今回もツッコミどころはあるかもですが、温かい目で見てください。
続きです。
『準備は出来た?』
「はい」
『問題ありません』
ミサトからの問いにシンジと綾波の両名は肯定を以て返答した。
初号機が零号機を肩車。
手が無いので腕を折り曲げながら無理矢理に挟んだ状態だ。
零号機は
そして、念のための即席武器も用意してある。
『この場で出来れば問題は無かったのだけれど』
「仕方ありませんよ。」
『レイ、
『はい。頭に入ってます』
リツコからの通信。
それは注意事項の確認である。
一発一発を“数秒の間隔で撃てるだけなのだ。”
『あとはこっちでサポートするわ。思う存分暴れなさい』
「了解」
『了解』
『では、作戦開始』
ミサトの号令を以て、
当然、ラミエルもこちらが行動を起こすと同時に起動した。
『来る!!』
ミサトが叫ぶと同時にラミエルから加粒子砲が放たれる。
ラミエルの迎撃は分かっていた。
特筆すべきは威力ではなくて放たれた後の速度だ。
放たれてしまえばシンジ達の目と鼻の先まで来てしまう。
それだけの速度をラミエルの加粒子砲は備えている。
けれど、NERV職員は有能な人物達しか存在しない。
先程、加粒子砲を放たれるより前にミサトが状況に気付けたのが良い例だ。
ラミエルの加粒子砲が放たれる直前の熱源を分析し、解析してみせた。
「来た」
だから、シンジも即座に対応が可能となる。
初号機を横っ飛びさせる。
数秒の後、初号機が居た場所が爆撃される。
その余波でコンクリートは捲れ、上空へと巻き上げられる。
後に残ったのはエヴァもすっぽりと入れそうな位に大きなクレーターだ。
「――――――っ!?」
改めてラミエルの、使徒の力を思い知らされる。
人智を越えた力を持つエヴァンゲリオンと言えど、これを真正面から喰らうのは危険だ。
『碇君。ラミエルが次の手に出るみたい』
「っ!!」
ラミエルの真正面に光の球体が出現する。
それは先程から放っている加粒子の集合体であるのは間違いない。
凄まじいまでの高エネルギーは2体のエヴァを狙っている。
『広範囲の攻撃が来るわ!!』
リツコが声高に告げる。
彼女が告げた直後、ラミエルは加粒子砲を“散弾にして放つ。”
先程までの極太とは真逆の極細、しかしながら手数が圧倒的に異なる。
今度は1本ではなくて、横殴りの雨のように数多の加粒子砲が迫ってくる。
『碇君、このまま横へ跳んで』
綾波からの指示が来る。
従うままに初号機を跳躍させる。
『赤木博士』
『ええ、計算は済んでいるわ』
通信を介して綾波とリツコが言葉少なく意思疎通を行う。
直後、
閃光が一度に5発放たれる。
最初に放った時よりも閃光は小さいが、言っていた通りに連射が可能となっていた。
初号機と零号機を狙う数多の加粒子砲の雨へと突撃していく。
全てを薙ぎ払う必要はない。
こちらに当たるものだけを的確に撃ち落とせば良い。
その計算をリツコを始めとしたオペレーターが瞬時に行い、綾波へデータを送る。
あとは
言うのは簡単だが、難易度が高過ぎる。
技術もそうだが、必ず撃ち落とさねばならないプレッシャーも襲い掛かる。
とは言え、だ。
それを可能としてしまうのが綾波レイであった。
綾波の技術はシンジが想像するよりも高水準であった。
的確にこちらに直撃コースのものを撃ち落とし、当たるにしてもボディーを掠める程度で済んでいる。
被害を最小限で食い止めてくれる。
こんな芸当はシンジではまず行えなかった。
綾波がどれだけエヴァの為に訓練を積んできたのかが一瞬で感じ取れる。
アスカも始め、シンジの周りの人達の努力は凄まじいものがある。
しかも、実力をきちんとした場で発揮するのだから大したものだ。
以前までの自分なら自信を失っていたかもしれない。
けれど、今は違う。
彼女等に並びたい。
その決心から溢れる思いは――――
「負けてられない、ね」
彼女等の背中に食らい付こうという気持ちが爆発する。
『シンジ君、大丈夫?』
「はい。機体も掠めた程度なので、操縦も問題ありません」
ラミエルの攻撃は凄まじい。
しかし、人類の頭脳と技術も負けていない。
何せ、当初の目的の場所へ到着したのだから。
『
零号機をその場に降ろし、綾波に充電を行ってもらう。
だが、ラミエルもこちらの行動を見逃してくれる訳がない。
既にラミエルは行動を起こしていた。
形状を変化させ、加粒子砲の塊を集中させる。
狙いはシンジ達。
これから行うのは何度か目の当たりにした極太の加粒子砲を放つ事だ。
『当然、来るわよね…………シンジ君!! レイ!!』
ミサトが名前を呼ぶ。
それだけで何をするべきなのか、事前に打ち合わせをしてあった。
『碇君、これを』
「ありがとう、綾波」
綾波が――――零号機が初号機の足下に“あるもの”を設置する。
そして、初号機にサッカーでシュートを決める動作を真似させる。
エヴァンゲリオンの身体能力で蹴り出され、飛来していく。
蹴り出されたもの――――それは耐熱光波防御盾だ。
先程のラミエルの加粒子砲により、原形は殆んど残っていない。
しかしながら、ラミエルの加粒子砲から保たせた実績がある。
何より、現段階でエヴァンゲリオンの蹴りに耐えられる程の耐久性を示している。
これだけで十分に活躍は見込める。
加粒子砲が放たれるよりも先にラミエルめがけてぶちこむ。
凄まじい勢い、速度で突撃していく耐熱光波防御盾。
シンジ達の方が一手早かった。
加粒子砲が放たれるよりも早く、耐熱光波防御盾はラミエルの元へ到達した。
ガンッ!!
ラミエルからしたらどついた程度にしかならないだろう。
けれど、それで良かった。
「ATフィールド、展開」
自分達を守る為でなく、ラミエルを抑える為でもない。
発生させたのは耐熱光波防御盾の下、ATフィールドをトランポリンに見立てて耐熱光波防御盾を“ラミエルの斜め上へ”弾ませる。
ラミエルは敵意を持った相手に反応する。
無機物であれ、ラミエルに害成そうとすれば迎撃される。
条件反射、まさしく動物的な反応だ。
それがリツコを始めとしたNERVの面々が整理した、確定した情報であった。
多少の賭けではあった。
だが、結果として賭けに勝った。
ラミエルの狙いはシンジ達から耐熱光波防御盾に切り替わる。
加粒子砲は耐熱光波防御盾を瞬く間に包み込む。
時間稼ぎは出来た――――が、
「綾波!!」
『まだ、充電は不十分』
主目的である
『仕方無いわね。シンジ君、レイ、もう一手よ!!』
計算外の出来事ではない。
そもそも使徒との戦いは計算外の連続だ。
故に、可能性はいくつか考えていた。
その1つに過ぎない。
そして、最悪のパターンの為の策も用意してある。
『碇君、もう1度』
「了解」
そして、零号機がまたも初号機の足下に置く。
先程と同様に置かれたものを蹴り上げる。
今度はラミエルの真正面ではなく、半円を描くようにラミエルの真上に。
次に蹴り上げたのは――――プログレッシブナイフだ。
初号機のものだけではなくて零号機のプログナイフも利用する。
持ち手の部分を中央にして縛り付けて二対のプログナイフへと仕立ててある。
それがクルクルと回転し、ラミエルの頭上にまで到達する。
「ATフィールド、展開!!」
先程と全く同じ流れを踏襲する形となる。
今度は真上から、重力の助けもあって落下速度が尋常ではない。
このコンボがラミエルに対して効果的である事を意味しているとも言える。
敵意を見せているのは目の前のシンジ達なのだが、今まさにラミエルの眼前に迫る脅威は間違いなく頭上に蹴り飛ばされた二対のプログナイフだ。
しかも、ATフィールドを張っているのだから見向きしない訳にもいかない。
これまでの展開でラミエルが無機物であろうとも接近してくる外敵に反応するのは判明していた。
確証こそ無かったものの、リツコやオペレーターの面々が短時間でラミエルの事を解析してくれた成果である。
そして、これまでの接敵で新たな情報も入手できた。
それはラミエルの攻撃は基本的に"迎撃を前提とした動きが多いという事だ。"
積極的にこちらへ攻撃を仕掛けたタイミングというものが少ない。
これはこちらが
泳がせ、敵の位置を確認してから確実に討ち取る戦闘スタイルなのだろう。
自発的な行動はNERV本部への侵入と思わしき行動のみ。
つまり、ラミエルの戦闘スタイルの穴さえ突ければ戦いようはあると言えた。
無論、それだけでラミエルを攻略できるとは限らない。
だから、より確実性を上げる為にラミエルの行動を更に深く分析してみた。
とは言え、初号機と零号機への迎撃のパターンを見て気付けた。
すると、ラミエルの行動パターンには2種類のものがあると確定できた。
それは先程から"使い分けているように見える"加粒子砲の使い方である。
極太と真逆の極細の2パターンだ。
だが、注意深く観察していると分かってくる事があった。
まず、極太は対象が"一塊になっている事だ。"
これは初号機と零号機が
先程、飛び回っていた際に使っていた極細の加粒子砲がある。
それを用いて緩急を付ければ、仕留めやすさは格段に上がったであろう。
だが、ラミエルはそれをしなかった。
何故だ?
これは、もしかするとこれまでの使徒と姿が違う事に起因しているのではないかと推測した。
サキエル、シャムシャエル、この2体を繋ぎ合わせた特徴は散見される。
加粒子砲はサキエル、飛行能力はシャムシャエル。
そして、ラミエルを含めた3体の最大の共通項はなんと言ってもATフィールドである。
これは使徒側にとっても最大級のアドバンテージであり、人類では突破は困難な強固な盾だ。
成す術も持たず、蹂躙できる――――本来であれば。
まさか、人類もATフィールドの技術を手に入れているとは思わなかったのだろう。
その結果、人類が抗う術を手に入れ、対抗してきている。
エヴァンゲリオンという力は、使徒にとっても計算外の代物であっただろう。
これは完全に推測の域を出ない。
けれども、使徒には知性があると考えられる。
更に、知らず知らずに人類を敵と見なし、危ない橋を渡らないように対策を練っているのではないかとも推察できた。
なんと言ってもイレギュラーをこうして何度も引き起こしているのだから。
よって、こちらの行動は使徒にとって、全てイレギュラー尽くめの筈だ。
もし、こちらの行動が何らかの手段で共有されているのだとすれば、あらゆる行動を無視できなくなる。
それが例え――――何の変哲もない武器の投擲だったとしても。
それを、ATフィールドまで用いて当てようとしているなら尚更無視できる筈がない。
結論から述べてしまおう。
ラミエルは予想通り、上空から落下してくる二対のプログナイフに反応した。
加粒子砲により、一瞬で消滅させたのだ。
『そう来ると、思っていたわ』
通信を介してシンジと綾波の元にリツコが不適に笑いながらラミエルへ告げた。
当の相手には届かない声。
仮に聞こえていたとして、ラミエルが理解できるのかは永遠の謎なのだが。
それはさておき、リツコが不敵に笑うのも意味がある。
何せ、ラミエルは条件反射とも言うべき速度で上空のプログナイフに反応してみせた。
動物的な感覚の鋭さは舌を巻く。
だが、ブラフという言葉には滅法弱いと見た。
それは、最初の威力偵察の際に判明していた事柄。
全ては撒き餌だ。
「ここまで、来たぞ!!」
ラミエルは目と鼻の先。
エヴァンゲリオンの身体能力であれば、一足跳びで辿り着ける距離だ。
けれど、その一息が長い。
ラミエルは近接戦闘を嫌っている。
それ故、遠距離主体の攻撃手段ばかりを用いる。
ATフィールドもこれまでの使徒よりも常時張り巡らせている。
言い替えれば、ラミエルの耐久性は著しく低い可能性が高い。
そして、エヴァンゲリオンの近接戦闘での強さを認めているが故の策であろう。
様々なパターンでこちらを苦しめる。
けれど、使徒は何処かで人類をまだ格下だと思っていよう。
ここまで接近が出来たのも、その隙を突けたから。
ラミエルも、ここまで近付かれるとは想定していなかっただろう。
即座に加粒子砲を集めに掛かる。
それを放とうとするが――――
「見え見え、だよ!!」
これは初めて相手方の焦りを引き出せたと言って良いだろう。
初号機を横へスライドさせる。
肩車する零号機は動きがブレない。
避ける為にこちらも必死なので、綾波を気にしてもいられない。
これは前以て伝えてはあったのだが、綾波は一言「大丈夫」と告げるのみ。
その一言を実践してみせるのだから、彼女の実力の高さも窺える。
『碇君。行くわ』
「うん!!」
ラミエルの攻撃で尤も恐れるのは連続照射だ。
けれど、これまでラミエルは広範囲への攻撃の際も含めて続けて加粒子砲を放つ事は出来ても“次の加粒子砲を放つまでにはインターバルがある。”
殆んどコンマ数秒でしかないので、そうとは見えないだけ。
だが、最初の長距離からの加粒子砲の連打に多少なりとも感覚はあった。
それをオペレーター陣が解析してみせた。
『ATフィールドを展開しているわ。シンジ君』
「了、解!!」
ラミエルにとっての勝ち筋もこちらが積極的に潰す。
初号機もATフィールドを展開させ、前蹴りでラミエルのATフィールドを中和させながら蹴り飛ばすと言う荒業を披露する。
破天荒な技の数々だが、それでもこうしてラミエルを追い詰めていく。
遠い距離に思えたが、こうして理詰めをしていく事で距離は近付いていく。
そして、チャンスは巡ってくる。
それを今、皆の力を借りて体現する。
「綾波!!」
『任せて』
既にラミエルの間合いの内。
タイミングもバッチリ。
そして、綾波にはこの決め必殺技名と共に
彼女の声はその必殺技名を叫ぶキャラクターとそっくりであったから――――それだけの理由である。
『
瞬間、
新たにATフィールドを張り、加粒子砲での迎撃を考えていたのだろうが――――時既に遅し。
勝負はこの一手で決まった。
ラミエルの身体を貫通した閃光は、その先のビルを吹き飛ばす。
遅れて、ラミエルの身体が目映い光を解き放つ。
『シンジ君、ラミエルが爆発するわ』
「了解です!!」
サキエルと同様、いたちの最後っぺで終わる訳にはいかない。
NERV側も当然ながら想定していた。
ラミエルの身体に変化があれば、気付ける位にはなっている。
直後、言う通りの事が発生する。
ラミエルの身体が爆発した。
爆炎をATフィールドにて完全にシャットアウトする――――のだが、風圧は想定していたよりも強かった。
「あっ、まずい!?」
気付いた時には遅かった。
零号機もろとも、真後ろに倒れてしまう。
踏ん張る事も出来ず、2体のエヴァンゲリオンは周囲のビルだった瓦礫を巻き込みながら、ひび割れたコンクリートの上へ仰向けに倒れてしまう。
「つつっ、大丈夫? 綾波?」
『ええ、何とか』
綾波の安否を確認する。
通信の向こうには無傷の彼女が映し出されていた。
どうやら彼女は問題が無いようだ。
その事には、ホッと安堵の息を吐く。
「何とか、勝ったね」
『ええ…………こう返事をするので、合ってるのかしら?』
「喜んでいるなら、良いと思うよ」
綾波の妙な疑問にシンジは少しばかり笑ってしまう。
けれど、『この世界』の綾波らしいなとも思えた。
喜怒哀楽の感情が無い訳ではない。
ただ単に感情を表現させるのが苦手なだけなのだ。
『ごめんなさい。こういう時、どういう顔をすれば良いのか分からないの』
「そんなに難しく考える必要はないよ」
変に律儀だなと思いつつ、シンジは綾波にこのように返す。
「笑えば良いと思うよ」
シンジのその一言で、綾波は通信越しではあるが、微笑んでくれた。
その笑顔は何とも美しかった。
月の光が霞んで見えてしまう程、彼女の笑顔は穏やかながら強く輝いていた。
「エヴァの内部電源も切れたし、あとは助けられるのを待とうか」
『ええ』
こうして、ラミエルの殲滅は成功した。
NERVの面々、そして戦自の協力を以て、全ては解決した――――――のだが、
『ところで、さっきの技の何処に
と、ミサトが先程の必殺技名の問題が浮上させるのであった。
如何でしたでしょうか?
矛盾だったり、無理がある設定なんかもあるかもですが平にご容赦を。
綾波とシンジ君の共闘。
ラミエルを見事に撃破しました。
必殺技名は矛盾しか無かったのですが、どうしてもスレイブの部分が頭から放れてくれなくて。
最後のミサトさんのオチで使うと言う事にしました(笑)
せっかく良いシーンなのに最後を台無しにしてごめんよー
さてさて、今回はお待たせしてしまって申し訳無いです。
そろそろ作者も原作の内容があやふやになってきたので復習タイムもあり、時間を労します。
なるべく早めに更新をしたいとは思いますので、どうか見捨てずにお願いします。
ではまた次回に。