スキマにこき使われ、九尾に教えを乞い、化け猫に笑われながら、幻想郷を駆け巡る   作:エアロスミス

32 / 36
本編はお久しぶりですね。では、第十四話をお楽しみください。マイクラハマりすぎて遅れました。


第十四話 火の粉 

海堂は舐めていた。チルノという妖精の恐ろしさを。幻想郷最強を自称するだけの力はないだろうと高を括っていた。それは大きな間違いだった。

 

「ちょこまかとー!!」

 

チルノは空気中の水分を凍らせクナイの様に鋭い氷弾を大量に生成し、それを海堂に目掛けて撃つ。ルーミアを遥かに上回る弾幕に海堂は既に慢心を捨て去り、自分の中のスイッチを起動させていた。自身の体を魔法で強化し、横飛びですっ飛べるように脚力を強化する。

 

「…ッッ!!」

 

迫り来る氷の弾丸を湖を回るように避ける。元いた場所には弾幕が突き刺さる。地面が抉れ、山ほどの弾痕が残されていた。

 

「……フゥ」

「いいかげんにしろ〜!さっきから避けてばっかりじゃない!」

 

チルノは頬を膨らませて、癇癪を起こす。戦いが始まって5分になるが、いまだに海堂は攻撃をしていないのだ。海堂はチルノの怒りを聞いて、深く息を吐く。

 

「どうしたものか…」

 

そして、視線の中心を空を飛んでいるチルノに向ける。いつでも攻撃が避けられるように身構えた。

ここまでの流れで勘づいた者もいるだろう。海堂は攻撃をしてないのではなく。()()()()()()()という状況に陥っているのだ。

再びチルノが弾幕を放つ。その弾幕はルーミアよりも量が多く、スピードも速い。威力だって一発一発は大したことないだろうが、一発でも喰らえば立て続けに被弾することになる。

海堂が警戒しているのは攻撃後の隙(硬直時間)を狙われることだ。弾幕を掻き消しながら攻撃できる『レーザー』は撃った後少しだけ動けなくなる。ルーミアの時なら木々を遮蔽物に出来たが、今回は遮蔽物はないに等しい。少しでも隙が作ればもれなく穴ぼこまみれとなるだろう。半端な攻撃は相殺するか、能力で防がれてしまう可能性がある。

 

「……グッ!?」

 

弾幕を避ける中思考していたためチルノ弾幕が足を掠める。掠めた部分は切り傷となり、チリチリ痛む。チルノは海堂に攻撃が当たったことに気づいていないが、すぐにバレてもう攻撃を仕掛けてくるだろう。

ここで海堂は賭けをすることにした。次にチルノが攻撃してきた時にレーザーを撃ち込む。他に方法は無いしこれ以上避け続けるのは難しいと判断した。

 

「あ〜!もう!これでもくらえ!!!」

 

避け続ける海堂に痺れを切らし、大量の氷弾を感情に任せて撃ち出す。これまでの弾幕より量は多いがバラけており、今までの回避方法では避けれないだろう。

 

「…!!今だ!!!!」

 

しかし、海堂は弾幕を避けようとせず手を突き出す。ルーミアと戦ったときよりも早く魔法陣が現れてレーザーが放たれた。これなら当たる!!海堂は確信していた。

 

「うわっと!」

「…え?」

 

レーザーは氷の弾幕を蹴散らしながらチルノを貫こうとした。しかし、チルノはヒラリとそれを回避し、レーザーは空へと消えていった。

チルノは痺れを切らして雑に弾幕を放った。つまり、隙ができるはずなのだが彼女はさっきヒラリとレーザーを避けた。

 

「ちょ、ちょっと危なかった…まあ!アタイはまだ本気出してないし!今から本気だしちゃうから!」

 

チルノは両腕を横に突き出す。すると、氷弾が彼女の左右から打ち出す。それは海堂の周りをジリジリと囲むような弾道を辿る。横跳びで大きく回避ができなくなったのだ。

さらに、チルノは腕を海堂に向かって突き出し、黄色の5way弾を海堂のいる方向に打ち出す。

 

「や、ヤバ」

 

後に、氷符「アイシクルフォール」と名付けられる弾幕の嵐は無慈悲に襲い掛かった。海堂は避けようとするもののレーザーを撃った反動で動きは鈍くなり、さらに自身を取り囲むように飛ぶ氷弾に動きは制限される。

 

「アッ…」

 

そして、黄色の弾幕が海堂の腹部を貫く。それを皮切りに次々と被弾していく。感じたことのない激痛が彼の精神を蝕んだ。そのうち彼の脳は痛覚の許容範囲を超える。足は動かず、腕はプラリプラリと千切れかけ、体には大きな風穴が空く。吐血する間も無く意識を手放し、コントローラーがいなくなった体は崩れ落ちるように倒れ伏した。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

目の前でボロ雑巾となった敵を見て、チルノはフフンと腕を組みどうだアタイの力は!と誇り高く胸をはる。彼女がやったことは立派な猟奇殺人だが、妖精は純粋で善悪のアレがあまりない種族なのでこれは仕方ない事である。

 

「あー。楽しかった!これでアタイの最強伝説*1が証明されてしまったな〜!大ちゃんに教えよー!」

 

チルノはその場を去ろうと血みどろの肉塊に背を向ける。

 

ゴォォ

 

その瞬間チルノの背後に熱風を受けた。氷妖精は熱に敏感なためすぐに後ろを振り向いた。

 

「…え?」

 

チルノは絶句する。さっき倒れていた死に体が大きく燃え上がりながら立ち上がっていたのだ。さっきまで生きていた海堂とは別の存在。チルノは恐れ、そして拒絶する。先ほどよりも強力な攻撃で今度こそ倒す。

チルノは能力を限界まで引き出し、氷弾をソレ目掛けて打ち出す。何発も何発も連射することにより相手を物量で制圧する弾幕。後に雪符「ダイアモンドブリザード」と名付けられる弾幕は火だるま人間に猛然と襲い掛かった。

 

「……」

 

緊急起動。敵対存在確認、脅威度中相当攻撃判断。作戦変更、攻撃方針確定。「サラマンダー」限定解除、冷却システム起動。射出

炎に包まれた人物が腕を振るう。すると、ソレの背後から大きな炎が現れた。その強大な炎はチルノの弾幕を容易く燃やし尽くし、その命を焼き尽くそうとチルノに迫り来る。回避しようにも大きすぎるその炎を目の前に足がすくみ動けなくなっていた。チルノは思わず涙を流したが炎は止まることを知らず、氷の妖精を飲み込んだ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「……あれ?」

 

チルノは目を覚ます。さっき自分は炎に包まれたはずなのに。自分の体を見回すと焦げた部分は見当たらず、湖周辺は何も変化がなかった。先ほどの炎はなんだったのだろうか。

 

「…夢か!夢でよかったー!」

 

どうやらチルノは夢での出来事と結論つけたようだ。チルノは改めて友達の元に向かうことにしたのであった。

 

海堂の死体が消えていたことは彼女には気づけなかったようだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
原作ではこんなこと言ってない。言ってないよね…?




とても遅れてしまいました…投稿頻度をなるべく早くする所存です。次回は海堂の視点から見ていきましょう。ではまたの投稿で!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。