紅魔館の犬   作:村雨 晶

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どうも、猪苗代湖に旅行に行ってきた作者です。
妹と共にのったアヒルボートが何気に一番楽しかったw

作者のメモを見つけた。
読んでみよう。


この世界のデータ①

この世界はこの作者が書いている作品の平行世界である。
そのため、姿形は変わっていても、平行存在として各作品の主人公もまた存在している。

東方呪刀話(紅刃)…白狼天狗の一人となっている。椛のいとこでもある。

転生者・十六夜咲夜は静かに暮らしたい(十六夜咲夜)…咲という名で人里の団子屋の看板娘となっている。表情筋が死んでいるのかと思うほど無表情だが、性格はフレンドリーでオーバーリアクションが多い。また、ネタ台詞を愛用するため、幻想入りしてきた人間が聞きに来ることも。







同類?

 

 

「結婚を前提に付き合って下さい!」

 

――何を言っているのだろう、この娘は。

 

まあ、待て。こういう時は前の主人に教えてもらった素数を数えて落ち着けばいい。

 

私は孤独な数字たちを頭の中で数えつつ、私はこれまでの経緯を思い浮かべるのだった。

 

 

 

 

 

 

きっかけは、烏のような羽を生やした女が犬のような耳と尻尾を生やした女を連れてきたことだった。

 

烏女は今まで何度も見かけたことがある。大体銀髪の娘にナイフを投げられながら追いかけられている姿だったが。

 

一度は珍しさゆえか私に話しかけてきたこともある。

だが私が人語を話せないただの犬だと分かると、すぐに興味を無くしたようだった。

 

まああの白黒の娘のように屋敷の住人に直接的な害を与える者ではないと判断して放っておいたのだが。

 

 

 

犬のような格好をした女は私を見るなり体を硬直させ、頬を紅潮させた。

 

――待て、何だその反応は。まるで「あいどる」とやらに会った少女のようではないか。

 

その時は烏女が犬女を引きずりながら屋敷に入っていったためにそれで終わったのだが……。

 

女たちが入ってしばらくして屋敷内が騒がしくなった。

あの娘たちが何かやらかしたのかと体を起こし、屋敷の中へと入れば、広間に当たる部屋で幼女が大声で怒鳴っているのが聞こえた。

騒がしさの原因は幼女らしい。

幼女は小さなことでも騒ぐからな、今度は一体何なのやら……。

 

部屋の中に入ると、大声で怒鳴っている幼女。まあこれはいい。予想の範囲内だ。

だが何故犬女が幼女に土下座しているのだ?

烏女は現状が把握できずに困惑しているように見える。

 

「お前はっ、何を言っているのか分かっているのか!?」

 

「はい、私は本気です!!お願いします、レミリア・スカーレット!――息子さんを私にください!!」

 

「私に息子はいない!!というか吸血鬼から犬が生まれるはずないだろう!!」

 

ギャーギャー、キャンキャン。

犬は鼻がいいと言われるせいで嗅覚だけが優れているイメージばかり先行しているが、鼻だけでなく耳も相応に優れているのだ。

つまり何と言いたいのかというと、非常に煩い。

 

「どうやら貴方も随分苦労しているみたいね、わんころ」

 

いつの間にか私の隣に来ていた烏女が話しかけてくる。

彼女は私が話せないのを知っているから別に答えを求めているわけではないだろうが、同意の意味を込めて一つ鳴く。

 

「今回は幻想郷の行く末のための大事な話し合いになるはずだったんだけどね、この様子じゃ話し合いはまた後日になりそう」

 

すまんな、家の主が。幼女は何かあると頭の中の考えが吹っ飛ぶんだ。おかげで話が長続きしない。

 

「あら、それは謝ってるの?うーん、鳴き声だけで判断するのって意外に難しいわね。烏ならきちんと分かるんだけど」

 

烏のような外見は伊達ではないのだな。もっとも、私には烏の言語が分からないから本当かどうか知る術はないが。

 

とりあえず慰めの意味を込めて私を撫でていた手を舐める。

烏女は少し驚いた顔をしたものの、すぐに顔を綻ばせた。

 

「いい子ね、貴方は。ねえ、モフモフしていい?」

 

好きにしろ、赤髪のおかげで全身撫でまわされるのには慣れている。

私が体の力を抜いて体を預けると、意図を察したのか、ゆっくりと撫ではじめる。

 

「ああ、癒されるわあ。最近上司やら隙間妖怪やら気の抜けないやつらの相手してたから余計」

 

癒しか、たしか「あにまるせらぴー」とか言っただろうか。

私のような動物には人間を癒す能力があるとか。撫でるだけで癒されるとは、人間も随分と単純な生き物である。

 

「あーっ!!文さん、なに羨ましいことしてるんですか!!私も彼を撫でたいです!!」

 

土下座していた犬女が烏女に詰め寄っていた。

幼女は――近くの机に突っ伏してぐったりした様子だ。

それと、銀髪娘。隠し撮りをするなら私にばれないようにやれ。気が滅入る。

 

「あ、そうだ。本人にきちんと言わないといけませんよね、こういうことは。本人に確認する前に親御さんに会ってしまうとは、私としたことが」

 

烏女の隣で私を撫でていた犬女が、突然私の前に座り、三つ指を突く。

 

「結婚を前提に付き合って下さい!」

 

思考が、停止した。

 

 

 

 

 

「一目惚れだったんです!美しい毛並、ピンと立った耳、凛とした瞳!私の好みど真ん中です!!」

 

そう言われても、私は人間とつがいになるほど変態ではないのだが。

普通に雌犬がいい。

 

「お願いします!せめてお友達からでも!」

 

ふむ、まあ友人程度なら大丈夫、か?

 

「本当ですか!?ありがとうございます!では早速今度一緒に人里にでも……」

 

生憎だが、私はここの番犬だ。主の許可なしに外出はできない。

 

「早く起きてくださいお義母さん!そして彼の外出許可を!」

 

「だれがお義母さんだあああああ!!!!そいつは飼い犬であって息子じゃないと何度も言っているだろうがあああああ!!!!!」

 

落ち着け、幼女。こういう手合いは諦めが悪い。

それと、銀髪娘。鼻血を拭け。

 

混沌とした広間の中で、私と烏女は遠い目で外を見つめるのだった。

 

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