スキマにこき使われ、九尾に教えを乞い、化け猫に笑われながら、幻想郷を駆け巡る 作:エアロスミス
幻想郷でのお正月①
「「「あけましておめでとうございます!」」」
新年、それは新しき一年の始まり。2021年が終わり、2022年の始まりである。それは幻想いりした海堂も例外ではない。
「んー、俺はここに来たばかりだから特別という感じでもないんだよな」
「我々は妖怪ゆえに何度も経験してるからな。お前もすぐに慣れるさ」
八雲家。幻想郷のどこかにあるという八雲紫の住居。海堂、八雲藍、橙の三人がコタツを囲んでいる。
「…ん?」
ここで、海堂が違和感に気づいた。
「紫様はこの時期は冬眠してるからな」
「そもそも、正月だからといってお祝いすることも少ないからね」
「えぇ…まぁ、俺も向こうにいた時は蕎麦食べて神社に行くくらいしかしてないな。子供の頃は結構仰々しくやってたけど」
「え?どんなの?」
「話すと長くなるけどな…」
海堂は橙に子供の頃の話をすることにした。
海堂は両親を亡くしてから、親戚に引き取られた。そこの親戚が結構でかい極道の組長だったので、そういう仕事や礼節を間近で見ることが多かったのだ。
特に伝統を重んじることが多々あり、年賀状やら、お参りやら、年越し蕎麦やら、おせちやら、豪勢にでた。お年玉も多かったような。
「こんな感じかな〜独り立ちしてからはあんまできなくなったけど」
「なかなか濃い人生だねカイドウ…」
「やけに肝が据わってると思ったが…なるほど、納得する人生を歩んでいる」
「…普通だと思うけど」
「ここに迷い込んだ人間は6割が喰われ、3割がここに残って喰われ、残りが外の世界に帰る。だが、大妖怪と対等に契りを交わすのはお前が初めてだ」
「紫さんのお眼鏡にかなっただけですから。ルーミアと遭遇した時は生きた心地がしなかった」
幻想郷に来てから数ヶ月ちょっと。今までの日常は崩れ去り、今ではここで魔法の勉強をしている。人生何があるかわからないものである。
「人間かどうか怪しいけどね♪」
「橙さん。何度も言ってるけど、俺は人間だから!ねぇ藍さん!」
「……」
海堂は藍に同意を求めるが、目を背けられる。きっとノーコメントという意味であろう。橙は海堂を小馬鹿にするように指を差して笑う。
「…ええい!こうなったら将棋で勝負だ。将棋盤と駒をとって来てください!」
「カイドウが行きなさいよ!私は化け猫なんです!」
「え〜!いいじゃん別に!妖怪でしょ!」
「カイドウは人間なんでしょ?ほら、行ってこ〜い」
「……お前たち、少しは落ち着け」
こうして、幻想郷での新しい一年が始まっていった。
「あら〜三人で暖かそうにして。私も混ぜなさいよ」
「あっ、紫さん」
「紫さま!?冬眠してたんじゃ…」
「賑やかそうな雰囲気出してたら起きたくもなるわよ。さて、正月を楽しもうじゃないの」
「紫さんって祝い事をする人なんだねぇ」
「…おそらく、海堂という新しい従者が来たから張り切っているのだろう」
「俺としては嬉しいな。それ」
今度こそ幻想郷での新しい一年が始まっていった。
改めまして、あけましておめでとうございます!!失踪気味でしたが、こちらもぼちぼち書いて参りますので、よろしくお願いします。