最早オリキャラですからね。客席から物を投げつけられないかが心配です
しかしおおっと!ここで追い上げて来る影!コレハコレデアリジャンです!コレハコレデアリジャンがここに来て笑顔で追いすがって来た!足元がふらついている辺り相当酔っているようですが!
恐れず突っ込む度胸こそが二次創作には必要ですからね。もうこの勢いでいけるところまでいくしかないでしょう
『今年も世代を代表するウマ娘達が皐月賞の舞台に名を連ねました!クラシック3冠の1幕が開かれようとしておりますは中山レース場、芝2000m!会場の入りは大盛り上がり!注目はやはり前哨戦でもある弥生賞を制したスペシャルウィークか、はたまたこれまで無敗エルコンドルパサーか!』
聞きなれた実況の声に会場が大歓声で応える。祭りごとは嫌いではない僕は心の昂ぶりを感じながらフランクフルトを一口かじった。仕事で無ければもう片方の手にはビールを握っていれたのにな、と考えると少し惜しい気もする。……いや、別にいいんじゃないか?もうここまで来て僕が何かしないといけない事もないんだし。うん、今からなら少し走れば屋台でビールを買って戻ってきても間に合うだろうし
「どう思うかな?ライス」
「絶対ダメだと思うな」
ぴしゃりと冷ややかな声をぶつけられ、僕は駆け出そうとしていた足を止めた。やれやれ、我慢するしかないらしい。ライスシャワーが下から見上げるようにして僕に『怒ってます』と言った表情を向けて来る。かつては僕と目を合わせるのにも不安気な顔を隠さなかったものだが、今となってはとても明るい一面も見せてくれるし___僕にかなり厳しくなった気がする
「今日は絶対お兄様を遊ばせちゃダメだってネイチャちゃんにも、エアグルーヴさんにも言われてるから……!だからライス、今日は鬼になるね」
「恐ろしいね。君にそうも凄まれては僕も諦めざるを得ない。……祝杯はレースの後にするとしようか」
むん、とガッツポーズのように腕を構えるライスシャワーを微笑ましい目でみるスカーレットとウオッカは彼女の恐ろしさを知らないだろうから気楽なものだ。さて、レース場に視線を戻すとしよう
出走まであと数分といった所だろうか。既に話すべき事は話終え、やるべきことはやった後だ。遠目で観察しているとセイウンスカイといつものメンバーが輪になって集まっているのが解った。なにやら話し込んでいる様子だったが、スカイがこちらを見た気がしたので小さく手を振ってみる。やっぱりこちらを見ていたようで彼女も胸の前で小さく両手を振ってくれた
スペシャルウィーク。キングヘイロー。グラスワンダー。エルコンドルパサー。そしてセイウンスカイ。素晴らしい魅力と実力を合わせ持つ、スカーレット達の1つ上の世代を代表するウマ娘達はとても仲が良かった。入学当初からずっとそうだったし、僕はその様子をちょくちょく見ていた。そしてそれを見る度、いつか必ずこうなるだろうなと確信めいたものを抱いていた
「いっそ全員が同着になればと期待してしまうね。5人に限らずこの場に上がった全員がGⅠの勝者となるにふさわしい才能を持ち、努力をしているというのに1着はあの中の1人だけなんだからレースというのは……度し難いね。」
「うん……そうだね。でも、だからこそ___」
「そう。だからこそ人を狂わせる魅力を持ち合わせているんだ。さぁ、しっかり見届けようスカーレット。ウオッカ。___セイウンスカイが走り出すぞ」
僕はビール代わりに買っておいたジュースの封を切る。プシュっという景気の良い音は周囲の歓声にかき消されて聞こえなかった。遂にウマ娘達がゲートに入り始めたのだ
一世一代、大舞台。皐月賞が始まろうとしていた
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「今日は負けませんよー!スペちゃん!」
「前回は遅れを取りましたが、二度同じ轍は踏みません」
「はい!今日はいいレースにしましょう!」
スペシャルウィークは元気よく2人の挑戦に答えてみせた。闘志を燃え滾らせるエルコンドルパサーと、その横でゆるりと存在感を醸し出すグラスワンダーに気後れすることなく真正面から向かい合った
「ちょっとお三方!当然、このキングを忘れてはいないでしょうね!?」
「オウ、キング!勝負服お似合いデース!」
「あらありがとうエルさん。皆さんもこのキングと競い合う相手として相応しい見事な勝負服姿ね」
キングヘイローの言葉は高慢ちきだが、彼女の事を良く知る同期達からすれば彼女なりに最大限の誉め言葉を使っているのだという事くらい解る。和やかなやり取りはまるでここが放課後の教室かと錯覚させる程だった。だがまあ少なくとも、彼女達のギラついた目を見ればそれがあくまで錯覚でしかない事にはすぐ気がつく事ができるだろうが
「いや~、みんな怖いくらい気合入ってるねぇ。わたしゃ恐ろしいよ」
「おやおや?そういうセイウンスカイさんはどうなのです?」
「私はいつも通りにやらせてもらいますよ。バチバチに巻き込まれるのは好きじゃないしさ」
へらへらと笑うセイウンスカイだったが、こっちを見るグラスワンダーの視線が益々鋭くなっていくのを見て思わず耳をパタンと閉じてそっぽを向いて、助けを求めるように大和の方を向く。とはいえ事情も知らない彼は呑気にこっちに手を振るだけだし、しょうがないから手を振り返した
係りの人が招集をかける。ゲート入りの時間がやってきたらしい。セイウンスカイは狭い所に長く入るのは好きじゃないので、他の子が入るのを見た後最後に入る。いつものやり方だ
「……」
周囲の妨害とフライングを防ぐ為の武骨で温かみの無い狭い場所は嫌いだった。空が見えるのはせめてもの救いではある。密閉されている訳でもないのに、ふと気付いたら会場の歓声が一切聞こえなくなっていた。……もしかしてガラにもなく緊張してるのかもしれない、とセイウンスカイはやれやれと小さく笑って身構えた
「ま、やるだけやりますか」
呟きに応えてか、ガシャン!と大きな音が鳴り響き同時に視界いっぱいに緑の芝が広がった
さぁ、勝負だ
誰よりも早いスタートダッシュを決めたセイウンスカイは踊るように先頭へと飛び出した
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彼女は走るのが好きだ。他の新入生達や先輩達と同じか、それ以上には。僕はそれを疑った事は無い
「めんどくさいな~」
その秘めたる情熱が解りやすく行動に表れるかというと、そうではない。彼女が口癖のように漏らしていたそれは天邪鬼なのか照れ隠しなのか、所謂真面目でひたむきといった物とは少しかけ離れていて、同級生の期待の新星達と比べればやる気がないと見られてしまうのも仕方がない事なのだろう
曰く、田舎から来た荒削りの原石だの。気迫溢れる怪鳥だの。淑やかにして豪胆な気質を持った帰国子女だの、王の生き様を公言する優秀な血筋を引く者だの。そんな輝かしいウマ娘達と同じ舞台に引っ張り込まれるのは御免だった。それならば楽しく走る事が得意な桜色の髪をした同級生と共にえっちらおっちら砂場を走っている方が気楽だった
とはいえ、いざレースに出るとなればそれはそれで楽しみで、1着以外に終わってしまうのはなんとも楽しくない。これまたどうしたものかと、河川敷に寝転んで悩んでいた。春から夏へ移り変わろうとする、少し湿度の高い曇りの日の事だった
「背中が汚れるよ。寝るなら新聞紙を背に敷くといい」
そっと差し出されたのは古新聞。突然の事態にしばし思考が固まってしまったが、状況を呑み込めた私は驚きを隠すようにしていつの間にか横に居た男の人に話しかけた
「ありがとうございますー。遠慮なく貰いますね。で、なにしてるんですかー?私と一緒で、サボってる感じ?」
「いやいや、今日は忙しいよ。食べられるお魚を最低5匹持ってこいと言われている。熱い勝負の1日となるだろうさ」
トレーナーバッジを付けている彼は麦わら帽子を被り直すと、河川敷の坂を下り担いだクーラーボックスをよいしょと地面に降ろした
しばらく彼が釣りをしているのを眺めていたが、さっきまで曇っていた空が急激に晴れてきたせいで昼寝をすることが難しくなった。貰った新聞紙で顔を隠したり色々してみたがどうも眠気もどこかへ飛ばされてしまったようで、暇を持て余した私は釣り人の横までちょこちょこと歩いて行った
「釣れますかなー?」
「全く駄目だ。やれやれ、僕には釣りの才能もないらしい。もしくはこの川に魚が一匹も住んでいないかだな。ふむ、こうなれば帰りにスーパーに寄っていく事にするとしよう」
彼はすぐに諦めたようだ。それとも最初からそのつもりだったのか、クーラーボックスから銀色の缶を取り出した。小気味良い炭酸の抜ける音が河原に響き、彼は気分よさげにそれを煽った
「少し付き合ってくれないかい?当然これ以外にジュースも持ってきているんだ。君が暇だといいんだけど」
「暇だねぇ」
ぽつぽつとくだらない話をした。お昼になってお腹が空けば、彼がお弁当を分けてくれた。釣り竿を貸してもらって私も釣りをやってみたけど、なんの反応もないまま太陽だけが西へ動いていく。空が青からオレンジになった辺りで、そろそろ帰ろうかと彼が言い出して私もそれに同意した
「あー。一日サボっちゃった。怒られるかなぁ」
「サボりは良くないことだからね。僕みたいにキチンと仕事の名目で出てくれば怒られる事はないけれど」
「えー、仕事してたの?一匹も釣れてないじゃん」
「君を釣り上げた。そういう事にしておこうかな」
「なになに、スカウト?」
「そんなんじゃないさ。ただ、学園を出る時に頼まれたんだ。外に走りに行ったきり帰って来ない子がいるから、見かけたら一緒に帰ってきて欲しいとね」
なーんだ、と私がつまらなそうに呟くと彼はそうなんだよと言ったきり話さなくなった。2人で軽くなったクーラーボックスと釣り竿を分けて持ちながら学園への道をしばらくのんびりと歩いていた
「面倒なんだよねー。勝ちたいけど、周りの子ほど熱くなれないし。やる気が無い訳じゃないんだけど、みんなと一緒にやると浮いちゃうんだ」
別に聞かれた訳ではない。でも、多分彼が聞きたがっているのは解った。私は胸の奥に詰まっていた思いを口から吐き出していた
「熱意だけが特別尊いものでもないさ」
「私みたいなのが1番になりたいとか言ったら怒られない?」
「劣等感は膨らみやすい感情だ。軽く流してしまえばいい。君の情熱は君だけの物だし、どれだけ小さな火でも人々の心を燃え上がらせる可能性がある事に変わりはないからね」
「ふーん」
「レースは嫌いかな?」
「お兄さんは?」
「走るのは疲れるから好きじゃないが、見るのは好きさ。僕の事をおじさんではなくお兄さんと呼んでくれる君の心遣いはもっと好きだね」
「私も勝つのは嫌いじゃないけどさ」
「なら君も堂々と走る権利がある。君が楽しむのを咎める者もいるかもしれないが、僕達は祝福するよ」
遠くから走ってくるウマ娘の姿が見えた。黒い髪をなびかせた背の小さい子は、祝福を表す名前を持つ先輩だ。話したことはないけれど、彼女がどんな道を歩んできたのかは聞いたことがあった
「彼女のように、勝つことを望まれないとまで言われた子もいた。それでも彼女は走りたいから走り、勝利したいから勝利してみせた。今となっては誰も彼女を否定しない。結局、好きを貫くことが大切なんだろうね。その自信が欲しいという話なら……そうだね、やっぱり君をスカウトさせてもらおうかな。一度君が走ってるところを見たことがあるんだけど、なんとも楽しそうに走っていた。傍で見ていられたら、きっと僕も楽しくなれると思うんだ」
「___うん。じゃ、お世話になろうかな」
「ああ、よろしくセイウンスカイ」
「お兄様ー!早く戻らないと、みんな怒ってるよぉ!」
「ああ、それは申し訳ない。……しまった、スーパーに寄らないといけないんだった」
「やっぱり釣れなかったんだね……」
「酷いな、やっぱり釣れないと思われていたのか。でもお魚より大事な物を釣り上げたからね。
___彼女の心だよ」
「お兄様。走らないと間に合わないから、お喋りは後で聞くね」
「酷いな……」
悲しそうに肩をすくめる彼とちょっと怒ったように彼を引きずる先輩を見て、私はお腹を抱えて笑ってやった
ナリタブライアン実装!はいはいガチャね!課金ね!任せて!!!!
今作に出てくるライスシャワーはアプリやアニメとは少々性格が違うかもしれません。少し厳しいし、かなり打たれ強いかもしれません。許してください……根性育成したライスシャワーなんです……