モンスターハンター 焔の心   作:たつえもん

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第27話:紫水の決着

 あの後各々準備を済ませ、三人は今エリアの半分以上が水辺となっているエリア2でドスフロギィと対峙していた。毒狗竜は口から涎を零しており、ダメージの蓄積で疲れているようだった。更に三人のハンターとしての勘が、もう少しで討伐できると言っている気がした。

 

「グォォッ、グワォォォ」

 だが、ドスフロギィも武器を構えるハルト達を睨みつけており、戦意を失ってはいないようだ。

 まず毒狗竜が口から得意の毒攻撃を仕掛けようとするが、疲れの影響か吐き出す毒液が著しく少なくなっている。それは三人にとって絶好のチャンスとなった。アリスが頭を殴り、ハルトが尻尾を斬りつけ、そしてユーリが胴体を射抜く。三人の間には、今日初めてパーティを組んだとは思えない無言の連携が産まれていた。

 対するドスフロギィは体当たりで反撃するが、疲れた身体の動きは遅く、ハルトは楽々回避する。そこへアリスがスライドビートで距離を詰め、気炎の旋律に繋げて全員の攻撃力を高める。それを受けたハルトは尻尾攻撃を躱すと、再び接近して風車を繰り出して無数の斬撃を見舞い、ユーリもLv2通常弾の速射で攻撃する。

「ゴアォォォッ!」

 三人の総攻撃に、ドスフロギィは再び怒り出した。そして自身の頭を執拗に狙っていたアリスの方を向き、口を開けて毒液を吐き出す。アリスは震打の構えに入っていた為、避けられずに正面から浴びてしまった。

「くぅっ………………けほっ、けほ」

 毒を受けたアリスは体勢を大きく崩し、口を抑えて何度も咳き込む。解毒薬を使う為、どうにかドスフロギィから距離を取ろうと重い足取りで歩き出すが、毒狗竜がそれを許さず追撃に向かう。

「させるかっ!」

 ハルトはそれを阻止しようと、翔蟲を出して空を駆け、すれ違いざまにドスフロギィの頭を一閃。更にその勢いのまま跳躍し、落下重力と共に盾を頭に叩きつけた。

 片手剣が使えるもう一つの鉄蟲糸技、飛影からのハードバッシュと呼ばれる連携技。片手剣の中でも有数の威力を持つ打撃攻撃であり、大きく空中に飛び上がる必要がある為編み出された当初は難易度の高い技能だったが、ホムラ地方では翔蟲を絡めることで大幅に出しやすくなっていた。

 

 突然頭に強打を受けたドスフロギィは、ハルトに狙いを定めて喉元の毒袋を膨らませる。ハルトは盾を構えガードの姿勢を取るが、吐き出された毒霧は盾など関係なくハルトを包み込む。

 当然、毒霧を浴びたハルトは毒に犯されてしまい、青白い顔で膝を付いてしまう。だが、背後のアリスは解毒薬を飲み終わっており、マギアチャームの旋律を解放してハルトを解毒する。

 その隙を突き、ドスフロギィは再び喉袋を膨らませ、毒を吐く体勢に入る。しかし、

 

ボォンッ!

 

「ギャウゥ!?」

 直前でドスフロギィの頭で爆発が起こり、毒狗竜は目眩を起こして倒れてしまう。二人がユーリの方を見ると笑みを浮かべて小さくガッツポーズをしており、彼の射撃によるものであることが分かった。

 ユーリは徹甲榴弾と呼ばれる、標的に刺さった少し後に爆発する弾丸を撃ち込んだのだ。これを頭に当てることで、打撃系の攻撃と同じようにモンスターを気絶させることができるのである。

「よし、今や!見ときや、肉エサはこうして使うんや」

 その隙にユーリはドスフロギィの近くまで来ており、倒れる毒狗竜のそばに肉エサを置き、すぐに離れる。その直後、

 

 

 

ザババババババババッ!!!

 

「ほえええ!?な、な、何ですかあれ?」

 突然、水中から大量の魚が跳ねながら肉エサに群がり、そのついでにドスフロギィに噛み付いていった。

 

 この魚はキガニアという環境生物であり、普段は大人しいが肉の匂いを嗅ぐことで凶暴化し、生え揃った鋭い歯で噛み付いて来るという特徴を持つ。この習性を利用したのが肉エサであり、生肉を持っていれば代用できるという。

 

「よし、あともうちょいや!ここが頑張りどころやで」

 ユーリの言葉に二人も応じ、一斉に連続攻撃を仕掛ける。

 ハルトはこれまでの攻撃とキガニアの牙で付いた喉袋の傷に狙いを定め、イーズルシックルを振り下ろすと、風船が破裂したような音と共に毒袋が破ける。遂にドスフロギィの部位破壊に成功したのだ。

 衝撃で起き上がったドスフロギィは毒霧を吐いて応戦しようとするも、破れた毒袋の隙間から毒が漏れ出しており、その範囲は驚く程狭まっていた。そして、毒攻撃を躱したアリスが震打を放つ。突き立てられたマギアチャームから発せられた音が糸を伝ってドスフロギィの頭を激しく揺らし、ドスフロギィはその威力に吹き飛んだ。

 

「ゴワォォォー……………」

 そのまま断末魔を上げると、目を閉じて動かなくなった。三人を苦しめた毒狗竜は、遂に討伐されたのだった。

 

 

 

 剥ぎ取りを済ませ、里へと帰るポポ車に乗る三人のハンター達。既に全員頭装備を外しており、額に汗をかいていた。

「それにしても、毒攻撃ってのは随分厄介なもんだな。しばらくは戦いたくないな」

「そうやね。せやけど、毒を持つモンスターは結構多いから、経験を積むんも大切やで」

 その後、しばらく談笑した後に、ユーリは思い出したかのように言い放つ。

 

 

 

「決めた!ボクもカムラの里に留まるわ。ほんで、ジブンらのチームに入るわ」

 

 

「「ええっ!?」」

 予期していなかったユーリの発言に、アリスとハルトは同時に驚く。

「なんや、アカンのか?今まではずっと旅をしながら一人で狩りに行ってたけど、今日のジブンら二人を見てたら、なんや仲間ってのが羨ましくなってきてな」

「いえ、まさかユーリ様がそう言ってくださるとは思っていなかったので………私は、歓迎します」

「あぁ、俺もだ。俺もアリスも剣士だから、ガンナーがチームにいてくれるのは有難いよ」

「そんなら、こちらからもよろしく頼むで。

あ、言っておくけど、別に金を要求してるワケやあらへんで?自分の金は自力で稼がんと」

「分かってるよ、これからもよろしくな」

 言い終わると、ハルトとユーリは固い握手を交わし、その後アリスも握手をする。

 

 その後、三人が里に戻るとユーリは里長とギルドマスターにもチームに加入することを伝えた。その情報は瞬く間に里中に広まり、その夜は盛大に歓迎会が開かれたという。

 

 

次回へ続く

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