前科戦線ウヅキ   作:鹿狼

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第65話 戦艦水鬼壊

 卯月の瞳が、紅い鬼火を宿す。

 

 夕焼けの中でも鮮烈に輝く、探照灯のような眼光。陽炎のように揺らめく、赤いオーラ。

 

 艦娘に擬態した深海棲艦、そう呼んだ方がしっくりくる。

 だが、卯月は間違いなく、水鬼へと砲身を向けている。今までの狂ったような怒りは消え、静かな、ナイフのような殺意を纏っている。

 

「素晴ラシイ」

 

 水鬼の言葉が、静寂に響いた。

 

「私ニ隷属スルニハ、相応シクナクナッタ。ケド、仲間トシテハ、相応シクナッタ」

「それは、光栄だぴょん」

「デモ、ソノ気ハナイノヨネ」

 

 回答は分かりきっていた、それでも聞くのは、それだけ感慨深かったからだ。

 

「みんなを見殺しにするなんて、そんなカッコ悪いことは、できないぴょん。勿論、それを強要してくる奴は、殺すぴょん」

 

 水鬼は拍手をしていた。艦娘が困惑するのも気に止めず、称賛を送る。

 

「初メテダワ、欲望ト背徳二壊レズ、意志ヲ貫ケル艦娘ハ」

「初めてって」

「エエ、他ハ皆、醜イモノヨ」

 

 嫌悪感たっぷりに吐き捨てる。卯月は記憶の中で見た、深海棲艦を率いる艦娘を思い出す。

 

 そんなクソに、蹂躙されたことが、腹が立つ。だから水鬼は、手段を選ばなくなった。

 

 前の戦いで言っていた、『貴女達ノオカゲ』という言葉の意味が、察せられた。

 

「ありがとぴょん」

 

 水鬼は驚くこともなく、続きを待つ。

 

「あなたじゃなきゃ、ダメだった。もしも、あなた以外の深海棲艦と共鳴してたら、うーちゃんは戻ってこれなかった」

 

 誰が何と言おうが、水鬼は格好いい。

 迷わない姿が。常に冷静なところが。手段をまるで選ばないことが。なによりも自分の意志を貫くところが。黒曜石のような殺意が綺麗だった。

 

 怨念と欲望に操られるだけの姫じゃ、道具にされて終わりだった。それだけで十分だと思わされた。

 

 思わず、憧れてしまうような、戦艦水鬼だったから。

『ああなりたい』と思える人だから、わたしは、貫くべき『殺意』を思い出せたのだ。

 

「ダメジャナイ、敵ニ、オ礼ナンテ」

「うーちゃん、嘘は嫌いだぴょん。ま、二度は言わないけど」

「ソウ、ジャア、話ハ終ワリネ」

 

 穏やかだった海が、戦場へ戻る。

 卯月の分も加わって、息が苦しくなるような殺意が充満する。憎しみも、愛もない。ただただ殺すという、完全なる殺意が激突する。

 

「シズミナサイ」「沈めだぴょん」

 

 冷酷な抹殺宣言を皮切りに、決戦が始まった。

 

 先手をうったのは、射程に勝る戦艦水鬼だ。瞬く間に、回避困難な密度の弾幕が降り注ぐ。戦艦では不可能、駆逐艦でも、射程外に行けるかギリギリの範囲。

 

 だが、卯月は容易く消え失せた。彗星のような軌跡を描き、高速で海上を駆け巡る。最も驚いているのは卯月本人だ。

 

 なんて速度なのか。

 機関出力も身体能力も、桁外れに上がっている。

 洗脳の万能感が消えた分、性能アップの感覚がダイレクトに伝わる。

 

 システムが万能でないことも、伝わった。

 

 移動先に、砲弾が叩き込まれていたからだ。

 

「チィッ!」

 

 速度を落とすと、目の前を砲撃が通り過ぎる。だが、それを見越した第二射が、もう迫って来ていた。

 

「舐めるなぴょん!」

 

 強化された反射神経で、砲撃を放ち、軌道を逸らす。至近距離を掠めていき、衝撃が身体を突き抜ける。

 

 あくまで性能等が上がっただけ。先読みされたり、不意を突かれたら意味がない。

 

 しかも、それだけでは済まないと、卯月は自覚している。

 システムの強化は、凄まじい負担がかかる。

 限界を越えたら動けなくなる。

 神鎮守府を襲った時も、水鬼との一戦目も、それで負けた。

 

 ただ、身体が限界を超えたから、システムが強制停止したという可能性もある。

 洗脳解除のトリガーは気絶じゃなく、稼働限界かもしれない。だから時間制限があるのは、悪いこととは思わなかった。

 

 何れにせよ持って数分。それまでに決着をつけられなければ、卯月の負けである。

 

「接近ナンテ、サセナイワ」

「は、ビビってんのかぴょん」

「システム、特効、二重ニ強化サレタ貴女ノ攻撃ヲ喰ラウノハ、トテモ危険ナコト」

 

 水鬼からすれば、システムの停止まで持ちこたえれば済むだけの話。有利なのは彼女の方だ。

 接近されないよう、延々と砲撃を浴びせ続ける。なんとか隙間を見つけ、潜り抜けようとするが、先読みされてルートを塞がれる。

 

 たが、決して焦ることはない。殺すと決めた、だから殺す。焦れば殺せなくなるから、焦る必要ははい。煮え繰り返る激情と、冷静さが並立している。

 

 だから、水鬼以外も、ちゃんと認識できていた。

 

「主砲、一斉射、バーニング・ラアアアブ!」

 

 金剛のシャウトと同時に、戦艦級の砲撃が放たれた。

 耳をつんざく音量に、水鬼は一瞬気をとられる。

 まだ、直撃しても問題ない、多少のダメージを無視して、攻撃を食らう。

 

「直撃です!」

「イエス! でも、多分ノーダメージネ!」

「ソノ通リ……ソシテ、狙イモ分カル」

 

 爆煙に覆われて、視界が塞がれた。狙いはそれだ。予想通り、煙の中から黒い影が現れる。先んじて副砲を回し、煙幕ごと吹き飛ばした。

 

 その中にいたのは、ダメージを負った卯月……ではなかった。

 

「クソが!」

 

 バルジを殆ど破壊された、満潮だった。

 

 入れ替わっていた、一瞬の間に。だがどうやって。いやもうどうでも良い。無駄な思考を捨て、相手を即死させる剛腕を振るう。副砲で傷も負っている、あと一撃だ。

 

 いや、卯月はどこにいる? 

 

「隙ありぴょん!」

 

 背後からの声に、水鬼は即応した。

 片腕を真後ろに向けて、乱雑に振る。微かだが、手応えがあった。だがその隙に、満潮には逃げられた。

 

「失敗かぴょん!」

「わたしを投げといてふざけないで!」

「メンゴ」

 

 要するに、近くにいた満潮を凄い力で投げたのである。満潮の安否は割りとどうでも良かった。

 

「一瞬、目ヲ離シタダケデ……ヤハリ、ソノ力ハ危険ネ」

 

 ガゴン、と主砲の全てが卯月を捉える。

 瞬く間に形成された弾幕に、卯月はまた、押し返された。

 金剛たちが、近づくチャンスを作ってくれたのに。相手は最上級の姫クラス、簡単にはいかせてくれなかった。

 

 しかし、負けたとは全く思わない。ニヤリと卯月は笑った。

 

「フッフー、やっと、通せたぴょん」

 

 艤装が、一部欠けていた。

 弾幕に晒されながらも、反撃していた攻撃が当たっていた。

 至近距離では、避けきれなかった分。それが確かな傷を作った。

 

「ヤルワネ、デモ、マダマダ私ニハ届カナイ!」

 

 また、嵐のような砲撃が降り注ぐ。卯月を近づけさせないように、集中して放たれる。他の攻撃は、どうせ効かないから受け止めた。

 

 ダメージは累積するが、システムが停止するまでの時間は持つだろう。

 だから、ここからが勝負だ。全員がそう認識していた。視線が自ずと地平線に向かう。

 

 太陽が沈んでいく。オレンジ色の空が暗闇に覆われていく。どうやっても、接近戦を余儀なくされる時間が来る。勝敗はこの時決する。

 

「夜のうーちゃんは、凄いぴょん!」

 

 卯月の声と共に、日が沈んだ。

 

 

 *

 

 

 夜の海上に、無数の光が灯る。砲撃の閃光、燃える炎、作動する機関、そして卯月の眼光。夜になったことで、その輝きはより彗星のように見える。戦艦水鬼の眼光とそっくりな紅い目が、激しく燃えた。

 

 夜戦になったことで、戦いは激しく荒れた。艦載機の発艦はできなくなり、視界不良のせいで、距離は近づいていく。暗闇から突然砲撃や雷撃が出現する恐怖は、昔と変わらない。

 

 しかし、システムの恩恵か、夜目が効く。さすがに探照灯には劣るが、それでも助かる。攻撃に早く気づけるから、回避がしやすい。

 

 それでも、戦艦水鬼に、少しも接近できない。砲撃密度が濃すぎる。人一人分入る余地もなく、高密度高精度の砲撃が集中して降り注ぐ。

 

 徹底して接近させないつもりだ、これを必ず突破しなければならない。単独では無理だ。

 

 だからこそ、艦娘は、徒党を組んで戦うのだ。

 

 水鬼が卯月に集中している間に、満潮や熊野──必殺の雷撃を放てるメンバーが、死角に回り込んでいた。

 

 声なんて出さない、暗闇に紛れて、密かに魚雷が発射される。だが命中する直前、水鬼の眼光がギロリと動いた。

 

「ソンナ、小細工、無駄ヨ」

 

 昼間の時と同じように、獣型艤装の剛腕が、海面を全力で殴りつけた。小規模な津波が発生し、雷撃が引っ繰り返され、逆に熊野たちへ飛んでいく。

 

 攻撃面では主砲だ、しかし、防御面では、あの剛腕が猛威を振るう。どんなパワーがあれば、津波何て起こせるのか。

 

 これでは埒があかない。徹底的に破壊して、攻撃を通せるようにしなければ、意味がない。

 その為の一手は、浮かんでいた。

 下手したらただの自殺だが、シンプルで、一番可能性が高い──殺意の化身となった卯月は、迷わない。

 

「みんなーっ! 水鬼の砲撃を撃ち落としてぴょん!」

 

 その要請に、すぐ呼応する者は()()()()いなかった。

 それはできる、あの弾幕を抑えれば、卯月は懐へ潜り込める。一度潜り込めれば、修復誘発材や特攻で攻撃できる。

 

 だが、水鬼の砲撃はほぼ全て、卯月へ集中している。それを撃ち落とそうとすれば、必ず卯月も巻き添えになってしまう。

 その危険性を、承知で、卯月は頼んでいた。

 

「巻き添えでも構わない、もう時間がな──」

 

 呼応する者は、()()()()いなかった。

 

 つまり一名だけいた。

 

「喰らえ!」

 

 満潮だけは、一切迷わずトリガーを引いた。

 砲弾が飛んでいく。狙いはつけていない。卯月も水鬼も動き回るのでつけようがない。結果その一撃は、卯月の後頭部へ迫った。

 

「あ、当たるクマ!?」

 

 顔面蒼白で叫ぶ球磨。しかし卯月は紙一重のところで、砲撃を回避した。

 満潮の砲撃は二射目、三射目と続くが、どれもすんでで躱す。偶然でないと、理解していく。

 

「ソレハ、何?」

「言わないぴょん、知りたいなら砲撃を止めるぴょん」

「止メタ瞬間、砲撃スル癖ニ」

「てへ」

 

 顔を赤らめながら、全力の殺意で襲い掛かる。

 

「早く、もう時間がないんだぴょん!」

「了解しました」

「良いんですか、不知火!?」

「見ての、通りです」

 

 卯月を信じると、不知火は決断した。それに呼応して、全員が砲撃を浴びせる。砲弾と砲弾がぶつかり、爆発が吹き飛ばし、海面が荒れ狂い、火の海に呑まれていく。

 

「うおおおおおおーっ!」

 

 地獄絵図さながらの煉獄を、卯月は突っ切った。

 目の前からの砲撃、背後からの砲撃、その境目を、限界まで上げた身体能力で走り抜ける。

 爆炎の中でも、ハッキリと鮮光が見え、紅い鬼火が走る。

 そして、五体満足の卯月が、水鬼の前へ、躍り出た。

 

「入った!」

「叩キ出ス」

 

 水鬼の武装が一斉に襲いかかるが、更に懐へ、心音が聞こえるほど近くへ潜り込み、それを避ける。空を切った砲撃が、海面を大きく吹き飛ばす。

 

「もうここなら、主砲は向かないぴょん!」

 

 主砲は獣型艤装の肩に搭載されている。それ以上は仰角が届かない。水鬼自身が邪魔になり、狙えないのだ。

 

「イイエ、向クワ」

 

 ブチッと、なにかが千切れる音がした。

 

 音の元を見てみると、水鬼の背中から伸びていたチューブが、切れていた。

 あれは、なにと繋がっていた? 

 

「おいまさか」

「コレガ私ノ、隠シ玉」

 

 獣型艤装が、水鬼と分離して、襲いかかってきた。

 

「グォォッ!」

「行キナサイ」

 

 それは、横に回り込もうとしている。

 分離して離れてるから、主砲を卯月に、合わせることができる。

 

 普段なら「ギャー!」とか叫んでたが、それでも、卯月は冷徹さを保つ。

 

「まずは、あいつからっ!」

 

 卯月は、獣型艤装へ狙いを定めた。水鬼本体は武装がない、殴ることしかできない筈だ。まず攻撃手段を持ってる方から潰す。

 

「間違ッタワネ、選択ヲ」

 

 しかし、なにも装備していなかった水鬼は、手の甲から主砲を()()()()

 

 恐らくは、取り込んだ顔無しのもの。無茶苦茶な芸当だが、これで攻撃が可能になった。

 

「き、聞いてないぴょん!?」

「ソリャソウヨ、最終的ニ、艦娘達ヲ、鏖殺デキレバ、ソレデ良イ!」

 

 隠し玉を、最後まで残してた水鬼の勝ちというだけの話だ。

 だが、卯月にはそんなつもり微塵もなかった。

 

 単独で戦っている訳ではない。

 

 水鬼の攻撃で上がった水柱。

 その裏側に、巨大な影が見えた。柱を両断し、それは現れた。

 

「覚悟ぉぉぉぉ!」

 

 二本のブレードを構えた、比叡だったのである。

 

「ソンナ小細工!」

 

 水鬼の主砲が、至近距離で比叡を襲う。近すぎて回避はできない。切り落としたら、その直後を撃つ。

 

「だけど、対応できるネ?」

 

 しかし、入れ替わるように現れた金剛が、巨大なシールドで防いだ。緊急で生成した主砲では威力が低い、姿勢を崩せない。

 

「今度こそ、切りますよっ!」

 

 あれは、防げない。だが回避も間に合わない、なら掴んで、破壊する。振るわれたブレードに合わせ、片手を構えた。

 掴める──だが、その試みは失敗する。

 

 突如、視界が、閃光に包まれた。

 

「──ッ!」

 

 考えなくても分かる、探照灯だ。目眩ましだ。この時の為に、とっておいたと言うのか。

 

「決まった! 桃の! 一撃!」

 

 目を潰され、ブレードが見えない。やむを得ず勘で掴みにかかる。直前までの光景で、推測はできた。比叡は止まらず、剣を振り抜いた。

 

「はぁっ!」

 

 水鬼の勘は、半ば当たった。

 ブレードが砕け、破片が比叡に突き刺さる。

 だが、破壊できたのは一本だけ。

 

 もう一本は、主砲の生えた片腕を、完璧に切断した。

 

「今だ、今しかない!」

 

 獣型艤装と相対する卯月は、そう確信した。

 主を傷つけられ、怒り狂う艤装が、莫大な砲撃を浴びせてきた。だが、彗星のような速さで、卯月は潜り込む。

 

 即座に、艤装の足元へ、砲撃を浴びせる。

 特効とシステムの上乗せが、本来以上の破壊力を生む。脚部装甲が破損し、ほんの僅かだが、亀裂が入る。

 

 ここを、完璧に、正確に撃ち抜けば、動きを止められる。

 

 それは間違いなく、ポーラの役割だった。

 

「とりゃ~」

 

 気の抜ける声と裏腹に、砲弾は寸分のズレもなく、亀裂を抉った。恐ろしいのは狙撃能力より、瞬時にこれが、自分の仕事と識別できるところだ。

 

 あとはメイン武器、主砲の無力化だ。

 卯月は飛び上がり、主砲にナイフで切りかかる。主砲を撃っても、剛腕が防いでしまう。

 艤装は卯月を掴みにかかるが、ポーラの援護射撃が腕部に着弾、腕の動きが抑えられた。

 

 その隙に、ナイフで主砲に、傷をつけた。

 再生能力が暴走し、主砲が泡となって弾ける。二、三秒で再生してしまうが、それでいい。

 

 数秒間だが、獣型艤装は、無力化できた。

 

 艤装を蹴りあげて、卯月は、水鬼の元へ跳躍した。

 

「来タワネ、卯月」

「終わりだ、戦艦水鬼!」

 

 獣型艤装が、残った副砲や機銃を放つが、熊野や満潮の妨害を受け、狙いが逸れる。卯月は飛んだ勢いのまま、水鬼目がけて、ナイフを構えて飛び込んだ。

 

「今ネ、松、竹! Torpedo(魚雷)!」

「「了解!」」

 

 これで、卯月が、装甲を溶断すると同時に、松と竹の雷撃が突き刺さる。

 溶断できなければ、獣型艤装が復活する、システムも作動限界を迎える。

 

 必ず、切らなければいけない。

 主砲の生えた腕は、比叡が切り落としている。迎撃手段はない。

 だが相手は卯月同様、殺意の化身となった相手。どんな手段を編み出してもおかしくない。

 

 殺意が高まる、集中力が極限まで上がり、余計なものが全て、意識の外へシャットアウトされた。

 

 ガゴン──知らない音が、()()()()

 

 強いていうならば、主砲の基幹部分が、旋回する音に思える。

 

 主砲が、もうないのに? 

 

「ぴょん!!」

 

 殺意を信じ、何も無い虚空へ、砲撃を放った。

 

 直後、そこに、()()()()()()()()()

 

 砲撃同士が激突し、爆発が起こる。

 その砲撃は、()()()()()()()()()()()()から、発射されていた。

 死角から発射された物。比叡にも誰にも気づかれなかった一撃。

 

 卯月に、直撃していた筈だった。

 

 だが、最後の不意打ちは、卯月の勘により、迎撃された。どこから、どう飛ぶのか見えていなかったのに、正確に撃ち落とされた。

 

 勘なのか、なにか不意打ちへの確信があったのか。それは分からない。あるのは事実だけ。

 

「──見事!」

 

 誘発材ナイフが、水鬼を一直線に切り裂く。

 そして、溶断された肉体へ、大量の雷撃が捻じ込まれる。

 

「さようなら、水鬼さま!」

 

 ダメ押しに、卯月までもが、雷撃を捻じ込んだ。

 瞬時に、離脱した直後、夜の帳も吹っ飛ばす閃光が、戦場を覆い尽した。




次回、第一章、完結。
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