モンスターハンター 焔の心   作:たつえもん

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第24話:水没林への道中で

「しっかし、キミらのいる里はホンマにおもろい所や。雰囲気はええし飯もうまいし、何より翔蟲っちゅうの?あんなん今まで見た事ないで」

 

 水没林に向かうポポ車の中では、ユーリがマシンガントークを繰り広げていた。その中で、彼が偶然カムラに立ち寄っていたこと、ハルトと同じ17歳だということも分かった。狩りのフィールドに向かっているにしては緊張感がないと言えるが、逆にそのおかげで三人の間の空気は柔らかくなっていた。

「それにしても、本当によく喋るな。ずっと話してて疲れないのか?」

「ボクからしたら、隣に人がおるのに黙ってる方が苦痛やねん。フィールドに出たら喋ってる暇はなくなるから、今のうちに話しとかんと」

「そういえば、ユーリ様はどうしてハンターになろうと思ったのですか?」

「何でって、そんなん決まってるやんけ」

 アリスが質問すると、ユーリは愚問だと言わんばかりに二人の方を真っ直ぐ見て、

 

「稼げるからや」

 親指と人差し指で輪を作って、それを見せつけながら笑顔で話し続ける。

「世の中は(コレ)で回ってんねん。ハンターっていう職業に反感を持つ人も多いけど、モンスターに苦しむ人はそれ以上にいる。この情勢で、依頼を受けて報酬を受け取る、っていう正当な稼ぎ方ができるのはハンターが一番適してると思わんか?」

「まぁ…………話は分からんでもないが、どうしてそんなに金にこだわるんだ?」

「おおっと、その辺にしといてくれや。あんまり人の経済事情に首を突っ込むのはご法度やで」

「ま、言いたくないなら無理に話す必要はないけどさ。それよか、もうすぐ水没林に着くみたいだな」

 外套の隙間から見える景色が変わったところで、三人は会話を切り上げ(話していたのはほとんどユーリだが)、外していた頭用防具を着けて武器を持つ。

 

 

 水没林はその字が現す通り、湿地帯の中の林となっているフィールドで、年中高い降水確率を保っており、フィールド全体における水辺の割合も高い。湿度が高いため蒸し暑く、人間にとって居心地はいいわけではない。だが、虫にとっては絶好の場所らしく、水没林にのみ生息する昆虫もいる為、その手のコレクターが依頼を出すことも多いのだ。

 

 拠点(メインキャンプ)に到着するやいなや、ムッとした湿気が漂ってくる。更に羽虫もそこかしこに飛んでおり、あまり長居したい場所ではないというのが率直な感想だった。

「ふぅ、どうもジメジメした場所だな。砂原とはまた違う暑さって感じだ」

「ボクは何度か来てるけど、やっぱり慣れへんな。帰ったら風呂入りたいわ」

 短く言葉を交わし、三人は支給品ボックスの中のアイテムを均等に分ける。支給品の中には解毒薬も含まれていたが、それだけで足りるとは初めから思っていなかった為三人とも十分な量の解毒薬に加えて、毒を消すだけでなく体力を少し回復する効果のある漢方薬を里から持参して来ていた。だが、支給品の中にはハルトとアリスが見慣れないものが入っていた。

「何だこれ、肉か?」

「モンスターと戦う時に使う肉エサや。食べちゃアカンで?」

 今回の三人の武器は、アリスは旋律で解毒ができるマギアチャーム、ハルトはイーズルシックル、そしてユーリはライトボウガンであるクロスブリッツを持って来ていた。

 ハンターの武器の中で、ボウガンと呼ばれるものはライトボウガンとヘビィボウガンに分けられ、そのうちライトボウガンは一撃の攻撃力は低いものの、機動力の高さと速射が売りの武器である。

 

 今回はドスフロギィの狩猟経験が多いユーリが先導する形を取ったのだが、ハルトは先程から気になる点があった。

 彼はフロギィヘルムの、本来なら目元から下を隠すように着けるスカーフを、首元に下ろして鼻と口を出していた。だが防具を着崩すハンターは少なくないし、それだけならいいのだが、ユーリは更にクロスブリッツを左肩から斜めに背負っていた。ライトボウガンを携行する際は、普通は右肩から真っ直ぐ垂直に背負うはずなのだが、何か彼には拘りでもあるのだろうか。

 そんなことを考えながらユーリに付いて行くうちに、三人はエリア1に到着する。

 そこでは緑色の分厚い皮膚をした垂皮竜ズワロポスが二匹ゆったりと歩いていた。ユーリはそれらを無視して、小高い丘の崖下に向かう。ハルト達も少し遅れて到着すると、そこには青く光る鉱脈があった。

「へえ、拠点から近いところに鉱脈があるのか」

「ボクは水没林で依頼を受けたら、毎回ここで採掘をしてからモンスターのところに行くんや。それに」

 一度言葉を切り、ユーリは手にしたつるはしを鉱脈目掛けて振り下ろすと、その一部が砕けて色とりどりの鉱石となって飛び散る。アリスはその中に、寒冷群島で見つかるアイシスメタルに似た白い光を放つ鉱物を見つける。

「これ、ライトクリスタルじゃないですか?採れる場所が限られる珍しい鉱物ですよ」

「こんな風に、水没林でしか採れない素材もあるしな」

 その後、ハルトとアリスも交代で採掘をしてから、分かれ道の先のエリア10に向かう。そして、それは坂を登った先にいた。

「おったで、あれがドスフロギィや」

 毒狗竜ドスフロギィは鳥竜種に属するだけあって、これまでハルト達が戦ったオサイズチやドスバギィと似た姿をしているが、全体的に丸みを帯びた流線型の体型で、ユーリのフロギィシリーズと同じ少し暗い橙色の皮を持っている。そして、喉元には紫色の膨らみがあり、目は蛇のようにギョロリとしていて不気味な印象を覚える顔立ちで、有毒なモンスターらしく見るものに危険をアピールする見た目をしていた。

 最初にユーリが背負っていたクロスブリッツを構え、牽制としてLv1通常弾を発射する。それはドスフロギィの背中に命中するがダメージはほとんどなく、しかしこちらの存在を知らせるには十分だった。ドスフロギィは三人に近付き、近くにいたフロギィもそれに続く。

「グォォォォオッ!」

 ドスフロギィが低く唸り、三人の戦いが始まった。

 

 

次回へ続く

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