エリア1に入るとすぐに、猛烈な暑さが襲いかかってくる。耐えられない程ではないが、視界に広がる蜃気楼が余計に暑さを感じさせる。
「まだ砂原は二回目だけど、やっぱりこの暑さは慣れないな」
「でも、別の地方ではクーラードリンクという専用のアイテムがないと活動できないこともあるのよ。それに比べたら随分マシだわ」
三人の近くには、後頭部に襟巻を持った甲殻に覆われた中型の草食モンスター・リノプロスが横たわっていた。リノプロスは敵を発見すると突進してくるため、気付かれないよう速やかに通り過ぎる。
続けてエリア6も通過し、エリア5に到着するとハルト達の見慣れないモンスターが水溜まりの中心に立っていた。
「あれがボルボロスなのですか?」
「そうよ、初めて見た感想はどうかしら」
「見るからに硬そうですね、攻撃がなかなか通らなさそうです」
アリスの言う通り、そのモンスター───ボルボロスは全身が岩肌のようなゴツゴツした褐色の甲殻で覆われ、特に頭部の甲殻は大きく、王冠のような形をしている。更に各部には泥を塗り付けており、土砂竜の名に違わない見た目をしていた。
ボルボロスがこちらに気付くと、ゆっくりと三人のもとへ歩み寄って来る。そして、
「オオオォーーーーーッ!!」
獣の如き咆哮を放ち、ハンター達を威嚇する。三人は成す術なく耳を塞いで立ち往生してしまう。
開戦を告げる遠吠えが止み、ボルボロスはその場で尻尾を振り回して群がるハンターを薙ぎ払おうとするが、三人はギリギリで回避する。攻撃が終わったのを見てハルトは素早く斬り掛かるが、ボルボロスがこちらを向き剣は頭部に当たる。
「ってぇ………、確かに硬いな」
フロストエッジは氷属性のダメージを与えるも、ガキンッという岩を殴ったような音と共に弾かれてしまう。その一方で、アリスはマギアチャームで脇腹を、 エリザベスはアンバーハーケンで脚を攻撃していた。お互いに硬い感触を受けながらも、弾かれることなく確実にダメージを与えていく。
すると、ハルトの方を向いていたボルボロスが頭を振り上げる。そのまま地面目掛けて頭突きを喰らわせるが、ハルトは後転して躱す。しかし、
「うわっ!?」
頭突きの拍子に、ボルボロスの頭部に被さっていた泥の一部が飛んで来たのだ。泥の塊はハルトに直撃し、ハンターメイルが泥だらけになるもダメージはほとんどない。
続けて、ボルボロスが縮こまって何度か足踏みをすると、全身をブルブルと震わせ纏っていた泥の一部を撒き散らす。ハルトとアリスは不規則な地点に着弾する泥をジグザグに走って何とか避け切る。
一方、既に距離を取っていたエリザベスが操虫棍を振るうと、右腕に停まっていた大型の甲虫がボルボロス目掛けて飛んで行き、頭部に一瞬噛み付くとエリザベスの元へ戻って来る。そして彼の腕に再び停まると、エリザベスの体が一瞬赤い光を纏う。
これこそが操虫棍と呼ばれる所以となった、猟虫を駆使した自己強化である。猟虫は大型モンスターから部位ごとに異なる種類のエキスを吸い取り、主であるハンターに浴びせることでエキスに応じた効果を与えることができるのだ。
ボルボロスは猟虫の攻撃でエリザベスに矛先を向け、彼の方を向くと頭を下ろし頭殻の出っ張りからシュウゥッと蒸気のようなものを噴き出す。刹那、その巨体からは想像もつかない速度で突撃する。
「アイツ、あんなデカい図体してなんて速さだ!」
「エリザベス様、避けてください!」
しかし当のエリザベスは、向かって来るボルボロスを前にアンバーハーケンを構えたまま動かない。そして、
「とぅっ!」
「と………………飛んだ……!?」
エリザベスは一度武器の刃を折り畳むと、操虫棍の先端を地面に突き立て、その勢いのまま跳躍したのだ。その体はボルボロスを軽々と飛び越え、突進を簡単に避ける。
さらに、エリザベスはアンバーハーケンにしがみつくと柄頭から印弾を発射し、それを推進力として空中でボルボロスとの距離を詰める。そのまま操虫棍を車輪のように振り回し、ボルボロスの背中の泥を削ぎ落としていく。
「翔蟲を使ってないのに、あんなに空中で自由に動くことができるのか」
ハルトは操虫棍の機動力に舌を巻きつつも、負けじとボルボロスの元へと走り、後脚に剣撃を浴びせる。土砂竜は先程と同じ泥飛ばし攻撃を行うが、ハルトは横転を繰り返して躱しながらも斬撃を見舞う。
一方、少し離れた場所にいたアリスはマギアチャームを構えたまま翔蟲を放ち、糸を手繰り寄せてボルボロスに急接近する。その勢いを殺さぬまま武器を振るい、演奏で自己強化を行う。震打に並ぶもう一つの狩猟笛の鉄蟲糸技、スライドビートを使ったのだ。
その直後にボルボロスが三人に背を向けて歩き出し、別のエリアへと移動を始める。アリスとエリザベスは一度武器を収め、砥石を使おうとするが、そこでハルトの様子がおかしいのに気が付く。今回はまだ目に見えて強力な攻撃を受けていないにも関わらず、彼は地面に座りこんで息を荒らげていた。
「ハルト様、どうかなさいましたか?体調でも悪いのですか?」
「悪い…………なんか、いつもより体が重い気がしてな」
「水やられになっているのね、ちょっと待ってなさい」
そう言うと、エリザベスは近くに生えていた植物から青みを帯びた果実をもぎ、ハルトに手渡す。
「ウチケシの実を食べれば治るはずよ。ボルボロスの飛ばした泥を被ると、水気で体が冷えてスタミナが回復し辛くなるの」
「そうだったのか、打撃以外にも気を配る必要があるってことだな」
ハルトは受け取った実を齧ると、一度伸びをして立ち上がる。
「心配かけて悪かったな、もう大丈夫だよ」
その声を聞いてアリスは安堵し、エリザベスに続いて二人も砥石を使って斬れ味を回復させる。そして、移動したボルボロスの後を追ってエリア6へ向かうのだった。
皆様、お久しぶりです。最近とある漫画を読み始めた作者です。
まずは、更新が遅くなって本当にすみませんでした。
初登場であるエリザベスは操虫棍を使うキャラのくせに、私は操虫棍を一度も使ったことがなかった為、アクションの描写に苦労しました。それで、攻略サイトを見ながら動きを何度も練習し、未だに不完全な知識のまま今に至るというわけです。
そして、先日モンハンライズのアップデートが実施されましたね!やはり気になるのはバルファルクですね。私が大学生の頃遊んでいたダブルクロスのメインモンスターだったので、個人的にかなり嬉しいですね。まあ、作者はまだ戦えないんですけど(HR7)。
では、今回はこの辺で失礼します。
最後まで読んでくださってありがとうございます!
またお会いしましょう。