何でも検索できるパソコンを手に入れました。ーBPCー   作:木岡(もくおか)

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番外編5 「幼なじみ 死姦」⑦

 彼女が動かなくなってからも俺は首を絞め続けた。人間そう簡単には死なない。知っていたから俺は完全にこと切れるまで、もう目を覚まさないと確信できるまで、手を震わせながら続けた。

 

 恐怖と性的興奮が混ざり合う体中の毛が逆立つような感情と共にずっと絞め続けた……。

 

 もういいだろうという時に力を緩めると彼女の脈があるか確認した。風呂に入る前で裸だったので、彼女の胸を直接触って。

 

 10秒ほど触れていても確認できない。彼女の首が横に倒れる。

 

 すると俺は、見えた耳の穴に舌を入れた――。

 

 

 とりあえず動かなくなった彼女をベッドに運び、それが終わると俺は床に座った。クーラーの風が直接当たる位置に座って、後ろに手を着く。

 

 なんだか息を上手く吸い込めなかった。少しづつ小分けにして吸い込まなければつっかえてしまう。

 

 苦しくはない。ただ興奮のあまり体が正常じゃないことは分かった。

 

 8畳ほどの広さの部屋で死体と2人きりという異常な空間。俺はそこで一息つく。クーラーが効いてきてさっきよりも空気がさっぱりした……なのにさっきよりも空気が重い感じがする。先ほどまで彼女が感じていた絶望と不幸が空気に交じって漂っているようで、重く、濃い。

 

 けれど、居心地は悪くない。やってはいけないことほど、異常なシチュエーションであるほど燃える。

 

 手を伸ばせばもう届く。だけどまだもう少し……もう少しだけ……この静寂を楽しみたい。そんな気分だった。今この景色を、この空気を、この匂いをしっかりと脳に焼き付けておきたかった。

 

 服を脱ぐ。パンツも。そしたら、じゃあもう始めようか。いやまだもう少し我慢しようか。そうだ、始める前に彼女のスマホを覗いてみよう。そういえば、やる前の死体の画像も保存しておきたいな……。

 

 ………………………………。いや、もう……。

 

 ぐったり仰向けになった彼女の、足の間。股間の真ん中の性器に目がいった瞬間に俺は我慢できなくなった。

 

 衝動のまま、そこにしゃぶりついた。漏れてきていた尿も一緒に掬い取るように舐め上げた。音を立てながら目一杯吸い込んだ。

 

 間髪入れずに足をがっと開く。どうしようもなく顔が引きつった。抑えないといけないと分かっていても歯を食いしばってしまうほど顔に力が入った――。

 

 行為の最中は彼女を殴り続けた。髪の毛を鷲掴みにして束ごと抜いてみた。爪を剝がしてみた。恋人つなぎをした後、指の骨を折ってみた。

 

 本来ならば死体を保存して何度も使い回すことも考えていた。死体をなるべく腐らせずに長く清潔に保つ方法、エンバーミング。それを個人で行う方法や費用も黒いパソコンに尋ねていたのだけど、全く無駄になった。

 

 こんなにも我慢できなくなるとは自分でも思っていなかった。

 

 休むことなく、抜くことなく、ずっと彼女と交わった。この場で終わりでいいなら、あとはこのマンションに放火して帰るだけ。ある無職の男の部屋に侵入し、その男も殺してそこから火を放つ。

 

 男が周囲も巻き込んで自殺を図ったかのように見せるため、男のスマホを操作して犯行予告をネットに投稿するという下準備も既に済んでいる。

 

 あとは停電する時間で脱出すれば俺の姿を目視する者は存在せず、消火活動も遅れる。

 

 だから、その時間がくるまでずっとこのまま続けよう……。

 

 5回目の絶頂を迎えた時もその考えは揺るがなかった。しかし、また続けよう、そう決めて体位を変えた時だ。突然大きく素早く2回鼓動した。

 

 そんな気がしただけか。だとしても最初から既にいつもの何倍も鼓動が強くなっているのが分かっていた俺は止まらない……が、すぐに胸の真ん中に激痛が走る。 

 

 彼女の腹の上に頭を乗せる形でうずくまってしまった。まるで焼かれているかのような痛みだった。高温の鉄を胸に押さえつけられているかのような。手で胸を抑えてどうにかなるものではないとすぐに分かるけれどそうする他ない。

 

 治まれ、治まれと頭の中で唱える。そうしていていても治まらなくて、俺はついにこの状況が本当にまずいものだと悟った。

 

 どうにかしなければ自分まで死ぬ。そのくらいにまずい状況が来ている。なのに腰が止まらない。 

 

 心臓に異変が起きているのか。だとしたら意識があるうちに早く、激痛を伴いながらも自分で応急処置するしかない。そんなことできるだろうか、じゃあ他の誰かを呼ぶしかない。救急車……でも今そんなものを呼んだら……。

 

 どうしていいか分からなくなった。自分では答えが分からない。焦れば焦るほど思考が固まる。そんな時俺の脳裏に黒いパソコンが浮かぶ。

 

 あのパソコンがあれば……この状況からでも助かる方法が。そんなものがあるんですかという方法が……。

 

 何か役立つものはないかと横を見る。そうすればなんと、求めるものはすでにそこに……すぐ近くにあった。音もなく、物理的に侵入できないはずの場所へ移動してきていた。

 

 間違いなく俺の部屋にあったはずの代物。いつも通り黒い画面の中にワードボックスがぽつりといるそのパソコンだ。

 

 俺がなぜ黒いパソコンがここにあるのかその意味を考えた時にいよいよ腰の動きが止まった。

 

 前にその辺りの検索をしてみたことがあったからだ。

 

「あなたは死にます。お伝えした通り、今までの検索履歴とあなたの記憶を消します。」

 

 突然のことに思考は停止した。このまま死んだ後の惨憺たる明日のことも気にならない。

 

「良いデータが取れました。ありがとうございました。」

 

 振り絞った力は彼女の唇まで自分の唇を届かせることに使った。

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