エヴァの映画も3回目行って来ました(新カットと特典目当て)
勢いに任せての続きです。
「目が覚めて良かったわ」
「心配して頂いてありがとうございます」
ミサトとは病院の待合所にて合流した。
既にシンジの退院手続きはリツコが行ってくれていた。
目覚めてから異常も見られなかったから医師からの許可もすんなり降りた。
学生服に着替え、ミサトの到着を待っていた訳だ。
「改めてリツコさんもありがとうございます」
「気にしないで。こっちも楽しい時間を過ごせたから」
『赤木リツコ』からの情報を伝えてある。
これから実践に移すらしい。
それにより協力関係を結び、勿論の事ながら『平行世界』の話は一時他言無用となった。
人の口に戸はたてられないとは言ったものだ。
真実を知る人間は少ない方が露呈する可能性はグッと下がる。
ましてや、この案件は下手をすれば他の人さえ巻き込みかねない。
リツコに関してはシンジのうっかりもあり、辿り着くのなら仲間になって貰うのが得策であっただけだ。
仮にシンジが口を滑らせていなかったとして、リツコはその内に違和感を抱いて追求していたのは間違いない。
早いか遅いか、たったそれだけの違いだ。
「リツコと随分と仲良くなったのね」
「ええ。彼と話す時間はかなり有意義だったもの」
「そこまで言うなんて、シンジ君との会話の内容が気になるわね」
リツコとミサトはかなりレベルの高い大学を出ている。
NERVにて技術課で責任者を任せられるリツコの聡明さは疑う余地もない。
そんな彼女が「有意義な時間を過ごせた」と言ったのだ。
中学生のシンジとどのようにして話が合ったのかが気になってしまう。
「シンジ君は碇司令の息子とは思えない位に社交性はあるし、知識も中学生よりかはあるからかしらね」
「うーん、それだけかな?」
付き合いが長く、リツコの言葉が全て真実であるとは思えずに疑わしく思うミサト。
思えばミサトはシンジを勘だけで見付けてしまえるのだ。
彼女ならそれだけで辿り着けてしまいそうである。
「話してみればシンジ君がどれだけ大人びているのか分かるわ。会話するのは本当に楽しいのだから」
「まあ、中学生らしからぬ事を言うのは同意するわ。はっちゃけると、からかってくることもね」
リツコの説明を受けて納得する様子をみせた。
NERVで迷子になった時にシンジにはからかわれた事を思い出したらしい。
「それにしても丁度良いから伝えておくわ。2人には後でNERVへ来て貰いたかったから」
「NERVへ? 何をしに?」
「今後のシンジ君の処遇についてね。ミサトもシンジ君の監督をする事になるのだから付いてきて頂戴」
「えっ、待ってください。ミサトさんが監督って…………もしかしてですけれど、ミサトさんの家に住む事になっているのですか?」
「そうよ~。中学生を1人で住まわせる訳にはいかないから」
『平行世界』において『碇シンジ』は『アスカ』と共に『葛城ミサト』と同居している。
彼女のズボラさはイヤと言う程に理解させられている。
チラリとリツコを見ると合掌していた。
『平行世界』について軽く説明をし、せっかくなのでミサトのズボラさが同様かどうか聞いていた。
結果はリツコの行動が示している通りだ。
『碇シンジ』が『葛城ミサト』の所へ居候することになった初日に部屋の片付けから取り掛かった事を『アスカ』から聞いている。
シンジも同じ道を辿る事になるだろう事は想像するまでも無かった。
「黙っちゃって、どうかしたの?」
「これからしなければならない作業があるので、どうすれば効率よく行えるのか考えてました」
「ふーん。そうなんだ」
シンジの言った「作業」がミサトの部屋の片付けだとは夢にも思うまい。
この後にわかるだろう事柄だが、今は置いておこう。
「話を戻しますけど、僕達はこれからNERVへ行くという事は父さんともこれから会うんですか?」
「そうなるわ。他に冬月副司令と私も行くわ。ミサトは今言った通り」
「なるほど…………」
シンジにとっては冬月との関わりは薄い。
だが、悪い人ではない事はわかっている。
「それなら、少しだけ時間を貰っても大丈夫ですか?」
「ええ。会うにはまだ時間があるから構わないわ」
リツコから時間はある事を伝えられる。
まだ昼過ぎ。
ゲンドウ達とは夕方頃に会う手筈となっている。
「何かするの?」
「はい」
ミサトはシンジへ問い掛ける。
首肯で答え、シンジはこう続けた。
「なら、ミサトさんの家に行きましょう。作業を先に済ませてしまいます」
シンジの発言で何をしようとしているのか察知したリツコは「用事を思い出した」と言って逃げた。
ミサトは当人であるから逃げられる筈もなく、シンジと共に家へと戻る事になる。
そもそもミサトはシンジのこれからするだろう行動が何であるのかすら理解できていない。
帰り際に立ち寄った店で買った材料からシンジが食事を作ると思ってる位だ。
自家用車は修理中なのでレンタカーによる移動だ。
「今日からここが君の新しい家よ。他の荷物は明日にでもここへ来るようになってるから」
「はい。ありがとうございます」
そういった手続きをしてくれるのでやはり頼りになる。
ミサトの住まいは『平行世界』と同様にマンションで、大きな一室である。
しかし、リビングの入り口から空っぽらしきビール缶やコンビニ袋が「こんにちは」とひょっこり顔を出している。
こんな所まで引き継がなくても良いのでは? そう言いたいが、現実を受け入れる強さが今は必要だ。
「さて、シンジ君。今日から君の家でもあるのだから…………どういう挨拶が好ましいか、賢い君ならわかるわよね?」
その台詞を聞いてシンジは嬉しさが込み上げてくる。
ミサトは『平行世界』の時と同様に疑似家族の真似事をしている。
シンジからすれば普段の事なので特段に疑問にも思わなかった。
けれども、彼女の台詞で認識が変わった。
そう言わせる程にミサトはシンジと家族、もしくは近しい存在になりたいと暗に言ってくれている。
「ただいま、ミサトさん」
「ええ。お帰りなさい、シンジ君」
だから、こんな当たり前のやり取りでも嬉しくなってしまう。
シンジの目頭が熱くなる。
「それじゃあ、まずは――――さっきから視界に入ってるゴミの片付けからいきましょうか」
「ん? あっ!!」
シンジに指摘されてようやく気が付いたらしい。
リビングからひょっこり出ている自らの出したゴミが。
「まだ時間はありますから。もちろん、自分の部屋の事ですからやりますよね? ミサトさん?」
「………………ええ」
シンジの勢いに押され、ミサトは頷いた。
かくして、シンジ主導で部屋の片付けが始まるのであった。
「随分とグッタリしているわね」
「か、片付けだけじゃなくて、掃除まで始まっちゃって…………」
「さすがにあそこまで汚いとは思いませんでしたから」
ここはNERV。
リツコに案内され、シンジとミサトは歩いていた。
これから向かうのは司令室――――つまりは、あの碇ゲンドウの待つ部屋だ。
ミサトの部屋を片付けるだけに止まるつもりだったのだが、想像以上に部屋が汚かった。
故にシンジによる掃除計画までもが発令された。
全ては身から出た錆なのでミサトは文句も言わずにせっせと手を動かした。
「ところで、シンジ君。その手にあるトートバッグの中身は?」
「ちょっとしたお土産です。あとで皆さんにお渡ししますよ」
おかげで時間をあまり取らずに片付けは終了。
そして、シンジは“あること”をしてからミサトと共にNERVへ向かった。
それがトートバッグに入っている。
「さて、着いたわ。ここよ」
リツコに促され、司令室とやらに足を踏み入れる。
部屋は広いが、無機質と言って良い程に物が無かった。
厳密には、物はあるにはあった。
司令である碇ゲンドウの席だ。
大きめの机、そしてゲンドウが座る為の椅子のみ。
傍らに副司令である
リツコ、シンジ、ミサトの順に横並びになる。
一歩、ミサトはシンジよりも前に出る。
彼女なりにシンジに守ろうする気持ちの表れだろう。
「来たか」
「はい。御子息のシンジ君もお連れしてます。ですが、このような場は不慣れでしょうから普段のように接してあげて下さい」
真っ先にミサトがハキハキと返事をする。
先陣を切ってくれた
しかも、シンジの為に場も整えてくれた。
ミサトの気遣いに感謝して父に向き合う。
「来たよ父さん。改めて久しぶり」
「そうだな」
シンジが明るく、声のトーンも上機嫌なもので告げた。
それを受けたからなのかまでは不明だが、ゲンドウも簡素ながら返事をした。
これまで3年も交流が無かったのだ。
反応としてはいまいちでも、返答があるだけで前進は感じられる。
今はこれで良しとしよう。
「色々と話は聞いているな?」
「ミサトさんが住まわせてくれるって話なら聞いたよ。使徒がこれからも来る事も」
「そうか。なら、別の話をしようか」
話の手間が省けるとゲンドウは話題を新たに変える。
「これは葛城君にも関係のある話だ」
「あ、あたしにも、ですか?」
静観を保っていた冬月が補足した。
ミサトも自分に関わる内容があるとは察していたが、いきなりだとは思わなかった。
「その前に自己紹介をせんとな。初めまして碇シンジ君、私は冬月コウゾウだ。NERVで副司令をしている。今後も会う機会があるだろう。その時は気軽に声を掛けてくれて構わない。よろしく頼むよ」
「はい。よろしくお願いします冬月副司令」
こういう時は肩書きで呼ぶのが良いだろう(漫画知識)と思い、冬月の呼び名もそれに倣う。
「それで、話というのは?」
「そうね。まずはシンジ君の事よ」
「はい」
ミサトも自分の事だから気になるだろう。
しかし、その前にシンジからだとリツコは告げる。
「シンジ君には今後も使徒殲滅の為にNERVの一員として動いて欲しいの」
「NERVの一員として、ですか?」
「ええ」
気になったところを抜粋し、再度問い掛けると肯定の言葉が掛けられる。
「つまり、外部からの協力者ではなくて、正式にNERVの職員となる――――で合ってますか?」
「当たらずとも遠からずだな」
冬月が話を継ぐように割り込んできた。
「君は今まで一般人かつ普通の中学生だ。そんな君を命を懸けた戦いに身を投じさせる――――正直に言って、こんなのは狂気の沙汰だ」
彼自身、子どもをこんな事に巻き込む事を良しとしていない。
正直に言って、しなくて済むのならそうしたい。
しかし、それを許さない現状でもある。
その葛藤の末に組み込まれたのが――――次の話の内容となる。
「チルドレン、パイロット……呼び方はそれぞれになるだろうが、階級的には三尉程度の権力が与えられるだろう」
「何だか、言われてもあんまりピンと来ませんね」
階級は恐らくは飾りだろうし、権限と言われても自由度がわからない。
「それなりの権力は与えられると考えておけば良い。とは言え、NERVで好き勝手やって良い訳ではないがな」
「さすがにそんな事はしませんよ」
首を左右に振り、身勝手な行動はしないとアピールする。
そんな事をしても何の得にもなりはしない。
「あとは、君の自由意思でパイロットから降りる権限もある」
冬月から放たれた言葉は、いわゆる逃げ道だ。
シンジに限らず、綾波だって中学生で生死の懸けた戦いをさせられる。
如何に使徒を倒さねば未来が無いとは言え、恐怖を覚えない筈がない。
それは前の戦闘でもシンジは同様の感情を抱いていた。
そんな彼等彼女等の為に冬月達は逃げ道を用意してくれていた。
実にありがたい話だ。
「引き受けてくれれば給料も支払おう。どうだい? 私達を助ける為にも引き受けてはくれないか?」
助ける為――――その部分がシンジの中の琴線に触れる。
短期間で良くシンジを理解しているとも思えた。
よくよく考えればシンジはケージにて、初号機に乗り込む前に「助けたい」と言葉にした。
シンジの自発的な想いを少なくとも冬月は理解していた。
そして、最後の「引き受けてはくれないか?」の言葉でしかないが、大の大人が頭を下げているとも捉えられた。
いや、真実のところはわからない。
ただシンジが深く考察しているだけなのかもしれない。
―――けれど、冬月副司令は“僕達の事を考えてくれている。”
それが提示された逃げ道であり、先程に「狂気の沙汰」と告げた事だ。
無論の事ながらシンジは『平行世界』にて『冬月コウゾウ』の事も知っている。
向こうでは母の碇ユイと並んで副所長を務めている。
何度か会って話をしたが、人柄が良いの一言に尽きる。
かつては教鞭も振るっていたらしく、『平行世界』に訪れたばかりで勉強に付いていけないシンジに家庭教師としてマンツーマンで教えてくれた。
本当に親身になってくれた。
シンジの両親とは良好な関係で、ゲンドウからすれば恩師のポジションであるらしい。
一方、『こちらの世界』のゲンドウは『平行世界』とは打って変わっている。
しかし、こうして冬月が付いているとなるなら……彼等はシンジには計り知れない程に複雑な関係なのだろう。
ゲンドウが成し遂げようとしている事を見届ける為なのか、はたまた別の目的があるのかまではわからない。
いずれにせよ、冬月コウゾウは自らの意思で碇ゲンドウと行動を共にしているのはわかる。
恐らく、碇ゲンドウの胸の内を理解できるのは現状では冬月コウゾウしか居ないのだろう。
共依存とは異なるかもしれないが、それに近しい関係性なのを悟る。
話が逸れてしまった。
平たく言えば、冬月もまた中学生のシンジを巻き込む事に胸を痛めている事は伝わってくる。
それが昔から知っているだろう仲の碇ゲンドウの息子ともなれば当然か。
作ってくれた逃げ道は、他の人達を納得させる為のギリギリのラインだろう。
恐らく葛藤があったに違いない。
繰り返しになるが、シンジが引き受けなければ未来が訪れないのも事実だ。
今の冬月の言葉から「無理強い」は決して無かった。
ゲンドウは「無理強い」をしなければならない立場にある。
それが久しぶりの再会にも関わらずの無茶振りだったのだろう。
対称的な発言かつ内容の冬月に何も言わないのは、ゲンドウが先ほどの条件で納得させられた内の1人なのが窺える。
ただ、これらもシンジの推測の域は出ず、特にゲンドウに関しては目的遂行の為に気にもしていない可能性はあるが今は置いておく。
どのみち、シンジは今後どうするのかとっくの昔に決めていた。
冬月なりの見えない励ましにより、どうするのかの決意を固める。
「わかりました。引き受けます。僕に、皆さんを助けさせて下さい」
「本当にありがとう。全力で君を…………いや、“君達を”サポートさせてくれ」
言い換えたのはシンジだけではなく、綾波レイ、ひいてはNERV職員も含めての事であろう。
冬月の言葉にシンジは照れたように頬を掻く。
「それで葛城一尉の処遇についてだが――――おめでとう。君は現時刻を以て『一尉』から『二佐』へと昇進だ」
「えっ、はっ、はいっ!!」
話が切り替わるや、とんでもない話が降り掛かってきた。
ミサトとしても目を白黒とさせる内容だ。
突然の事に驚くのを自制し、何とか返事をする。
昇進は嬉しい。
だが、いきなり二階級も上がったのだ。
喜びよりも困惑の色が表に出るのは当然だ。
「何も不思議な事ではない。君の活躍無くして、今回の勝利は無かったからだ」
ゲンドウは肘をテーブルに付いて両手を合わせ、口元を隠すようにして告げた。
ミサトの困惑が伝わったのだろう。
「でも、それはシンジ君や他の皆の協力あっての事で…………」
「父さんの意見に賛成です。ミサトさんが居なければ、僕もこの場には居ないと思います」
ミサトが遠慮しようとするのを、当人であるシンジが口を挟んだ。
シンジからしてみても、何も知らない自分がサキエルに勝利を掴めたのはミサトの作戦あってのことだ。
「それならリツコ…………赤木博士やオペレーターの皆が居なければ無理な作戦でした」
「ええ。私も含めて既に報酬は受け取っているわ。でも、その上で皆が口を揃えて言っているのよ」
何を? 決まっている。
葛城ミサトが居たからこその勝利だと。
シンジが今まさに言った内容を全員が口を揃えて言ったのだ。
それはリツコも同じ意見なのだ。
「あなたが組み立てた作戦だからこそ、勝利を掴み取れたのよ」
NERVの職員としての言葉ではない。
葛城ミサトの親友、赤木リツコとしての言葉だ。
「それに昇進する事でシンジ君やレイを守る事が出来るわ」
「そう、ね」
階級が上である事は有利に働く。
持つ権限も強大になるし、何よりもシンジ達を守る際には役立つ。
「この昇進は使徒殲滅の功績のみではない。今後の活躍に期待を込めているのもある」
ゲンドウから重味のある言葉が掛けられる。
全てがポジティブな意味合いなだけではなく、今後の彼女の活躍に期待を込めての一因もある。
それ即ち、彼女には今後の作戦には重責が伴う事を理解させる為でもある。
「ありがとうございます。司令、副司令の御期待に添えるよう全力を尽くします」
ピシッ!! とした言葉でミサトは返す。
それはシンジ達のような子どもだけに責任を背負わせない大人としての覚悟も合わせていた。
「では、葛城二佐。今後ともよろしく頼む」
「話は以上だ」
最後はゲンドウの素っ気ない言葉で締められ――――
「そうだ。カップケーキを作ってきたんだ。良かったらどうぞ」
トートバッグから取り出したのはラップで包まれたカップケーキだ。
こういう時は組織のトップからだろう。
ゲンドウへと近寄ると机に1つ置く。
「…………」
無言でカップケーキを見つめるゲンドウを脇目に、冬月へと近付いて彼に手渡しする。
「ありがとう」
礼を述べながら冬月はカップケーキを受け取ってくれた。
「はい。リツコさんも」
「ありがとう。頂くわ」
今度は元居た場所へ戻り、リツコにも手渡す。
御礼を告げながらリツコもカップケーキを受け取った。
この事を当然ながら知っていたミサトは横で苦笑していた。
「それじゃあ、これで失礼します」
「失礼しました」
ミサトが先導する形で退室すると、シンジも遅れて退室した。
退室後、オペレーター3人や他のNERV職員にもカップケーキを渡してから帰宅するのであった。
これは後日談になるのだが、カップケーキは評判が良かったのか、これ以降でもリツコや冬月を始めとしたNERV職員に定期的に作る事となった。
ちなみに冬月が2個頼む事があるので、1つは父に渡しているだろう事は想像しやすかった。
見事に胃袋を鷲掴みにする事に成功するのであった。
「シンジ君。少し寄り道しても構わない?」
「はい。大丈夫ですよ」
NERVからの帰り際、車の修理が完了したとの旨を受けた。
仕事が早いなと感心しながら今度はミサトのマイカーにて帰宅の徒に付いたばかりだった。
その最中でのミサトの提案である。
向かったのは街から少し外れた小高い丘であった。
丁度ジオフロント全体が見渡せる位置にある。
「壮観ですね」
「ふふ。これだけじゃないわ。時間よ」
スマホではなくて腕時計をしている辺り社会人だな――――等と思っていると変化は目の前で起きた。
アラームがけたたましく鳴り響き、地面からビルが次々と生えるように上がってきた。
「これが使徒迎撃用要塞都市、第三新東京市。あたし達の街。そして、あなたが守った街よ」
ミサトが隣で説明してくれる。
「いえ、違いますよミサトさん」
しかし、シンジにはその説明は不満でしかない。
足りないからだ。
何が足りないかなど、わかりきっている。
「“僕だけ”じゃありません。“僕達が守った街です”」
「ええ、そうね。そうだったわ」
碇シンジだけではない。
それは先程の司令室でも言ったではないか。
碇シンジ、葛城ミサト、赤木リツコ、青葉シゲル、日向マコト、伊吹マヤ――――そして初号機。
彼等を支えてくれた他の面々のおかげで見る事のできた景色だ。
「僕もこの街を守りたいです。その為にも今後も“僕達で”頑張りましょう」
「もちろん」
1人ではない。
仲間が居る。
大事な事を子どもに教えられる事もある。
それを自ら体験している。
碇シンジだけではない。
葛城ミサトも守るべきものの為に戦う決意を新たに固めた。
さて、如何でしたでしょうか?
リツコさんは前回から全面協力してくれています。
ミサトとの同居の件は前々回に行っていたので、司令室ではカットしました。
そしてミサトの家にはいち早く上がっています。
最後の手作りのカップケーキを作って渡し、評判になる一連の流れをやりたかったこと。
それとミサトがシンジに「ただいま」と家族として迎え入れる流れをどうしても入れたかったのです。
原作でもあった「家族ごっこ」の始まりですが、そこには確かな「絆」があったのも事実。
こちらでは序盤に「シンジを守る」と宣言したミサトの理由が「自分は大人で相手が子どもだから」から「家族として」と意識を強く持たせました。
その上でゲンドウ達との対面。
前に出て守ろうとし、シンジが話しやすいように促しました。
本来なら文句言われそうですが、そこはそれ、流して下さい。
そして冬月、ゲンドウへの評価――これは本編でも書いたように“あくまで碇シンジ独自の解釈です。”
立場の都合上、彼等は“そうしている”のだとシンジは考えています。
冬月は教師であった事、何だかんだでシンジを後押しするシーンもあったので子どもを巻き込む事は良しとしていないでしょう。
勉強を教わったとかは何と無く、そうしているかなと考えただけです。
『平行世界』の冬月先生は頼めば喜んで教えてくれそうですし。
ゲンドウはシンジ自身のフィルターが入っています。
だから「推測の域は出ない」とシンジも言っております。
そしてそして、ミサトさんが早速一尉から二佐へランクアップを果たしました。
ドンドンパフパフ~
サキエル戦で作戦を練り、使徒を殲滅へ追いやった功績と今後の期待を込めての昇進であります。
いきなりの新劇要素でした。
そしてシンジにもそれなりの権限が与えられます。
最後にはあのお約束の景色を観に行く流れ。
でも、守ったのはシンジだけではない。
全ての人のサポートあってこそ。
全員で守った街です。
果たして、今後はどうなっていくのか?
本当に話は進むのか?
今回もあまり進まなかったけど大丈夫か!?
他のキャラの出番はいつになる!?
綾波なんかはストレッチャーで運ばれただけでしたし。
次は出せる事を期待して。
待て、次回。
ところで、作者はアスカやマリなんかも好きなんですよ。
このままのペースだといつになるやら。