タイトル通りです。

探したけど見つからなかったから既出ネタではない…はず












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あ「オレ、『い』さんに告白するわ」 か「は?」

「いきなり何言い出してんですか」

 

 

「いやだから『い』さんに告白しようと思うんだって」

 

 

「それは聞こえてますよやっぱ先輩頭悪いですね。ひらがな先頭としての自覚あります?ないですね死んでください」

 

「でまぁ『い』さんについてなんだけどさぁ」

 

 

「とうとう私の言ってることも分からなくなりましたかこんなのが母音とか終わってますねマジで。

………それで、なんですか」

 

 

「あれやん?『い』と『あ』ってさぁ、五十音順で隣どおしだし同じ母音だし。何より『あ』と『い』がくっつくととんでもないことになるの知ってるか?」

 

 

「……一応聞いておきます。どうなるんですか」

 

 

「『愛』になるんだよ」

 

 

「生きてて恥ずかしくないんですか」

 

 

「えぇ〜結構いいこと言ったと思うんだけどなぁ」

 

 

「本気でそんな事思ってるんなら今すぐその『あ』の三つの穴に鉧でも詰め込んでその横棒をヤスリでも何でもで削ぎ落とすべきです多少はりんご飴みたいに見えてアナタの腐り落ちた価値観も幾分マシになるでしょうそうするべきですそうしなさいそして死ね」

 

 

「第一なんで私に聞くんですか『い』さんについてなら『う』さんの方がよっぽど詳しいでしょう。一応彼も『い』さんの隣ですよ」

 

 

「あいついっつも『わ』となんかしてんだよな〜。この前も「『わ』姉ちゃんとの蜜月を邪魔するな」って言われて追い返されちまってさぁ。何言ってんだろあいつ?」

 

 

「…それで私に白羽の矢が立ったと」

 

 

「それだけが理由じゃないぞ?『か』ってなんやかんや言ってもオレとあかさたなはまやらわの仲でいてくれるしな。だからお前が一番信用できるって思ったんだ」

 

 

「……たまたま『あかさたな』で隣になっているだけです。───で、でも、先輩がどうしてもというのなら…き、協力してあげないこともないですよ」

 

 

「やっぱ聞きたくなっちまったか〜しょうがないなぁ特別にオレの『い』さん愛を語ってあげ──────オーケーオーライオレが悪かった頼むからその『はね』部分を収めてくれ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『い』さんってさぁ、『とめ』と『はね』の二本線だけだって言うのになんであんなに美文字なんだろうな」

 

 

「だからってアナタが告白した所で玉砕するのがオチです。初めのひらがなだからって自惚れすぎです自分がどれだけ気持ち悪い事言ってるのか分からないアナタのような醜文字が『い』さんに告白したとして彼文字が受け入れてくれるとは到底思えません」

 

 

「オレってそんな魅力ないのか…」

 

 

「逆によく自分に魅力があると思えますね。アナタと一緒にいられる文字なんてせいぜい私くら、い………………あっ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「痛てぇ…!痛てぇよぉ…!」

 

 

「そのブサイクな穴が広がらなかっただけ感謝してください」

 

 

「理不尽!いくらなんでも理不尽だぞ『か』ぁ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『い』さん!オレ、あなたの事が好きです!オレと言葉になってください!」

 

 

「…なんで、私に」

 

 

「へ?なんでってそりゃあ──「私は…貴方のような文字じゃ──ひらがなじゃないんです!」

 

 

「え…?」

 

 

「ずっと貴女が羨ましかった…。貴女は五十音表最前列で、『あかさたなはまやらわ』に所属できていて、みんなの母音でいられている…!」

 

 

「い、『い』さんだって母音だ!たとえひらがな2番目だからってあなたにはあなたなりの『はね』がある!」

 

 

「たしかに私は母音です…でも、ずっと貴方が羨まし…いや、疎ましかった。私は貴方を見る度に思ってしまうんです。この文字さえいなければ私がひらがな一番目だった、私が『あかさたなはまやらわ』だったんだ…って」

 

 

「そ…んな…オレは…」

 

 

「私はそんな醜い文字なんです。貴方は『あ』かるくて、『あ』いされてて、バランスのとれた美しい文字だけど、私は違う。私には二本線しかないんです…この二本線しか…。『い』んけんな私は、貴方とは釣り合わない。だから、ごめんなさい。私は貴方を『愛』せません────さよなら」

 

 

「あ…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごめんなさい…『あ』さん…私は、貴方を『愛』していました…それでも…『か』さんには逆らえないんです…ごめんなさい。本当にごめんなさい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おー…『か』かぁ…」

 

 

「『か』かとはなんです──やはり、そうなりましたか」

 

 

「言うなよォ…オレ…オレ、そんなダメな文字だったのかなぁ…オレ、『い』さんが好きだったのによォ…」

 

 

「──今日だけ、今日だけなら(『か』の曲がってるとこ)を貸してあげてもいいです」

 

 

「……悪ぃ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…寝ましたか」

 

 

「すみません、先輩。私、いつもいつもアナタに『辛口』で当たってしまってます。どうしてもアナタといると文字色が『赤』くなってしまうんです。──ごめんなさい。恥ずかしくなっちゃって、そうしないと誤魔化せないんです」

 

 

「私…アナタが好きです。あかさたなはまやらわになれた時からずっとアナタが好きです」

 

 

「でも、アナタはそんな私を受け入れてくれた。こんな『苛烈』な性格の私を」

 

 

「だから私、アナタを諦めません。何があっても」

 

 

「私と言葉になってくれるまで、待ってますから」

 

 

 

 

 

 

 







『う』と『わ』のおねショタ書こうとしたけどおねショタは専門外なので無理でした。

ごめんなさい


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