呪い満ちるこの空を -flying MIKO-   作:甲乙兵長

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連載中の作品を置いて、別の連載を書いてしまう・・・・・・。

創作者あるあるだと思いますが、自分がそうなると感慨深いです(?)

というわけで、呪術廻戦に挑戦。

タグにも載せてますが、一応注意。

作者の原作知識は単行本と設定集、小説までで、ジャンプ本誌の最新情報は適用されてません。

書いてみたい勢いで書き上げたので、自己満足です。

それでも良ければ読んでください。できれば評価、感想ください(DO☆GE☆ZA)。



【プロローグ・序:紅白巫女はだらけたい】

 

 闇に沈んだ黒々(くろぐろ)しい木立を縫う人影が二つ。

 ひとりは長い髪、もうひとりは短髪の少女たちが、息を乱して逃げていた。

 

「はひぃっ・・・・・・めちゃヤバじゃないですか! 推定二級なんて出まかせもいいとこですよ!」

「黙って走りなさい! 追い付かれるわよ!」

「そんなこと言ったってぇ! 文句も言いたくなりますよ! もともと東堂(とうどう)さんに回ってきた依頼なのに、なんで三級術師三人編成で格上相手しなきゃならないんですかっ! しかもあれどう見積もっても準一級レベルですよねっ?! 判定ガバガバじゃないですか田辺(たなべ)のバカーっ!」

「仕方ないでしょあの東堂(バカ)が任務突っぱねて高田ちゃんゲストの地元ラジオ生視聴しに行っちゃったんだから! にしても、あなた今日舌がよく回るわねっ。そんな元気があるなら少し囮になってくれない!?」

「無理ですよっ無理無理っ! 真依さんの弾も私の抜刀も通じませんて! 硬すぎる!」

「でもこのままじゃジリ貧なのには違いないでしょ! 一か八かに賭けるしか・・・・・・っ!」

「桃さん早くカムバァーックっ! 応援プリぃーズっ!」

 

 緊急時につき品もなく声高な絶叫の応酬を交わしながら、三輪霞(みわかすみ)禪院真依(ぜんいんまい)は林を抜けぽっかり(ひら)けた場所へ出た。

 勝負をしかけるならここしかないと真依は判断。立体物がない平地なら銃弾も当たりやすい。代わりに、相手からも丸見えという問題には目をつむる。

 

「いい!? あなたと私で交互に呪霊(じゅれい)のヘイトを移しながら時間を稼ぐの! (はら)えはしないけど、なんとか保たせるしかないわ! (もも)が応援を連れてきてくれるまで!」

「わたし知ってます! 最近流行りのモン狩りゲームでやったことあります! わたしすぐ死んじゃうんですけど! 操作複雑すぎですアレっ! 道具とか罠とか意味わかりません!」

「なら死ぬ気で頑張りなさいっ、現実はゲームみたいにキャンプへ帰してなんかくれないんだから!」

「ひぃーん! 助けてメカ(まる)ぅーっ!」

 

 臆病風に吹かれつつも、涙目で刀に手をかける三輪。

 真依は隣で頭上に向けリボルバーを数回発砲し、リローダーから新たに弾丸を装填する。

 

「なんで弾無駄に使っちゃうんですか!?」

「無駄じゃないわよ! 仲間への合図! ここにいるって(しら)せてるのっ!」

Ok(オケ)把握っ!」

「脊髄反射で適当な受け売り言葉使わないでくれる!? 力抜けるから! あとそれもう死語じゃない!?」

 

 そのとき、林の向こうがざわざわと騒ぎ立てる。

 領域化した森林の迷宮に普通の動物は存在しない。ゆえに、残る可能性はひとつだろう。

 シャン――暗がりから清澄に響き渡る錫杖の音色。

 ぬるりと木陰から染み出た存在は、一見すると地蔵に似ている。だが、千手観音のように連なる無数に広がった腕と、携えられた歪な錫杖、石造りの顔面に走った亀裂から生物的な血肉がうぞうぞと蠢いていた。

 かつては人々に(まつ)られていた存在が、いつしか呪いをため込み呪霊となることなどザラにある。

 この千手地蔵(仮称)もその(たぐい)。事前情報よりも急成長しており、等級は三輪の言う通り純粋な力量では二級の域を超えている。ただでさえ格上だった呪霊が、より強者となっていた事態も、悲しいかな呪術師の間で良くあるトラブルのひとつだった。

 

(さいわ)い動きは(ノロ)い。霞と連携して対処すれば、なんとか・・・・・・)

 

 状況は不利だが、悲観に沈めば絶望に食われる。身を苛む恐怖と怯えも呪力(チカラ)に変えて、真依は照準を定め引き金をしぼった。

 (コケ)だらけの石肌に火花が散る。即座に駆け出し移動するも、何か違和感が拭えない。

 

(発砲音が、聞こえなかった?)

 

 そういえば、先ほどからやけに周囲が静かだった。影絵のような(こずえ)が風に揺れているのに、葉の擦れ合う音がしない。そもそも、己が地を蹴って走る靴音すら、何も。

 真依は三輪に振り返った。

 彼女は焦った表情で真依に向かって口を動かしている。唇だけが形を変えて肝心の内容が聞き取れない。

 

 () () () () ()

 

 自分の声すらも知覚できない異常を理解して、これを呪霊の仕業と解釈した。

 

(音を消す術式? マズイ、声かけができないんじゃ連携も何も――!)

「    !」

 

 真依さん! と少女が叫んだのを目で(とら)えて、次瞬、真依は腹から生じた衝撃に吹き飛ばされた。

 攻撃されたと遅まきに察し、気が付けば地面に転がっている。

 

()ッ・・・・・・)

 

 鈍痛を逃がすように苦しげな咳を吐き、上体を起こせばすぐそこまで迫る拳。

 咄嗟、横転して回避するも、二打三打と千手地蔵の腕が遠間から伸びる。

 

(風切りが聞こえないせいで攻撃タイミングが分かりずらいっ。一瞬も相手から視線を逸らせない! 音がないことがこんなに厄介だなんて・・・・・・っ)

 

 内臓や骨に異常はない。だが尾を引く痛みから挙動に明かなラグが生まれ、無音の拳打が暗殺技法のように繰り出され続ける現状では、防戦一方。リボルバーを構える隙も与えられない。

 しかしそこに、地蔵の背後へ回り込んだ三輪が必中の太刀を振るう。

 呪霊の首へ吸い込まれた忍びの一撃は鋼の閃花を咲かせるが、刃は連なる腕の二本によって器用に白刃取りされ、欠片のダメージももたらしていない。

 ばきりっ、と音もなく折られた得物に呆然とする三輪を、石の裏拳が打ち据える。いいのを顎に受けてしまったか、(くう)に螺旋を描いた少女は地を這って動かなくなってしまった。

 追い打ちのため無数の拳の肘を引く呪霊の頭部を、一発の銃弾が穿つ。

 身体を固定したまま首だけ反転した千手地蔵は、口の端を引き裂くように広げて、怪物的な口腔を晒しながら怒りを露わに(人間)を睨んだ。

 

(あーあ。やっちゃった)

 

 銃口から白煙をくゆらせ苦笑した真依は、ついでに舌を出して挑発する。

 気を失った三輪に逃れる術はない。その点真依はまだ余力がある。けれどさすがにそう何度も避けれはしないだろう。怒りに任せて乱発されれば間を持たず挽肉にされるのは必定で、救援はもはや絶望的。来たとしても、真依が息をしている可能性は低かった。

 

(私の人生、こんな形であっけなく終了? ほんっと、ついてない。特別強いわけでもない呪霊相手に、他の誰かの引継ぎみたいな任務で・・・・・・呪術師の、禪院の家なんかに生まれさえしなければ・・・・・・呪霊なんて化け物と関わらずに・・・・・・)

 

 死期を目前にして、少女はどこか冷めた気分だった。もしかしたら、安堵すらしていたかもしれない。

 せめてもの抵抗に、残った弾丸を全部見舞ってやる覚悟で銃口を向ける。石の外皮には効かなかったが、威嚇のように(あご)を外した口内なら柔らかそうだ。

 呪霊が拳を引いたのを見て、真依も引き金をしぼっていく。

 鈍化する時間の中、最後に浮かんだのは、小さな手を掴んで先導する姉の顔。

 

(最悪――こんなときに真希(まき)を思い出すなんて)

 

 内心盛大に舌打ちしながら、自嘲の笑みでトリガーを引いた。

 当たったかはわからなかった。

 ただ、肉薄するおびただしい物量の打撃を前に、真依は静かに瞼を閉ざした。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、?

 痛みが来ない。それとも痛覚を認識する間もなくあの世へ堕ちたのか。

 否。風を感じる。土の匂いも。()()()()()()()

 

 

 

「なに安らかな顔してるの? 面倒に駆り出されたコッチの気も知らないで」

 

 

 

 生きている、しかも聴覚が戻っている。そう自覚して、真依は眼を開き――絶句した。

 地蔵の呪霊はどこにもおらず。

 代わりに佇んでいたのは、ひとりの少女。

 セミロングの黒髪をなびかせ、華奢な肩に大幣(おおぬさ)を担ぐように乗せ、袖のない赤と白の巫女を思わせる装束をまとった、どこか怠惰な印象を抱く少女。それは眠たげな半眼のせいかもしれないし、鬱陶しげに首を回す年寄り臭い所作のせいかもしれない。

 だが、強い。圧倒的に。並ぶ者がごく限られるくらいには。

 真依は彼女を知っていた。その名は、呪術界隈で知れ渡る最強呪術師・五条悟と比肩する。

 若干十七歳。真依とひとつしか違わない生まれで、同じく最強の呼び名を戴く少女。

 

 

 その名を――博麗霊夢(はくれいれいむ)という。

 

 

 

 





読了感謝! です!

いかがでしたか? 興味が引けたら幸いだなぁ。

とりあえずプロローグはできてるので連日投稿しようかと思います。

あとは知らない。ストックでき次第かも。

原作が終わってないので、完結までは行けないと思うけど。

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