ではどうぞ。
水飛沫を上げながら海中へとガギエルは潜っていく。
弐号機の視界に海水が入った事で視認して確定的になった。
「ああ!! もう!! コアは目の前にあるってのに!! さっさと投げ付けでもすれば良かった」
先程、カッコ良く決めていたがやはり状況は好転している訳ではない。
もっと早くにコアの位置に気付いていればプログナイフを投げ付ける選択肢もあった事に気が付いてしまったが故に文句を叩く。
だが、過ぎた事は仕方ないし、結果的にはこれで良かったかもしれない。
「仮に投げてもコアを確実に破壊できたとは限らないよ」
「…………そうね」
仮にプログナイフを投擲してもコアを破壊できるのかと問われると答えに詰まってしまう。
それが分かったがだけにアスカも冷静になった。
状況を考えれば焦りも見えるのは仕方無い。
アスカをこうしてクールダウンさせられたのだからシンジのサポートが役に立てたと思うと胸を撫で下ろす。
けれど、アスカの焦りも分かるので状況打破の為にシンジも頭を回転させる。
アスカがガギエルが閉口するのを防いでくれている。
彼女以上にシンジが思考せねばならない。
こういう時、焦るだけでは駄目だ。
深呼吸をし、ミサトの考案した策の内容を脳内で振り返る。
元々のミサトの策はガギエルの動きを制限する事が前提にあった。
無人となった戦艦を遠隔操作して砲撃で行動を阻害、隙を見ながらコアの発見を行うものであった。
発見後の策としては「弐号機による破壊」もしくは「戦艦の超近距離砲撃での破壊」という組み立てをしていた。
「ミサトさん、今戦艦はどの位置にありますか?」
『ガギエルの海上付近にあるわ』
水の抵抗もあるのだろう。
戦艦はガギエルの真上にあると言う。
こちらはガギエルの口の中なので全体像までは把握できない。
それでも自身の置かれた感覚、及びミサトの方から出来る限りのサポートが頼りになる。
「もしかして、そんなに深くは潜っていない?」
『違うわよ。ケーブルが長く緩いから戦艦は海上付近に留まってるだけ』
つまりケーブルの長さの限界が来れば艦隊も道連れの形で海中へ引き摺り込まれる。
ケーブルが緩い事が意外な形で活躍した。
『レーダーを見る限り、このままだと海底に激突するぞ!!』
状況を見ていた艦長が叫ぶ。
レーダーで弐号機とガギエルの位置は何とか把握できているらしい。
その艦長曰く、ガギエルは海底まで来ているらしい。
それは弐号機も海底へと引きずり込まれているのと同義だ。
直後、艦長の言っていた事が現実となる。
ガギエルは噛み砕くのを放棄し、弐号機を海底めがけて吐き出す。
「なっ!?」
これまで入れていた力の矛先が明後日の方へ流れる。
その瞬間、ガギエルは弐号機を息で吐き出した。
海底に背中から叩き付けられる。
アスカやシンジにはダメージは無いが、衝撃までは消せない。
「アスカ、大丈夫?」
「平気、よ!!」
弐号機を通してガギエルを睨み付ける。
あちらは助走を付ける為にか、旋回していた。
狙いは弐号機。
このまま巨体を活かしたのしかかりでも弐号機は海の藻屑と化してしまう。
「やっぱりB型装備だと無理があるか」
弐号機の動きが陸上と比べても緩慢だ。
それでも人が水中で身動きを取るよりも速度はある。
ガギエルはこちらの動きを待ってくれるつもりは毛頭ない。
弐号機めがけて突進してくる。
「ATフィールドを斜めに張って受け流そう!!」
「了解!!」
シンジに促され、ATフィールドを斜めに展開する。
ガギエルは誘導されるように海底に体当りする。
ドボンッ!! 横で砂埃を上げながらガギエルは衝突する。
この手の発想はアスカだけでは思い付かなかった。
こればっかりはシンジに感謝だ。
「まだ来る!!」
ここはガギエルの得意な戦場。
向こうの方が動きは速い。
即座に方向転換。
弐号機に再び狙いを定める。
「こっ、のぉっ!!」
ガギエルと真正面からやり合うのは危険だとアスカも判断する。
何とか弐号機をガギエルの方へ向けて、真横へ流す形でATフィールドを展開する。
狙い通り、ガギエルは弐号機の真横を通過する――――――しかし、
「向こうの動きが速すぎる!!」
まさに水を得た魚。
ガギエルは即座に弐号機へ方向転換をする。
アスカもその度にATフィールドを利用してガギエルの攻撃を逸らす。
真上にはケーブルが伸びているので、そちらには流せない。
故に横へしか逸らす事は出来ない。
しかし、何度通用するか分からない。
『今からケーブルを巻き上げて引き上げるわ!!』
「駄目よ!! それをするって事は危険な戦艦に誰かが乗るって事でしょ!!」
ミサトの提案は一番の解決策だろう。
しかし、アスカはその提案を良しとしなかった。
理由は今彼女自ら口にした。
シンジもアスカと同意見なので何も言わない。
『けれどアスカ、このままだと――――』
ミサトの声が途切れる。
それよりも弐号機に振動が起こったが故だ。
何故なのか。
ガギエルが弐号機のATフィールドもろとも吹き飛ばすように体当たりしてきたからだ。
「くっそ!! 学習すんなっての!!」
ガギエルが弐号機が受け流している事に気付いてしまった。
だから、速度を上げてATフィールドに突っ込んできた。
アスカの反応が間に合わない程の速度で。
苦悶の表情にアスカは内心で焦っていた。
操縦技術はパイロットの中でもエース級だ。
海中では水の抵抗を受けているものの、彼女の技術のおかげで何とか延命出来ている。
突破口はATフィールドとエヴァとのシンクロ率を上昇させる事だ。
しかし、どちらもガギエルの攻めに手一杯となってしまっている事から封じられてしまっている。
ましてやATフィールドはガギエルに向けてばかり。
―――このままだと、まずい。
間近に居るシンジもピンチなのは把握している。
このピンチをチャンスに変える。
その為には変化が求められる。
『なあ、シンジ。ワシらの時みたいにパパっと動けへんのか?』
「そうは言うけれど――――」
海中というフィールド下でおいそれと出来たものではない。
そう返そうとして、ふと言葉を止めた。
トウジの言葉に一考があるのではと脳裏を過ったのもある。
弐号機にガギエルがATフィールドの上から激突されてしまったのが原因であった。
「きゃっ!?」
「うわっ!?」
弐号機に掛かる負荷は大きなものだった。
衝撃はエントリープラグ内の2人にまで伝播し、弐号機もまた海底で転倒する事になってしまった。
「まずい!! ガギエルが!!」
こちらの隙をガギエルは見逃さなかった。
アスカも弐号機を片膝で立たせた状態まで起こしてガギエルの突進を防ぐ為にATフィールドを展開する。
しかし、咄嗟の行動だったが故にガギエルの壁となる形での展開だ。
確かにガギエルの進撃を抑える事は出来ている。
シンジが懸念していた通りにガギエルの進撃はこれだけでは止まってくれない。
勢いは増していき、ガギエルとの衝突で発生する余波でオレンジ色の波が発生している。
それがATフィールドの存在を示唆しているなら、少しばかりヒビが入っている。
「ATフィールドを無理矢理に突破するつもり!?」
物理的な干渉が可能となるATフィールド。
シンジが以前にサキエル相手に見せた突破手段をガギエルに真似された。
『アスカ!! シンジ君!! 何とか堪えて!! 今助けるわ!!』
「駄目よ。ミサト!!」
それは先程と同様にエヴァの救助に誰かを犠牲にする危険性を孕んでいる。
そこまではさせられない。
―――どうしたら!!
このままではまずい。
シンジは今の自分の無力さに腹を立てていた。
同じように弐号機に乗っているのに自分には何も出来ないのか?
操縦もできない癖にできる事なんてない……客観的に考えてもシンジは完全なお飾りだ。
―――アスカを、助けなきゃ!!
その想いを強くさせ、シンジは考えを巡らせ…………
―――何、だ?
突如として違和感を抱いた。
乗っている弐号機の空気が変化したような。
LCLで満たされたエントリープラグ内で空気の変化を言うのも妙な話ではあるが。
いや、この感覚に実は覚えがあった。
―――もしかして弐号機?
答えは無かった。
けれど、これは初号機の時と同じだ。
サキエルとの戦いで無意識ながらシンジは初号機へ協力を仰いで力を貸して貰った気がしていた。
トウジとケンスケを乗せた際、シンジの推測が確かなものと直感した。
エヴァンゲリオンには意思がある。
開発者でもあるリツコからはそのような話を聞いた事はない。
なのでシンジの勝手な想像を働かせているだけかもしれない。
仮にそれが正しかったとして、秘密にすべき“何か”があるのかもしれない。
分からない事ばかり。
だが、その分からない事に今は賭ける。
奇しくも、直前にトウジが告げた事を実践する。
―――初めまして弐号機さん。僕の名前は碇シンジ。ごくごく普通の中学2年生さ。
まずは挨拶。
自分が何者であるのかを分かりやすく教える。
ただ、時間は無いので立て続けで申し訳ないが、要件を真っ先に済ませて貰おう。
―――今、見ての通りでアスカがピンチなんだ。僕に彼女を助ける手伝いをさせて。
シンジの思いが通じたのかどうかまでは分からない。
だけど、何となく……先程までと弐号機の中の空気が変化した気がした。
アスカを助けたい――――その一点が弐号機の心と合致した。
そこからは考える前に動いていた。
アスカの展開するATフィールドがガギエルに力技で突破される。
「しま――――っ!?」
「そのまま弐号機の手を前へ!!」
シンジの切羽詰まった声にアスカは従う。
直後、ATフィールドが張り直された。
「え?」
アスカの驚きも無理はない。
今、彼女はATフィールドの展開を行っていない。
では、誰が行ったのか?
この場にはアスカを除けばもう1人だけ。
「シンジ?」
アスカの問いには答えず、シンジは真っ直ぐ前だけ見据えていた。
―――集中!!
視界には眼前に居るガギエルしか映さなかった。
ATフィールドも真上に受け流すように展開する。
ガギエルの身体が弐号機の頭上を通過する。
直前までアスカが粘ってくれたからこそ、ガギエルを受け流す事に成功した。
だが、受け流した先には問題がある。
生命線とも言えるアンビリカルケーブルのコードがそこにあるのだから。
ケーブルがガギエルに当たってしまう。
それは避けられない事実。
「アスカ!! ケーブルをガギエルに巻き付けて!!」
「なるほど!!」
ガギエルは既にケーブルに体当たりしていた。
そのタイミングで弐号機がケーブルを引っ張る。
エヴァは海中に居るにも関わらず浮上する気配がない。
つまり、質量が大きい証左でもある。
それでもガギエルと比べてしまうと雲泥の差がある。
その上でガギエルへケーブルを当てたのには意味がある。
エヴァで使用するケーブルは案外頑丈だ。
サキエルの時のようにレーザー等で焼き切れる事は何度かあった。
けれども、体当たり等で切れた事は無い。
さすがに今回のケースでは絶対とは言い切れないものの、用途を考えれば問題無いと判断する。
ガギエルはケーブルに顔面から突っ込んでくる。
それを見て弐号機がガギエルの真下を通過する。
ガギエルは真っ直ぐ突っ込んでくるのでケーブルはその拍子で伸びていく。
伸びていくのは弐号機がケーブルを掴み、踏ん張っているのも理由だ。
だから、弐号機が踏ん張りを止めれば自然とガギエルの方へ引き寄せられていく事になる。
ガギエルは首を左右へ振ってケーブルを剥がそうとしている。
魚の形状が故にケーブルを剥がすのも一苦労だ。
その間に弐号機は海底を蹴ってガギエルとの距離を瞬く間に縮めていく。
更にはケーブルを伝ってガギエルへと接近していく。
ガギエルの身体が巨大な事もあり、接近するのは容易い。
すぐに真横まで来れはした。
だが、ガギエルは今にもケーブルの簡易な拘束を剥がしてしまいそうであった。
こちらも引っ張られる力が強いせいでケーブルを掴んでいるだけで精一杯であった。
「ここまで来た訳だけど、どうするのよ?」
「アスカはそのまま操縦に専念していて。ガギエルの動きは僕が止めるから」
アスカの問いにシンジは口早に答えた。
しかし、如何なる方法を取るのか疑問を持った。
その疑問は行動で以て示された。
何故、シンジは操縦に専念するように促したのか?
彼の取った手段はガギエルの進路上にATフィールドを張る事であった。
不可視の壁にガギエルは猛烈な勢いで激突。
ケーブルを振り払うのに夢中になっていたせいで、真正面が疎かになっていたようだ。
激突と同時にガギエルが振り払おうとしていたケーブルが外れる。
弐号機が掴んでいるケーブルも当然ながら波打ち、ガギエルの真上まで揺れる。
「本当、無茶苦茶してくれるわ!!」
そう言いながらも好機を逃してなるものか。
海中なので確実にガギエルにしがみ付く。
どんな形であろうともアスカならやり遂げられるというシンジからの信頼が寄せられていると勝手ながら感じた。
ならばその期待に応えようではないかとアスカは弐号機の操縦桿を強く握る。
「行っ、くわよおおおおおおおおーーーー!!」
雄叫びと同時にガギエルの背面へしがみ付く事に成功した。
既に絡まっていたケーブルを外し、ガギエルは再び海中で動き始める。
今度は背中に乗っている弐号機を振り落とそうとしているのだろう。
「放す訳が、ないでしょ!!」
アスカも引き剝がされまいと必死になる。
けれど、向こうの土俵の中ではこれが限界でもあった。
「アスカ」
弐号機を操縦するのに必死なアスカにシンジはなるべく穏やかに声を掛ける。
今回の主戦力を扱えるのは他ならない彼女なのだ。
そして、シンジはそんな彼女をサポートする立場に居る。
その為の協力を得たのだから。
「僕がガギエルを上へ誘導するよ。だから…………」
「なるほどね。理解したわ」
海上へ出ればまだ戦い様はある。
その後の展開もアスカには読めた。
問題はガギエルの誘導だが、その方法はもう分かりきっている。
「操縦は任せて。思う存分、サポートしなさい」
「うん」
真っ先にガギエルの真下にATフィールドを張る。
ただ張るのではなくて、斜めになるように角度を付けて。
弐号機を振り払おうと躍起になるガギエルは促されるように海面へと向かっていく。
確実に向かわせるように同様のものを2回、3回、と重ねていく。
その努力の甲斐は――――ガギエルを海上まで誘導しきる事で証明された。
「ありがとうシンジ。次はアタシの番よね!!」
シンジのおかげでここまで来れたのだ。
応えなければなるまい。
いつまたガギエルが潜水するとも限らない。
海上へ戻ると同時、ガギエルの背中を猛ダッシュで駆け出した。
ガギエルはかなりの巨体を誇る。
けれど、エヴァの脚力であればガギエルの巨体程の距離を短時間で走り切るのは難しくない。
走り出した弐号機、その目的地は――――ガギエルの口元だ。
そこには何がある?
弐号機が突き刺したままにしてあるプログナイフだ。
より正確に告げるならガギエルの口内にプログナイフは突き刺されたままとなっている。
あれだけ暴れ回っているのに外れないのは我ながら深く突き刺したものだと考えてしまう。
思考が脱線しそうになったが、今は目の前のプログナイフを思いっきり真上に引き抜いた。
「――――っ!?」
ガギエルが悲鳴を上げる。
同時に自身の巨体を仰け反らせる。
プログナイフを引き抜いた方向と同じなのは、その勢いに吊られてのものだろう。
弐号機もガギエルのアクションに逆らわず……それどころか、その勢いを利用して天高く跳び上がった。
「このまま突っ込むわ!! 足場を!!」
「了解!!」
アスカのリクエストに応えるとしよう。
最初に宙へ跳んだのと同じ要領でATフィールドを今度はシンジが発生させる。
先程までとは異なり、完全な役割分担を行っているのでアスカも操縦に専念できる。
弐号機の身を捻らせ、頭と足の位置が逆転する。
真下にはガギエル。
プログナイフを引き抜いた反動による痛みが引き始め、落ち着きを見せ始めた。
けれども、先程の暴れ様からすぐに落ち着いた訳ではない。
未だ、ガギエルの口は大きく開いたまま。
それを確認し、弐号機の足がATフィールドに触れた瞬間――――弾丸のごとく跳んでいく。
「ああああああああーーーーーーっ!!」
プログナイフを突き出し、咆哮を撒き散らしながら弐号機は瞬く間に目的地へ辿り着く。
その場所は――――――ガギエルのコアだ。
落下の勢いを利用してプログナイフを突き出す。
「エヴァ・スラッシャー!!」
重力+落下の勢い+エヴァの身体能力による刺突がコアを貫く。
ヒビを入れ、突き刺す事に成功した――――のだが、
『まだ動いているぞ!!』
外から見ている艦長が声を荒げる。
ガギエルは未だにその姿を保っている。
平たく言えば、弐号機でここまでやっても“突き刺しが浅いのだ。”
突き刺さっているので、決して無敵ではない。
これまでの使徒のものと比べると硬い。
だからこそ、ガギエルの殲滅までには至っていない。
『いえ、艦長』
「“想定内よ。” シンジ!!」
「分かってる」
対してアスカは、それにシンジとミサトも冷静だった。
ミサトは2人が元の作戦を無駄にするような事をしていないのは動きを見ていて分かったから。
そして、シンジとアスカも彼女の立案した作戦があるからこそ出来た立ち回りを行っていた。
どういう事なのかはこれから証明される。
弐号機はプログナイフをコアに突き立てている。
落下した時の体勢のままで。
操縦に専念するアスカに代わり、シンジが弐号機の足下にATフィールドを発生させる。
「いっ、けぇぇぇぇぇーーーーーーっ!!」
咆哮を轟かせ、弐号機はシンジの用意したATフィールドを蹴り付ける。
落下時の勢いはまだ活きている。
今度は弐号機自ら相手のホームである海へと突っ込むかのようにガギエルを押し込む。
ガギエルの方も気が付いたのであろう。
弐号機の行動に逆らわずに押し込まれる形で海中へと戻る。
『これでは、先程の二の舞いに――――』
『なりませんよ』
通信の向こうで艦長が状況の不利を口にするも、ミサトはその逆だと告げる。
忘れて貰っては困る。
弐号機は未だに戦艦に設置してあるケーブルが“繋がれたままである事を。”
「あとは、頼んだわよ!!」
繋がれているケーブルを思いっ切り引っ張る。
海上にある戦艦を無理矢理に海底へ、そしてガギエルの口内まで引き込んだ。
「今よ!!」
叫ぶと同時、弐号機はケーブルをパージし、コアを蹴り付けて後ろへ跳ぶ。
入れ替わる形で戦艦がコアめがけて一直線に突貫する。
『ってぇ!!』
遠隔操作による戦艦のゼロ距離射撃。
艦長の号令により、発射される。
弐号機が与えたコアへのダメージも手伝い、コアを粉々に砕ける。
直後に水爆が発生、ガギエルの消滅による十字の爆発とコアをゼロ距離で破壊した事で被害に巻き込まれた戦艦の爆破。
その余波が弐号機を海面へと押し上げる。
「きゃっ!?」
「うわっ!?」
余波の衝撃に機体が揺れる。
一瞬であったが、2人に掛かるGは強力であった。
操縦桿を握るアスカの方へシンジが倒れ込む。
その直後に弐号機が海面に浮上した。
付近に配置してあった戦艦へと乗り、ケーブルを接続する。
弐号機に目立った破損は無い。
あの至近距離で焼け跡のみで済んだのは奇跡だと言えよう。
『使徒の反応が完全に消滅』
『殲滅完了だな』
『お疲れ様。アスカ、シンジ君』
艦長がレーダーから使徒の反応が消えた事を教えてくれる。
それを受けた加持が任務完了である事を言葉にした。
遅れてミサトが2人に全てを終了した事を伝える。
「な、何とかなったねアスカ」
「ええ。やったわねシン…………ジ」
シンジは顔を見上げてアスカへ言葉を掛ける。
それを受けたアスカが応えようとして――――言葉がピシャリと止まった。
はて? どうしたのだろうか?
シンジが疑問を抱いていると、アスカの顔がみるみる赤く染まっていく。
「いつまで、乗ってるつもりなのかしら? バカシンジ?」
「………………あっ!!」
言われてようやく気が付く。
アスカの顔を見上げている時点でおかしいのだ。
彼女の太ももの上に乗っかっている。
いや、気付けと言うのが普通なのだが。
「ご、ごめん。今退くよ」
アスカの太ももから退こうと腕を伸ばす。
むにゅっ!! 伸ばした腕が何やら柔らかいものに触れる。
何を触ったのかな?
シンジが疑問を抱きつつも手が勝手に動いてしまう。
こんな所に柔らかいものはあったのか?
そう思いながらそちらへ目を向けた。
どうやらアスカの胸部へ誤って伸ばしていたようだ。
顔を真っ赤にさせたアスカは握り拳を硬く作っていた。
彼女の背後には覇気が発せられているではないか。
「英語の家庭教師をするよりも先に、女性へのマナーの家庭教師をするべきかしら?」
最初のパンチラは自分からやった事なので何も言わなかった。
今回は事故とは分かってはいても、ここまでの事をされるのであれば怒りのオーラを放つのもご尤も。
シンジも良い想いをしたのだ。
ならば、罰は受け入れるしかない。
「何か、言い残す事は?」
「ありがたき幸せ」
「こんのぉぉぉぉぉ!! エロシンジ!!」
叫ぶと同時、彼女の折檻がシンジに降り注ぐのであった。
如何でしたでしょうか?
今回のオチはこんな感じで決めていました。
え? 何か足りない展開がないかって?
原作最後であったラストのシーンはまた次回に持ち越しで。
色々と原作とも相違があるとは思いますが、何卒暖かい目でお守り下さい。
次回はなるべく長くなりすぎないように気を付けますんで。
完成させてから分割して、追加で書き足す作業はもうコリゴリです(笑)
では、また次回。