ゼッタイゲンサクゲンシュは大外から差し込む気だ!!ミキリハッシャマン逃げ切れるのか!
またしてもダイワスカーレットの出番がありません。ごめんね……高すぎる消費税とレジ袋有料化が悪いんだよ……
誤字報告ほんと助かります!!ごめんなさい!!!
ナイスネイチャについて僕が最初に思ったのは、淡白なようで人付き合いを円滑にする為の愛嬌を持ち、明るく振る舞う中に若さ故の悩みの存在を匂わせる、可愛らしい思春期の少女だという事だ
茶色いふわふわした髪を左右で束ねて、緑のラインが入った赤いオシャレなカバーで頭の上の耳を覆っているのがトレードマークだった。ウマ耳を飾り立てる子は多くいるが、彼女の耳飾りはクリスマスツリーを思わせるような賑やかさを備えていて僕は中々に好ましく思ったものだった
うん、こうして思うと僕は赤という色に縁があるのかもしれないな。スカーレットだって赤を思わせる名前だし……
「〜〜〜!」
なんだいネイチャ。回想中はお静かに願いたいんだが……なに、可愛いとかどうこうは別に触れなくていいだろうって?そうは言われても僕の気持ちを辿るのが回想なんだから仕方がないだろう。いいじゃないか、悪口を言っている訳じゃないんだから。胸を張って聞いていてくれたら___おっと、解った。解ったよ。君に語り手を譲るよ。それでいいんだろう?
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あー。まあとにかく、アタシがサブトレさんと初めて会ったのは、入学して数ヶ月。季節は夏に入ろうかという時だって話。大事なのはそこだよね
「いったたた……」
リハビリも終わってないのに無理やり1人で歩き回っていたアタシは気がつけば人気のない学園のはじっこの森へとやって来ていた。そこら辺りでとうとう脛の痛みが限界を迎えた。クラスの皆や同室の子がいっつも手助けしてくれるから気付かなかったけど、どうもアタシはちょっと歩き回るのもまともにできない身体だったらしい
たまたま目に入った大きな木の下が丁度日陰になっていて、暑さをしのげると判断したアタシはその草むらに身体を倒した。日差しから逃れた程度ではひんやりとはいかないけど、疲れ切っていたアタシにとっては天国のような環境だった。ただ、天国には先住民が居たのだけれど
「やぁ、今日は暑いね」
おっとりとした若い男性の呑気な声が耳に飛び込んできた。完全に油断していた私は変な声を出して思わず立ち上がろうとして、脚の痛みで悶絶して1人で騒いでいた
「あー、すいません。人がいるとは気付かずに」
「構わないよ。ここは僕の為だけの日陰ではないからね」
「あ、あはは……」
「ふむ、そろそろ昼休みも終わるだろうけど……1人で教室まで戻れるかい?脚を痛めているようだけど」
「大丈夫っす。急いでませんし……まぁ最悪戻れなくっても、別にいいのかなーなんて思ってたり」
思わずそう口にして、しまったと頭を抱えたくなった。胸に身分証代わりのトレーナーバッチを付けている以上彼はトレーナーだ。ただでさえ所属チームもトレーナーもついていない自分の評価が更に下がるような言動をしてしまうなんて、お先真っ暗な上に落とし穴に落っこちた気分だ
「ふむ。確かに、昼休みとは自分が終わりだと思った時こそが終わりなのだ、という格言もある。急かすような事を言ってすまないね」
「はぁ……え、なんでアタシ謝られてるんだろ」
怒られないんだ。というか、この人はこんな所でなにやってんだろ。ここらは整備が追い付いてない学園の空きスペースみたいなものだし、周りでトレーニングしているような子もいない
「まさかサボってる訳じゃないでしょうけど、何やってんですか?」
「まさか。サボってる以外に見えるのかな?」
「えぇー……」
心外だ、と言った顔でそう返してきた彼は自分の横に置いているクーラーボックスを開けると……いやクーラーボックス持ち込みでサボリとかすごいな。とにかく、彼は箱からペットボトルを取り出すとこちらに差しだしてきた
「今日は特別暑いだろう。安物で良ければどうだい?ああ、未開封だから安心して欲しい」
「いやいや、別に平気ですよ。むしろ運動不足だからいい汗かけたって言うか……」
「口止め料だ。受け取ってもらわないと安心して昼寝を再開できないのでね」
「そゆことなら頂きますかね」
よく冷えた薄いスポーツドリンクは非常にありがたかった。結構歩いて汗だくだったし、このまま木陰で寝てたら脱水でひっくり返っちゃうところだったかも
しばらく休んでから彼にお礼を言おうとしたが、既に顔にハンカチを乗っけて安らかな寝息を立てていた。仕方がないので持っていたカバンの中のノートから一枚紙をちぎり取り、『ごちそうさまでした』って書いて彼のクーラーボックスの上に置いて手頃な石で重しをしてからそこを立ち去った
次に会ったのは夏も後半に差し掛かった頃だった。学園の練習コースを見渡せる、観客席のように設置されたベンチ群の1つに彼は居た。リハビリの疲れを癒すため休める場所を探していると、ビーチパラソルのような物の下で寛いでいた彼が遠くで手招きをして、自分の隣が空いているのを手で示しているのが見えた。お呼ばれに応じて、アタシは遠慮なくその横に腰掛けた
「精が出るね。足は良くなっているようでなによりだよ」
「どもども。トレーナーさんも……いや、トレーナーさんは頑張ってそうには見えないね」
彼は日陰の下でアイスクリームを食べていた。しかし、アタシがそれを指摘すると心外だと言った風にわざとらしくため息をついた
「やっぱりそう見えるかな?どうしようかな……そうだ、ストップウォッチを手に持ってみると、どうかな?一気に仕事をしているような雰囲気を演出できるじゃないか」
スプーンを持ったまま器用にストップウォッチをかちかち鳴らして真面目そうな顔を作った彼だったが、数秒ほどの無言の後時計を脇に放り出して再びアイスクリームに取り掛かった
「あー、そすね。マジメに見えます、はい」
「うむ、まあ、いいんだ、僕はここで彼女が走るのを見ているだけで十分仕事を果たしていると言えるからね。あと僕はサブトレーナーだし、トレーナーとは呼ばないでくれると助かるな。そう呼ばれると責任感を感じて胸が苦しくなるんだ」
「ならアイス食べるのやめればいいんじゃない?」
「暑いんだからしょうがないだろう。夏となれば総理大臣だってアイスクリームを食べるだろうさ」
多分仕事中に堂々と食べてたら総理大臣さんは辞職させられると思うけど、というツッコミは面倒なのでやめた
彼の視線を辿ると、でっかい招き猫を担いでいるウマ娘が奇声を発しながら両手に持った謎の発光体を振り回しつつトレーニングコースを走っているのが見えた。どこかで見た事があるウマ娘さんだったけど、名前を思い出す所まで思考が回らなかった。アタシは、水分不足で少しふらふらしてしまっていたのだった。もしくは、ツッコミ所が多すぎてふらふらしていたのかも
「少し休むといいんじゃないかな。君達ウマ娘は頑張るのは非常に上手いが、休む事に至っては不器用な子が多い。もう少し僕を見習った方がいいとさえ思うよ」
「こんなの頑張ってるうちに入らないって。誰だってやってることだし、むしろアタシはずっとサボってたんだから、その分ちょっとは無理の1つでもしないと恥ずかしくてたまらんのですわ」
なんて言いながら立ち上がろうとして、アタシは足から力が抜けてそのままベンチにどすんとお尻を落っことす形になった
「頑張り過ぎな子程謙遜が過ぎる。やれやれ、大人しく僕のサボリに付き合ってくれ。しかし、君は1人かい?怪我あがりだというのに監督者の姿が見えないけれど」
「や、おかしな事を仰いますねぇ。アタシなんかをスカウトしてくれるトレーナーさんがいる訳ないじゃないですか。ボッチですよボッチ」
選抜レース後に脚を痛めた。骨膜炎___シンスプリントって診断されたけど、とにかく両足の脛が炎症を起こしていたんだ。アタシはスカウトの人達から忘れられて、1人で完治を待つ事になった。まともに走れないのにチームに入れて下さいなんて言う度胸も無くて、周りの皆がデビューに向けてどんどん強くなっていくのをアタシはスタートラインの上で足踏みしながら見てるだけだった
笑いながら自虐的に言った言葉が、自分の頭の中でガンガンと反響する。心配するクラスメイトや同室の子達の邪魔になると悪いからと避けていたら、本当に1人になった自分が無様で哀れでしょうがない。うっすら滲んだ涙で視界が陽炎の様に歪んでいく。アタシはもう、限界だったのかもしれない
「一回サボっちゃうとさ。もう二度と頑張れなくなっちゃうんじゃないかなーって思っちゃう訳なんですよ。情けない事に」
「頑張る事は美徳だ。だが、それだけが大切だと思い込んでしまうと危うい。時には椅子に腰掛け、どうでも良い事に思考を巡らせながらアイスクリームを食べる時間がウマ娘には必要なんだよ」
ぎゅっと握りしめた拳の上に、彼はぽんとアイスクリームを置いた。アタシが何か言う前に手を取ってパラソルの下に引っ張り込むと、冷えたタオルをアタシの首に巻いた。ひゃっと悲鳴を上げるアタシを見て彼は可笑しそうに笑った
「頑張りたくない。そう思う事は罪じゃないんだ」
「マジっすか?」
頑張りたくない。この学園でその言葉を口にするのは、退学を決めたウマ娘だけだ。居場所が無いアタシにとって、がむしゃらに頑張る事だけが最後の頼みの綱だというのに、彼はそうじゃないと言った
「もしそう思う事が罪なら、僕は真っ先に逮捕されているだろうからね。恐らくこの学園に今存在している者の中で1番『頑張る』から遠い場所に立つ者だという自負がある」
「……あっはは!それ、胸張って言ってもいいことじゃないでしょ!」
「ふふ、そうかい?だが僕のような存在が必要な事もある。意地でも休もうとしない子に逃げ道を用意してあげられるからね。
さて、君の名前は___ナイスネイチャだね。さて、どうだろう?もし良ければ僕の居るチームに来ないかい?涼しい冷房が効いた専用の建物と、だらだらしてても誰も文句を言ってこない素敵な雰囲気のチームなんだ。他にもっといいチームやスカウトの話があればいつ出て行っても良いし、いつ戻ってもいい。そんな場所なんだ」
「あー、いい感じだねぇ。それじゃ、ちょっとお世話になろうかな」
「歓迎するよ。さて、それじゃ___おーい、そろそろ戻ろう!充分走っただろう?」
「ぬおおおお!サブトレーナーさぁぁぁん!流石のタイミングのお声掛けです!丁度今7777mのランニングを終えた所なんですよっ!サブトレーナーさんのご慧眼には感服いたします!つきましては今日のお夕飯についての占いにもお手を拝借したいのですが……」
「それは戻ってから存分にするとしよう。さっきチームハウスを出る前に冷房を18℃に設定しておいたから、今頃あそこは楽園になっている筈だよ」
パラソルを畳みクーラーボックスを抱える彼と、ハイテンションに話しかけてくるウマ娘さんと一緒に歩き出した。足はまだちょっと痛むけど、アタシの心はすっと軽くなっていた。
「ナイスネイチャ。一度座ってしまうと立ち上がれる自信が無いと言うのなら、大丈夫だ。立ちたくなったら言ってくれ。君の手を引っ張って立ち上がらせてあげるくらいの事はさせてもらうとも」
「……ま、そんときはお願いしましょうかね。」
頑張りたくないって口にすれば、周りの反応は大体決まってる。憐れんで励ましてくれるか、落伍者を見る眼を向けて軽蔑するか。でも、それを口にしても、居場所を与えてくれる人とウマ娘の先輩達がいた。自分勝手でぐだぐだの慣れあいすら良しとする関係性。そんな甘い場所が、どうにも居心地が良すぎるのが逆に落ち着かなくて、結局なんだかんだ言いながらアタシはトレーニングに身を投じる事となった
それが、今から1年と半年前の話。現在中等部3年のアタシが、入学して半年程経ってようやくスタートラインから一歩を踏み出せた頃のお話である
ストップ「ウオッチ」か「ウォッチ」なのか、もしくは「ウオッカ」なのか?解らなくなり非常に混乱しました。責任をとってもらうためウオッカくんにはこれからエアグルーヴさんの椅子にブーブークッションを設置しにいってもらおうと思います
投稿後に気づきましたがこのお話の前書きの時点で誤字ってるじゃないの!戒めに残しておきます!あとアンケートの結果を反映してちょっと文字数長めです!
全体的に文字数多すぎます?もっと小分けにした方がいいですか?
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多すぎ♡
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これくらいでも許してあげる♡
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少ない♡少ない♡