スキマにこき使われ、九尾に教えを乞い、化け猫に笑われながら、幻想郷を駆け巡る 作:エアロスミス
ではお楽しみください。
幻想郷の人里には様々な職業がある。しかし中でも特異なのはやはり退治屋だろう。
基本的には博麗の巫女という絶対的な存在がいるのだが、いつどこで妖怪に襲われるか誰もわからない世界である者は自衛のために、またある者は家族を守るために、またある者は人里を守るために、それぞれ目的は違えど力を求める者として手を取り合う。それが人里にとっての退治屋であり生まれたのが警護隊という組織が生まれた。
海堂が向かっている所は警護隊の道場でそこには戦いで鎬を削っている人間がチラホラ見受ける。だがこの日は1人しかいなかった。その剣筋は流れる水の様で見たものを魅了する。その者の名は『高橋桜』警護隊の切り札とも呼ばれる少女である。
「おはようサマンサ!」
「おはようございます」
海堂は元気に白髪で目隠ししてそうな最強の人の挨拶をするが、帰ってきたのはか細い声。しかしその顔は海堂に向けていた。彼女は無口な
「じゃあやる?」
海堂は木刀を手に取り桜に声をかける。桜は何も言わないがコクリと頷き木刀を構える。海堂は剣先を桜に迎え中段の構えをとった。両者が床を踏み距離を詰める。両者の剣がぶつかり合いそのまま鍔迫り合いになる。
「クッ!」
「…!」
海堂は弾き飛ばされ少し体勢を崩した。その隙を見逃すはずがなく桜は一気に距離を詰め怒涛の斬撃を繰り出す。海堂はこれを神がかりな反射神経…ではなく『危険察知』*1で桜の攻撃を感知してあとは根性で防いでいる。だが練度が低い!攻撃を受け流すのではなく木刀で防いでいるため手は段々痺れて上手く動かせなくなっていた。
「…!」
「うわ!」
上からのやや大ぶりな一撃。しかし今の海堂に防げるわけもなくそのまま頭に木刀を食らった。
「イッタタタ…」
「…」
頭を押さえてその場に蹲る海堂。そこにどこから持ってきたのか桜は大きいタオルのような物を差し出す。桜に礼を言ってからそれを手に取る。ヒンヤリと濡れていた手拭はジンジンと響く頭にとてもよく効く。海堂は顔をコメ食いてー顔*2を惚ける。
「フゥ、いつもありがとう桜さん」
「かわまない。こっちも修行になるから」
「いやー。それ聞くと嬉しいなぁ」
桜の声はかなり低いがちゃんと聞き取れている。ここの門を叩いて一ヶ月と14日。最初はちんちくりんだった剣の腕も玄人ぐらいには成長した。元々妖怪との実戦経験があるにはあるし学習速度も速いのでこんな感じである。
しかし桜も負けてはいない。人里の切り札とか言われているがまだ
桜は『霊力*3』扱うことができる。持っている武器に霊力を纏わせて強度や切れ味を強化はもちろんのこと斬撃を飛ばせるようにしたり、霊などの実体を持たぬ敵を切ることができるようになる。海堂ほどではないが身体強化もできる。この力と並ならぬ努力が今の桜を作っている。
ちなみに道場の稽古では剣術や戦いでの読み合いを重視するため彼らは魔力や霊力は使わない*4。
「じゃあ、そろそろ行きますね。またお願いします」
「うん。またやろうね」
海堂は魔法の森の約束を思い出して桜に挨拶をして道場を去る。桜は少し名残惜しそうに海堂を見送ったあと再び修練を始めた。
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魔法の森奥地。そこは朝、昼、夜とどんな時間帯でも暗く湿った場所。俺はイオとここで会うことになっていた。別に放っておかれたというわけでもない。正午ピッタシにあいつは現れてあいつが住んでいるという場所まで案内された。
…最初はボロ屋が見えてきて「嘘でしょ…」とも思ったが中に入ってびっくりだった。どうやったら廃墟同然の家が洋風で落ち着く部屋になるんだ?あいつはなんとか魔法〜とか言っていたが何一つ理解ができなかった。
それであーだこーだあって…
「じゃあ一本やるか!カイドォー!」
イオと模擬戦をすることになった。
「…なんで!?」
時間は少し遡る…
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「どうした?そんなソワソワして?」
「い、いやー。だってさぁ」
海堂はイオが住んでいる家の内装が原因で落ち着いていなかった。内装はじっくりくつろげるように作ったとイオは言うがいかんせん外見とのギャップが激しく海堂の脳が今納得するのを拒絶している。そんな海堂を見てイオはため息をつく。
「だっていやだろ?何が悲しくって冷たい床と薄い布で寝なきゃいけないんだよ」
「豪勢すぎるんだよ!魔法とかでなんとかした(キリッ)なんて言われても納得出来ねぇよ!」
「でもベットじゃないと寝れない。それにミユウがぐちぐち言うし…」
「ミユウ!?誰だよ!?」
イオは海堂の質問に無視して話を切り替えた。
「そうだ、今更遅いけどあんま大きな声出すな。オレの今の主人が寝てるから」
「んなぁ?なんで?」
「ちょっとした精神病だ。そのうち治る」
海堂は寝室の方が気になりながらもいつの間にか出されていたお茶を飲む。そのお茶が紅茶であることに気づき海堂は顔を渋らせる。
「これ紅茶?」
「そうだ。ということはお前も日本茶派閥かよ。んじゃ本題に入るか」
イオが紅茶派がいないことを残念に思いながらも話を始めた。
「今日ここに呼びつけたのはお前さんの事についてだ」
「何?ナンパ?」
「誰がTS少女と付き合うか。お前ホムンクルスだよな?」
「あ、ああ。なんで知ってんだよ」
海堂のもっともらしい質問にイオはしげしげと海堂の体を見てながら答える。
「今の時代そのレベルのホムンクルスなんて作れねぇよ。どこで手に入れた?」
「知らない。言いたくない」
「ふーん。まぁ大事にしてやんな!」
「そんなに凄いのか?」
海堂の言動にイオは大袈裟にリアクションを取る。その後説明を始めた。
「えっと、お前さん魔術s…いや魔法使いだろ?ホムンクルスについて勉強した?」
「かじった程度。錬金術の一種だっけな」
海堂は藍から教わったことを思い出す。蒸留機に様々な素材を入れて腐敗させたものを様々な工程を踏んで作成する物だ。海堂の解釈では魔術的工程を使用し人間モドキを作るという感じであった。
イオはおもむろに右手でナイフを取り出し机に置かれていたリンゴを手に取って皮を剥きながら口を開く。
「まぁそんな感じだ。だが、さっき言った方法は意思を持つホムンクルスの作り方だろ?意思を持たない空っぽな肉体なら同じくらい手間で色々盛り込めるのよ。例えば…」
その瞬間、林檎の皮を剥いていたナイフが一瞬に消える。海堂は咄嗟の出来事に反応できずそのままナイフで頬を切りつけられる。ヒリッときた痛みに海堂は頬を押さえる。
「魔力が流れている限り軽傷ならすぐに治る」
「イタ!何するんだよ!」
イオの言っていたとうりに頬の傷は治る。しかし海堂は頬を膨らませた。せめて一言かけても良かったんじゃないか?そう発言したいが、聞き入れてもらえそうにないのでその反論は心の中に仕舞い込む。
「てか、本当に不思議だ。
「ああ。あれは大変だった…」
海堂は頭を掻きながら言う。その言葉を聞いてイオは少しニヤついた。
「じゃあ一つお願いなんだが…」
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先程の経緯を踏まえて、ありのまま今起こったことを話すと自分の体の事を話していたと思ったらいつの間にか戦うことになっていた。
「なんで!?」
「折角じゃけな。おまんの強さ見とこおと思ったんじゃき」
イオの言葉使いが変わったというよりか各地の方便が混じっていてる。標準語キッチリ話すのがめんどくさくなったのかわからないが、ただ一つ言えることは彼は海堂と戦る気マンマンということだ。
「待て!俺は素手だぞ!丸腰の少女をボコボコにするつもりか!」
「んーそやのぉ。分かったこの木刀貸したるけぇ」
そう言うと持っていた木刀を海堂に投げ渡す。
「それだと今度はイオが丸腰だろ?」
「ああ、心配はよか!」
ニコッと笑ってそこらに落ちていたいい感じの木の枝を見つけて拾う。イオはその枝を何回か振ると長さ五十センチほどの白い棒が出来上がった。海堂はその現象に目を疑う。
「まさかそれ武器だよな?」
「当たり前やろ!こんぐらい出来んと退治屋追っ払い続けることなんかできるわけなか!ほんじゃ始めるど」
その合図で2人の場は一瞬にして引き締まった。海堂は朝と同じように中段に構える。一方イオは左手を腰に当て棒を持った右腕でふらふらと遊ばせ構えの姿勢をとらなかった。
「なんやそれ?かたっ苦しい構えやな」
「お前こそなんだその構え。人の事言えないだろ」
「はっ!
瞬間。イオが消える。それと同時に危険察知が発動し海堂は右に体を向ける。剣閃が走り白い光の線が後を残像を残す。光速と言っても過言ではない剣閃を海堂はかろうじて防いだ。
「ウッ…!」
「甘い」
そこから繰り出されたのは一度に4回切ったとも捉えられるほどの連撃。腕、肩、腹、足が同時撃ち込まれた。あまりの衝撃で海堂の意識が飛んだ。
「アッ…」
「終わりだ」
そのまま蹴りを腹部に叩き込み海堂を吹き飛ばした。そのまま飛んでいくことはなく木々にぶつかってブレーキがかかる。そのまま地面に倒れ伏した。
「まぁこんな所か。やっぱり素質はあるな。とりあえず寝とけな後で家に送っとくから」
イオの声を聞いて海堂は意識を失った。
第七話お楽しみいただけたでしょうか?なんでこんなに長くなったんだろ。
今回戦闘描写を書いたけどまぁあっさりだったと自分も思う。剣を使った近距離戦闘はとりあえずキャラをうごかせばいいから楽っちゃ楽だけど自分の技量ではあまり深く書けないなぁ。これからも精進します。
やる予定なかった解説シーンが原因だと思う(粉みかん)
第二章の幕間で八雲藍の楽しい魔法教室を書く予定です。