何でも検索できるパソコンを手に入れました。ーBPCー   作:木岡(もくおか)

152 / 215
word53 「告白したら付き合ってくれる人 人数」⑤

 勢いのままいってしまわなければ、また布団の中に後戻りする。そう思ったから止まらなかった。僕も男だ。やるときは、やらなければ。

 

 画面にグルグルが表示される。これが出た後はすぐに、黒いパソコンが答えを僕に見せる。

 

 きっと、あと1秒くらいで――。はっ――。やっぱり――。

 

 一瞬何か文字が見えた――。そのくらいのタイミングで僕は正気に戻ってしまった――。

 

 急いで折りたたんだ黒いパソコンの前で、早まった鼓動を抑える。流石にこのスピードでこの検索結果は見れない。裸で雪山に飛び込むようなものだ。流石に、流石にだ。

 

 情けない……いや、でも頑張ったんじゃないか。あとは心の準備をしてもう一度黒いパソコンを開くだけなのだから。

 

 このまま今日中には勇気が出なくても、明日また検索するときには絶対に見ることになる。つまりここは既に乗り切ったようなものだ。いやあ、頑張った。

 

「ふう……」

 

 僕は一息ついて今からもうひと踏ん張りするか考えた。そして、一旦風呂に入って夕飯を食べることに決めた――。

 

「ふう……」

 

 シャワーを浴びて、髪を洗って顔を洗って体を洗った。これからまた勝負が控えているので、体を清めるためにゆっくりと。明日は休みだけど、しっかりめに髭も剃って。それから暖かいお湯に浸かった僕は、しばらくしてからもう1度大きく息を吐く。

 

 ちょうどいいくらいに湯舟で温まって頭がぼんやりしてきた。今なら「告白したら付き合ってくれる人 人数」の検索のことに向き合える。

 

 この前検索したときは何人という答えが出たのだっけ。考え事はそこから始まった。確か3人……いや、2人だった。何とも言えない結果だったのだ。

 

 僕はあれから多少なりとも魅力のステータスが上がったと自分で思う。だって筋トレもこの寒い季節に入ったというのにまだ定期的にやっているし、ギターもある程度弾けるようになった。

 

 高校生にしては財布にお金がたんまり入っていることも噂で広まりつつあるっぽいし、何よりも自分に自信が付いていた。

 

 ただ単に魅力的になれたと思うから付いた自信ではなくて、黒いパソコンを持っているから付いた自信だ。

 

 これまた単に持っているからという話ではなくて、僕は長い間黒いパソコンを使ってきてあらゆることを知った。誰も知りえない情報ばかりをだ。

 

 そして、それ以上に検索に伴ってあらゆる経験を積んだ。大人の世界も見たし、地球の平和も守った。絶対にその辺の高校生よりもあらゆる経験値を持っている。即ち、自信になっている。

 

 まあ……その自信をもってしても1人の女の子にあたふたしてしまっている訳だが……。確実に以前よりも良い男に見えるようにはなっているはずなのだ。

 

 だから、今日の検索結果は以前よりも絶対多くなっているだろう。

 

 果たして何人だろうか……。温まりすぎた足を浴槽に乗せて、さらに考え事は続く。

 

 5人くらいにはなっててほしい。数がそれ以下だったらかなり落ち込んでしまう。できれば10人。そのくらいの人数が表示されていたら、手を挙げて喜べる。

 

 10人いればきっとあの子も入ってる。だとしたら……もう、やるべきだ。連絡を取るべきだ。でも、やれるか……勇気を出せるか、今こう思っていたとしてもいざ、検索結果を見て10人だったとして行動に移せるか。

 

 いや、やろう。もう絶対と決めておこう。もし、告白したら付き合ってくれる人が10人以上だったら、僕は折原さんにメッセージを送る――。

 

 風呂を上がると、予定通りできていた夕飯を食べた。大体いつも通りの時間通りの時間で今日も過ごした。

 

 日付が変わる少し前、頬を叩いてから僕は黒いパソコンを開いた。そこにあった文字は――。

 

「あなたが告白するとOKをもらえる人数は9人です」

 

 と、こういうものだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。