スキマにこき使われ、九尾に教えを乞い、化け猫に笑われながら、幻想郷を駆け巡る 作:エアロスミス
あれから数ヶ月の時が流れた。博麗の巫女は教育を終え、八雲家ではスペルカードルールの施行が計画された。しかし、相変わらず妖怪は元気いっぱいで、人里*1もピリピリしがちな状況には変わりない。
さて、そんな状況で我らが海堂は…
「「「「はーい!」」」」」
寺子屋の教師をしていた。
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時間は遡り、約二ヶ月前のことだった。
「え?人里に?」
「そうよ。時期も来たから貴方には人里で生活してもらうわ」
藍から専門外ながらも魔法使いとしての勉強も一区切りつき、八雲家での仕事も板について来た海堂は紫から人里に行くことが命じられた。
「いつまでもここで仕事させとくわけにもいかないのよ。この数ヶ月で貴方も妖怪を相手取れるほどには成長したからね」
「そうですか。んで俺は人里で何すればいいの?」
「それは内緒よ♪」
「えぇ…」
紫が扇子で口元を隠しながら海堂に笑みを向ける。その笑みは加虐性が含まれた笑みだった。すると、襖が開き藍が室内に入る。藍はため息を吐き言う。
「海堂をあまりイジメないでください。要するに幻想郷を知ってもらいたいのでしょう」
「あら、勝手に種明かしとはえらくなったわね、藍」
「紫様はいつも回りくどいのです」
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「はぁ…」
海堂は授業を終え、深く息を吐く。すると教室に女性が入ってくる。腰まで届くほどの銀髪、頭には赤いリボンつけ、服装は袖が短い上下が一つに合っているスカートのついた青い服だ。
「お疲れ様だ。どうだ?ここの生徒は?」
「元気がよろしいこと…アンタすげぇよ」
彼女の名前は
「君もだろう…この後も仕事があるのだろう?」
「はい。次は大工で、最後は鈴奈庵で木板印刷の手伝いです」
「…」
慧音は呆れたように海堂を見る。妖怪の賢者から言伝があったとはいえ、この女…いや男は異常だ。
急に万屋という名の何でも屋をやり始め、里の皆が不審な目で見たかと思えば、依頼される仕事を次々とこなしていった。力仕事、料理、巡回、経理、子守、教師…マジでなんでもやってのけた。人間からは
「労働力が手足をつけて歩いている」
「万能の人」
「究極の下っ端」
なんて呼び名がつき、最終的には「ヨロズ」という愛称ができてしまった。
「普通だと思うがな」
「普通の人間は木板印刷なんてできないし、妖怪だって倒せない」
「…そういや、ホムンクルスだった」
「分かればよろしい。それにしても、君は目立ちすぎだ。
そう言われ、海堂は口を膨らませ、ムッとする。
人里の中で海堂の身体を知っているのはこの人里の名家『稗田家』の
「あまり無茶はしないように。特に鈴奈庵はほどほどに仕事すること」
「木板印刷楽しいですよ」
「それは意味わからない」
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仕事も終え、すっかり夜になってしまった。万屋を始めて二ヶ月になるが稼ぎはぼちぼちだ。全財産は大体20円*2ほど。一仕事10銭〜だからそこそこだろう。
寺子屋…正確には稗田寺子屋っていうだけど、たまに慧音さんが蕎麦を奢ってくれるし、鈴奈庵では本を割引で貸してくれるから生活には満足している。紫さんの『幻想郷を知る』という目標は全然達成できてない。
ちなみに最近気づいた事なんだけど、ここの言語は元の世界の日本語と同じだけど文字に関しては違うというか古い。
魔法でなんとかはなってるけど読みしかできないから、近頃の日課は夜遅くに読み書きの練習をしてる。
さて、今日はお金もあるし居酒屋にでも行こう。魔法書の勉強きついんだよな。
あと何で慧音さんは呆れた目でこちらを見て来たんだろ?
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居酒屋『
海堂は一円札を3枚握って中に入る。テーブル席からは若い男が四人でドロドロした恋の話が繰り広げられていたので、海堂はカウンターに座ることにした。
「ご注文は?」
「カシスオレンジ」
「…ご注文は?」
「うっ…オレンジジュース」
「かしこまりました」
言っておくが海堂はまだ19歳だ。幻想郷に現代の法律は通用しないが、マスターも弁えている。お酒は20歳から。少しすると海堂の前にグラスに入った明るい橙色の飲み物と小皿にもられた焼き菓子が出される。
「ん?コレ…」
「サービスです。皿洗いのお礼です」
「はぁ、ありがとう」
海堂は出された菓子をサクサクと音をたて食べる。すると隣に座っていたフードの男が声をかけてきた。
「嬢さん見ない顔だな。海堂…だっけな」
「…なんだ?ナンパはごめんだ」
「人間に興味はない。すぐに死ぬからな」
「…アンタ名前は?」
男は少し間を開けて言う。
「
「な!?」
驚いて、海堂は彼のいた方を向く。しかし、すでにそのばを後にしていた。
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結局お酒は飲めず、変な奴に会ってしまい気分が少し悪くなってしまった。海堂はやることも無く、夜も更けてきたので自宅に帰ることにした。
海堂の家は他の家と比べると少し大きめだ。まぁ、万屋を兼ねているため、店としてはかなり手狭だが、話を聞くには困らないし、魔法の勉強もできる。生活するには不便なことはない。海堂は家の前に置いている掲示板をチェックする。いつもは寺子屋や鈴奈庵で働いているのだが、万屋としての仕事は基本的に依頼書を書いてもらっている。
流れとしては『大まか依頼書提出→やるorやれないの判断→『やる』場合は室内に入って相談→実行→報酬
『やれない』場合はごめんなさい
と言う感じだ。さて、本編に戻ろう。
海堂は掲示板に何も貼り付けられてないことを確認すると、そのまま自宅に入る。少し狭い応接間の奥にはちゃぶ台と座布団が敷かれた寝室がある。海堂は寝室に入って布団を敷く。そのまま寝てしまおうとしたが、ふとちゃぶ台に目をやると、無造作に茶封筒が置かれていた。
「なんだこれ?」
海堂は茶封筒の封を破り、中に入っている手紙を読む。その内容に海堂は冷や汗をかいた。
「知ってもらうって…そう言うことかよ」
依頼書 『八雲紫の従者』海堂直也に命ずる。魔法の森を調査し、その場所の近況を報告せよ。 詳細は翌日に『八雲紫』
さて、いかがでしょうか。あっ、そうだ。これからちょくちょく各章のショート話を書くと思うのでよかった読んでください。さて、次の話でお会いしましょう。