モンスターハンター 焔の心   作:たつえもん

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※土曜日の昼に投稿時間設定を忘れて今回のお話を即時投稿してしまった為、一度削除しました。
こちらは事実上の再投稿となります。
昼に見られた方は明日いい事がおこるとは限りません。


第18話:秘密の花園

 即席パーティを組むことになった三人は、現在ギルド内の酒場で昼食を取っていた。その中でもエリザベスは女性を中心とした大勢のファンに囲まれており、彼は笑顔で手を振っている。

「それにしても、エリザベス様は有名な方なのですね」

「まあ、それなりにね。お買い物もしにくいし、有名になり過ぎるのもいいことばかりじゃないのよ」

「有名かどうかはさておき、装備を見た感じじゃハンターとして結構強そうだな。同行してくれるのは嬉しいよ」

 そう言うと、ハルトはエリザベスの防具に目を向ける。

 彼が着ているのは迅竜ナルガクルガの素材を使ったナルガシリーズと呼ばれる、黒を基本に赤い模様のアクセントが映える防具である。全体的に忍者装束のような見た目をしているが、上半身は胸や肩がナルガクルガの毛を織った糸で出来たメッシュのような網目の生地になっており、鍛えられた胸筋が露出している。

「ええ、なかなか素材が揃わなくて大変だったわ。

さてと、食べ終わったことだし、依頼を選びに行きましょうか」

 

 食事を終え、ハルトとアリスは再び掲示板(クエストボード)の前に立つ。だが、今回はエリザベスも一緒だ。

「安心なさい、無茶苦茶に難しいクエストを選ぶようなことはしないわ。ギルドカードを見せてもらえるかしら?」

 そう言われ、二人はギルドカードをエリザベスに手渡す。ギルドカードには直近に受けた依頼や大型モンスターの狩猟数などが記録される為、そこから大まかな力量を判断できるのだ。

「ふんふん、だとしたら…………これかしら?」

 エリザベスは受け取ったカードの情報を見て、掲示板に貼られた依頼用紙の一枚を指差す。そこに書かれていたのは、砂原での土砂竜ボルボロスの狩猟依頼だった。ハルトとアリスはボルボロスの狩猟経験はなかったが、砂原を訪れるのは初めてではない。

「どう?あなた達に勝てない相手ではないと思うけど。砂原に行ったことはあるかしら?」

「一回だけクルルヤックを狩りにアリスと。アリスはそれ以外では?」

「いえ、私もそれだけです」

「決まりね、じゃあ申請しましょ」

 と言うと、エリザベスは用紙を手に取ってカウンターに提出する。二人もその後に続き、参加手続きを済ませる。

「じゃあ、今日のところは休んで、明日の朝に出発しましょうか。ドンドルマからだと砂原は距離があるから、今から行くと着くのは夜になっちゃうもの」

 二人はその言葉に従い、ギルドに併設された宿に宿泊することにした。この宿も酒場と同様に一般客も利用可能だが、ドンドルマで登録をしたハンターは格安で宿泊することができる為、三人はそれぞれ個別で部屋を取った。

 

 

 その夜、アリスは自身の泊まった部屋で入浴を済ませ、寝間着のワンピースに着替えて髪を纏めていると、ドアがノックされる。それに応じて戸を開けると、

「ハル…………いえ、エリザベス様でしたか」

「こんばんは。せっかくだから、夜のガールズトークと洒落込みましょう」

 入口に立っていたのは、ハルトではなくエリザベスだった。ガールズトークという彼の発言に関してはつっこまないことにし、アリスは彼を部屋に入れた。

 

「へぇ、あなたとハルトちゃんはカムラっていう里に拠点をおいてハンターをしてるのね」

「はい。あそこは本当にいいところで、ハルト様が旅を再開しようとしていた私に里に残っていてほしいと言ってくれたのは本当に嬉しかったです」

「そう、ワテクシも時間があれば行ってみようかしらね。

ところで、あなた達二人………」

「は、はい?」

 急にエリザベスの目の色が変わったのを見て、アリスは思わず身構える。

「単刀直入に聞くわよ、どっちから告白したのかしら?」

 

 

「ほえええ!?」

 予想だにしていなかった質問を受け、彼女の顔が一気に耳まで赤く染まる。

「そ、そ、そんなっ、ハルト様と私、そんな関係ではっ」

「あら、初々しい反応。でも、いずれ彼とそうなるかもしれないってこと、考えたことあるかしら?」

「私と、ハルト様が……………」

 エリザベスの言葉を受け、アリスはまだ顔が熱いまま俯き頭の中で思考を張り巡らせる。そして彼との日々を連想し、

 

「は、はわわわわぁ…………」

 アリスの顔は、熟したトマトのような真っ赤になってしまった。

「ごめんなさい、少しからかい過ぎたわ。でも少なくとも、彼はアリスちゃんを信頼してるはずよ。でなきゃ、わざわざ里から遠いドンドルマまで着いて来て、なんて頼まないはずだもの」

「は………はい、私も、ハルト様のことはすごく頼りにしています。モンスターと戦ってる時には、何度も助けてもらって」

「そういうの憧れちゃうわね、ワテクシはいつも一人で行ってるから。明日のハルトちゃんの活躍が楽しみね、それじゃお休み」

 言い終わると、エリザベスは手を振りながら部屋を出て行った。

 エリザベスが去り、アリス一人になった部屋は急に静かになったような気がした。嵐のようとはこのことを言うのだろう。だが、彼女の胸の奥は、今尚ドクンドクンと五月蝿いくらいに心音が響いていた。

 

 

 

 そして翌日、三人は砂原の拠点(メインキャンプ)でそれぞれの装備を確認していた。今回の相手であるボルボロスには氷属性の攻撃が有効であるとエリザベスから聞いていた為、ハルトはフロストエッジ、アリスは前回生産したマギアチャームを持ってきていた。

 そして、エリザベスはモノトーンカラーの長い棒の先に橙色の刃を取り付けた薙刀のような武器を背負っていた。アンバーハーケンという、氷牙竜ベリオロスの素材を使った武器であり、これも氷属性が付与されている。

「さてと、行き道でも話したけど、ボルボロスは基本的に頭を使った攻撃が多いわ。できるだけ横か後ろから攻撃を加えるべきね」

「分かった。アリス、ボルボロスと戦うのは初めてだけど頑張ろうな」

「は、はい…………」

 ハルトがアリスの方を見ると、彼女は素っ気ない返事と共に目を反らしてしまう。何か昨日気に障ることでもしたかと、ハルトは少し不安になってしまった。

 

「(どうしよう…………昨日、エリザベス様と話してから私、ハルト様の顔を見ると…………)」

 だが、それは正しくは顔を直視出来ない故の行動だった。果たしてその気持ちがエリザベスと話したことによるものか、もしくは元々持っていたものが表に現れたのかは、初めてそれを経験するアリスには分からず、当のハルトもそれを知らない。

 一抹の不安を抱えたハルトと、そのハルトに言葉で表せない気持ちを抱えるアリス。そして、二人を奥ゆかしい気持ちで見つめるエリザベスは、標的(ターゲット)であるボルボロスを目指し出発するのだった。

 

 

次回へ続く

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