スキマにこき使われ、九尾に教えを乞い、化け猫に笑われながら、幻想郷を駆け巡る 作:エアロスミス
太陽が上り朝が来る。農民はせっせと働き始める頃合いだ。太陽が出てる間は妖は活力を失う。もちろん全ての妖怪に当てはまることではないが、それでも人間が人里以外を歩ける唯一の時間だ。
故に幻想郷の人間は朝方の人間が大半を占めている。夜の間は里の外はもちろん、里の中でも妖怪による拉致が発生する可能性がある。一度拉致された人間の末路は言わなくてもわかるだろう。
それは海堂も例外ではない。7時半起きが5時半起きになった。海堂は起きると、寝巻きを脱いで和服に着替える。あとは顔洗いやら歯磨きやら朝のルーティンがあるのだが、語っても面白くないので割愛。
主人の依頼が最優先なので万屋は当分の間はお休みである。
しばらくすると空間にスキマが出現し、そこから藍が現れる。
「起きていたようだな海堂。それにしても窮屈だな。少しは片付けをしろ」
藍は机に積もり重なった紙束を見て言う。海堂はそれに頭をかきながら答える。
「それ全部書類なんですよ。決算やら税金やら新聞やら…藍さん何とかなりませんかね」
「八雲が関わっていることは隠さねばならぬからな。助力はできん。すまんな」
「
「それを防ぐため我らがいるのだろう?」
「そうですね…まぁやれるだけやってみますよ」
右手をグッと握って親指を立てる。海堂が最近よくやる仕草だ。藍はそれを流して応接間の椅子に座る。
「さて本題に入る。手紙は見たな?」
「はい。魔法の森の調査ですよね」
「そうだ。と言っても主人の従者として幻想郷の見聞を深めるのが目的だ」
「なるほど…やっぱ危険ですよね?」
「妖怪は普通にいる。お前は関係ないが毒の瘴気も漂っているから楽とは言えんな」
魔法の森は幻想郷でも比較的安全な方だ。化けキノコの瘴気は危ないが、居座ってる妖怪は弱い。ルーミアがたまにうろついていることがあるが、夜でもない限り大丈夫である。
「そういや、魔法の森に何しに行けばいいんだ?」
「ルーミアを退治しろ」
「なるほど…え?」
藍の突拍子もない返しに海堂は思わずフォントを変える。ルーミアと言ったら幻想郷縁起にも書いてあるほどの妖怪だ。『なのだ〜』のイメージが強いが実際は明確に人喰いと描写されている。海堂は彼女に喰われかけたのだから動揺は避けられないだろう。
「大丈夫だ。死んでも骨は拾う」
藍は腕を組んで笑顔でそんなことを言う。正直洒落になってない。
「お前ならいける。むしろルーミア如きで挫けられると困る。では私は戻るからな。しっかりと励め」
「…はい」
そんな感じで藍はスキマへと戻っていく。海堂は机に突っ伏して考える。
ルーミアは『闇を操る程度の能力』を持っている。この能力により日中でも活動ができるのだ。能力を発動すると自身を中心に闇を展開し中に引き込まれる。引き込まれたが最後妖怪の持つ怪力によって痛めつけられ…抵抗ができなくなったところで生きたまま食われるだろう。
腕、足のあとは腹を裂いて内臓は引っ張り出し…海堂はこれ以上考えないようにした。エログロは流石に守備範囲外だ。
しかし、能力発動中は自身を覆うように展開するので
「…意外といけるかも?」
うろ覚えなルーミアの顔を思い浮かべながら落書きをする。何とも陳腐な絵が出来上がった。海堂は頬をパチっと両手で叩いて覚悟を決め、家を出る。
向かうは魔法の森。ルーミアとの戦いに臨む。
以上第二話でした。今回は短いですな。藍の喋り方こんな感じでいいかな?一応同じ紫に仕える同士なのでちょっとフランクな感じにしてみました。次回は戦闘パートです。では第三話でお会いしましょう。