スキマにこき使われ、九尾に教えを乞い、化け猫に笑われながら、幻想郷を駆け巡る 作:エアロスミス
陰陽道とは退ける技術。魔法とは万能にいたる探究。妖怪とは人間が抱いた恐れ。この3つは似ているようで、似ていない。
「わかったか海堂?」
「…zzz」
藍は机に突っ伏して寝ている海堂を見てため息を吐く。藍がスっと立ち上がり、箪笥の引き出しからあるものを取り出した。それは扇から親骨を外した…つまり、ハリセンである。
「寝るな!!」
パァーン!!!というハリセンで海堂の頭をシバくいい音が鳴る。これが漫才なら観客席は大爆笑がおきていたが、折檻なのでそんな声は起きなかった。
「ん!?…んぁ…」
海堂は引っ叩かれた頭を抑えながら欠伸をする。その開いた口には八重歯がギラリと光っていた。
「これで何回目だ?海堂?」
「…んん」
「3回目だ。仏の顔も3度までだろう。遠慮なくしばいてやろう」
「!!!…はい」
海堂は俯きながら返事をする。教え方が悪かったのだろうか、そう藍は考える。
「海堂、魔法はどうだ?」
「全然わからん。公式とか法則とか…独特なんだよ」
「…しかたない。とりあえず、勉強は切り上げよう」
海堂は目を見開き、藍を見つめる。海堂は慣れない学問を前に疲弊していたのだ。
「…マジ?」
「本来なら少し後に話すべきなのだが…このままではやる気が続かないだろう?」
「心が折れそう」
疲弊し、FXで金を溶かしてそうな顔をする海堂を見て、藍はニヤリと笑う。
「それなら、他の力の話をしよう…そんな嫌そうな顔をするな。キミのような女性「俺は男だ!」、者でも楽しんで聞けるだろうから」
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さて、この幻想郷には大きく3つの力が存在する。霊力、魔力、妖力。他にもあるが今回はこれだけに焦点を当てる。
「うーん。違いはあるのか?同じく魔法を起こす
「うむ、要するに根本は一緒だが派生が違う」
霊力なら霊法、魔力なら魔法、妖力なら妖術。体に蓄える源によって使える技術が違う。なお、幻想郷の多くの人間は霊力をもっている。
「えーと、俺は…魔力だっけ?」
「お前の場合は特殊だが、魔力で合っている。
しかし、海堂の体はホムンクルスにしては余りにも高性能だ。霊力と妖力関連の技術の方が理解が深い。しかし、それでも人間の能力の限界を超越し、妖怪と殴り合えるその身体は私が用いる魔法の知識では到底不可能であると断言できる。
「なるほど、さっき
「ある。かいつまんで教えると、霊法は邪悪な物を退けるのに焦点を当て、魔法は万能に焦点を当てる技術だ」
「はえー…じゃあ妖術は?」
「そうだな。その妖怪の個性…言ってしまえば自己証明だ」
そもそも、妖力は妖怪のような人外しか持たない力だ。妖怪によってその力の性質は違う。紫様のちょっと変わった性格が『境界を操る程度の能力』を発現させているし、ルーミアという妖怪も神出鬼没で何も考えていn…フワッとした気質が『闇を操る程度の能力』を発現させたのだろう。
「あ、あのー藍さん?」
「む、すまない。霊法と魔法の違いだったな。霊法は主に東洋の魔術のことであり、古くから悪霊や妖怪を鎮めるための儀式や法術が多い。幻想郷に住む多くの人間が霊力を持っており、人里のほとんどの退治屋はこれを用いて妖怪と戦っている。博麗の巫女もこの力を使い、妖怪がしでかした『異変』の解決をしている」
もう少し説明すると、式神や護符など紙に神仏の名やまじないを記した物など0から1〜10を作り出せる物が多い。決して手軽な物ではないが、力のある人物が作った護符は強力な除霊効果を持つ。
「続いては魔法。魔法は西洋の魔術のことであり、魔力を用いて様々な奇跡を起こす。特殊な効果をもたらす薬を製作する魔法薬学、相手を呪う黒魔術や呪文、天文学や数などで人の将来を暗示する占い、卑金属*1から貴金属*2を生み出す錬金術…」
海堂は目元を擦り、ファ〜とあくびをする。
「つまり、魔法は万能だ。火を生み出し、水を荒らし、風を吹かせ、大地を暴れさせる。今でも外の世界で人知れず普及しているな」
「え?魔法って幻想郷だけじゃないの?」
「正確には魔術だがな。そこらへん間違えるとその界隈の人間になんか言われるぞ」
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「こんなところか…」
藍は魔道書を閉じて海堂を見る。ギリギリ起きているが、今にも眠りそうな顔をしている。
「さて、今日はここで終わりだ。片付けはしておくから布団を敷いて寝ろ」
「…はい」
海堂はゆっくりと立ち上がり、ふらふらと部屋を出ようとする。
「あっ、藍さん」
海堂は突然足を止めて、藍の方へと振り返る。そして、こんなことを聞いてきた。
「もしも、人間同士が殺し合いをするとして、勝つのは霊法?それとも魔術?」
そんな質問に藍はちゃぶ台に肘をつき、手の甲を額に乗せる。霊法と魔術は似ているようで似ていない。藍は妖怪であり、その昔人間と戦った。霊法は悪霊や妖怪にとって弱点だ。しかし、人間同士となると妖怪である自分では結果はわからない。ただ、何となくあの少年を思い出した。
「私は妖怪だ。人間と戦ってきて、最も手を焼いたのはいつだって霊法だ。だが、人間同士となると…魔術が勝つかも知れない」
「……」
海堂は閉じかけていた目を開いて、もっと聞きたそうに藍を見る。
「いや、この話は長くなるからまた今度話そう。紫様も含めて…な」
「えー?…込み入った話か?」
「そんなところだ」
海堂はブーと口をタコにし、改めて部屋を出た。
ここは八雲家。幻想郷のどこかにある管理者の住居…
本編の戦闘描写難しいいいいいい!!!。投稿しなさすぎるのも良くないので幕間でお茶を濁す算段です。16日までには投稿しますので、今しばらくお待ちください