碇シンジは夢を見る   作:ゼガちゃん

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大変長らく更新できずに申し訳ありません。

今回も長くなりました。

執筆していたら2カ月も経っていました。
本当に長く書き過ぎましたwww

読み辛くなりそうなので今回は分割して2話に分けました。
今回は2話更新します。

この辺りから原作の内容もうろ覚えの部分があるので違っている部分があっても暖かい目で見て下さい。

では長ったらしい前置きはこの辺にして続きをどうぞ。


エヴァで相乗りする勇気はあるか?

「使徒が攻めてきました」

 

「分かっている。黙って見ているんだ」

 

部下から使徒の接近の報を艦長が受ける。

モニターに映る使徒は空母を遥かに上回る大きさの深海魚、もしくはシャチに似た姿見をしている。

これはNERVの面々なら気付く事なのだが、頭頂部にはサキエルと同じ顔が付いている。

 

「あれが、使徒」

 

モニター越しながら実物を目にするのは初めての事。

今は空を駆けるヘリが使徒の姿を映してくれている。

その付近に戦艦が一隻。

空母めがけて使徒は急接近してくる。

 

「馬鹿め」

 

その光景を目の当たりにした艦長は思わず使徒の浅慮すぎる行動を嘲笑った。

戦う為に造られた戦艦には武器がある。

闇雲に突っ込んでくるのであれば、こちらの砲撃の的になるだけだ。

 

「ってえ!!」

 

艦長が高らかに叫ぶ。

同時、使徒めがけて砲撃の雨霰。

使徒の周囲を爆発が支配する――――のだが、

 

「なっ、あっ!?」

 

思いもよらぬ事態に艦長は驚嘆の声を上げる。

使徒はこちらの攻撃など物ともせず、勢い止まらずに1隻の戦艦へ体当たりしてきた。

 

戦艦を軽く超える巨体の使徒による体当たり。

その結果は想像される最悪の結末と同じであった。

枝をへし折るかのような感覚で戦艦を真っ二つにへし折ったのだ。

 

戦艦を真っ二つにした使徒はそのままの勢いで接近してくる。

 

「このまま、見てるだけの訳が無いだろう!!」

 

「しかし、艦長…………砲撃が通用しないのであれば打つ手が無いです」

 

艦長が「これでは終われない」と言うが、こちらの攻撃が一切通用しなかった。

その事を改めて部下に提言され、それ以上の言葉は出せなくなる。

 

いや、形振り構わないのであれば手段は残されている。

 

「失礼します」

 

その「形振り構わない」の宛となる相手が艦長室へと入ってきた。

NERVから遣わされた葛城ミサト。

その組織が有するエヴァンゲリオンを用いれば使徒に対抗できる。

 

しかし、それは太平洋艦隊が音を上げてNERVに協力を仰ぐ態勢となる。

先程まで邪見に扱っていたNERVを相手に下手に出れば、もう主導権を握る事は叶わない。

 

(だが、それでも――――)

 

任務達成が叶わない事より、大切な部下を危険に晒してしまう事の方が問題だ。

 

「葛城二佐、我々は――――」

 

「艦長、提案があります」

 

艦長が言葉を紡ごうとしていたのはミサトの名を呼んだ事から窺える。

なのにミサトはそれをぶった斬り、彼女の方から声を掛ける形となった。

 

「まずはエヴァで戦闘を行う事の許可を頂けないでしょうか?」

 

「…………やむを得まい。許可する」

 

「ありがとうございます」

 

勝手にエヴァを動かすのは太平洋艦隊との仲に亀裂を

ミサトが「まずは」と言いつつ、エヴァの使用を求める。

つまり、この他の要求がある事を意味している。

 

「それと、戦艦を何隻かお借りします」

 

次に飛び出した提案は戦艦を要求してきた。

しかも、更に新たな要求も重ねる。

借りるという戦艦の船員を全員避難させるよう言ってきた。

 

「一体、何をするつもりなんだね?」

 

「何を? そんなの決まってるじゃありませんか」

 

当然の疑問、しかしミサトは艦長の疑問の内容にこそ首を傾げた。

さも当然のようにミサトは返す。

口調も少し荒々しさを見せつつ、宣言する。

 

「あの使徒を“協力してぶちのめしましょう”」

 

 

 

 

 

 

 

 

時を同じくして使徒の強襲の警報と共にシンジ達も動いていた。

ミサトが艦長の下へエヴァの出撃許可を貰いに行っている間に準備を進める。

作戦はミサトが即興ではあるが立案してくれた。

 

即座に思い付く辺り、経験が物を言うだけではない。

恐らく、仕事の傍らで様々なシチュエーション、状況下での戦い方を考案していたのだ。

それでも今回の作戦は随分とぶっ飛んだものだ。

サ〇シ君も顔負けの海と艦隊のある戦場を利用した内容であった。

 

『準備は出来てるか?』

 

「ええ。いつでも行けるわ」

 

無論、使徒の迎撃を行えるのはエヴァ弐号機のみ。

専属パイロットであるアスカが搭乗している。

彼女のコンディションを確認するのは加持だ。

 

エヴァ弐号機を格納している輸送船の管制室にて加持は弐号機の出撃準備を行っている。

輸送船の内部に弐号機は格納されており、天井を開けば甲板へと出る仕組みになっている。

管制室には加持の他にトウジとケンスケの姿もあった。

 

ミサトが艦長のところへ向かう際に加持に2人の護衛をお願い――――いや、上官命令を降した。

この時、加持は何処ぞへ行こうとしていたのでミサトが鋭い視線と言葉を突き付けた。

いつぞやの時はまだしも、今回は何も出来る事がない。

2人も全員の足を引っ張るつもりもない。

何も出来ないとは言うが、言い換えれば"何もしない事こそが今回の2人の役割だ。"

 

『しかし、B型装備しか用意して無いが大丈夫なのか?』

 

弐号機のカラーリングは赤。

一眼の零号機、二眼の初号機とは異なって眼部は四眼となっている。

 

話を戻す。

加持の懸念はエヴァ弐号機の装備しているものにあるようだ。

平たく言ってしまえば水中でまともに動けない装備しか用意しなかったのだ。

使徒の映像を観たが、如何にも水中戦が得意と言わんばかりの姿をしている。

それは加持も心配になる。

 

「大丈夫よ加持さん。ミサトの作戦もある。何よりアタシと"シンジが乗ってるんだからね"」

 

アスカは堂々と返した。

自信満々に自分とシンジが乗っている――――と。

操縦桿を握って座るアスカの隣にシンジは立っていた。

 

以前にも見せて貰ったアスカのプラグスーツは赤だ。

ここで思い出して欲しいのは弐号機はアスカが専属で搭乗している。

予備のプラグスーツもあるのだがカラーはもちろんのこと、プラグスーツは女性であるアスカがモデルとなっている。

故にシンジが着ているのはアスカを基準に作られた女性もの。

男のシンジが女性ものを着させられる結果となった。

特に違和感を持つのは同年代の女子よりも優れたプロポーションを持つ女性特有の胸部である。

 

これにはシンジも不満を言いたいところだが、残念ながらそれも出来ない。

 

こうなった経緯は偏に今回がアスカの初陣であった事に起因する。

管制室から指示は飛ばせるものの、いつものようにサポートできる訳ではない。

今回ばかりはパイロットの持つ操縦技術に期待をしなくてはならない。

 

「なら、碇が一緒に乗ったら?」

 

何の気無しにケンスケが提案した。

自分が一度トウジと共に乗ったからこそ出た発案でもあった。

エヴァとのシンクロ率を気にしてしまうので他人の搭乗は本来ならNGだ。

 

けれども、前も述べたように今回はシンクロ率のパーセンテージよりもパイロットの操縦の腕が肝心となる。

ある程度のシンクロ率の低下に目を瞑ればエヴァが動作できるのはシャムシャエルとの戦闘時のデータもある。

 

あとはアスカの実戦経験の無さが何処まで響いてしまうのかが問題な訳だ。

そこを経験豊富なシンジが同乗する事でカバーすれば良いのではないか?

 

「それが無難ね。シンジ君、アスカ、どう?」

 

「はい」

 

「仕方無いわね。確実に勝つ為に乗せてあげる」

 

ミサトがケンスケの案を採用。

シンジとアスカに問えば両者からも賛成の言葉を貰った。

ならばそれでいこう――――との事だ。

 

その結果、女性もののプラグスーツでシンジは搭乗する事になってしまった。

 

「何で、こんな……」

 

「そんな悲観する事ないわよ……ぷ」

 

『せやでシンジ。似合っとる……ぷ』

 

『うん。赤い色ってカッコいいと思う……ぷ』

 

「皆、楽しんでない?」

 

アスカ、トウジ、ケンスケは面白がっている部分がある。

シンジの尊い犠牲で初陣のアスカも変に気負っていないのが分かる。

それが無ければシンジは精神的な辱めを受けただけに終わってしまうから良かったと思う事にしておく。

 

『すまんすまん。頼むでシンジ。あんな魚なんか陸上に放り投げれば勝ちやろ』

 

「ここ海上だけどね」

 

トウジの言わんとする事は分かるものの、残念ながらここは海上である。

近くに陸も無いので悲しいかな出来ない手法でもある。

 

ちなみにだが、今回の使徒はガギエルと呼称するとミサトが告げた。

以降はガギエルとシンジ達も呼称する事に。

 

『アスカ、シンジ君、お待たせ』

 

「やっと出番ね。待ちくたびれたわ」

 

『存分に暴れて頂戴』

 

「ええ!! 任せて!!」

 

『シンジ君もアスカのサポートを頼んだわ』

 

「はい!!」

 

両者のやり取りの後、弐号機が輸送船の甲板へと躍り出る。

 

「ところで何で布を巻いたままにしておくの?」

 

「最近映画でピッ〇ロさんの活躍を観たから真似したくなったの」

 

思っていたよりもアスカはアニメ文化に浸かっているようだ。

いや、まだ国民的アニメのものであるだけまだ浅いだろうか?

いずれにしても、変に気負っていない事が分かる。

出だしとしては良いかもしれな――――

 

「あ、あれ?」

 

「バグが発生した? 何で?」

 

突如としてエントリープラグ内でアラートが鳴り響く。

 

「思考ノイズね。アンタ、もしかして日本語で考えてる?」

 

「それは日本人ですから」

 

「…………念のために聞いておくけれど、ドイツ語は分かる?」

 

「バウムクーヘンとか?」

 

「だと思った。日本語に切り替えるから」

 

「ありがたやありがたや」

 

アスカが標準言語をドイツ語にしていたのは彼女が日本人とドイツ人のハーフである訳だからだろう。

こちらの事情を察し、日本語にしてくれる。

 

「むう。やっぱり他の国の言葉も覚えなきゃなのかな?」

 

「最低限英語は出来るようになっておいて損はないわよ」

 

シンジが可能性の輪を広げようとしており、万国共通とも呼べる言語の取得をオススメされる。

この天才様に頼れば教えてくれそうだ。

エヴァの操縦技術のレクチャーが上手だった事を思い出すと、適任と言えるかもしれない。

 

感覚派だと思われがちな彼女だが、論理的に教えてくれる面があるので分かりやすい。

ただ、間違える度に「アンタ、バカァ?」と言うのだけは止めてほしい。

傷付く時は傷付くのだから。

 

「それなら今度家庭教師をして貰おうかな」

 

「良いわよ。受講料はシンジの手料理とオススメのアニメと漫画の情報ね」

 

お金はNERVから出ているので金銭には困らない。

だから、アスカの要求は少しズレたものとなった。

しかし、自分の料理や趣味に興味を持ってくれるのは嬉しい限り。

シンジも「それで行こう」と頷いた。

 

『意外と余裕のあるお二人さん、ガギエルも接近してきてるぞ』

 

「分かってるわ加持さん。ミサト、準備は?」

 

『完了したわ』

 

「よし!!」

 

シンジも自分が空気となっているのは悲しい話だが、今回の主役はアスカなのだから仕方ない。

弐号機をまともに動かせるのはアスカなのだ。

 

「行きます!!」

 

弐号機を覆っている布を良く漫画のキャラが脱ぎ捨てるワンシーンを真似しながら外し、大きく跳躍する。

異なる戦艦に超重量の弐号機が踏み潰すかのように着地した。

 

まずは弐号機にアンビリカルケーブルを装着させる。

起動させたは良いが、充電が切れてしまえば人智を超えた力も発揮できない。

最初の一手は弐号機の充電を確保する事だ。

 

既に弐号機周辺の戦艦の乗員は避難を完了しているので、人的被害は発生しようがない。

代わりに莫大請求書が送られてきそうなのだが…………それで青ざめる事になるのは作戦指示をしたミサトと総本山たるNERVだ。

後日に差し入れを持って行ってあげようと全く場違いな事を考えるシンジ。

 

「ガギエルは?」

 

「あっちで潜った」

 

アスカがガギエルの姿を見失う。

けれど、ガギエルから目を離さなかったシンジが即座に行動を教えてくれる。

これでガギエルの次のアクションが如何なるものであるのか――――予想が簡単に出来た。

海中に身を潜め、何処からか攻撃を仕掛けてくる。

 

普段ならばNERVのオペレーター達のサポートで相手のタイミングを測れるのだが、残念ながらそうはいかない。

それでも今回は幸いな点がある。

 

『ガギエルには今までの使徒のような中距離、遠距離を埋めるような攻撃手段はないわ』

 

そう。それこそがガギエルの得意なフィールドでも立ち回れる可能性のある事。

もしもガギエルが光線を放てるのだとしたらとっくに使っている筈なのだ。

 

それを行えばこちらを海の藻屑にするのは容易であるし、最も安全な手段なのだから。

しかし、ガギエルの戦術はまるで猪そのもの。

巨体を活かしての体当たり――あまりにも一本筋を持った使徒である。

明らかにこちらに勝ち筋を見出せる戦術を取るのは悪手とも言える。

何かの縛りプレイなのではないかと思ってしまう程に一辺倒な攻撃手段だ。

何故なのかは不明ではあるが…………確かにガギエルの行動は少し不自然なものにも見えた。

 

『何かを探しているような……』

 

「何かって、何よ?」

 

『いえ、ただそう思っただけよ』

 

ミサトはガギエルの行動をそのように評していた。

確かにこちらを攻撃するのであればもっと早くにいくつもの艦隊を沈める事が出来た。

なのにガギエはたまに戦艦の周囲を一周したりと、すぐには攻撃は仕掛けなかった。

あくまで「すぐ」なのでしばらくすると戦艦を体当たりで沈めてしまうのは事実であるし、こちらに害成す可能性を見せるのなら放ってはおけない。

 

「それよりガギエルがどう攻めてくるのか、よ」

 

今直面している課題をアスカが言葉にする。

海中へ潜り、接近してくるのに時間は掛からない。

なのにこちらを襲撃してくる様子はない。

何かを狙っているのか?

 

「シンジ、もし今攻めてこられたら困るのはどういう攻撃のされ方?」

 

「ガギエルがアクションを起こしたタイミングでこっちが跳んだ時かな。空中だと移動が出来る訳じゃないから体当たりされたら直撃したら一溜まりもないから」

 

「なるほどね」

 

これは教科書とにらめっこしているだけでは分からない生の感覚。

闇雲に跳んだ瞬間、ガギエルの巨体を活かした体当たりが弐号機に炸裂する可能性は大いにある。

 

「けど、結局はガギエルも物理的な接触しか出来ないと言ってるようなものなのよね」

 

シンジの推測をガギエルが正しく行おうとしているなら、確かに物理的な干渉しか起こらない。

 

「それにどのみちこのままだとジリ貧になるのは変わりないわ」

 

地形での有利はガギエルにある。

膠着状態を続けたとして、意味を成すまい。

場をコントロールできる相手と戦うのに精神的に不利を強いられる。

 

『海中に潜るのは自殺行為。なら、誘き出すしか無いわ』

 

「同意見よ」

 

ミサトもアスカも目下、ガギエルを海上へ引っ張り出す事を第一に考える。

問題はどうするかなのだが――――

 

「どおっ、りゃあああああーーーーーーっ!!」

 

アスカの母親の『キョウコ』が聞けば「女の子がはしたないわ」と一喝しそうな程の叫びが響く。

行ったのは踏み潰した戦艦にあった戦闘機を掴むと、そのまま海中へ投げ付ける事だった。

 

いくらエヴァの怪力でも水の抵抗を無視してまで物が突き進むのは難しい。

けれど、投げ付けた衝撃で海面で大きな水柱が上がる。

それと同時に パッシャァァァァァンッ!! と音が鼓膜を揺さぶる。

 

直後、弐号機の後ろで海面が揺れる。

同時、弐号機の乗っていた戦艦もガギエルの起こした波に揺れを発生させた。

船体が横に倒れそうになる。

 

「くっ!!」

 

仕方無いと、アスカは弐号機を真上へ跳躍させる。

しかし、ガギエルは「待ってました」とばかりに海中から跳び出した。

大きな口を開き、弐号機へ噛み付こうとする。

このままでは噛み砕かれる――――

 

「そうはいかないっての!!」

 

ただし、ガギエルの行動を予測したこちらには通用しない。

エヴァの身体能力に物を言わせ、空中で膝を折り曲げて胸まで上げる。

ガギエルが口を開こうとするタイミングで両足を思いっ切り前へ蹴り出す。

 

ドオッ!! ガギエルの上唇の部分に弐号機の両足がクリーンヒット。

ガギエルにしてもこちらの攻撃に突撃してきたも同然だ。

弐号機は蹴りつけた勢いを利用して上空へ跳び上がる。

その際、アンビリカルケーブルが外れてまたも内部電源に切り替わる。

 

「行くわよ!!」

 

そのまま空中で反転。

真下に居たガギエルは先程の蹴りの勢いに負けて海面に叩き付けられていた。

ガギエルの動きが鈍い。

 

「アスカ、ATフィールドを上に、それを足場にして落下だ!!」

 

「その発想借りるわ!! ATフィールド、展開!!」

 

シンジの指示を受け、アスカはATフィールドを足場にガギエルめがけて急降下していく。

その最中、弐号機の身体を捻らせてドリルに見立てて落ちていく。

 

 

 

「エヴァドリルアタック」

 

 

 

弐号機の渾身の蹴りが炸裂する。

ガギエルの背中から身体が「く」の字に曲がる。

 

キシャアアアアアッ!!

 

ガギエルの口から悲鳴が聞こえる。

堪らず海上で身体を何度も上下に揺さぶる。

魚の姿をしているだけあって、挙動が全く一緒だ。

 

「これはまずいよ」

 

「仕方ないわね」

 

このまま追撃をしたいところだが、ガギエルの激しい動き、更にはガギエルは気付かないが海中へ引きずり込まれると不利になるのは弐号機の方だ。

なので、安全策を取ってガギエルから離れる判断を行う。

しかし、ただでは離れないとばかりに弐号機で何度かガギエルの背中を踏み付けた後に大ジャンプを行う。

 

「よっ、と」

 

弐号機の操作も慣れたもの。

これだけのパフォーマンスを行いつつ、次のアンビリカルケーブルが設置された戦艦へと飛び乗った。

再び充電をする。

 

一先ずは安心するものの、まだガギエルを殲滅出来ていない。

油断せず、プログナイフを構える。

弐号機のものは初号機のとは形状が異なり、カッターナイフ状となっている。

 

「さーて、次はどう出るかしら?」

 

後手に回るのは致し方無い。

ガギエルの舞台へ上がる事は避けたい。

必然、待ちの選択肢を取る事となってしまう。

口では余裕綽々に言っているが、ガギエルの行動に気を配らなくてはならないので内心では緊張している。

 

充電を気にする必要はまた無くなる。

先程のようにケーブルが切れる事態も有り得るので過信は出来ない。

 

『前方から来るわ!!』

 

「今度は真っ向勝負ね」

 

上等――――アスカはプログナイフを構えてガギエルを迎え討つ態勢を整える。

 

「いや、ダメだ!! アスカ!!」

 

その行動は危険だとシンジは声を荒げる。

使徒との対面の回数の多い彼だからこそ、何かを感じ取ったのだろう。

ただ、一歩遅かった。

 

ガギエルは海面を割るようにこちらへ猛スピードで走ってくる。

その速度のまま、ガギエルは海中へと身を潜める。

こうなれば弐号機で追う事は叶わず、設備も無いのでガギエルの行動も捕捉が出来ない。

 

「でも、これでもガギエルの取れる行動は1つしかないじゃない」

 

ガギエルの行動パターンが単純であるのが大きい。

だからこそ、警戒こそすれどガギエルだけが有利になるとは考えにくかった。

先程と同様に誘き出せば問題は無いように見える。

 

『いえ、シンジ君の言う通りよ。行動パターンが1つしかないからこそ危険なの。とにかく離れるしかないわ』

 

「……分かったわ」

 

ミサトもシンジの意見に同調する。

プライドの高いアスカだが、2人の様子から只事ではないのは察知した。

仕方ないとアスカはその場を離れようとする。

さっきと同じように戦闘機を横へ投擲してガギエルの意識を逸らす。

そしてその場を離れようとして――――それよりも先に先程の2人の慌てようの答えが示された。

 

 

 

 

 

ガギエルは戦艦の真下から大口を開いて出現する。

 

 

 

 

 

浮遊感が起こり、弐号機、乗っていた戦艦が宙へ放り投げられる。

しかし、重力に逆らえる筈もないので弐号機は落下する。

さっきのようにATフィールドを足場にしての移動も行われる前にガギエルは弐号機めがけて突進していく。

海上からの跳び上がりはかなり勢いを付けていたようだ。

 

「こなっ、くそっ!!」

 

こんな事でやられてなるものか。

ガギエルは弐号機を飲み込もうと大口を閉じようとする。

あわや飲み込まれる――――その寸前、弐号機は力技で咀嚼を阻む。

上から噛み砕こうとしてくる上部の唇へプログナイフを突き刺す。

しかし、それがどうかしたのかとガギエルは怯む事無く、弐号機を噛み砕こうとしてくる。

噛み砕かれそうになったタイミングで上顎を両腕、下顎を両足で、それぞれ抑え込んだ。

間一髪、飲み込まれるのは防げた。

けれども、窮地から完全に脱した訳ではない。

 

「何だか浮上してない?」

 

最初に違和感を抱いたのはシンジだ。

弐号機は落下していた。

いくらガギエルが跳躍したとは言っても重力によって海へと引き摺り戻されるのは変わらない。

なのに浮遊感を未だに感じるのは明らかに異常だ。

 

『ガギエルが上へ飛んでいるのよ』

 

「もしかして、飛行能力まで持ってるの!?」

 

外から見ているミサトが何が起きているのかを教えてくれる。

そこから飛行能力を有しているとは厄介だ。

 

「こんな見た目で水・ひこうの複合タイプなのか」

 

「言ってる場合じゃないわよ!!」

 

某有名ゲームで表現をしている場合ではない。

トウジが言っていたように陸に上げるという手段も使えなさそうだ。

 

「このままだと、まずい!!」

 

「ケーブルは?」

 

『安心するんだ。まだ繋がってる』

 

ケーブルの心配をするが、加持は心配要らないと言ってくれた。

 

「ケーブルが繋がってるなら…………"このまま実行しましょう!!"」

 

アスカは状況を分析し、他ならないミサトへ進言する。

進言している内容――――それは彼女の企てた作戦だ。

 

『行けるの? アスカ?』

 

「ここまで来たら、やるしかないんじゃない?」

 

弐号機は窮地に立たされている。

けれど、これはチャンスなのだ。

何故なら――――

 

「目の前にコアがあるわ」

 

使徒の弱点――コアがガギエルの口の中に隠されていた。

 

『探す手間が省けて良かったわ』

 

ミサトの策は元々はガギエルの動きを制限させる事でコアを見付けて破壊する事だった。

コアを発見できたのであれば、そこの問題も解決できたのならば話は変わる。

 

『アスカ、シンジ君、今ケーブルを接続している戦艦は外側に出てしまっているわ』

 

「つまり、それだけガギエルの力が強い、と?」

 

それでは作戦も成功するのか分からない。

ガギエルが浮遊しているなら尚の事。

 

『いえ、そうでも無いわ。ガギエルの上昇は終わって、今は身体は横を向いていてガギエルは海へ落下しているわ』

 

海中へ潜ってしまう事は間違いない。

窮地に陥るのは間違いない。

 

けれど、この窮地を好機に変える可能性は見えてきた。

 

「上等よ!!」

 

このまま泣き寝入りなんてしてやらない。

アスカの宣言にシンジも賛成であった。

 

ガギエルの殲滅をする事を宣言しているのと同様であった。

 

その宣言ができるのかやってみろ――――まるでガギエルは挑発するかのように海中へ潜るのであった。




ガギエルの浮遊はエヴァ2にあったものを採用してます。

ちなみにゲームはプレイしておらず、調べた情報のみなので違いがあるかもしれません。
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