プリティダービーに花束を(本編完結)   作:ばんぶー

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ちょっとふざけすぎちゃったかな




でもあんま真面目な感じで押してもあれだしな





そんな感じでいつも通りなのですわ









字余り


最も幸福なウマ娘vs最も幸運なウマ娘

 

 思えば随分な所まで来たなぁ、と。ジャパンカップ出走メンバーの一覧表を流し見しながら私はしみじみと物思いにふけっていました

 

 

 自分のウマ娘としての歩みを辿って行くのであれば、菊花賞が一番の分岐点になるでしょう。全てが塗り替えられた瞬間でした。私なんかがGⅠウマ娘になれる訳がないとずっと思っていましたし、なんならスタートを切る瞬間まで心のどこかでその思いを振り切れずにいました。ただ、シラオキ様が勝利のお告げを下さいました。大和さんが信じてくれました。だから、私が私を信じれなくても、本気の本気になって一生懸命走れたんです

 

 

 日本ダービーの事も覚えています。まあ全然上手くいかなくって、ぽっきり折れた私を部屋から引っ張り出してくれた皆さんには感謝してもしきれません

 

 

 デビュー戦のことは遠い彼方ですが、思い出してみれば恥ずかしいものです。おっきなスポーツバッグにもりもり入るだけの開運グッズを持ち込みました。カバン一個じゃ足りないので、無理を言って大和さんにも持ってもらいました

 

 

 自分1人で進むべき道を決められない私にとって占いは救いであり、開運グッズは必要不可欠なモノでした。運命という言い訳に甘えようとする私を、シラオキ様とあの人はずっと甘やかしてくれていました。私が成長する為の試練を用意して、道を整え、よそ見をしてたら手を引いて正しい場所に戻してくださいました

 

 

 そんな環境にあぐらをかいて、舞い上がった私は地に足着かずの千鳥足。はい、後にも先にも大和さんを怒らせたウマ娘は私だけでしょう。恥ずかしいのでとてもじゃありませんが後輩の皆さんには秘密にしていますが

 

 

「あれは怒られた内に入るか……?」

 

「入りますよぉ!『反省しないならおやつを減らすからね』って言われたんですから!あの大和さんにですよ!」

 

「3歳児の娘を窘める父親レベルだろうが」

 

 

 まあそんなこんなで紆余曲折を経てどうにかこうにかやってこれました。皆さんと紡いだ御縁が、授かったご利益が、応援して下さる人々の想いが。私の中に幾重に積み重なって宿っている。それに気付けたからもう大丈夫なんです。開運グッズから離れても、貴方がずっと傍にいてくれなくても。ちゃんと頑張れるようになりました。しっかり証明しないとあの人はずっと私の事を心配し続けてしまいますから

 

 

「ですので、ちょっとばかりいい所を見せたいんですよねぇ」

 

「なら勝つしかなかろうな」

 

「シラオキ様もそう仰っています。言うなれば勝てば海路の日よりありと言った所でしょうか」

 

「立つ鳥後を濁さずを体現してみせろというお告げだろう。精々くだらんミスをして後悔する事のないよう集中していけ」

 

「手厳しいですねぇ……。もうちょっとこう、温かく見送ってくださったりとかは」

 

「フン、たわけが。甘やかして欲しいのなら今からでもトレーナーを引っ張って来るんだな」

 

 

 ギロリと睨まれて少し居心地が悪くなってきました。シラオキ様もエアグルーヴ様も頑張れ頑張れと仰いますが、いざ勝敗に関して占ってみれば吉とは言ってくれないのがイケずです。甘やかしてももらえそうにないので、期待を込めて部屋の隅に視線を向けてみます。白い髪を揺らしながらお菓子を頬張っている緊張感の無いレイヴンさんが口の中の物を呑み込んで私の顔を真っすぐに見つめ返してくれました

 

 

「うん。今日のコースだと前評判通り内枠有利に運ぶ。私もそれは間違いないと思う」

 

「あのー、私8枠18番。大外も大外、一番端なのですが?」

 

「そうね。でも頑張ればいけるわ」

 

 

 ムーンシャインのデータ担当さんは親指を立てながら激励してくれました。この方、ほんとなんといいますか。大和さんと似た感じがするんですが、いまいち言葉足らずと言いますか。私とエアグルーヴさんの微妙な雰囲気を乗せた視線を感じ取ったのか、レイヴンさんは少し首を傾げてもっとコメントした方がいいんだという事に気付いて喋り出した

 

 

「内枠に入れた子達からすれば、体力を残しながら内で競り合うのに集中するだろうから。スタミナのあるあなたならその辺りの不利を無視して最終直線で五分に持ち込むのは不可能な話じゃない。アメリカでのレース映像は全部見てるし、こっちに戻って来てからのあなたの調子も把握している。あと必要なのはあなたの頑張りだけね。ふぁいっ」

 

 

 ふぁいっ。といいながら胸の前でぐっと両拳を握りしめるレイヴンさん。とにかく頑張れ、というお告げでした。まあ実際に走る上でのデータなんかは前日までにたくさんいただきましたので、確かに後は頑張るだけ。そういうことなんでしょうね。そろそろいい時間になりましたので、さてと呟いて立ち上がり控室の扉に手をかけました

 

 

「フクキタル」

 

「はい?」

 

「ドリームトロフィーでお前と競いたかったよ」

 

 

 振り返ってみれば、エアグルーヴさんは珍しく眉を下げて寂しそうなご様子でした。今まで散々ご迷惑をおかけして(まあわざとからかったことも無いとは言いませんが)怒らせるか呆れられるかしかなかったので、こういう殊勝な感じは珍しいんです。レース前にちょっといい物を見れたかもしれません。大和さんに自慢したら地団太を踏んで悔しがってくれるかもしれないですね

 

 

「ありがたいお誘いですが、私にはもったいない場所ですから。でもエアグルーヴさんが寂しいと仰るのでしたら、ちょっと揺らいでしまいそうですね」

 

「フン。……まあ、頑張ってこい」

 

「はいっ、頑張ってきます」

 

 

 大きなレースで結果を出せた喜びもさることながら、なによりこんな私の事を応援してくれる人達とたくさん出会う事ができました。これに勝ることがあるでしょうか。少しでも恩返しをするために、私は張り切って控室を飛び出しました

 

 

_________________________

 

 

 

 

 ジャパンカップだ。海の向こうからやってきたウマ娘とそれを迎え撃つ日本代表を背負うに相応しい絢爛なウマ娘達が集った決戦の場。冬も目前ながら、本日の東京レース場は相変わらずの熱気に溢れかえっていた。国外の名の有るウマ娘達を受け入れるとあって警備体制もいつも以上に強化され、スタッフ達の数も普段より多い。穏やかな中に入り混じった多少の緊張感を跳ね除けるように僕は上着のファスナーを鼻先まで引き上げて椅子に深く座り直した

 

 

「トレーナー。ここにいていいの?」

 

「君の隣が僕のいるべき場所さ」

 

「フクキタル先輩とライス先輩をほっといて?大事にしてもらえるのは嬉しいけど、今日に限ってはどうかと思うわ」

 

「面と向かって2人共からフラれてしまってね。孤独な僕はこうして小雨に打たれながら一杯やって寂しさを持て余すしかないのさ」

 

 

 喋っている途中でパラパラと降り出した雨を気にしないフリをして、手にしたコーヒー缶をグイっと呷る。安っぽい苦みを放つ黒の液体が燃えるような熱さを保ったまま喉を通過し、空っぽの胃に重たくのしかかった。今思い出したんだけど、どうも昼食を頂くのを忘れていたらしい。しかし胸がいっぱいになっている僕は買って来たばかりのコーヒーも持て余してしまいそうなくらいだ

 

 

 スカーレットは持ってきていたウマ娘用の雨合羽を取り出したが、手に持ったまましばらくじっと見つめて膝の上に置いてしまった。着る程の雨でも無いと判断したのか、或いは僕と一緒に雨に打たれる事で励ましてくれようとしているのかもしれない

 

 

「それでもアンタはトレーナーでしょ。こういう時、ずけずけと踏み入って行くタイプの」

 

「意外かもしれないが、僕の辞書に書かれたデリカシーという文字には蛍光マーカーでラインが引かれているんだよ。ライスもフクキタルも立派になったし、そんな彼女達が必要ないと言うのなら僕はサブトレーナーとしてではなくただ1人の友人として応援に徹するべきだろう?だから安心して欲しい。今日に限っては偉そうな講釈を垂れることも無くここではしゃいでいるからさ」

 

「えらく不貞腐れてるように見えるけれど」

 

「ふむ、流石の観察眼だね。口ではこういっているけど寂しさを覚えるのさ。まあ、いざ頼られたらそれはそれでちょっと困っちゃうんだけどね」

 

「情けないこと言ってないで背筋伸ばしなさい。ほら、先輩達出てきたわよ!」

 

 

 バシバシと叩かれて僕はやむなく座り直した。まあ彼女に叩かれるまでも無く会場がこれだけ湧き上がれば新たな主役達の入場が始まった事は容易に察せたけれど、どうせならあと2、3回背中を叩いてもらえると助かる。気合も入るというものだ

 

 

 今日の大一番を迎えて観客席に変化が訪れつつあった。海外の国旗がはためいている。欧州やアメリカ等の海外を代表して出走しているウマ娘達を応援するための物だ。我々ムーンシャインも少々複雑で、チームから2名が参加している以上応援スタイルについても頭を捻る必要があった

 

 

 ライス担当、フクキタル担当で別れるという案があった。でもどっちかを応援しない、という選択肢を誰も取りたがらなかったのでボツとなった。しょうがないので左手に青い薔薇をモチーフにした応援団扇を、右手に招き猫を描いた応援団扇を握りしめることとなった訳だ

 

 

「ただ、寂しさ以上に僕の心を占める思いがある。好奇心だよ」

 

「好奇心?」

 

「本日ジャパンカップに出走するウマ娘達は精鋭揃いだ。自国の威信を示すため遥々大空を飛んできた英雄達を迎え撃つ日本を代表するウマ娘達。そんな素晴らしい舞台で、フクキタルやライスはどんな走りを見せてくれるのか。楽しみで仕方が無いのさ」

 

 

 僕が一番重きを置く感情が勝ち負けに対してのそれではないとしても、是非とも2人には勝利を手にしてもらい思う存分祝勝会を開かせて欲しい物だ。なんとも惜しい事に僕が応援する2人の内で勝者は1人だけという事になりそうなのだが、このなんとももどかしい現実が僕の心をふつふつと沸き立たせてくれる。願わくば、2人が競い合うその瞬間を可能な限り長く見せて欲しいものだ

 

 

___________________

 

 

 

「お姉様っ」

 

 

 背後から聞きなれた呼び声がして、フクキタルは振り返った。通路の奥からやって来たライスシャワーは普段の可愛らしさからは想像もつかないような堂々とした力強さを放っている。彼女の纏う勝負服は自らに降り注ぐ淡い光を呑み込んで黒く輝いていた

 

 

 一方のライスシャワーから見れば、勝負服姿のフクキタルは通路の先から降り注ぐ光を背負って太陽の如く眩く輝いていた。それはいつも応援席から眺めていた頼もしい立ち姿であり、越えて行こうとするにはあまりにも大きな存在であった。ただ2人は勝負の前とは思えない程の穏やかな心持であった。フクキタルは朗らかな笑顔でライスを待ち、ライスも微笑みながら小走りでフクキタルの横に並ぶ

 

 

「ねぇお姉様。今日の占いの結果はどうだったの?」

 

「ふっふっふ。何を隠そう、ライスさんは大吉でしたよ」

 

「そうなんだね、よかったぁ……。お姉様は?」

 

「なんと私も大吉でした!他の方々も勝手ながら占ってみましたが、皆さんよい運気をお持ちなようです」

 

「それじゃあ、今日はとっても良いレースになるんだね」

 

 

 にこにこと心底嬉しそうに笑ってくれるライスを見てフクキタルも心が温かくなるのを感じていた。『全員大吉って事はないんじゃないかしら?』と真顔で突っ込んでくるサイレンススズカとずっと一緒にいた事でちょっぴり荒んでしまっていたフクキタルの心は、こういった可愛らしい素直なリアクションに飢えていた

 

 

 通路から出る寸前、フクキタルは横並びのライスの方を向いて小さく呼びかけた。きょとんと見上げるライスの瞳をフクキタルの澄んだ瞳が見つめ返す

 

 

「ライスさん。今日は全力で追いかけます」

 

「___うんっ。ライス、精一杯走るから」

 

 

 前を向き、胸を張って歩いていいのだと教えてくれた大切な人だ。ライスシャワーはその背中をずっと追いかけてきた。しかし今日は自分が追われる側となる。2人はこれまで同じレースに出走する機会を得られなかった。目標とするレースが違ったり、ケガで出走を見送ったり。ライスシャワーは自分がどれだけ強くなったのかを見てもらえる機会に遂に巡り合えた事を心の底から喜んでいた

 

 

 2人が遂にレース場へと姿を現すと、慣れ親しんだ、それでいて決して飽きることの無い熱い声援が全身を包み込む。久しぶりにホームグラウンドの歓声を浴びたフクキタルはあまりの眩しさに目を細めた。しばらくするとそれは消え、残ったのは今にも雨の降り出しそうなどんよりとした秋の空。不思議そうな顔でこちらを見つめるライスシャワーになんでもないですよと首を振って芝の感覚を確かめるようにゆっくり歩を進める

 

 

『さぁ入場して来たのは本日堂々の1番人気!サイレンススズカと同じく海外遠征から戻ってきたマチカネフクキタル!一緒に姿を見せたのは4番人気ライスシャワー!彼女はマチカネフクキタルと同チームに所属する後輩であり、今日は両者の初対決となり非常に注目が集まっています!』

 

 

「やっほーフクキタルさん!ライスちゃん!」

 

「マヤノさん!それにシチーさんも!お久しぶりです!今日はなにとぞよろしくお願いしますね」

 

「こちらこそよろしくお願いします、フク先輩。それにライスも」

 

「はいっ。よろしくお願いしますシチーさん」

 

 

 元気いっぱい跳ねながらこちらに手を振るマヤノトップガンの目は今日の対戦相手への期待にキラキラと燃え上がっていた。その隣に凛と立っているのは、曇り空の下でも一切劣らぬ輝きを放つ髪をなびかせるゴールドシチーだ。彼女もこの場に揃った好敵手達との戦いに胸を躍らせているようだった。先に入場していた顔見知り達と挨拶を交わしながら、フクキタルの目は未知の強敵の方へと向いた

 

 

「ううーん、皆さん強そうな方ばっかりですねぇ……」

 

「アメリカにいたんだから見慣れてるんじゃないんですか?」

 

「いやいや、私なんて皆さんの迫力に押されっぱなしですから。というか私未だにシチーさんやマヤノさんにレース場で囲まれるとそわそわしますからね」

 

「いやそこは慣れて下さいよ」

 

 

『イタリアからやって来たのはペペロンディーノ。本日は5番人気です。アメリカよりホワイトサンダー。実力者として日本でも名が通っている彼女は納得の2番人気!日本の芝にも十分対応できる自信があると強気のコメントです!大いに期待できるでしょう!』

 

 

 カラフルな勝負服を纏うペペロンディーノは自分の名前が呼ばれた事に気付くと顔をあげて観客席に向かって楽し気に手を振った。言葉は解らずとも、温かな声援が異国からの参戦である自分を応援してくれている事を感じたのか彼女は嬉しそうに笑いながらゲート近くへ歩いて行く。一方同じようにパフォーマンスを返していたホワイトサンダーは固まって喋っていたフクキタル達をその目で捉えると大股でずんずん歩み寄った

 

 

「え、なんかこっち来るんだけど」

 

「大丈夫ですよシチーさん。サンダーさんは留学先で仲良くなった方なんです!挨拶に来てくれたんだと思いますよ」

 

 

 少し引き気味のシチー達を他所に満面の笑みでフクキタルが前へ出て、握手をしようと右手を差し出した。フクキタルより少し小柄なホワイトサンダーは歯を剥き出しにしながらその手を乱暴に握り返し、ぎゃんぎゃんと早口の英語を捲し立てた

 

 

『おいこらマチカネフクキタル!ヘラヘラしてんじゃないわよ!あなた、こっち出る前にあたしの枕元に不気味な人形とか変なお面を山盛り置いてったでしょ!マジでビビったのよ!!?荷物に入りきらない分はちゃんと処分するか郵送しろって散々言ったでしょうが!!!』

 

「……あの、お姉様。ホワイトサンダーさんはなんて言ってるの?」

 

「皆に会えて本当に嬉しい。いいレースにしましょう。そう仰ってますね」

 

「ライスにはとっても怒ってるみたいに見えるけど……」

 

「お腹が空いてるんじゃないですかね」

 

「ふく おまえ ゆるさない」

 

『わお!サンダーさん日本語上手になりましたねぇ!』

 

『わお!じゃないわよ。観客の目が無ければ一発ぶん殴ってやりたいわ。あたしが怖い系苦手って知っててなんでああするかな』

 

『一応お世話になったお礼にアメリカ特産開運グッズをお裾分けしたかっただけなのですが……やっぱりダメでしたか?』

 

『お礼の形が悪すぎるわ。日本人の謙虚さとかつつましさってもしかして都市伝説なの?』

 

 

 英語を少々たしなむマヤノトップガンは2人のやり取りを聞きながら白い目をフクキタルに向け始めた。それに気付いたライスとシチーは苦笑いするしかなかった

 

 

 ホワイトサンダーは歯ぎしりをしながらなんとか自分を抑え込もうと1つ深く深呼吸をした。彼女は日本からの留学生としてやってきたマチカネフクキタルとサイレンススズカの世話係を半年と少し担当していたのだが、まあとてもとても苦労した

 

 

 フクキタルは『運気が高まりそうだから』という建前があれば何をやってもいいと思っているのか、案内役のサンダーをあっちこっち引きずり回し不気味なグッズを集めてはサンダーが寝ている隙に勝手に部屋に飾りつけ、怖いの苦手なホワイトサンダーは目を覚ますと同時にびっくりしすぎてもう一度夢の世界に旅立ってしまうという不幸な目に遭っていた

 

 

 スズカはスズカで深夜や早朝に発作のように1人でランニングに飛び出しては迷子になって寝ているサンダーを幾度となく電話で叩き起こし、その度にサンダーの肝を冷やした。あとホワイトサンダーが最もキレ散らかしたのは『アメリカのウマ娘ってみんなその……スタイルがいい子ばかりだから。サンダーと一緒だとなんだか安心できるわ』とまさかまさかの貧乳煽りをされた事だろう(本人にそのつもりは無かったのかもしれないが)

 

 

 実力もあり、ちょっと短気な事を除けば面倒見が良くて優しく元気なホワイトサンダーはとても人望があり人気も高い。自身が抱える唯一のコンプレックス(人気の要因でもあるのだが)を刺激され心底怒り狂ったサンダーは本気でスズカを追い回した。トレーニングと勘違いしたスズカが逃げ切った挙句満足気にお礼を言ってきたのも心底サンダーの神経を逆撫でした

 

 

 そんなこんなでホワイトサンダーは大変な日常を過ごしていたのだが、まあそれを帳消しにされるくらい楽しい事もあったし共に高め合う事ができた大切な日々ではあった。だからまあ結果的には2人の世話係を担当した事を良かったと一応思っている。でもそれはそれだ。恨みを一発晴らすため遥々海を渡ってきたホワイトサンダーはツインテールを揺らしながら自らのゲートへ向かって歩き去って行く

 

 

「あの、フク先輩。今日応援に来てるアタシの後輩にもあなたの事を尊敬してるって子もいるので、もうちょっとだけ落ち着いてもらえませんか?」

 

「え、シチーさん突然めちゃくちゃ厳しい事仰いますね!?エアグルーヴさんここまで着いてきちゃったのかなって一瞬思っちゃいましたよ。」

 

「あ、いや。フク先輩のとことん自分を貫くスタイルはリスペクトしてるんですけどなんというか……一応皆の先輩なんですからそれっぽい所をもうちょっと見せて欲しいってゆーか」

 

「ううんシチーさん。お姉様のこういうアメリカに行ってもアクセル全開で左側走行をしちゃう感じがね、とっても尊敬できる所なんだよ?」

 

「ライスさん私の事無法者かなにかだと思ってません?」

 

「……お姉様!今日はいい勝負をしようね!」

 

「無理やり空気を修正しに来ましたね。はい、でもそろそろ出走時間なので切り替えていきましょうか。うーん、もうちょっと締まった感じで行きたかったんですがねぇ……」

 

「全部フクキタルさんが撒いた種なんじゃないかってマヤは思うんだけど」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『さぁ準備が終了しました。各ウマ娘はゲートを出た後場内を一周してもう一度このスタート地点を通過します。その時には今の静けさがウソのような盛り上がりが観られる事でしょう。待ち遠しいその瞬間を祈る我々の思いを乗せて___今ゲートが開きました!さぁ一斉に飛び出す!まず先頭に立ったのは___』

 

 

 

 

 

 

 

 




ドリームトロフィーは『トゥインクルシリーズで一定以上の成績を残した者だけが参加できる上位リーグ』みたいな扱いにしています。アプリ内でも存在はちょこちょこ出て来るのですが設定がふわふわみたいなので、この作品でもふわふわさせていきます


ホワイトサンダーさんはスカーレットをぺったんにして金髪にした感じの容姿をしているんじゃないかとわたくしは思っておりますが、みなさんでぜひご自由に妄想なさってください
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