本文は勢いで書き切ってなんぼですからね。読み返すと全部書き直したくなって一生投稿できないこともあるとされております。雑にならず丁寧にネタをつぎ込んで欲しい所ではありますが、少々難しいでしょうか
シャクトリムスメは文字数を削る努力を一切しない事に定評がありますが、たまに見返すと同じ文章を連続で投稿したり等といったミスも目立ちます!いい加減にして欲しい所ですが……あーっと既に前書きの時点でくどい!くどくなっています!これではいけませーん!!!!!
エアグルーヴは早朝、休日の学園内を練習用のジャージ姿で一人静かに歩いていた。走らずに、あくまでゆっくりと。早朝の靄に投射された清々しい白い光は、目覚めの良い彼女にとっても少々眩しいものだった。朝練に出かけようとしているウマ娘達とすれ違い、小さな声で挨拶を交わす
目指した先はチームハウス。扉に鍵がかかっていない事は解りきっている。決して戸締りが習慣化されていない訳では無く、普段であれば最後に出る者がカギを締めて出るようになっている。必然、休日の起床時間にしては少々早い時刻であることを鑑みれば彼女が一番乗りである事は確実であり、施錠されてしかるべきタイミングではあるのだが
わざと音を立てるように扉を押し開ける。閉め切られたカーテンをシャッと勢いよく開き朝日で部屋を満たす。ここまでしても気付かぬフリ、無駄な抵抗を続けて眠り続けようとするソファーの上の人物の肩を揺らしながらエアグルーヴは努めて不機嫌そうな声で呼びかけた
「起きろ、トレーナー。6時だ」
「___うん。おはよう。おや、エアグルーヴじゃないか。」
「ふん、何が『おや』だ。チームハウスを部屋代わりに使うなと何度言ったら解るんだ貴様は」
ふかふかのソファーに身体を投げ捨てるようにして眠り込んでいた大和がよろよろと手を挙げるのを、エアグルーヴは呆れた様子で見つつ、素早く動く。椅子から落ちかけている彼の上着を拾い上げて部屋の隅の衣装掛けのハンガーに綺麗に着せ、机の上に置かれたカップラーメンの空容器を近くに置いてあったコンビニの袋に入れて口を縛る
その横で大和は机の上のペットボトルをとろうと寝転んだまま手を伸ばし、届かない事が解るとすぐに諦めた。エアグルーヴは本当に仕方ないなといった顔で代わりにペットボトルを掴んで大和に握らせると、その隣に腕組みをして立った
「わざわざ部屋まで起こしに来てもらうのは気が引けるじゃないか」
「私は貴様を起こしにチームハウスに来ている訳では無いぞ」
「はいはい、お掃除の一環と言う訳だね。解っているよ」
「なんだその含みのある言い方は」
「いや……今日もいい朝だと思ってね」
明け方まで飲んだ日は寝過ごさないように彼はチームハウスで仮眠を取り、誰かがたまたま早くに来てくれる事を願う。そしてたまたま朝早くチームハウスの掃除に来たエアグルーヴがそれを叩き起こす。これはたまたま早起きの習慣があるエアグルーヴが、たまたま気が向いたのでチームハウスに行くからこそ成立するモーニングコールなのだ。
ちなみに、他のチームメンバーはエアグルーヴが遠征等で不在でない限り、たまたま早朝のチームハウスを訪れるような事は無い。特に深い意味は無いのだが、たまたまそうなっているのだ
「___それで、昨夜はあれから何があった」
「酷かったよ。ねちねち怒られ、小突かれ、挙句支払いもさせてくれやしない。奢るのだから付き合えなんてパワハラだ。訴えれば理事長の座を奪えるかもしれないと悪魔的な発想まで浮かんできた始末だ。どうだいエアグルーヴ、君が次代の理事長になってみるというのは?」
「ふっ。遠慮させてもらう。生憎、会長の下で動く今が性にあっているんでな。それにまかり間違って貴様のような者の面倒を見させられるような事があっては大事だ」
「そうかい?それじゃあどうするかなぁ……。うん……うん」
「だから眠るならせめて仮眠室のベッドに行け。ソファーは座る場所だ」
「寝ないって、ほんと。寝ないさ。それより君の方は何かあったかい?あの後は無事何事も無く戻れたのかな」
眠らない、と言いつつ既に寝転んで手近なクッションを頭の下に敷き、位置の調整を行っている。完全に寝る気満々の大和の姿に、しょうがない奴だと愚痴を言いながらも本気で止める素振りも見せないでエアグルーヴは話を続けた
「スカーレットとウオッカが気にしていた。私と貴様の昔話をせびられたぞ」
「……ああ、君が僕の事をトレーナーと呼ぶから変に気になるのかな。いや、スカーレットに限ればトリプルティアラも目指すのだから君の経緯を知りたいと思うのも当然の話なのかな?」
「そうだと言っていたな」
続く言葉を大和が発さなかった事で会話は途切れてしまった。エアグルーヴはふと顔を上げて、部屋の隅を見渡した。少々散らかっており、ホコリが積もっている。前回の掃除からはしばらく経っているし、そろそろ本格的な清掃が必要であることは確かだった
「君には、トレーナーと呼ぶに相応しい者が居た筈なんだ。君に寄り添い、夢を叶える為に奔走できる真摯で情熱的な者が。それを差し置いて僕が君にそう呼ばれている違和感は、確かに興味をそそられるだろうね」
「くだらん。私にはそんな出しゃばりなトレーナーなど必要無い」
何度聞かされたか解らない発言に、エアグルーヴは毎度変わることなく確信を持って下らないと一刀に切り捨てて返す
「僕は君を二度も泣かせてしまったからね。反省もするさ。まだこの件については謝罪も___」
ごつんと拳骨が振り下ろされた。大和はそのままクッションに沈んだ
「その件は蒸し返すなと言っただろう」
「ふーむ駄目だったか。一体いつになったら謝らせてくれるんだい?」
「一生許可などせん。寝るならさっさと寝ろ。酔いの覚めない男の話にこれ以上付き合うのは御免だぞ」
「成程、起きるまで居てくれるって事かな?やれやれ、本当に優し___」
追撃の拳骨により大和は夢の世界へと強制連行された
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さて。今でこそスカーレット達に対して偉そうな事をつらつらと語る僕であるが、誰にだって顔を背けたくなる程に愚かで未熟な時期という物があるもので(今も愚かで未熟であるのでは?という厳しい意見はこの際無視する)
当然、トレセン学園に入ったばかりの僕は今よりほんの少し要領が悪く、今より悪い意味で勤勉だった。信じられないかもしれないが、『無能な働き者は無能な怠け者より厄介な存在だ』と身をもって証明してしまったのだから、やはり勤勉だったと言うべきなのだ
彼女からトレーナーという物への信頼を奪ったのは僕だ。僕達だ。僕と、先生と、あと僕達を取り巻く少々の大人達全員が、恐らく責任を感じ続けているだろう。仮に彼女に多少の落ち度があったとして、せめてそれを肩代わりさせて貰わなくては僕達は唯一の存在意義すら失ってしまう
彼女曰く『貴様が責任感を放り出して楽をできないように』なんて言っているが。彼女が未だに僕をトレーナーと呼び続けるのは、かつての名残だけで無くつまり彼女の落ち度を背負いたいという僕達の心意気を買ってくれているからだ。彼女の厳しさは常に優しさに通じる所があり、そこが非常に魅力的で___なんだいエアグルーヴ。君、人の夢の中に割り込むのは良くないだろう。駄目だよ、今回の回想は僕の視点で___ああっ
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「私にトレーナーはいりません。例えあのシンボリルドルフと共に歩んだ人であったとしてもです」
未だ幼さが残る中等部の1年生。そんな怖いモノ知らずの立場を活かして私は伝説的な男に対しても不遜な態度を取ってみせた。私を呼び出した理事長が是非会わせたいと紹介した男、『太陽』の名を冠する伝説的なチーム、そのリーダーである
「ほっほっほ。困った子だ。意志が固く、理論を突っぱねる。しかし抱いた夢は美しく、汚したくもない。だがルールはルールだ。守らなきゃあならないね。チームに所属し、最低限の指導を受けているという形を取らないと君はレースに出れないのだよ。ここいらで妥協ラインを受け入れてはもらえんかね?」
「推挙!エアグルーヴ、君の掲げる信念は実に立派だ!しかし、全てのスカウトを問答無用で蹴り続けるのはいただけない!理想があればこそ、彼のチームに入り給え!」
「理想のトレーナー像があるらしいね?もう一度、私の耳に直接聞かせてもらいたいのだが。よいかな?」
「では言いますが、私の邪魔をしないのならば誰でもいい。指導も不要です。己の責は己で負います」
「それなら丁度いいものをあてがおうか。贔屓目で見ても、何もしない男だ。いやするにはするがね。うん、恐らくトレーナーとして求められるであろう物を一切やらない男だよ」
「であればそれでいい。本当に、私のやり方に口を出さずにいられるのであれば」
うまく丸め込まれたと言えよう。自分が言い出した手前、拒否する事はできなかった。即ち、まさかこんな男がトレーナーとしてトレセン学園に居ようなどとは。当時の私が予想しきれなかった不手際を差し引いても納得しかねる出来事だった
「先生、呼び出しに応じ参上しました」
「おお、おお。大和。よく来たねぇ。どれ、かけなさい。お菓子もあるよ?」
先程まで、枯木のような年季の入った細身の顔からアンティークの芸術品のような重苦しく荘厳な雰囲気を醸し出していた泡斎先生が、瞬時に甘さたっぷりの老人の顔へと変身して部屋へやって来た若い男を出迎えた。めんどくさそうな態度に薄っぺらい笑顔を張り付け、こちらに仰々しくお辞儀をし、更に理事長に小さく手を振った後彼は泡斎先生の前の椅子に座った
「貰えるのであれば、ありがたく頂戴します。ですが、今日はもう帰ろうとしていた所なので。用件があるならば手早く済ませて頂ければと思います。先生」
「うむ。……学園ではあるが、おじいちゃんと呼んでくれてもいいんだよ?大和よ」
「お気遣いありがとうございます、先生。それで用件はなんでしょうか?」
彼の頑なな作り笑いは崩れる事が無かった。とんでもないやりとりが交わされていたのに私は何のツッコミも出来ないまま部屋の隅で棒立ちしたままいつの間にか傍聴人に追いやられていた
「つれないねぇ孫よ……。利用されるだけの私は本当に哀れな老人だよ。それで用件だが___」
かいつまんで説明した。お菓子の銘柄と製造元を調べるのに夢中になっているようだった大和と呼ばれた男は、それでも一応聞いていたらしい。
話が終わると同時に椅子から立ち上がった彼は私の生意気な視線を正面から受け取り、そこでようやく作り笑いを止めた。初めて素の表情を見せた彼は、面白がっているのか、バカにしているのか。とにかく先程よりも不愉快さを増した笑顔で私の目を覗き込んできた
「ふーむ。成程、元気とやる気があり、何もかも僕より優秀なご様子。しかし未熟さでは僕も負けていない。その点に限れば、いい勝負ができるだろうね」
「なんなんだ、貴様……!?」
「君に求めるのは3つ。きちんと休む、きちんと遊ぶ、きちんとおやつの時間をとる。これを守れなければ君の負けだ。いいね?」
「なんなのですかこの男は……!?」
「ほっほっほ。仲良くやれそうかな?大和よ」
「はい、先生。あとその『ほっほっほ』とか笑うの止めた方がよろしいかと思います。あまりにもわざとらしく……正直、身内である僕からすれば聞くに堪えません」
「いかにも老練の指導者っぽいかな……と思ったのだがねぇ」
「そういうのいらないですね。余計な事をしない方が老練の指導者っぽさが出てます」
「ふーむ。感謝しよう孫よ。メモを取っておこうかな」
だから、なんなんだ貴方達は。この質問に、この二人は一切答える気がないようだった
エアグルーヴさんとマヤッペのイベント衣装!!!かぁーっ!!!また課金ですわねぇ!!!
この物語の主役を気取る大和くんの、スカーレットと出会う以前のウマ娘達に対する振る舞い、関係性には、『本来彼女達を正しく導く筈だったトレーナーとの出会いが無かったら』というテーマがあったりなかったりします。
つまりアプリ版のトレーナーがいない世界、ウマ娘達が歩む筈だった素晴らしい100点のグッドエンドは存在せず、不誠実で不純なふわふわしたルートが描かれていたりします。多分ですが
いやそうなのかな。どうなんでしょうか。好き勝手に解釈しているので、そろそろ怒られるかもしれません。この際なんとか最後までやらせてもらえたらとおこがましくも思っていますので、よければお付き合い下さい
※誤字、表現間違いご指摘本当にありがとうございます