でも小説を書くことだけは止められない止まらないw
作者のメモを見つけた。
読んでみよう。
犬のデータ②
この犬の能力は「ありとあらゆる能力を無効化する程度の能力」
しかし本人(犬)に自覚がないため、自身に影響のある能力しか無効化できない。
例えば「時間を操る程度の能力」による時間停止はあくまで世界に干渉するもので、犬に直接干渉するものではないので無効化できない。
たぶんこの能力が活用される機会はあまりない。
「うー、にゃー!!無視するなー!!」
何だ、せっかく気持ちよく寝ているというのに……。
周りが騒がしいので目を開けると、猫娘が私に威嚇しているのが見えた。またこいつか。
この猫娘、何故だか私を敵視しているようで屋敷に来るたびに私に絡んでくる。
とりあえず関わると面倒そうなので私はもう一度寝ることにした。
「あ、またそうやって私を無視する!!ねーるーなー!!」
揺らすんじゃない、寝れないではないか。
全く……、仕方ない、保護者のところまで連れて行くとしよう。
この猫娘が来ているときは必ず狐女も来ている。彼女に任せればそれでいいだろう。
私は猫娘の襟を咥え、上に放り上げる。そして、私の背中に猫娘は着地した。
「え、ちょ、何……」
暴れられると面倒だからな、少々とばすぞ。
「え、あ、にゃああああああああああああ!!!!!!????」
軽く走って狐女の匂いのもとまで行くと、狐女はちょうど帰るところのようだった。
「む、番犬か…って、橙!?どうしたんだ!?」
「にゃああああ……らんしゃまあああああ……」
猫娘は目を回して狐女に抱かれる。
あとは任せたぞ狐女。私はもう一回寝る。
あと銀髪娘。猫娘を見て顔が物凄いことになっているぞ。たしか「へぶん状態!」だったか?そんな感じに。
その顔のせいで幼女が物凄く複雑な顔をしているから今すぐ止めた方がいい。
「どうやら橙が迷惑をかけたようだな。どうやらお前のことが気になるようでな、よかったらこれからもよろしく頼む」
むう、面倒だからあまり相手にしたくはないのだが。
だがまあ、この尻尾の心地よさは捨てがたい。
「うん?私の尻尾が気に入ったのか?良かったら好きなだけ楽しんでくれ。橙がいつも世話になっている礼だ」
そうか、ならば存分に堪能するとしよう。
こういう報酬があるなら猫娘の相手も苦にはならん。
私は猫娘が回復し、狐女の尻尾に突っ込んでくるまで尻尾の感触を堪能するのだった。
♢
狐女と猫娘が帰り、その日の夜。
私が銀髪娘が出してくれた夕食を食べ終え、寝る準備をしていると、目の前の空間に亀裂が生じた。
「こんばんは。紅魔館の番犬さん」
たしか「ろりーた」とかいう服を着た女が亀裂から出てくる。
私は彼女に会ったことがないはずだが、何故だか彼女の匂いは覚えがあった。
そう、この匂いはこの屋敷に来る前、私がまだタローだったころに――
――『おじいさーん、この銅鏡を見てもいい?』
――『あら、可愛いワンちゃん。お手!』
――『蓮子、そろそろお暇しましょう』
――『じゃあね、ワンちゃん!』
確か彼女は「メリー」そう呼ばれていたように思う。
「……その様子だと私のことを覚えてるみたいね、『タロー』?」
久しいな、メリー嬢。
「ええ、久しぶり。…まさかあなたがここに来るとは思わなかったわ」
私とて来ようと思ってきたわけではない。たまたま辿り着いてしまっただけだ。
「そうみたいね。あと、今の私は「八雲紫」よ。メリーじゃないわ」
そうなのか?だが呼び名を変えるのも面倒だ。メリー嬢で構わんだろう?
「まあそのことを知っているのはあなたぐらいだから構わないけど…。念のため他に人がいるときはその名は呼ばないでね」
了解した。周りに誰かいるときは「金髪」で通すことにしよう。
「安直な呼び名ねえ。金髪は結構いるわよ?」
私が認識できていれば問題ない。それとも「ろりーた娘」か「隙間女」にしてやろうか?
「……いえ、金髪でいいわ。さすがにその呼び名はね」
ならばいいではないか。
「そうね。…今度私の家に遊びに来ない?」
幼女が許せばな。
「吸血鬼の許可は必要ないわ。一瞬で行けて一瞬で戻れるから」
それでもだ。番犬たるもの、主の許可なく任を外れることはない。
「お堅いわねえ。分かったわ。許可をもらってからまた誘うことにしましょう」
そうしてくれ。ではお休み、メリー嬢。
「ええ、お休みなさい、タロー」
メリー嬢が亀裂の中に引っ込み、それに伴って亀裂が消えていく。
思いがけない再会だったが、旧友と合うのもまたいいものだ。
今日はなかなかいい夢が見れそうだ、と私は眠りにつくのだった。
本文では表現されなかったのでここで説明。
紫は自身の言語の境界を操ることで犬の言葉を理解しています。
最初は犬の境界を弄ろうとしたけど、犬の能力によって無効化されたので。