モンスターハンター 焔の心   作:たつえもん

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第26話:毒が紡ぐチームの絆

 ドスフロギィを追って素材を採取しつつ水没林を移動しながら、三人が再びドスフロギィと遭遇したのはエリア8だった。既にドスフロギィは新手のフロギィを従え、モンスターの死骸の近くに陣取っていた。

 フロギィの一匹が三人を見つけて声を上げ、それに反応したドスフロギィも三人に向かって口を開け威嚇する。自身を痛めつけた相手を見たことで先程の怒りがぶり返してきたのか、再び毒狗竜は白い息を吐き怒り状態になる。

 手始めにドスフロギィは牽制とばかりに毒液を吐き出すが、距離があった為三人は余裕を持って回避する。続けてドスフロギィはハルトに狙いを定め、飛びかかって来る。ハルトはこれを盾を使って防ぐものの、片手剣の小さな盾では威力を完全に無くすことができず、大きく後ずさって腕を弾かれてしまう。体勢を崩したハルトにドスフロギィは追い打ちしようと接近するが、

 

ボォォンッ!

 

「ギャゥウ!?」

 突如、毒狗竜の足元で小規模な爆発が起こり、予期していなかった衝撃にドスフロギィは怯んで動きを止める。その隙にアリスが突貫し、後脚にマギアチャームを叩きつけると、それまで受けていたダメージも重なりドスフロギィは転倒した。

 横倒しになったドスフロギィの近くを見ると、小さな装置が地面に仕掛けられていた。先程の爆発は、これが原因だったのだろう。

 速射と同じく、ライトボウガンの機構の一つである起爆竜弾。あらかじめ地面に仕掛けておくことで、衝撃に反応して爆発しダメージを与えるのだ。

 

 起き上がれないドスフロギィに、ユーリはLv2通常弾の速射を、アリスは狩猟笛の打撃を浴びせていく。ハルトも加わろうとするが、フロギィが行く手を阻む。更にもう一匹のフロギィがユーリの射線に現れ、ドスフロギィに攻撃できるのは再びアリス一人になってしまった。ドスフロギィもオサイズチと同様に、フロギィの群れを統率する力を持っているため、親玉のドスフロギィの危機を見て子分のフロギィ自ら邪魔に入ったのだろう。

 ハルトとユーリは歯がゆい思いをしながら、仕方なくフロギィの相手をする。その一方で、ドスフロギィは起き上がり攻撃をしていたアリスに噛み付こうと口を開く。アリスは横転で躱すが、彼女はドスフロギィに集中し過ぎるあまり、背後から迫る一匹のフロギィに気付けていなかったのだ。

「ガゥゥ!」

 

「あっ!…………しまっ、くぅぅっ」

 彼女がそれに気付いたのは、背中に微弱な衝撃を受けてのことだった。フロギィの毒液を喰らったのだ。ドスフロギィのものに比べると効果は薄いが、それでも人間には十分有害であり、がっくりと膝を付いてしまう。アリスはマギアチャームの旋律で毒を消すことができるものの、腕に力が入らず狩猟笛を構えることができない。

 アリスは武器を背負い、アイテムを使うため走ってモンスターから距離を取る。それと入れ替わる形で、フロギィを仕留めたハルトがドスフロギィに突撃し、首元目掛けて剣を振るう。毒袋は意外と丈夫で、切れ込みが入ってもなかなか破れない。

「ちぃ、結構固いな………分厚いゴム風船みてぇだ」

 ハルトは一度前転でドスフロギィの毒液を回避し、ユーリも遅れてドスフロギィへの射撃を再開する。アリスは解毒薬で毒を治すことに成功したものの、フロギィと交戦中だったのですぐには合流できないだろう。

 と思ったその時、ドスフロギィがハルト達に背を向けると、アリスに接近する。彼女もそれに気付いてはいたが、戦っていたフロギィの毒液を避けた隙に体当たりを受けてしまう。

 地面を転がり、クルルシリーズを泥だらけにしながらもマギアチャームを杖代わりにどうにか起き上がり、武器を構えるが直後にドスフロギィはエリアを移動する。

「アリス、大丈夫か?毒攻撃を受けた上に体当たりまで喰らってたが」

「はい、毒は消しましたし、体当たりもとりあえずは大丈夫です。今、回復薬を」

 と、ポーチの口を開けようとしたところで、アリスは違和感を覚える。先程に比べて、重心が下に集中している気がするのだ。そしてポーチの中身を半分ほど地面に置いたところで、不安は的中した。残ったポーチの中身を見ると、青みを帯びた液体に、ガラスの破片と水浸しになった紙包みが浮かんでいた。解毒薬の瓶が残らず割れてしまい、薬包紙にくるんでいた漢方薬も解毒薬に浸かって駄目になってしまったのだ。

「うぅ、多分さっきのドスフロギィの体当たりを受けた時の衝撃で………」

「あっちゃー、ついてへんなあ」

 アリスは解毒手段が自身のマギアチャームによる演奏しかなくなってしまい、地面に座り込んで俯いてしまう。毒を治そうにも、先程のように自分が毒を受けていては満足に狩猟笛を扱うことができず、実質的に毒を治療する手を失うこととなった。

「しっかりしなよ、アリス。俺の解毒薬と漢方薬を分けてやるから」

「ですが、それではハルト様の分が……」

「俺達はチームなんだ、助け合ってこその仲間だろ?それに、俺が毒を受けちまったらアリスの狩猟笛で治してくれよ」

 ハルトはそう言って、にやっと口元に笑みを作ってみせる。その言葉が、アリスの心にはとても強く響いたらしく、彼女は不安を振り払うように力強い眼差しでハルトを見つめ、

「…………分かりました、そういうことでしたらお受け取りします。私も、ハルト様を信じます」

「(この二人、まだチームを組んでから半年も経ってへんらしいやん。それでこの信頼…………)」

 その一方、ユーリは弾丸を装填しながら二人の様子を伺っていた。

 この時、三人の頭には三様の思いが浮かんでいることを、本人達はまだ知る由もない────。

 

 

次回へ続く

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