Fate/Accelerate night:間桐慎二のサーヴァント   作:倉之助

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 ー現在までの状況報告ー

 藤丸立香(ぐだ子)
 オルレアンの微小特異点の探索に向かったところ、レイシフト事故が起こり2004年の冬木の地に落下した。
 落下地点がちょうど間桐慎二が英霊召喚を行っていた魔法陣の上だったため、サーヴァントに勘違いされる。
 その後、冬木の聖杯が泥に犯されておりサーヴァントが1騎でも脱落すると、聖杯の中のこの世全ての悪が世界を飲み込み人類は滅亡するというカルデアの仮説に従い第五次聖杯戦争の停止を目指す。
 参加資格を持たない上に、ねじ込めたとしても一般枠の魔術師では発言力が足りないと考え、マーリンの英雄作成によって英霊に偽装。
 慎二にはマスターという虚偽のクラスを、他のサーヴァントにはルーラーのクラスを偽称する。

 間桐慎二
 魔術師を諦めきれず、聖杯戦争に出場して勝ち抜けば間桐臓硯に後継者として認められると考え英霊召喚を行う。
 当然召喚できなかったのだがタイミングよくレイシフトしてきたぐだ子が魔法陣の上に落ちてきたため成功したと思い込む。
 サーヴァントを召喚したにもかかわらず令呪を得ていないことや、聖杯から情報を得られていない様子のぐだ子など不信な点に気がついているが、無意識的に目をそらしている。
 間桐の家から脱出するために間桐のコネを使いまくり、自らの陣地として家(かなり大きい)を買いそれを拠点とする。

 セイバー…アルトリア・ペンドラゴン
 ルーラーを名乗るぐだ子に不信感を抱く。
 聖杯に異常があると認められないが…?
 アーチャー…エミヤ
 ぐだ子にラタトゥイユのレシピを教える。
 キャスター…クーフーリン
 槍を持っていないため衛宮士郎を撲殺するも失敗。
 バーサーカー…ヘラクレス
 ライダー…??
 ランサー…??
 アサシン…??


二日目
イレギュラー


 レイシフトから一週間経った。まだ状況は動かない。

 朝、いつものようにテレビをつける。懐かしいブラウン管テレビだ。私が小学生の頃までこの型だった気がする。懐かしいな、とリモコンを操作するたびに思う。

 地デジの超薄型テレビの存在を知っているせいか、この分厚さがレトロを感じてならない。画質が悪いテレビのチャンネルを、朝ごはんのワカメとお麩の味噌汁をかき混ぜながら回す。混ぜると回すをかけているのは偶然だ、ダジャレじゃない。

 ちなみに、私は朝は米派なのだが、慎二はパン派だった。これは軽く戦争が起きて、熾烈な舌戦を繰り広げた。結局、月、水、金曜が朝は朝は米で、火、木、土曜がパンになった。日曜はそれぞれ好きなものを食べると言うことで決まったが、慎二は料理ができないので毎回米になっている。トースターすら使えないポンコツに呆れればいいのかどうかわからない。

 テレビに映る美人ニュースキャスターがニュースを読み上げている。ほのぼのする動物ニュースから株価の変動、殺人事件に事故と画面の向こうは騒がしい。また野菜の値段が上がるようだ。

 

「ガス漏れ事故に失踪事件?」

 

 ガス漏れは新都のオフィス街で相次いでいるらしく、集団失踪は未だ調査中と濁された。なぜか、その二つがやけに引っかかった。

 

 

 まだ、聖杯戦争が始まる前の前日譚(プロローグ)

 

 

***

 

 

 

 聖杯戦争一日目終了。

 ボロボロになって帰宅した私を待っていたのは、リビングのテーブルに座る私のサーヴァントと、マスター(仮)の間桐慎二だった。

 

 「ただいま、慎二。」

 「おかえり。」

 

 ぶっきらぼうに、小声で私の帰宅にたいする返事を述べた慎二は、「それで?」と不機嫌そうに言葉を投げた。大方、礼装まで着てやる気満々だったのに、活躍の場が無かったことに不貞腐れているのだろう。

 私は何も気がつかないふりをして、へらりと笑う。

 

 「結果は上々…かな?

 私のクラス、ルーラーってことになっちゃったけど。」

 「サーヴァントを使役するってことはバレてないよね?」

 「バレてないよ。ね、エルキドゥ。」

 「そうだね、マスター。」

 

 ついさっき、終わったばかりの戦闘を思い出して「はぁ…。」と重たいため息が飛び出る。

 普段後衛のサポート役が前衛として戦う日が来ようとは。

 サーヴァントを呼び出せていれば死にかけることもなかったよなぁ、なんて本末転倒なことを考えては、乾いた笑いが飛び出る。

 どうせ、24時間ストーカー(マーリン)の現在視で実況されていたのだろう。ジト目でマーリンを見れば、いつもの食えない笑顔で微笑み返された。

 

 「入れば?」

 

 慎二が顎をしゃくって浴槽を指す。私は遠慮せず、「そうするよ。」といって風呂場に向かう。礼装を脱いで、肌着を洗濯機に放り込む。概念礼装は端末に回収させた。

 シャワーを浴びて、土ぼこりで汚れた髪を念入りに洗う。茶色の泡が排水口に流れていく。

 

「ふぁぁぁ〜」

 

 湯船いっぱいのお湯に浸って、手足を伸ばした。大きな浴槽は私が3人入っても余裕なほどの面積を誇る。

 カルデアはユニットバスだったから、こんな風に両手足を伸ばして浴槽に入るのは久しぶりだ。

 日本人はお風呂に入る時が生きていると実感できるというのは本当だったか。

 

 「あー、生きてる。」

 

 張りつめられていた緊張が解けて、ようやく、聖杯戦争に参加しているという実感が湧いた。マーリンの英雄作成(Lv10)の威力はとんでもないな、と改めて思う。

 私のような一般人がサーヴァントに、それもセイバーのアルトリアと戦えるレベルまで昇華させられるとは。さすが死後は冠位(グランド)が確定している魔術師(キャスター)だ。

 

 「私がサーヴァントねぇ。」

 

 一般人だけど。と脳内で補填する。ほんの少し手を握りこむだけで、それなりに硬いバスボムが砕け散る。破片がお湯に落ちて、しゅわしゅわと泡をたてる。手のひらについた破片をお湯でチャプチャプと濯ぐと手のひらからも泡が沸く。

 肉体スペックが上昇している。でも、やっぱり英霊(ほんもの)には程遠い。アルトリアにはバレただろうか?彼女の直感スキルは馬鹿にできない。未来予知じみた直感は、身内ならば頼もしいが敵ならば何よりも恐ろしい。

 それに私には、宝具になりうるものがない。できることはせいぜいサーヴァントの影召喚ぐらいで、それも魔術師がみたら失笑物の不完全な召喚。

 サーヴァントを驕ったものの、いったいどれだけ騙し抜けるか。

 

「あーあ。」

 

 ベディもおんなじ気持ちだったのかな。私みたいに、自分の正体がバレることが恐ろしいと思ったのかな。それとも、アルトリアのことで頭がいっぱいでそこまで気が回らなかったのかな。

 だが、それでも彼は英雄だ。第六特異点を駆け抜けた英雄なのだ。聖剣の返還の儀という儀式を貫き通し、人理を救った英雄だ。

 私は、何もない。いつも後方支援ばかりで、自分で戦うことなんて今までなかった。だからだろう。初めて行う前線戦闘が怖いなんて、思ってしまう。

 

 「ゲーティアの時は、大丈夫だったんだけどなぁ。」

 

 私の宿敵、私の運命。彼と殴り合った時はこんなにも恐ろしいとは思わなかった。いっそ清々しいまでに彼に拳をふるえたのに。

 あの時、私の中にあった感情はなんだったっけ?

 怒りはなかった。彼は彼の思う最善に従って行動していた。それが、私たち人類と相入れなかったというだけで、彼を滅ぼしたことを間違っているとは思わない。

 恨みもないと言ったら嘘になる。切ないまでの心の穴はあった。

 きっと一生色褪せることなんてない、記憶の中にある真っ白な玉座を思い出す。時間神殿。ソロモンの指輪。第三宝具。一度死んでしまったマシュと、墓標のように聳え立つ十字盾。

 

 『さあ、いってらっしゃい立香。』

 

 光の粒になって、消えてしまう、私の、私たちの大切な人。

 ロマ二を失ったあの日を思い出してお湯の中に潜った。

 

 「(馬鹿か、藤丸立香。お前に感傷に浸る暇はない。)」

 

 ほんと、私ってうざい女だなぁ。未練ったらしくてありゃしない。

 ロマニなら、ロマンだったら、ドクターなら。私はそればっかりだ。通信機にうつるホログラムに、彼の姿を探している。

 ドクターを失って悲しいのはみんな同じなのに、被害者面して悲観する自分が大っ嫌い。きっと一番悲しいのはきっとマシュで。ロマンのそばで支え続けていたカルデア職員全員で。 もしかしたら、ダヴィンチちゃんかもしれない。

 一度は彼を疑った私が悲劇のヒロイン気取って、彼の不在を嘆く資格はない。

 

 「……。」

 

 どぷんと水面に潜る。浴槽の中で膝を抱え込んで、プクプクと浮く水泡を眺めた。

 レムナントオーダーが始まってもう随分たつのに、ロマ二の影を追い続けて、それに縋る自分が嫌い。

 浮き上がって、目元を手の甲でおざなりに拭った。ばちん、と両頬を挟むように叩いた。

 

 「しっかりしろ。今の私は、間桐慎二のサーヴァントでしょ。」

 

 ぎゅうっと目を瞑って、慎二の顔を思い浮かべた。美形だと思う。でも内面が顔に出ているせいで美形成分が半減どころか70パーセントぐらい削れてる。具体的に言うと小物くさい。

 黙っていればロビンとは方向性が違うタレ目イケメン。だけど天然パーマの癖が強すぎるのでワカメ感があるけど。

 すぐに調子に乗るし、自慢話はめんどくさい。でも、自慢するに足る知識は持っている。と、思う。

 捻くれているようで中身は真っ直ぐ。今は変な方向に迷走してるけど。

 うん、改めて思う。

 

 「(いい奴、なんだよね。)」

 

 だから、今の私がしてることは正しいことなのかと不安になる。騙していることが後ろめたい。

 私が本当のサーヴァントで、慎二が本当に私のマスターだったらこんなに心苦しくないのだろうか。どうせ、一晩経てば蘇る令呪だ。一画ぐらい譲渡できたらいいのに。

 

 「(なんて、ね。)」

 

 ゆっくりと、目を開ける。湯けむりでぼやけた視界はぼんやりとしてよく見えない。

 ふと、水面に映る自分と目があった。似ても似つかない自分の顔が、一瞬通信機越しに映るホログラムのロマ二に見えて、わざと水面を叩いてそれを壊した。

 ねぇ、ドクター。なんで消えちゃったの? あなたの手袋の下の秘密を、ほんの少し前に教えてくれていたら、結末は違ったのだろうか。

 「立香ちゃん」と名前を呼んでほしい。気の抜けるような微笑みを浮かべて、「おかえり」といってほしい。

 たったそれだけがあれば、どんな戦いでも乗り切れたのに。

 どぽん。私は自分の思考を振り払うように水中に潜った。目を閉じても浮かぶのは残酷なまでに輝かしい2016年。

 私は、いつまでもあの日々に囚われている。

 

 ■■■

 

 気がついたら浴槽で寝落ちていて。目が覚めたのは風呂に入ってから一時間以上たっていた。

 

 「おそい。」

 「ごめんごめん、長湯しちゃった。」

 

 はは、と軽く笑ってリビングの椅子に座る。時計の針はもうとっくに12時を回っていた。熱がぐるぐると体の中を巡っているような感覚。のぼせているせいで、思考がふわふわといろんなところへ飛んでいる。

 

 「ま、僕は一番風呂入ったからいいけど。

 ほら、これ。テイクアウトもらってきてやったぞ。」

 「え! やった、ありがとう慎二!」

 

 視点を落とせば、テーブルにはいくつものタッパーが並べられている。これらは全て泰山の料理だったか。

 

 「ちゃんと頭乾かしなよ。風邪引くだろ。」

 「だいたい乾いてるからいいの。」

 

 今の、なんか懐かしい、かも。いつかマシュとした会話に似ていて笑った。

 

 「マスター、ここに座ってくださいまし。私が御髪を乾かして差し上げます。」

 「だいじょーぶだって!ありがとう清姫。」

 

 ほんの少しだけ、感傷に浸る。

 それを誤魔化すように、ぐしゃぐしゃと首にかけていたスポーツタオル越しに頭をかき混ぜる。

 ここに着てから私はなんか変だ。ちょっとした言葉すら私の心に突き刺さる。些細なことに誰かの面影を探してしまう。

 

 「(乗り越えた、つもりだったんだけどなぁ。)」

 

 喪失という心の隙間は、あまりにも大きかった。

 

 「(気持ちを切り替えろ、私。)」

 

 先ほどの戦闘に意識を戻す。向かい合ってわかった。やはり、サーヴァントの説得は無理だ。

 皆一様に決意と願いを秘めていた。誰一人として引く気はないだろう。

 

 「ところでさ、私がさっき言った言葉、効果あると思う?」

 

 私が言っているのはもちろん、初日の戦闘のことである。

 答えがわかりきった質問に、マーリンはご丁寧に「ないんじゃないかな。」と答えた。

 

 「やっぱり、そうだよね。

 バーサーカーのマスターとか、イケそうな気がしたんだけどな。」

 「それこそあり得ないですよマスター。

 アインツベルンは聖杯を作った家だ。

 聖杯の欠陥なんて信じるわけがない。」

 

 ロビンフッドが肩をすくめる。

 

 「サーヴァントの説得も無理、マスターの説得も無理。

 一騎も脱落させずにって、相当無理難題なんじゃないかな?」

 

 エルキドゥまであははと笑って、そんな言葉を口にする。今日はどうにかなったわけだが、明日からどうなるのだろうか。

 

 「あのさぁ、肝心なこと忘れてない?」

 

 やれやれ、と言いたげに慎二は肩をすくめた。慎二の疑問の声は悲観的な状況を変えるには丁度いいタイミングで、私はそれに乗っかるように「肝心なことって? 」とさらに疑問を投げかけた。

 

 「聖杯戦争で最も大切な要素……そう、真名さ。

 結局、他の陣営のサーヴァントの真名はわかったわけ?

 真名看破の自己申告は嘘?」

 「ああ、それは大丈夫。あの場にいたサーヴァントは全員わかったよ。」

 

 言葉で説明するよりも文字に起こした方が早いと判断した私は、スリッパをパタパタ鳴らしてホワイトボードの元に歩いていく。キュポ、とペンのキャップを外して、ホワイトボードの空欄に新たに情報を書き足した。

 

 セイバー…アーサー王

 キャスター…クー・フーリン

 バーサーカー…ヘラクレス

 アーチャー…エミヤ

 

 「…ビッグネームばっかりだね。」

 

 私をちらりと見てから、慎二がため息混じりに言葉をこぼす。それがやたらと嫌味ったらしく聞こえた。

 

 「でも、まぁそれだけ有名なら対策も立てられるか。

 クーフーリンにはゲッシュだな。犬食わせる?」

 

 おいばかやめろ。そんなことしたら絶対に仲間になってくれないだろ、と激しいツッコミを心のうちに留めつつ、「それはやめておこうよ。」と慎二に告げる。

 キャスニキの願いはなんだろうか。キャスニキのことだから、血湧き肉躍る戦いがしたい、とか?ケルト系列は大体血の気が多い。

 …槍あげたら協力してくれたりしないかな。

 

 「…王の、願いはなんなのだろうか。」

 

 ランスロットが、呟いた。思いつめた声に気不味くなって、不自然に目をそらした。

 

 「お腹いっぱいご飯食べたいとか? 」

 「さすがに、それは……。」

 「うん、ないよね。私も知りたいよ。」

 

 重々しい沈黙がリビングに広がる。誰も、何も言えなかった。きっとそれは、アルトリアという存在をこの場にいる全員、よく知っているからだろう。

 だって、カルデアにはX系を除けば8人のアルトリアがいるのだから。X系を含めれば10人だ。別の意味で沈黙が重い。

 

 「ねぇ、寝る前にさ。誰か報告はある?」

 

 苦し紛れに小首を傾げて問うと、燕青が小さく手を挙げた。

 

 「あるぜ、主。とびっきりのニュースだ。」

 

 燕青がニタリと笑う。

 実は、な?と前置きをしつつ一言。彼の一言はまさにとびきりのニュースだ。

 

 「キャスターの陣地がわかった!?」

 「まあ、おそらくだけどなぁ。」

 

 燕青が地図をテーブルに広げる。キュポン、と赤いマジックペンの蓋を開けて、キュ、キュキュッと数カ所に印をつけた。そのうちの一つを蓋を閉じたペンでトントンと叩いて、言葉を続ける。

 

 「ここは結界が張られている場所だ。そんで、最も強力だったのはここ、柳洞寺。

 俺は魔術的なことはよくわからんが、これは少し異常だ、現代の魔術師が展開できるとは思えないね。」

 「魔術師(キャスター)ですわね。」

 

 昨日の帰りに見つけたんだぜ、と燕青は得意げに笑う。清姫が確信めいた様子で頷いた。

 お手柄だよ!と私が褒めると、燕青は「いやぁ、照れるねぇ。」と頬を赤らめることなく飄々と笑った。

 

「ですが、まだサーヴァントと決まったわけではないでしょう。調べる必要があります。」

 

 ランスロットの言葉になるほど、と納得した。たしかに、私が知らないだけでサーヴァントに対抗できるほど優秀な魔術師がいるかもしれないのか。高確率でキャスターだとしても、残り数パーセントの確率で生きてる魔術師なのかもしれないのか。

 

 「まあ、セイバーの彼のいう通り、裏付けをする必要はあるね。」

 

 エルキドゥがにこりと笑った。『これがもしサーヴァントじゃなければ封印指定だろうね。』と通信機の向こうでダヴィンチちゃんも冗談めかして笑った。

 

 「裏付けなら俺がやっときますよ、マスター。」

 「本当?ありがとう、ロビン。」

 「ふぁ、終わり?なら寝てもいい?」

 

 慎二は欠伸を噛み殺しながら、コーヒーを飲んだ。

 そんなに寝たいなら寝ればいいじゃん。少しムッとしつつ、たしかにこれで解散なので「マスターが寝たいならどうぞ?」と嫌味ったらしく言い放ち、「ところでさぁ」と話を変えた。

 

 「ねぇロビン、裏付けとるのにどれぐらいかかりそう?」

 「夜明けまでには集めますよ。ツテはそれなりにあるんで。」

 

 ホストのことを言っているのだろうか。ランスロットを見ながら「ねぇ?」と一言だけ言って、ロビンはマントで口元を隠した。

 

 「じゃあ、明日の朝七時にもう一度会議するのでいい?」

 「じゅーぶん。」

 「じゃあ、解散!」

 

 私の号令でサーヴァントは一気に霊体化し、私と慎二は自室に向かう。

 

 「朝、ちゃんと起こせよな。」

 「自分で起きなよ。」

 

 おやすみの代わりに軽い言葉の応酬をしてから、慎二はひらりと手を振って部屋に入っていった。続いて、私も部屋に入る。真っ暗な部屋だ。でも、月明かりと外からのきらびやかな光に照らされて少しは足元が見える。松明の光の中歩くことに慣れてしまってからは、これぐらい明るければ歩けるようになった。

 電気をつけないままベッドまで歩く。スリッパを脱いで布団に潜り込めば、どうっと、一気に疲れが襲ってくる。

 睡眠欲という本能に押しつぶされつつも、わずかに残る理性で目覚まし時計をセットする。瞬間、意識が落ちた。

 私、疲れてるなぁ。と沈みゆく意識の底で他人事のように考えながら。

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