特級呪霊 阿部高和   作:修羅場好き

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『縛り』に関する独自の解釈が存在します


とある人物による『縛り』に関する講義

 

 

『縛り』というのは一種の解釈論争だ。

 

 

阿部高和の縛りは「いかなる状況においても女性を傷つける・害することができない」だ。

 

 

これは女性であれば阿部からの攻撃を受けても無効化されるだけでなく、阿部側も甚大な被害を負う。『縛り』とは、呪術に関わる以上、絶対の法則であり、ルールだ。阿部のような超越者であっても破ることはできない。

 

 

さて、解釈論について、講義をしよう。

 

 

性別とは何だろうか、生物学的な解釈は当然の前提としよう。

 

 

呪霊と人間のハーフには、人間側の側面が強いので、当然、性別が存在する。人間の身体が男であれば、男だし、女なら女だ。

 

 

例えば、脹相は男であり、これは覆すことがない事実だ。

 

 

では、複数の人間の思念が混ざり合った呪霊にはそもそも性別はあるのか。

 

 

厳密にはない。呪霊は男性でもあり、女性でもある。同時に、どちらでもない。

 

 

しかし、阿部は、男のみ掘ることができるにも関わらず、奇形の呪霊も掘ることができる。性別がない奇形の呪霊を掘っても、阿部は『縛り』によるペナルティを受けない。

 

 

これは何故か。

 

 

実に簡単な話で、阿部が、その呪霊を「男だと定義付けた」からだ。

 

 

複数の思念の融合体である呪霊は、定義されるまで、男である可能性もあれば、女でもある可能性がある。

 

 

しかし、そこに外部から性別という定義を与えられれば、均等だった天秤が片方に崩れることになる。

 

 

つまり、呪霊は、外部から性別を定義づけられる。

 

 

何故なら、両方均等な可能性があるのに対して、外部から、「定義付け」という重りを乗せることで、その天秤を傾けることができるからだ。

 

 

逆説的に言えば、呪霊は自己申告、つまり、自己の認識によって、自己の性別を定めることができる。

 

 

例えば、自分は男だと認識していれば、男だし、女だと認識していれば、女だ。

 

 

より、精神構造がどちらに近いかによる。

 

 

さて、『縛り』の話に戻そう。

 

 

『縛り』は破った事実を認識しているかを問わず、縛った事項に抵触することでペナルティが生じる。

 

 

阿部の場合、「女性を傷つける」ことがペナルティを誘発する。阿部であっても、『縛り』からは逃れることができないし、それを破棄することはできない。

 

 

つまり、阿部を弱体化させることは極めて、簡単、「女性を傷つける」行為を実行させればいい。

 

 

実を言うと、呪術高専は、ほぼ正解にたどり着いていた。

 

 

複数の性別を内包したパンダの呪骸がその答えを示している。

 

 

阿部は、パンダの中に複数の性別がいると認識しておらず、掘った。

 

 

しかし、パンダの「男性」の人格が意識を失った後に、「女性」の人格が出てきたことで、阿部は後付け的に『縛り』を破ったことになった。

 

 

 

故に、あの日、阿部は呪術高専を壊滅させることはできなかった。

 

 

 

分身がいた東京側で正しく、認識されていなかったが、本体が襲撃した京都側では、学長以外の被害が無い。あの阿部が襲撃したにも関わらず、被害者は一人だけ。

 

 

そして、分身も生徒一人を攫って、全て消えている。

 

 

それは何故か。後付け的に『縛り』に抵触したことでダメージを受け、その場から退却せざるを得ない状況に追い込まれたからだ。

 

 

つまり、何が言いたいかというと、

 

 

阿部など、呪霊であれば簡単に討伐できる。

 

 

誰かを掘らせて、生き延びて、その後、性別を「女性」に変更すればいい。それを複数回繰り返せば、確実に阿部を弱体化、討伐可能なレベルまで落とし込める。

 

 

 

 

 

 

つまり、極上の餌にホイホイ釣られてきた阿部に「男」という餌を食わせ、後で性別を「女」に変えてしまえばいい。

 

 

 

 

 

それだけで、それだけで阿部は討伐できる。

 

 

 

こんな簡単な事実に誰も気が付いていない。

 

 

 

幸い、我々には魂の改造が可能な真人がいる。性別を変えるのは容易い。何人かが、生餌になれば、阿部の討伐は極めて容易だ。

 

 

 

 

五条悟でもやろうと思えば、できる。自分を掘らせて、掘られたその瞬間に自分の性別を「女」に変えればいいのだ。そこで疲弊した阿部をお得意の無限で潰せばいい。問題は自分を生餌にするという発想が出るかと、その瞬間に性別を変更する手段があるかだ。

 

 

一回掘られて、その後性別を変更という手段はあるが、「無限」を取得した阿部はもはや討伐不能の怪物になる。それは誰も望まないだろう。

 

 

 

問題は、掘られたからの性別変更がいつまで有効なのか。

 

 

 

例えば、阿部に掘られてから一週間後に性別を変更しても『縛り』に抵触したことになるのか。

 

 

こればかりは、その時の運になる。何故なら、「阿部によって傷つけられた」という事実がいつ時点まで適用されるのか、誰も正確に把握していないし、外部から定義付けることも極めて難しい。

 

 

だから、掘られたら、その直後に真人に性別を変更させる。それで終わりだ。

 

 

阿部は、脅威とみなされがちだが、『縛り』を利用すれば、簡単に倒すことでできる。

 

 

従って、問題は五条悟だ。

 

 

通称「無限」による自動防御に加えて、ほぼ消費の無い呪力。きわめて汎用性の高い領域展開といい、こちらの方が我々にとって、脅威だ。

 

 

しかし、五条悟にも明確な弱点が存在する。

 

 

 

 

夏油傑と国外にいる天内理子と黒井美里だ。

 

 

 

 

まず、国外にいる天内理子と黒井美里を確保。その二人を餌に、夏油傑を単独で呼び出す。

 

 

この三人を抑えた時点で、五条悟は我々に従わざるを得ない。

 

 

特に、夏油傑の存在は、五条悟にとってあまりにも大きい。

 

 

まず、五条悟には、三人の命が惜しければ、阿部を討伐しろと命じ、阿部との討伐を通じて疲弊させる。

 

 

阿部が討伐できれば良し、阿部が討伐された時点で私の「器」を夏油傑に入れ替える。

 

 

討伐できなくとも、相当疲弊しているだろうから、3人を盾に、獄門疆へ封印する。

 

 

阿部は「生餌」作戦で我々が討伐すればいい。阿部が消えれば、自然と術式は夏油傑に戻る。その後、「器」を入れ替えればいい。

 

 

あと必要なのは、宿儺の指の確保と、宿儺の器の確保、それと諸々の下準備だけ。

 

 

如何に、阿部と五条悟と言えども、明確な弱点が存在する以上、戦術を用いて倒すことができるということさ。

 

 

 

さて、諸君。準備を始めよう。

 

 

 

 






『縛り』によって、阿部さんの自滅を目論むとある人物の話でした。

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