それらが秘める凄まじい迄の出力を誇示するが如く、既にその頭上には雷光纏う巨大な光線属種積乱雲を発生させている。

 

そして主体節上部両側面には1対6本の翼状の器官、下部には要塞級と同等らしき衝角触腕が1本。

さらに正面の前部副節には左右それぞれに突き出た赤黒い謎の器官 ― 黄色い無数の斑点に覆われている。

 

 

「該当個体情報なしッ、新種です! 光線属種…!?」

「続いて地下から重光線級多数ッ!」

「新種の足下に展開していきます! 中隊…い、いえ、大隊規模!?」

「第二、いえ第一級光線照射危険地帯警報!」

 

指揮所から拡がる混乱、それを嘲笑うかの様に。

あたかも新巨大種に付き従うが如く地から出現した300体近い重光線級が一斉に照射を始めた。

それらは容赦なく、艦隊の支援砲撃を掻い潜って接近するBETA群と相対していた前衛部隊へと突き刺さっていく。至る所で爆光が輝き、溶融した戦術機が頽れた。

 

「馬鹿みたいにいやがるぞ!? 各機乱数回避!」

「避けろったって!」

「高度を上げすぎるな!」

「この距離で関係あるかよ!」

「隊長、隊長――ッ、糞っ、指揮を引き継ぐ!」

「BETA共を盾にしろォ! 突撃級はやり過ごせ、後方へ通達!」

「後ろだって射程内だろ!」

 

回線には前衛部隊の悲鳴が充満し、レーザーに灼かれる衛士の断末魔の叫びが入り混じる。

 

「第404戦術機甲大隊、被害甚大!」

「第17、56大隊半壊!」

「照射間隔が異常です! 20秒切ってます!」

「米軍部隊にも損害が拡大しています!」

 

ちぃっ…!

 

焦燥に歪む唯依の表情。

巨大砲を持つと思しき新種の他に、重光線級の数が多すぎる。

 

まさか先年来光線属種を殆ど見なかったのはこの為だとでも…!?

 

 

軍とて伏撃を予想していなかった訳ではない。

只それを遙かに上回る規模での、しかも新種の巨大光線級らしき物迄。

 

侮るべきではなかった。

電磁投射砲の導入によりBETAの物量に抗することが可能になったと云って。

 

忘れるべきでは無かった。

BETAの総て等、人類は未だ知り尽くしては居ない事を。

 

 

今此処に停まっていた処で、照射が来ればそれで終わりだ。

そして誰かが迂闊に退けば、蟻の一穴になって戦線が崩壊しかねない。

 

やるしかない――!

 

「こちらホワイトファング01、光線級吶喊を進言する!」

「お待ち下さい――」

「――巌谷だ」

「はッ」

 

CPとのやり取りに割り込んできた、旧知の恩人。

 

「征ってくれるか。重光線級の数が多過ぎる、面制圧の為に重金属雲形成を待っていれば戦線が崩壊しかねん。前衛の担当部隊だけでは狩り切れん、但し重光線級共の照射間隔が異常に短い、留意せよ」

「は!」

「あの巨大新種の照射が止まっている…先の大照射からの充填時間だとは思われるが、何もデータが無い。油断するな」

「了解しました!」

 

網膜投影の巌谷とのやり取り、唯依はその間にも手信号で列機に出撃準備を促す。

 

中隊の面々、年若い女子ばかり。

その顔に浮かぶのは戦意、闘志、使命感――そして、恐怖。

 

何時しか勝ち戦に慣れてしまった。今年に入ってからの漸減作戦等では被害らしい被害も出ていない。数年前迄は至極当然だったやもしれぬ戦況ですら焦燥を感じる程に。

 

自ら戦陣に加わられた殿下のお言葉を聞いても、それは拭い様がない――ゆえに。

 

「聞け!」

 

一喝した。

 

 

BETA大戦勃発以降 ― 先人達は異星種共の特性も習性も何も解らない状態で、自らの命を対価にその情報を得て後に遺してくれた。

 

其れが故に、今斯くして、自分たちは奴等と戦えている。

ならば其の我々の使命は、先人の遺志を最大限受け継ぎ――更に自らの命を焼べてでも、後に続く者達へ遺さねばならない。

 

奴等と戦う術を。そして奴等を斃す術と、奴等を滅する覚悟とを。

 

 

短くそれだけを告げた唯依に、巌谷は通信終わりに無言の一瞬。

その視線に込められた「だが死ぬなよ」の意図。

それを奥歯に噛みしめて、唯依は愛機を始動させた。

 

「ホワイトファングス、出るぞ!」

「了解っ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後方、東の空から。

尾を引いて雨霰と降り注ぐ砲弾にミサイルの嵐を、20mを超える巨体の不気味な二足歩行の異星種共がその醜い単眼を光らせては迎撃する。爆発したAL弾により重金属雲が形成されて行くも、光線級ならともかく相手は高出力を誇る重光線級、おまけに発振源の数が多過ぎてその迎撃網の無力化にはまだ遠い。

さらに重光線級の照射間隔はシミュレーターで何度も経験したそれより遙かに短く。

 

どうなってる…!?

 

乗機94式弐型の管制ユニット内、ユウヤ・ブリッジス少尉は同乗するイーニァ・シェスチナ少尉と共に爆進する突撃級群に混じるように後退を続けていた。

 

「重光線級の数が多過ぎる! 照射間隔も短くてタイプ01も迎撃されてるぞ!?」

「99型じゃ射程が足りない! 涼宮、彩峰! ちゃんとついて来なさいよ!」

「りょ、了解っ!」

 

当初A-01は帝国軍左翼の端、米軍部隊に近く編成されていた。

01型砲撃担当で機動力に劣る上、新米の多い第3小隊を真っ先に下げたのは正解だったとはいえ。続いて交代をかける第1・第2小隊含めてもはやこの戦域に安全地帯は存在しない。

そして出現した新巨大種と重光線級群の前方に口を開けたゲートからは、新たに後続の突撃級の集団が次々と姿を現してくる。

 

しかし混乱の最中とはいえ。

流石に世界に冠たる米軍と戦慣れした帝国軍。事前想定通りに複数個中隊の担当部隊は2方向から超低空の高速匍匐飛行で吶喊をかけて――

 

衝角触腕!?

 

ユウヤはその光景に目を疑った。

相対する突撃級要撃級戦車級のBETAの海を泳ぎ切り、新巨大種の足下に群がる重光線級に飛びかからんとした吶喊部隊をそれが襲った。

新巨大種の赤黒い前部副節、そこに存在した無数の黄色い斑点総てから衝角触腕が超高速で伸び出して吶喊部隊へ突き刺さった。その距離1km超、貫かれた吶喊機群の多くは爆発もせず衝角触腕が引き抜かれると力なく荒れ果てた大地へと沈んでいく。

 

「な、なにあれ!?」

「なら腹の下のアレも飾りじゃねえってことか…!」

「…50、くらい…。みぎとひだりそれぞれ」

 

見えたのか、と問おうとして。

わずか不規則な動きをした突撃級を急機動で回避したユウヤはデータリンクと視界に見慣れたイエローとホワイトのType-00部隊を見つけた。攻勢の出足を挫かれて他部隊と同様に離脱をかけていく。

 

「タカムラ中尉!」

「…2き、落ちた」

「くっ…」

 

このままじゃ――!

 

「なにか光ってる!?」

 

速瀬機からの警告に新巨大種を見る、確かに曇天に青白く明滅を始めたのは――主体節前部と翼の如き器官6枚。

 

「なんかヤバいぞ!」

「阻止するぞ! こちらヴァルキリー03、一式弾使用!」

「神宮…、ちぃっ、合わせます!」

「伊隅隊長!?」

「無理ですよ!」

 

先んじて後退をかけていた第3小隊からのコールに、やや後方の99型砲装備の伊隅大尉機が危険を承知で高度を取り――空が光った。

 

「――ぁっ!?」

「なッ!―――……」

「た、隊長!」

「大尉ーっ!」

 

飛び上がった伊隅機は構えていた99型砲ごと右主腕と胸部付近を奪われ、溶融した金属と樹脂が赤く灼熱した断面を見せる。

同じく後方でもヴァルキリー03 ― 神宮司大尉機が被弾したらしく、随伴の榊少尉の悲鳴があがった。

両機とも通信が途絶えて網膜投影の画像も消えた。バイタルロスト。

 

「そ、そんな…っ…」

「馬鹿止まるな涼宮!」

「え…っ、きゃああ!」

 

瞬間呆然と動きを鈍らせた涼宮機、そして何かを察知したのかそれを蹴り飛ばした速瀬機に照射が集中して――頭部からその下あたりまでがごっそりと奪われ力なく落下していく。

 

「速瀬中尉!?」

 

そして大破落下した伊隅機と速瀬機は後続の突撃級群に飲み込まれて後退を続けざるを得ない残余のA-01にはすぐ見えなくなった。

 

「くッ、そ…、スズミヤ、アヤミネ! 後退しろ! ムナカタ中尉、指揮を!」

「ッ……了解した! 全機後退だ、第3小隊、どうなってる! 」

「こちら鎧衣機っ、神宮司大尉のバイタル不明! 管制ユニットは残ってますが…!」

「く…排出できるか?」

「やってますがフレームが歪んで!」

「……、やむを得ん、置いていく」

「そッ……、りょ、了解です…!」

 

通信の間にもゆっくりとだが稼働する新巨大種の3本の放射頭節から3本ずつ、まるでサーチライトが照らすが如く計9本の光条が断続的にほぼ切れ間なく高所から撃ち下ろされる。

そしてその光芒ごとに空を飛び地を駆ける日米の戦術機が溶解され、溶断され、爆発していく。

 

その中で何度目かのどうする、をユウヤが自らに問いかける前に、今度は人類が天空を引き裂いて一際多くの砲弾とミサイルの雨を降らせた。

重金属雲濃度はまだ足りないはず、殲滅より陽動を目的とした時間差砲撃。僅かな時間、新巨大種と重光線級群の照射がそちらへ向かい、蹂躙されていた吶喊部隊が後退をかけ――

 

「――あれは!?」

 

新巨大種がその3本の放射頭節すべてを同一方向へ向けた。

指向するは――東。主体節前面が青白く激しく明滅する。

 

ヤバいぞ!!

 

警告を発する間もなかった。

膨大な光量と共に巨大な閃光が迸り、その斜線上の物体を総て溶解させ吹き飛ばしていく。

主体節上部の翼状器官とその頭上の光線属種積乱雲が禍々しく稲光を発した。

 

「艦隊を狙ったのか!?」

「連合艦隊第2戦隊に直撃!!」

「美濃、大破! 加賀轟沈っ!」

「巡洋艦群過半喪失!」

 

回線に指揮所からの悲鳴のような報告が舞い込む。

新巨大種の照射部位はおよそ80m近辺 ― 重光線級の約4倍。高所からの撃ち下ろしになる分照射可能距離も遠大――

 

「くっ、そ…!」

 

なんにもできないで…!

 

ユウヤは操縦桿を握り締める、しかしデータリンクと視界と意識に再度映るイエローの表示。

さらに1機減じたホワイトの00式を率いる、ユイのゼロ――

 

「――!」

 

管制ユニット内、ユウヤは前席のイーニァの銀の髪を見た。

瞬間、機動中にも関わらずその銀の少女は僅か振り返り。

 

「――いいよ、いこ。ユウヤ」

「イーニァ…」

 

 

守ると決めた少女を、危険に晒す行為だ。

 

だが、妹を――いや、それは関係なく。仲間と決めた人間を。

 

危地にあると知って放置するのは、俺が信じるアメリカ軍人のやることじゃない。

 

 

「すまない…!」

 

でも、ありがとな。

 

満腔の意を込めて。それに応えたイーニァの笑顔は、途方もなく愛らしくて。

 

死ににいくんじゃないぜ…!

 

いつだって生きることを諦めない。

それがアメリカ人の心意気。

 

「ムナカタ中尉、引き続き後退を! 俺は吶喊に参加して時間を稼ぐ!」

「 なに?、……わかった、いいだろう」

「行きがけの駄賃に蹴散らしていく、できればイスミ大尉達の救助を!」

「了解、ただ隊規を忘れるなよ、居候でも隊員だ」

 

突飛な言動で皆を騒がせるもどこか飄々としてつかみ所なく、しかし冷静なムナカタ中尉の真剣な眼差し。彼女とて仲間を思う気持ちは変わらない。それをユウヤは知っていた。

 

 

死力を尽くして任務に当たれ―生ある限り最善を尽くせ―決して犬死にするな

 

それが、イスミ・ヴァルキリーズのモットー。

 

借りた庇が気づけばもうずいぶん長く。

仇討ちにしたくはない、イスミ大尉とハヤセ中尉、ジングウジ大尉の幸運を信じて。

 

 

「了解! ――ユウヤ・ブリッジス、シラヌイ ニガタ 行くぜ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

光線級の照射を受けて熔ける僚機を見るのは2度目だった。

 

「氷川中尉ッ!」

 

艦隊を狙った大照射の前。

本隊と共に104実験小隊もまた後退を続けていたが、新巨大種が多銃身砲が如くに連続照射を始めた初撃で龍浪響少尉機から10mほど離れていただけの氷川機は溶融して爆発した。

 

畜生、また…!

 

「駒木中尉!」

「くッ…!」

「千ど――」

 

反対側の隣、駒木機に照射警報。

予備照射からの僅かな合間に追加装甲を装備した千堂機が割って入り――

 

無理だ!

 

駆け寄りかけていた氷川機の残骸、咄嗟にそこに遺された半溶解した投射砲の銃把をひっ捕まえて構え――

 

「きゃあああ!」

「うおッ!?」

 

光条が掃射へ切り替わり撫で斬るように払われ、響は間一髪投射砲の残骸を盾にして後退をかけた。ほとんど照射が終わっていた故の幸運、しかし予備照射から受けた駒木機は機体前面の耐L蒸散膜は完全に変色し耐熱対弾装甲も灼熱しかけ、程度の差こそあれ千堂機もまた追加装甲は完全に溶解しきって機体にもダメージが入ったようだった。

 

「大丈夫か!?」

「な、なんとか…」

 

やっぱ投射砲が狙われてる!?

 

「糞ッ、レーザーの弾幕が途切れねえ!」

「投射砲装備機が!?」

「撃ち下ろしだ、隠れる場所がない!」

「他の装備小隊はどうなった!」

「た、助けてくれッ! 予備照射…、がぁっ!」

「アミー小隊の投射砲もやられた!」

 

自隊の衛士の無事を確認しつつ、回線を飛び交う悲鳴と現況とで響はその模様を概ね掴んだ。

支援砲撃は続いており重光線級群の照射もその迎撃に大半が空を向き。

その中であの新巨大種の間断ない照射は空と同時に地へと向かっても放たれ、あちこちで爆発の華を開かせている。

 

BETAを引き寄せるとは知っちゃいたが…直に狙ってくんのかよ!?

 

元々右翼端にいた104は本隊中央部を戦術機部隊と共に並行後退する形のBETA群とは距離がある、しかし続々と地下からはBETA群が出現し続けそれらは遠からず前衛の群れに追いつくだろう。しかもその中にはBETA群には通常15%程度含まれるとされる闘士級や兵士級といった小型種が妙に少なく、半数近くに及ぶはずの戦車級もまたやや少ないか。そして速度差から先陣となる突撃級が常より多く、その後には大量の要撃級が続いて来る。

 

湧いてくる編成が…あの重光線級といい、どうなってる!?

 

そして望遠で見はるかせば新巨大種 ― いやその下に侍るかのような重光線級を目標に、光線級吶喊をかけていく部隊が複数。データリンクには開発局で一緒だった斯衛部隊の表示も。

吶喊部隊はすでに1度、遠望するとうようよざわめき気色の悪い動きをする衝角触腕の防御網を突破できず跳ね返されている。

あれじゃ足りない、直感的にそう感じ取った響は回線を開いた。

 

「指揮所、巌谷中佐殿は!」

「――巌谷だ」

「小隊被弾、氷川中尉KIA、他2機損傷!」

「退けるか、一度――!?」

 

その巌谷中佐の応答を遮ったのは巨大な閃光。

もたげられた新巨大種の放射頭節からやや俯角を付けて放たれた極大の照射は乱戦状態の本隊とBETA群の頭上を越えて遙か東へと伸びていき――

 

「連合艦隊第2戦隊に直撃!!」

「美濃、大破! 加賀轟沈っ!」

「巡洋艦群過半喪失!」

 

戦艦ともなればその乗員は1隻2000人を超え。それが一撃で数隻分を海の藻屑に変えられた。

艦隊が壊滅してしまえば支援火力が望めなくなり、戦術機部隊の砲兵力を担う投射砲部隊はあの高所からの照射で狙い撃ちされている。

 

糞ッ…冗談じゃない!

 

「中――」

「――被弾機は自力後退可能か?」

「は、可能です」

「よし、退かせろ、隣接の大隊から吶喊部隊を再抽出する――龍浪」

「はッ!」

「貴様が先頭で斬り込め。巨大種殺しの腕、見せてみろ」

「りょ――了解しました!」

 

まさかのご指名。

ただでさえ乾いていた口中、さらに乾ききったそこにありもしない唾を飲み込んで、響は喉を鳴らした。

 

 

自分は全然特別じゃない、前の戦果だって半分以上運だし一緒に戦ってくれた人のおかげ。

今だって確かに小隊では一番巧いだろうがそれこそ斯衛あたりには自分程度はゴロゴロいるはず、周りの部隊と比べて優位なのも半分くらいは機体のおかげだ。

 

だから恐怖はある。死ぬ確率も高い――いつかと同じか―それ以上に。

 

だが――やんなきゃならねえだろ!

 

 

「聞いたな千堂少尉、駒木中尉を頼む」

「龍浪少尉、私も」

「無理するな、蒸散膜ハゲてんだぞ」

「すまん龍浪…だが単独で先走りすぎるなよ」

 

熱にあぶられたろうに駒木中尉は変わらない、だが千堂少尉――柚香が向けてくる気遣わしげな視線の意味は。

いつだってこいつは俺を心配して、その理由だって解っちゃいる。ついてくるなと言ったって下手したら黙ってついてくる。

 

「心配すんな、柚香。なんたって俺は――」

 

悪名は無名に勝り、虚名だって使いよう。

回線を大きく開いて名乗りを挙げる。

 

「――『巨大種殺し』龍浪少尉、吶喊します! 俺に続け!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

手強い。

それ以前に撃墜を免れたのさえ僥倖と云える。

衝角触腕攻撃に途方もない連続照射。

 

それでも闘気を絶やさぬ唯依は列機を引き連れての低空高G旋回を終え、再度の突撃行。

 

曇天に薄暗く広がる密度不足の重金属雲。

変わらずAL弾は降り注ぐが迎撃されていくそれらの密度は明らかに下がっていた。連合艦隊第2戦隊を喪失したのが響いている。

それに重金属雲が形成されてもあの大出力照射の前にその有効性は限定的だろうし、そもそも新巨大種からの水平射は防ぎようがない。

そして後方では初期遭遇した師団規模と後続のBETA群とが後退に成功した部隊と後衛とで半乱戦状態に突入し、眼下に開いたゲートは今なお新手のBETA群を吐き出し続ける。

 

一刻も早く重光線級を排除して新巨大種を撃滅しなければ――

 

そこで視界右上に映り込む陰――が見えた気がして――逆らわず唯依は右手腕の長刀を振り上げた。重い手応え、寸断されて後方へ飛んで行ったのは――奴の衝角触腕か。

 

運任せかっ…!

 

絶望的な気分になる。

後方では避け損なった隊機がもう1機、さらに落ちた。

 

BETAの動作には殺気がない。

「起こり」を読むにも経験のある要撃級なり要塞級なりが相手ならば多少の予測が付くが、初見の相手に加えてあの触腕の先端速度は恐らく音速を超えている。1本なら相手も出来ようがこう四方八方から攻められては。

 

 

日米合わせて複数方向から計40機程度での吶喊だったものが損耗は既に4割を超え。衝角触腕の防御網を突破した上であの300体に及ぶ重光線級を狩り切るのは――

 

 

その思考が生んだほんの僅かな隙とも呼べぬ隙、唯依の意識と視界の隅を潜るようにして左後方下から1本の触腕が迫り――

 

――しま――…っ

 

「 ― 援護する」

 

後方からの弾雨、36mm。

そこに混ぜられた120mm散弾が衝角に当たって弾き飛ばした。

 

「――中尉!」

 

絶望の戦場に現れた漆黒の処刑者。2刀を提げた黒い00式。

その圧倒的力量故に16大隊をして特例的に単独遊撃権を有する黒の鬼札。

 

「…無謀だ、篁中尉」

「ああ、中尉!」「中尉ぃ!」

 

自分が先任だが敬語はもういい、そう告げたのは何時だったか。気がつけば隊の皆も含めて付き合いは長くなってきた。

故にか回線には隊機からの安堵の声が響くも、黒の衛士の常通りの無機的に冷静な声には ― ごく僅かに、焦りの色か。

 

九死に一生を得た唯依はその速度を減じないまま列機を引き連れ退避経路へ、重光線級群の前方に陣取る要撃級群へ紛れ込む。

一方の黒は増速して直進、迎え撃つ衝角触腕数本を両主腕の2刀を風車の如く回転させて弾き飛ばした。

 

あんな使い方が――!?

 

連続長時間の高速使用は無理だが確かに戦術機の手首は360度回転する。

そうして退路を稼ぎ出した黒い00式と共に、唯依は錐揉み低空飛行しながら襲い来た要撃級の人面めいた尾節を斬り飛ばし新巨大種の前面副節衝角触腕の射程から逃れた。

 

「すまん助かった、だが巨大照射の合間の今が…! なにか手は無いか、中尉」

「………奴は俺も知らない…」

「――え?」

「…概ね見えては来た…が…、手が足りない」

 

網膜投影の回線越しながら彼がちらと中隊の様子を伺ったのが判る。

周囲の要撃級を避けつつ追尾してくる隊機は既に4機落とされ、戦力減は否めない。まして吶喊参加の他部隊の損耗率は自隊以上。

 

足下に無数の砲台の如くに侍る重光線級を排除せねば、残余の艦砲なり01型砲なりで狙撃する事も儘ならない。

しかし光線級吶喊で排除するには新巨大種の衝角触腕の防御網を突破せねばならない――

 

「タカムラ中尉!」

「ブリッジスか!?」

「こちら帝国陸軍開発局104実験小隊! 協力中隊と合同して吶喊に参加します!」

「…龍浪、少尉か」

 

データリンクと回線に接続される友軍機群。

低空で接近する弐型、そして地を征く弐型に追随する部隊。さらに1中隊程度乍ら米軍からも支援部隊。これで数の上では再び大隊近く迄には揃い、しかし無策ではまた。

 

そこへ通信――

 

「篁中尉、巌谷だ」

「は!」

 

強化装備――?

 

網膜投影の通信窓、開いて見えた巌谷の顔には軽装の面頬めいた強化装備の頬当て。

 

「こちらで血路を開く。貴様等はその後に斬り込め――頼んだぞ」

「!? ちゅ、中佐!?」

 

一方的に通信は切れ。

BETA群の合間で逡巡する間もなく、唯依が至近の要撃級の衝角前腕を回避した時データリンクが方々から接近してくる帝国軍機 ― 計8機の77式 ― の信号を捉えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それが役目とはいえ。

若者ばかりを死地に送り込むのは到底本意ではない。

 

ここが己の使い時だろう、巌谷榮二は独り決意していた。

 

 

「中佐殿、何を…! お待ち下さい!」

「なに、心配するな。ちょっと行ってぶつけるだけだ」

 

焦燥の唯依の表情に、巌谷はその向う疵の刻まれた強面を緩めた。

 

 

これ以上の戦力減はハイヴ攻略に響く。

そしてその後の展開にも。

 

この場での撤退は許されない。ハイヴ攻略失敗等は以ての外。

初の御親征に泥を塗ることなど出来ず。殿下の求心力低下はこの先の帝国の行く末に重大な悪影響を及ぼすだろう。

まして多大な犠牲を払ってこぎ着けた日米合同作戦、ここでの頓挫は致命的になる。前衛総てに後衛を加えてすり潰す覚悟なら、あの新巨大種も殲滅できよう。虎の子の新兵器01型大型電磁投射砲は、糾合すればまだ3門残っている。

しかしそれではハイヴ攻略自体と、その後の極東地域の力の均衡に問題が生じる。

だが作戦が成功しさえすれば――当面暫くでもこの地域は平穏を手に入れられる筈。

 

 

長刀を下ろした兵装担架には2発の「花火」。

両主腕も空、推進剤も片道分で良かった。

 

見送り等いいと言い置いたのに、離陸時には整備兵たちと副官とが敬礼していた。指揮所にも照射が来ない保証はないと云うのに。

 

 

「中佐殿!」

「俺は地獄行きで祐唯には会えそうにないんでな、伝言は受けかねる。唯依ちゃんはあいつの墓前に孫の顔を見せてからにしてくれよ」

「そんな――…叔父様!」

 

久方振りに聞いた呼び方。

後見役として、父親紛いとして大したこともしてやれなかったが。親友の娘と…そして、息子と。僅かとはいえ同じ時間を持てたことは、大事な人間を作って来なかった野暮な男としては望外の喜びだった。

 

 

飛び立つと何も言わぬのに勝手に集まってきた連中がいた。

久し振りに逢う昔馴染みの死に損ない連。中には己と同じく教官職やらで一線を退いた者もいた筈ながら、改修となった77式同様いくさ場が忘れられなくて出てきた口か。

 

連中は戦場を大きく迂回する巌谷とは別れ、大概が左右主腕に2枚の追加装甲を抱えて。

壮年を過ぎた太い男性衛士の声が響いた。

 

「巌谷ァ、先に逝くぞ! 露払いは任せとけ!」

 

老練極まる機動でBETAの海を渡り切り、散開した老兵達は重光線級群の前であろうことか思い切り高度を上げた。

途端撃ち上げられて来る絶死の光芒を誘い、引きつけ、受け、往なし、往なし損ねて――

 

「ぐぉッ…! ぐ、ハハっ……、じゃあな!」

 

巨大な閃光と化した。続いて二つ、三つと同じ火球が戦域に生じる。

そしてその衝撃波に乗るようにして生残の老兵達はさらにBETA陣深くへ肉薄し、新巨大種の衝角触腕防御網へ突入した。

高速で多方向から襲うそれらに為す術なく、いや勘だけで弾き、流し、各所を貫かれ斬り飛ばされて、なお――

 

「ッ、ぐぅ…っ…、へへっ、お先に!」

「ああ死んじまえ馬鹿野郎、すぐに行く」

「糞ッ目をやられた、敵はBETAはどっちだァ!」

「目の前だ! ちょい左――ぐわっ!」

「なッ、おいっ…こンの野郎――!」

 

そして雪交じりの曇天に七つ目の火球が新巨大種の巨体を浮かび上がらせた時、巌谷はその後背に迫っていた。

 

すまん ―― だが、長くはかからん!

 

生物学的嫌悪感を催させるその異形、薄汚れた雪の色の主体節は無数の瘤に覆われ無防備なその姿を、

 

――!!

 

超高速で突き出されたのは隠し持たれた中型の衝角触腕、しかしその程度は。

 

「読んでおったわ――ッぐおッ!?」

 

早業で抜き放っておいた短刀で ― あの時は長刀だったが ― 胸部を防禦、しかし衝角の威力は到底殺しきれず乗機77式の右脇を刮げ剃る様に貫かれた。

管制ユニット内までも右側から削り取られ、貫通してきた一抱え以上ある太さの触腕に巌谷の右腕はコネクトシート諸共引き千切られた。

 

「ぐっ…うう…ッ!」

 

突撃級に跳ね飛ばされたが如き衝撃と痛み、巌谷は歯を食い縛るも貫かれた77式の動力は落ち。緑に発光する主眼もその光を滅した。

 

なん、の――、貴様、の、

 

77式の残された左腕が力尽きたように垂れ下がり、保持した短刀も落下していき。その機体を貫き宙に支えていた衝角触腕が無造作に引き抜かれた。

 

相手、は――、まだ――

 

即座に重力に引かれて落下を始める大破した77式、その計器類も消えた管制ユニットの中。

 

「――生きておるわッ!!」

 

口角血泡を飛ばして咆哮し、残る左腕一本で操縦桿を握り締めペダルを踏み込んだ。そしてそれに応えたかのように沈黙したはずの主機が再起動、77式の跳躍機FE-79が絶叫して紅い炎を吐き出し瞬間剛速を得た機体は弾丸と化して新巨大種の広い主体節背部へ激突した。

 

「ぐぉっ!」

 

凄まじい衝撃、伸ばした左腕から突っ込んだ形の77式は異星種のその異形の体にめり込み、保護機能も半ば死んでいたゆえかその衝撃に巌谷はシートから放り出されて管制ユニット内壁に叩きつけられ血の跡を引いて落下した。

 

「ぐ…っ、う…」

 

シート脇、血まみれの巌谷は残された左腕をコントロールパネルについて身を起こす。

貫かれ撃ち破られた管制ユニットと装甲の向こうに覗くは重い曇天を背にした新巨大種のそそり立つ3本の放射頭節。

それらはついに充填を終えたのかその先端に白く目映い光芒を蓄え、1対6本の翼状器官は青い稲光を発していた――が。

 

間に合った。

 

刹那視界に映り込む、此方へ向かう衝角触腕。

 

しかしもう。まさに破顔一笑、巌谷は咲って。

 

「――遅かったな!」

 

倒れ込むまま、その身体で淡く発光する「SDS」ボタンを押し込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

巨大な爆光が拡がった。新巨大種の巨体は爆炎と爆煙に包まれ。

小型核にすら匹敵する、S-11その3発分。

 

その爆風と衝撃波に煽られる乗機山吹の00式、しかし見開いた眼から流れ落ちた涙を拭う間もなく唯依は叫んだ。

 

「――突撃!!」

「了解ッ!」

 

迅速に反応した列機を率い並み居る要撃級の群れを回避、一直線に重光線級へ向かう。

中佐殿のS-11は新巨大種の主体節上での爆発ゆえその巨体が傘になってその下迄は破壊が及ばなかった、その中へ唯依は憎しみと怒りと哀しみがない交ぜに成った心を闘気に換えて斬り込んだ。

 

「蹂躙せよ! 一匹も生かして帰すなッ!」

 

翻る長刀が戦術機とほぼ等しい全高の重光線級その人体めいた片脚を斬り飛ばし、返す刃で倒れ込みかけたその巨大な単眼を閉じかけた保護皮膜ごと寸断する。

重光線級は単体の防御力も高く、死留めるのに手間がかかる――

 

「ッ!」

 

刹那頭上に感じた陰、振り上げた長刀に重い手応え。間一髪弾いたのは――衝角触腕!?

 

「まだ生きて――!」

 

重光線級の群れに躍り込んだ吶喊部隊、それを頭上から襲う死の触手。

動きの遅い重光線級を盾にするように回避機動、距離は100m程向こう、見上げた唯依には ― 3本の放射頭節総てを吹き飛ばされ主体節上部を抉られ喪失しながらもまだ屹立し、3分の1程度は失ったものの残る前部副節の触腕を蠢かせる新巨大種。

 

しかも周囲に林立する重光線級は自らを薙ぎ倒し始めた吶喊部隊にはまるで頓着せず、突入により支援砲撃が止まったのを好機とばかりに東方の本隊へと向かってその光芒を吐き出し始めた。

その照射は長くしかし間隔は短く、21mの単眼高から撃ち下ろされる光線は30km先の戦術機すらも狙い撃つ。

 

「く…! 怯むな!」

 

退けば後はない。

殺し間迄接近できたこの機会、中佐殿が命を賭して作り出したこの間合い。

退いて支援砲撃に託そうにも重金属雲濃度が足りない。BETAの湧出も止まりつつあり重光線級相手に遮蔽無しでの再突撃はさらに困難になる。

 

血刀を振るって次々に重光線級を斬り倒す唯依の山吹の00式、続く隊機に協力部隊。

しかし剰えBETA共の数は多く、遠間からの36mmが大して効かない重光線級相手に米軍部隊の効率が上がらないうえ頭上からは衝角触腕が不意に襲い来るとあっては――

 

不味い展開だっ、……ッ、あれは!?

 

3度目の適当に狙われたと思しき触腕を弾き返した時、前方にそびえ立ち人類を睥睨するが如き新巨大種、その主体節左右の前部副節の間に不規則に明滅する部位を見た。

 

「――反応炉!?」

「……のように見えるな」

 

気づけば背後を守ってくれていたのか黒の衛士が。

そしてその新巨大種の明滅に呼応するが如く矢継ぎ早に死の光条を放つ重光線級共。

 

「…01型砲は」

「もう少しこいつらを減らさねば、な!」

「……狩りを続けてくれ。上は俺が抑える。120秒」

「単機でか!? 無理だ!」

「……他に手はない」

 

襲い来る触腕など歯牙にも掛けないように。

ごく自然に中隊と隊伍を組んでいた黒の00式がするりと上昇した。

 

「…装甲展開…出力制御装置解除…強制冷却開始…XM3通常駆動停止…」

 

漆黒の装甲、その両肩・主腕・膝部から下が僅かに開き。

跳躍機からの噴射炎がその大きさを増した。 

 

「…入力予測演算停止…演算能力強制上昇…全出力を強化装備へ…」

 

橙に光る00式C型各所の発光部、その総てが明滅し。

 

「…感覚欺瞞上限解除…加速剤最大投与…ッ!」

 

見開かれた無機 ―― 否、昏い憎悪と憤怒の炎が燃える瞳。

 

その両の眦から鮮血が滑り落ち。

 

「XM3・コード1211…起動!」

 

漆黒の鬼神の眼もまた、紅い閃光を発した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ご感想・評価下さる方々ありがとうございます
とっても励みになります

ちょっと長くなりそうなので分けましたー

いや、続きはまだ出来てないですけどw
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