あと今更ながら、あらすじの内容が本編に則してない気がしたので、変えました。
戦いが、終わった。
赤い海が青色に戻っていく、浄化された証拠だ。
全ての負念が、中枢だった水鬼の討伐により、解放されていく。海の中から、遥かな空へ、無数の光の粒子が上っていった。怨念が浄化される光景だ。
「綺麗デース」
初めて見る光景に、金剛たちは見とれる。
前科メンバーも似たようなものだ。大規模作戦に参加こそしたが、こうやって、最後まで立ち会うのはとても稀だ。
青色に戻った海に浮かぶ、光の粒子。さながら、星の海に浮かんでるような光景である。
そんな光景そっちのけで、卯月はじっと、水鬼を眺めていた。
システムの反動で、全身が痛い。立っているのもやっとだった。
「残念ネ」
殺意の化身、と言う割には、未練もなさそうだ。ただ、残念そうな顔つきだ。
水鬼の肉体は崩壊していた。身体中に亀裂が入り、修復材の原液と血と油が、ダラダラ流れている。獣型艤装はまだ無事だが、本体の消滅に伴い消えるだろう。まだ動けるのに、じっと水鬼の傍で佇んでいた。敗北を理解してるのだ。
「敗因は、その艤装だぴょん」
勝ち誇った顔つきで、卯月は告げる。
「お前は艤装と自分を分けた。でも、うーちゃんは仲間と力を一つにした。それが、明暗を分けたんだっぴょん」
「……ソレ、戦イヲカッコ良ク締メル為ニ、今適当ニ考エタダケデショ?」
「そうだぴょん」
しょうもない理由に、水鬼は呆れかえる。
卯月はどや顔を見せつける。そこにもう、殺意はなかった。間もなく死ぬ、無駄な殺意を、抱く理由がない。
水鬼も、殺意は抱かない。
悪足掻きをしても、誰かにかすり傷をつけるぐらいしかできない。無様な姿を、無駄に晒す理由はなかった。
水鬼のそんな姿は、やはり素敵だ。
迷わず、潔く、そしてカッコ良い。自らの意志を誇れるその生きざまは、卯月にとって理想そのものだ。
なによりも、『卯月』に誇れるわたしでありたい。
卯月の意志とは、その思い。
それを自覚させてくれたのは、間違いなく彼女だ。
憎い敵、仇の一人、滅ぼすべき深海棲艦。だが、それと同時に、同じぐらいの敬意があった。
「……ありが」
「駄目ヨ」
水鬼が、続きを止めた。
「貴女ハソッチデ、私ハコッチ。艦娘ト、侵略者。ソレハ、二度モ口ニシテ良イ言葉ジャナイワ」
あくまで、戦艦水鬼は敵である。憎しみを意志として、艦娘と人類に仇を成した存在だ。
近くても、似ていても、越えられない一線がある。
卯月が、卯月である限り。護る存在である限りは──越えてはならない。そう水鬼は諭す。
「うん、分かったぴょん」
なら、すべきことは一つだ。
主砲を向けた。止めを刺すために。
他の仲間たちは、静かに見守る。これは、卯月に任せることだから。
仇討ち、復讐に一区切りがつく。
しかし、今となっては、恩人殺しにもなる。
気高い精神で、洗脳から目覚めさせてくれた恩人を、これから殺すのだ。
躊躇いはない。それこそ、彼女を侮辱することになる。敬意を払うからこそ、迷いなくトリガーを引かなければならない。
卯月は、主砲に指をかけた。
どこかで、砲弾が装填される音が聞こえた。
卯月ではない。
水鬼ではない。
獣型艤装でもない。
仲間の誰かでもない。
だが、どこかで誰かが弾を装填していた。
そう気付いた時には、頭上がもう、大量の砲撃で溢れ返っていた。
「逃げてください!」
不知火が叫ぶが、とても間に合わない。それでも逃げなければ。
「がはっ!?」
しかし、システムの反動で動けない。
力を入れた途端、四肢を激痛が貫く。内臓までも悲鳴を上げ、あちこちの血管が破裂した。
駄目だ、逃げ切れない。
こんな死に方なんて。
悔しさに顔を滲ませた──その時、水鬼が、動いた。
「水鬼さま!?」
「『サマ』ナンテ、ツケチャ駄目デショ……!」
血塗れの身体を動かして、水鬼は卯月を庇った。
その姿に、悲鳴を上げそうになる。
あり得ない威力の砲撃を受けた水鬼は、全身穴だらけになっていた。
比喩表現などではない。文字通りの穴だらけ。空いた風穴から、向こう側が見えるようだ。
その先に、人影が見えた。
「なぜ、艦娘を、庇っているのですか?」
声に、エコーはかかっていない。
肌色も白くない。
生体兵器のような艤装もない。
その姿は、艦娘のものだった。
だが、その瞳は、鬼火のように紅く輝いていた。
「貴女もなぜ、深海棲艦の心配を、しているのですか?」
「しちゃ、ダメなのかぴょん!」
敵意をぶつけると、そいつは心底気持ち良さそうに身震いする。
「ダメですよ。敵とは、いっぱい甚振って殺す『モノ』。わたしたちが楽しむためのオモチャ」
「その目の輝き、まさか」
「ええ、そう、貴女と同じ、主様に選ばれた奴隷です」
意味することはただ一つ。
卯月と同じ、ブラックボックスを組み込まれた存在だ。
水鬼の記憶の世界で見た、深海棲艦を率いる艦娘。
あれが、こいつなのだ。昔の水鬼を蹂躙した存在だ。
「しかし、敵の心配をするなんて。やはり水鬼ではダメですね」
「どーゆー意味だぴょん」
「染めていただく相手を、間違えたということですよ。主様に染められてたなら、そんな、下らない思想にならなかったのに」
敬愛する水鬼を侮辱され、腸が煮え繰り返る。しかし、システムの反動でやはり動けない。無様な卯月を嘲笑しながら、『敵』は主砲を向けた。
「卯月、今からでも、主様の奴隷になりませんか? とても気持ちのいい日々が送れ──」
「死ね!」
「……折角選ばれたのに、それを捨てるなんて、愚かですね。同胞なので、助けてあげようかと思ったわたしがバカでした」
そう笑いながらも、『敵』はイラつく。提案を蹴られたことで、プライドを傷つけられたからだ。
「裏切り者も含め、貴女たちは皆殺し。それが主様の意志……うふふ」
瞳の鬼火が燃え上がる。悍ましい威圧感を放ちなから動き出す。
高宮中佐の言った通りになった。
本当に──卯月を殺すための、『刺客』が現れた。
「秋月型防空駆逐艦、一番艦、『秋月』、抜錨します。長10cm砲ちゃん、やっちゃって!」
誰も、まともに戦えない中、秋月との戦いが始まる。
そう思った。
秋月の近くに、巨大な砲撃が着弾した。
「ダメヨ」
彼女を止めたのは、ボロボロの戦艦水鬼だった。
「なにをするんですか?」
「コイツラヲ殺スノハ、私ヨ。ダカラ……貴女ニハ殺サセナイ。私ハ、艦娘ヲ、皆殺シニスル。マズハ、貴女カラ……!」
「あははは! 秋月たちに従っておいて、今更なにを言っているんですか?」
「ソノ屈辱ヲ、今、晴ラス……!」
水鬼は攻撃を始めたが、身体の限界を超えていた。反動に耐え切れず、砲撃の度に、全身から血を溢れさせる。それでも、攻撃を止めようとしない。一撃で装甲を抉る秋月の方が、圧倒的に有利……どころか、ただの負け試合だ。
「金剛さん、先に離脱を!」
「りょ、了解ネー!」
「前科戦線は警戒しながら離脱、今しかタイミングはありません!」
不知火の指示が飛び、まず藤鎮守府の艦隊が離脱。その背中を護るように前科戦線が徹底していく。
最初に中佐が指示した通り、刺客が現れたら、前科戦線を殿にして撤退。水鬼が同士討ちをしている今なら、前科戦線も離脱できる。
しかし、卯月は命令を無視した。
加勢しなければならない。
立ち上がろうとするが、力を入れた途端、節々が悲鳴を上げ、崩れ落ちる。力を入れた場所から血が溢れ出す。
でも、このまま殺されるのを見過ごせない。
殺す相手に変わりはないが、こんな終わり方、
「なにしてんのバカ、逃げるのよ!」
しかし、現れた満潮が、卯月を引っ張った。無理やり卯月を肩に乗せて、一気に戦場から離脱していく。
「待って、水鬼さまが!」
「あれは敵よ! 敵同士の潰し合い。第一アンタ、中佐の指示を忘れたの!?」
「で、でも! だって、あの人は!」
満潮から逃げようとするが叶わない。大声を出すと同時に、吐血までしてしまう。
「あ、ああ!」
戦艦水鬼の身体が減っていく。
肉を抉られ、装甲を溶かされ、全身から炎と煙を上げながら、水底へと沈んでいく。
それでも、艤装に支えられながら、攻撃を止めない。その場から決して動こうとしない。
自分の手で殺すから、殺させない?
そんなの方便だ、誰だって分かる──水鬼は、私たちを逃がすために、戦っているのだ。あんなに憎い、艦娘を生かすために。
「水鬼、さまっ! やめ……て、そんな、水鬼さまぁ!?」
吐血しながら、水鬼の名前を叫び続けても、戦いを止めてくれない。
分かりきっていた、止める筈がないことは。
更に遠ざかり、次第に見えなくなる。完全に消える直前、彼女と卯月の目が合った。
「……フッ」
彼女の笑う声が聞こえた。
そして、水鬼の姿は、完全に見えなくなった。
「水鬼さまぁぁぁぁ!」
泣きじゃくる声が、夜の海に轟く。
水鬼の砲撃音は、止まなかった。秋津洲の輸送艇に乗り込み、戦線を離脱する最後の瞬間まで、聞こえ続けていた。
彼女たちは、離脱に成功した。他ならぬ水鬼の殿によって。
海域は解放された。一人も欠けることなく、システムの解析もできた上で帰還できた。
泊地棲鬼より始まった大規模作戦は、完全勝利で幕を閉じたのである。
*
艦娘も人間も憎かった。
特に、秋月に仲間諸共蹂躙され、無理矢理従わされた屈辱は、到底忘れることはできない。
挙句、仲間は拉致された……戻ってきた時には、『顔無し』になっていた。鏖殺すると決めたのは、その時だった。
だが、その憎悪に身を焦がすのは、みっともなかった。
一時の感情を満足させるために、必要以上に痛めつけたり、非道な方法をとることはできる。けどそれは、ただの下賤な欲望だ、なんの価値もない。
憎しみが極まった時、私は目的を得た。人も艦娘も死んだ未来を目指すという、『殺意』が生まれた。決してブレないその殺意は、私の『意志』そのものになった。
全ては皆殺しのため。
迷うことも、感情に振り回されることもなくなった。
しかし、その価値観に同意する同胞は少なかった。
深海棲艦は怨念の化身だ、知性がある方が稀な生物だ。仕方ないとは思う。けど、知性がある奴さえ『意志』もなく、欲望を満たすことを優先する。憎いから殺す、必要以上に痛めつける、苦しむさまを楽しみ、無駄な戦闘を繰り返す。
どいつもこいつもそうだった。イロハ級も、姫級も──システムに呑まれた艦娘たちも。
あいつらは、背徳の快楽を味わうことしか考えていない。
誰かを護り、未来を残す──そんな意志を持つ艦娘たちの方が、遥かにマシだ。
だから、卯月も嫌いだった。
システムに呑まれて、媚びを売られた時、頭を吹き飛ばしたかった。
エネルギーを取り込み過ぎて、深層意識まで視られた時は吐き気がした。
しかし、そうやって手駒にした方が、合理的と分かっていた。
艦娘を殺すにせよ、秋月どもに反旗を翻すにせよ。
システムを持つ卯月がいるなら有利になる。より心酔してくれるなら仕方がないと、心を覗かれることを我慢した。
「マサカ、カッコ良イトワ……」
完全に、想定外だった。
私に憧れた挙句、洗脳を乗り越えてしまった。
始めて殺意を肯定してくれたのが、憎き艦娘になるとは思わなかった。皮肉と言う他ない。
だからだろうか、思わず庇ってしまった。
卯月が、あんな
「ドロップハ、シナサソウネ」
艦娘はやはり憎い、そんな存在へ変わるのは絶対に嫌だ。幸い変異の兆候はない。心の底から安心しながら、自分の行為を思い返す。
この結果でも、後悔はなかった。
最後まで、自分の意志を貫くことができた。自分に誇れる一生だったと自負できる。艦娘を皆殺しにできないのは未練だが、『意志』は残った。
完全なる殺意は、継承された。
あの卯月は必ず、秋月たちを倒してくれるだろう。この殺意が正しかったことを、連中を倒すことで、証明してくれるだろう。
そして、何時の日か、
この私が、意志を継ぐだなんて、人間のような考え方をするとは。自虐的に笑いながらも、水鬼は思った。
「中々、良イジャナイ」
戦艦水鬼は泡となり、消滅した。
*
その夜、卯月はまた悪夢を見た。もちろん泊地棲鬼の手先になり、神鎮守府を襲撃する夢。
殺したくないのに、卯月は喜々として撃ち殺していく。嫌でしょうがないのに気持ちよくされ、頭がおかしくなりそうだ。何度見ても、決して慣れない地獄絵図に苦しむ。
「……ん?」
なにやら、悪夢がおかしくなってきた。深海棲艦が誰かに次々と吹っ飛ばされ、倒されていく。
挙句、泊地棲鬼までも、誰かに叩きのめされた。その人影は、卯月のところに現れる。
それが誰なのか気づき、唖然とした卯月は、簡単に身体を抑えられる。
「戦艦水鬼、さま?」
獣型艤装を纏ったその姿は、紛れもなく水鬼のものだった。
「ミットモナイ姿ヲ、晒サナイデチョウダイ」
水鬼は拘束を解除する。強めに喉を抑えられてたせいでむせ返った。まさかの再会に胸が高鳴るが、同時に困惑する。
「なんで、水鬼さまが」
「『サマ』付ケハ、止メナサイ。私ハ敵ヨ」
「……なんで、水鬼が?」
ここは、卯月の悪夢の中。神鎮守府襲撃の記憶、水鬼はいない。
なのに彼女は現れ、悪夢その物を叩きのめしてしまった。
燃える鎮守府も、泊地棲鬼も、死体もなくなり、静かな青い海に変わっている。
しかも、目の前の彼女は、夢の産物ではなく、本人のように思える。共鳴している時に感じた、水鬼本人の気配がしていた。
「残留思念ヨ」
あっさりと、水鬼は答えた。
「私ハ、貴女ノ深層意識ニ残ッタ、水鬼ノ残リカス」
「そうだったのか……って、なんで残留思念が、うーちゃんの中に」
「アンダケ人ノ力ヲ取リ込ンデオイテ、今更、何言ッテルノ」
システム作動時に、卯月は水鬼のエネルギーを大量に取り込んだ。吸収し過ぎて、水鬼の心に呑まれかけ、深層意識まで見えた。余りにも深く潜り過ぎて、逆に水鬼の欠片が、取り着いてしまったのだ。
「マ、ダカラ、ジキニ消エルワ、安心シナサイ」
そうは言うが、全然嬉しくない。
敬愛する水鬼の欠片が残ってたと知って、むしろ嬉しかった。消えてしまうと知り、寂しさが込み上げる。
「チョット、コッチ来ナサイ」
卯月の様子を察した水鬼が手招きする。近くに寄ると、卯月を獣型艤装の上に座らせ、彼女自身も上に座る。
座り心地は案外良い。水鬼は普段から、艤装を簡易ソファーとして使っていた、座らせる為の姿勢に慣れているのである。
「えーと、何をする気ぴょん」
水鬼は背中から、卯月を抱きしめた。
「……コウイウノ、恥ズカシイワネ」
「じゃ、なんでやってんだぴょん」
「シタカッタカラヨ」
ストレートな理屈である。敵と味方の区別はどうしたのか。
しかし、悪い気はしない。
むしろ、とても心地いい。
深海棲艦だから体温は冷たいが、悪夢で憔悴した心が、落ち着くようだ。
「一ツ、教エテアゲル」
「え?」
「連中ノ情報ヲ」
穏やかな声色で、驚くべきことを言い出した。
「な、なんでだぴょん」
「貴女達ハ私ヲ倒シタ、ダカラ教エル。デモ『一ツ』ダケ。一人倒シタノダカラ、『一ツ』ダケ……ソレニ、
「……後半が本音じゃ?」
べしっと頬をはたかれた。聞くなという意味である。痛がる卯月を見て、水鬼は軽く笑った。
「名前ハ、
確かに聞こえた。
「システムノ名前ヨ」
「で、でぇ? アベ?」
「
とても重要な情報を、水鬼は伝えてくれた。
「一度ダケ聞イタワ。マア、貴女ニマデ積マレテルトハ、知ラナカッタケド。ソレ以上ハ知ラナイシ、知ッテテモ、モウ言ワナイ。艦娘ハ嫌イダモノ」
実際水鬼は、それ以上知らない。エネルギーを取り込むことで洗脳するシステムということは、初回の感覚で察しただけだった。
卯月にとっては十分だった。
話すことがなくなり、卯月は黙り込む。沈黙が流れるのが心地よい。洗脳の快楽とは違った、温かさを心で感じる。
しかし、やがて、終わりが近づいてくる。これは夢、何れは覚める運命なのだ。
「卯月、自信ヲ持チナサイ」
別れを察した水鬼が、最後の言葉を伝える。
「貴女ハ
「そういう慣れあい、駄目なんじゃ?」
「私ハ死ンデルカラ良イノヨ」
「おい」
酷い理屈だった。
だけど、それが愛おしい。お礼を言いたいのは卯月の方だ。彼女のおかげで、自分の意志を、取り戻せたのだから。
「なら、見届けるがいいぴょん。うーちゃんの潔く、カッコ良い生き様を!」
「エエ、見サセテ貰ウワ」
「じゃあ、さようなら!」
とびっきりの笑顔を見せて、眼を閉じた。
意識が消えていく、夢の時間が終わりを迎え、心が現実へと帰還する。閉じた瞼を、大きな光が照らしていく。
瞼越しに、朝日が突き刺さる。あまりの眩しさに眼を覚ます。
いつもの、満潮との共同部屋の天井が見えた。あの戦いの後、ちゃんと基地に帰還できたことを思い出した。
「……水鬼さま」
久々に、良く眠れた。あの人が悪夢を叩き潰してくれたから、安心して眠れた。
けど、残留思念は、消えてしまった。寂しいけど、受け止められた。
もう会えないけど、消えてはいない。
私を作る一部として、あの人はいてくれる。そう思うと、心から落ち着ける。抱きしめて貰った温もりが、まだ残っていた。
「
カーテンを開けて、ベッドから飛び出した。ブラックボックスの名前から、色々なことが追跡できる。
復讐は終わらない、まだ『敵』は倒せていない。だからと言って、人らしさを捨てる気はさらさらない。
どっちもやる。仇も討つ、人も護って、自分を貫く。
あの人が気づかせてくれた、私の意志を、完全なる殺意で貫いて見せる。
駆逐艦『卯月』に、誇れる生き様をするために。
「ぎゃんっ!?」
ただし、それは、システムの反動が治ってからの話。全身の激痛に卯月は引っ繰り返って気絶した。
*
かくして、卯月の戦いは、一つの区切りを迎えた。
だが、本当の戦いは、ここから始まる。
ブラックボックスの正体、
彼女が呼ぶ主とは誰なのか?
更なる淵源へと、彼女たちは戦いを挑む。その過程で暴かれる、前科メンバーの過去。
そこが如何なる悪夢であろうと、完全なる殺意に目覚めた卯月は止まらない。水鬼への憧れを胸に、卯月は走る!
前科戦線ウヅキ、第二部、『堕落冷獄葬操曲』。
しかし、その果てにあるものは。
艦隊新聞小話
以前発生したデータについて、一部解析が完了しました。現在最新のデータを上げさせて頂きます。
『開発報告第』蠑千分
螢ア蜿キ讖溘′驕ゅ↓『完成した。今後はこれを使い』繧ィ繝阪Ν繧ョ繝シ蛻カ蠕。蜿翫?繝上?『ドウェアの完成を目指していく』縲ゅ@縺九@縲√%縺ョ縺セ縺セ縺ァ縺ッ驕主臆『スペックだ。D-AYBSSの制御する』繧ィ繝阪Ν繧ョ繝シ縺ョ螳夂セゥ縺後?取э蠢励?上↓縺セ縺ァ蜿翫s縺ァ縺?k縺ィ縺ッ縲よэ蠢励r『取りこみ、意志』繧帝?√j霎シ繧?縲『時空』髢薙↓騾√l縺ー縺昴?豕『則を自らの意』蠢励〒荳頑嶌縺阪〒縺阪※縺励∪縺??らゥコ髢薙r謾ッ驟阪☆繧九?ゆサ翫?莠コ鬘槭↓縺ッ『過ぎた装置だ。だが新たに開発する』莠育ョ励?『ない。既存の壱号機を改造』縺励せ繝壹ャ繧ッ繝?繧ヲ繝ウ繧偵☆繧九%縺ィ縺ィ縺吶k縲
『――開発主任。千』螟懷鴻諱オ蟄
以上となります。現時点ではほとんど解析が進んでおりませんが、ご了承ください。
以上で第一部は終了です。しまらない終わり方ですが、この方がうーちゃんらしいと思います。
プロットとかが終わったら、第二部を再開します。
次章からは、予告通り他の前科メンバーの過去話がやっと始まります。また、楽しんでいただければ幸いです。