特級呪霊 阿部高和   作:修羅場好き

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「残念無念で不書感想」様。誤字報告誠にありがとうございました。


折本里香の憂鬱

折本里香にとって、乙骨憂太は彼女の全てだった。

 

 

生涯を共にしたい唯一の伴侶。他の異性には一切近づいてほしくない。自分だけを見て、ずっとあの優しい笑みを見せてほしい。それだけが、折本里香の願いであり、死んだ後もそれは変わらなかった。

 

 

例え、憂太に呪われ、醜いバケモノとなっても「折本里香は乙骨憂太を愛している」。その事実だけは誰にも変えようがなく、永遠で不変。

 

 

そんな中、折本里香は生前の姿を取り戻した。

 

 

呪術高専の学長である夜蛾から奪った傀儡呪術、そして、阿部が奪った複数の術式の融合により特級呪霊 折本里香は呪骸に封じされ、生前の姿と理性を取り戻した。

 

 

阿部高和が討伐された場合、折本里香は元の特級呪霊に戻るか、最悪、消滅する可能性がある。

 

 

その事実を五条悟から告げられ、乙骨憂太は、阿部高和と戦えなくなった。

 

 

乙骨憂太も折本里香を愛している。

 

 

その事実が甘美な響きとなり、折本里香に改めて、最愛の伴侶の愛しさを感じさせている。

 

 

乙骨憂太は折本里香を愛している。

 

 

折本里香は乙骨憂太を愛している。

 

 

二人はどうしようもなく、相思相愛で、例え死後の束の間の夢だとしても、この時間は二人にとって何よりも大切なものだった。

 

 

再開から何度も言葉を交わし、互いの温もりを分かち合い、口づけを交わし、愛を共有する

 

 

乙骨憂太は折本里香を愛している。

 

 

折本里香は乙骨憂太を愛している。

 

 

それが全てで、それだけが事実だった。

 

 

同時に折本里香は理解している乙骨憂太は、自分以外にも大切な人を抱えている。

 

 

同級生の狗巻棘。事故で誰も呪わないように自身の語彙を縛っていた彼は、数日間の記憶と呪言を失った状態で阿部高和の襲撃の翌日自室で発見された。普通に話すことができるようになったが、もう呪霊は見えないため、今後は一般の高校に転入することになり、そのための勉強をしており、愛しい憂太が頻繁に差し入れを持って行っている。

 

 

狗巻君については、今後色んな人と話して、幸せになればいいと折本里香は思っている。憂太の数少ない、同性の友人であり、その優しさから素直に幸せが願える人。

 

 

同級生のパンダ君。阿部高和に掘られてからしばらく、女性の人格になっていたが、最近復活した。可愛いので、時々モフモフさせて欲しいと思う。

 

 

同級生の禪院さん。この人は駄目だ。憂太を異性として見ている。悪い人ではない、むしろとてもいい人だ。でも、駄目だ。とっても、駄目だ。胸も大きい。駄目だ。このヒトと憂太が接触する時は、自分が一緒じゃないとダメだ。目の前でいっぱい憂太にキスして憂太のことは完全に諦めてもらおう。

 

 

担任の五条悟先生。すごくダメな大人。憂太の恩人だけど、とても駄目で、ダメな人。

誰よりも阿部高和の討伐に意欲的な人で、友人想いの人。友人が失ったモノを取り戻すためならいくらでも頑張れる人。阿部高和が想像以上にパワーアップしているから、呪具で一時的に性別を女性にすることまでした人。

 

 

夏油傑さん。大事なものを奪われたけど、恵まれない子供たちのためにずっと努力している強い人。入学した頃の憂太の面倒を見て、相談に乗って、裏で支えてくれた人。優しいけど、どこかで折れてしまいそうな、泣きそうな人。とても、優しくて、弱い人。笑えない人。

 

 

家入硝子さん。私の健康管理をしてくれている人。何かを達観した人。どこか、諦めたでも何か引きずっている人。

 

 

学長の夜蛾先生。術式を全部奪われてしまったけど、教育者として残りたいと願った強い人。

 

 

灰原雄さんと七海建人さん。憂太に大学と一般企業への就職を勧めてくれている人。

 

 

枷場美々子ちゃんと枷場菜々子ちゃん。夏油傑さんに救われた双子。最近、よくお茶をする二人。夏油傑さんのために阿部高和を討伐しようと頑張っている二人、夏油傑さんの幸せを願っている二人。

 

 

「里香ちゃん。里香ちゃん。ぼんやりしていたけど、大丈夫?」

 

 

振り向けば、愛しい憂太の声がする。生を感じされてくれる優しい声。

 

 

「大丈夫、ねえ、憂太。憂太はどこにも行かないでね。ずっと、傍にいてね」

 

 

「どこにも行かないよ。ずっと、一緒」

 

 

「憂太。あの、阿部って人が討伐されたら、里香はどうなるのかな?」

 

今度こそ、本当に消えてしまうのではないか。それはしょうがない。でも、憂太を悲しませたくないと思う。

 

「大丈夫。大丈夫。僕が絶対にそんなことさせないから」

 

ギュッと抱きしめられ、生を感じる。愛しい人の心臓が、トクン、トクンと音を立てる。

 

「ねえ、憂太。こことっても、危ういね」

 

「どうして、そう思うの?」

 

「夏油さん、いつも泣きそうだよ」

 

「うん、そうだね。あの人はいっぱい我慢して、いっぱい耐えてるからね」

 

「五条先生は夏油さんのために、戦うんだよね?」

 

「うん、そうだね」

 

「憂太は行かない」

 

「うん、行かない。もう、里香ちゃんの傍から離れない」

 

それはいけないことだが、嬉しいと感じる自分がいることを、折本里香は自覚している。

このままいけば、阿部高和はきっと、討伐され、自分はまた、悪霊になるか、消滅するか、どちらにせよ、愛しい、愛しい憂太を傷つけることになるだろう。

 

 

それが、恐ろしい。もう一度死ぬことより、憂太を傷つけることが恐ろしい。

 

 

 

きっと、この時間は長く続かない。誰かが、壊してしまう。それが悲しい。

 

 

呪術高専はとても危ういバランスで成り立っている。それが崩れれば、きっと、一気に瓦解する。

 

 

ガラガラと、ガラガラと、とても簡単に壊れてしまう。

 

 

ああ、怖い。

 

 

「里香ちゃん、授業があるから、そろそろ行くね」

 

 

怖い、無くしたくない。

 

 

「うん、行ってらっしゃい」

 

 

ちゃんと笑えているだろうか。大事な人を送り出す。離れないでと本当は言いたい。できない、できない、とても大切だから、できない。

 

 

愛しい人の後を見つめながら、窓から、呪術高専の校庭を見る。

 

 

阿部高和討伐のために、一時的に女性に性別を変更した五条先生が、夏油さんと訓練しており、それを眺める双子がいる。

 

 

手段を選ばなくなった「最強」ならきっと、阿部高和に勝てるだろう。

 

きっと、勝ってしまうのだろう。

 

 

そして、また、憂太が傷つくのだ。

 

 

「本当にそれでいいの?」

 

 

五条悟、夏油傑、枷場美々子、枷場菜々子。ふと、この四人の関係が目に入る。

 

 

どうにか、できる方法を思いついてしまった。

 

 

まるで、悪魔のささやきだ。

 

 

ああ、でも、本当に憂太が自分の全てなら、呪術高専の危ういバランスを強固なものにすることで、憂太と一緒にいられるなら、きっと、自分は悪魔にでも魂を売ってしまうのだろうと折本里香は、一人愛しい人を待ちながら、微睡んだ。

 

 




狗巻君は数日間の記憶と術式を失った代わりに普通に話せるようになりました。
イケメン且つ性格も優しいのできっと幸せを手にしてくれるでしょう。

あと阿部さんが強い呪霊を掘りまくっているので灰原さんは生きています。

もう、手段を選んでいられなくなった五条先生。
次回、その反動の結果、いろんな人が暴走します。


完結まで後5話です。感想、評価お待ちしております。

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