スキマにこき使われ、九尾に教えを乞い、化け猫に笑われながら、幻想郷を駆け巡る 作:エアロスミス
2022年6月26日 キャラクターの名前を変更しました。錠前東→柳田東
「まーけた。まーけた。覚えてないけどまーけた」
「……」
虚な目をして天井のシミを見つめている包帯ぐるぐる巻きの少女は自分で作った変な歌を歌いながら自分を責めていた。その様子に橙はもはや憐れみを感じている。
「ああああ…私って雑魚なんだね。妖精にもボロ負けするクソザコなめくじなんだね」
「……」
海堂の自己嫌悪によって生み出されたドヨドヨとした空気が万屋を襲う。このままでは海堂の自己嫌悪が移るので橙は行動に起こすことにした。
「あのさ、お金あげるから何か食べてきたら?茶屋とか行ってお茶飲んできなよ」
「……いいの?わーい」
海堂は橙に一円札を押し付けられ、自分の家から追い出される。ちなみにこの一円札は海堂の金庫から橙が取った物である*1。
行くところもないのでとりあえずいつもの茶屋に行くことにした街道であった。
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「……」
海堂は黙々とみたらし団子だけを口に入れていく。団子には餡子を乗せたものや醤油を付けた団子*2があるが、海堂はみたらしだけを好んでよく食べる。その証拠に皿に食べ終わった串が六本も置かれていた。
「……はぁ」
しかし、海堂の気持ちは晴れない。紫さんに見捨てられたら両親の行方がわからなくなってしまう。そうなれば、また一からやり直し…いや、もう二度と会えないかも知れない。
そのためにはまず自分が強くならなければいけない。なので、挫けてる場合ではないのだが。すると、重苦しいオーラを放っている海堂の元に、誰かが向かってくる。その人物はそのまま海堂の隣に座った。
「なんか大変そうだね」
海堂が男の声がした方に顔を向ける。そこには、頭に紙袋を被って白衣を着こなした男が自分の隣に座っていた。
「……は?」
思わず、強い声が出てしまう。そして、不審者を目の前にして海堂は固まった。
「ああ容姿は気にしない方がいい。それでさ、何か困ってない?」
「…はぁ」
有無を言わせない強制力を前に海堂は生返事しかできない。とりあえず、彼の話に乗っておくことにした。
「…強くなるにはどうすればいいのかなって」
「それってドンパチの方?ゲームの方?」
「ドンパチの方ですね。最近、チルノっていう妖精に負けちゃって」
「ふーん」
男は空を見上げる。そして、海堂の背中を叩いた。パァン!!という音が鳴って激痛が走る。
「あ“あ”あ“あ”!?何!?」
「…なるほどなるほど」
「え?なんで叩いたの?すごく痛いんだけど?」
「うんうん。それでさ」
突然の暴力に海堂は男を問い詰める。だが、男は何事もなかったかのように話を続ける。
「君はちゃんと強くなれるよ。天才って呼ばれる人間よりもはるかに伸び代ある。ただ、今のところやり方を間違えてるね」
「え、無視?」
「魔法の森に霧雨魔理沙という魔法使いがいる。彼女はまだまだ未熟だが、得られる物があるはずだ。もし、チャンスがあるならアリス・マーガトロイドという人形技師の魔法使いにも会えるかも知れない」
「…とりあえず、魔法の森に行った方がいいのか?」
「香霖堂にも訪れてみるといい。お金はしっかり持っていけ、掘り出し物を逃すぞ。それと、森の奥地にはまだ行くな。君に得られるものはまだない」
言いたいことを言い切ったのか、男は席を立ちその場を去ろうとする。
「待ってくれ!アンタ何者なんだ?」
「…
気がつくと東はいなくなっていた。
「あの…お客さん。さっきからボーとしてますけど、ご注文はありますかね?」
「え?…いや、お愛想お願い」
団子の代金を払って、海堂は自分の家に帰ることにした。男の正体はわからずじまいだったが、助言をもらい、心が少し軽くなった海堂であった。
「あ、おかえり…あれ?なんかあったの?」
「ちょっとね。それと、怪我が治ったら魔法の森行ってくるから」
「藍様が心配してたよ?怪我しすぎだって!」
「あー、次は戦わないと思うから。魔法使いに会いにいくんだ」
「あまり、藍様を心配させないでね?今度ボロボロになってきたら……わかるよね?」
「き、気をつけます」
数日後、怪我があらかた治るが万屋は開業せず、魔法の森へと赴く準備をしていた。自分が幻想郷に迷い込んだ最初の場所。前はルーミアを倒すだけだったが、今回は霧雨魔理沙という魔法使いに会いに行くのが目的。戦いは起きないと思うがしっかりと荷物を整理していく。もちろん財布の中身はしっかりと入れて大抵のものなら買えるようにした。
さあ、魔法の森へ行こう。
しばらくは戦闘ない感じです。修行パートみたいなものです。次回は今月中に投稿します。それでは!