モンスターハンター 焔の心   作:たつえもん

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第31話:水浸しの決まり手

 ヨツミワドウを追ってエリア1に到着し、ヨツミワドウを発見するとアリスはすぐさまボーンホルンを構えて突貫する。彼女に気付いたヨツミワドウは水を吐いて迎撃しようとするが、身体を屈めながらスライドビートを用いて接近することですれすれで水吐きを躱し、肉薄すると振り払われる前脚を避けながら打撃を加えていく。

 ユーリもやや遅れて遠距離から射撃を開始し、Lv2通常弾を速射して高い位置にありアリスが狙いにくい頭部を狙う。多くのモンスターは頭への攻撃が効きやすい傾向にあるが、ヨツミワドウも例外ではなく、着実にダメージが重なっていくのをユーリも実感していた。

 

 攻撃を重ねていると、先程と同じくヨツミワドウは一度低い声で鳴きながら体を屈めた後大きく跳び上がった。ユーリは自分の方にヨツミワドウが向かって来るのを見ると、地面の影をよく見て、着地点から十分距離を取った位置で河童蛙が落ちて来るのを待つ。

 

「グオォォ!?」

 そしてヨツミワドウが着地すると、地面に仕込んだ起爆竜弾が前脚の下敷きになって破裂し、ダメージを与えて転倒させる。それだけではなく、今までのダメージも重なり、片方の前脚を部位破壊することに成功したのだ。

「よっしゃ、今やで!」

「はいっ!」

 ユーリの声にアリスは力強く応答し、先程までは攻撃が届かなかった頭部を殴り付けると、打撃が効いている確かな手応えを感じる。その勢いのまま三音演奏に繋げ、更に気炎の旋律で味方全員を大きく強化する。

 アリスの演奏で攻撃力の増加を受けたユーリはもう片方の前脚を部位破壊すべく速射を撃ち込み続け、ヒグラシも剣やブーメランで援護する。

 

「グルルルゥ!?」

 そしてヨツミワドウが起き上がろうかという直前で、アリスの狩猟笛による頭部への打撃が重なったことでヨツミワドウは目を回して気絶し、再び横倒しになる。

「はは、まるでハメコンボやん。アリスはん、容赦ないのぉ」

 二人と一匹は更に攻撃を加え続け、アリスが頭に震打を喰らわせるのと、正気を取り戻した河童蛙が起き上がるのはほぼ同時だった。

 全身に痛打を受け続けたヨツミワドウはたまらず逃げ出し、アリスとユーリも手早く弾の装填や砥石の使用を済ませてヒグラシと共に後を追う。

 

 ヨツミワドウを追って一同が入ったのは、エリア4だった。エリア4に水辺はなかったが、一定の時間なら陸でも活動できるのだろう。しかし、先程のように砂利を飲んで強化することは出来ないため、その点でいえばアリス達にやや分があるといったところだろうか。

 河童蛙はアリスを見つけると低く鳴き、跳び上がって押し潰そうと試みるが、彼女はヨツミワドウの動きをよく観察し、ギリギリまで引き付けて前転で躱す。しかし、ヨツミワドウの巨体が落下したことで近くの地面が揺さぶられ、攻撃を加える為肉薄していたアリスはバランスを崩して動きが止まってしまう。

 そこへヨツミワドウが前脚を振って追撃し、転んだアリスを軽々とつまみ上げると、口の中に入れてしまった。

「ほええええええっ!?」

「嘘やろ!?くそっ、早く吐け!」

 ユーリは急いでヨツミワドウに弾丸を撃ち込むものの、ほとんど照準を定めていない雑な射撃は有効打にならず、アリスも体内で懸命にもがくが抜け出せない。こやし玉を使えばすぐに解放できるが、ユーリもアリスも持って来てはいなかった。どうしたものかと悩んでいると、

 

「グルロロロロォ!?」

 

 突然、ヨツミワドウが全身を痙攣させて動きを止め、同時にアリスを吐き出した。ふと河童蛙の足元を見ると、シビレ罠が作動して光の粒を出していた。

「やったニャ!」

「そうか、ようやったでヒグラシはん!」

 どうやら、シビレ罠はヒグラシが仕掛けたものらしい。ユーリはアリスに駆け寄り、容態を確認する。

「アリスはん、大丈夫か?」

「…………はい、少し驚きましたが、問題ないです」

 彼女の身体は水浸しになり、あちこちに砂や泥が付着していた。どうやら先程は、消化器ではなく砂利を溜め込む器官の中に入れられていたらしい。

 アリスの無事を確認したところでヨツミワドウへの攻撃を始めるが、少し時間を使ってしまったらしく、数発だけユーリが弾を撃ち込むとシビレ罠は故障し、河童蛙は麻痺から立ち直る。しかし、一行に背を向けたヨツミワドウは後脚を引きずりながらエリア6へと向かっており、これまでのダメージは確実に重なっているようだった。

「あと少しですね、最後まで油断せずに行きましょう」

「はいニャ、ここまで来たらもう後には引かないニャ」

 

 エリア6に到着した二人と一匹を見たヨツミワドウは、先程と同じように足元の砂利を飲み始め、腹を膨らせて立ち上がると吠えて威嚇する。

 続けざまに、前脚を張り手のように交互に突き出しながら突進してくる。距離があった為一同は難なく避け、ユーリはすかさず銃を構えて反撃に出る。

 

シュガガガガガッ!!

 

 ユーリの発射した弾は、ヨツミワドウの腹部に着弾すると刃を展開し、表皮に追撃をしていく。

 これは斬裂弾と呼ばれる特殊な弾丸であり、ザンレツの実を鋭く研いだ刃が中に仕込まれており、着弾と同時に刃が飛び出て切断系の追加攻撃を行う仕組みになっている。

 そして、斬裂弾の攻撃を受けてヨツミワドウが怯んだ一瞬の隙を突き、肉薄したアリスが震打を放つ。音波の衝撃が腹部に広がり、河童蛙の腹に大きな傷が幾つも生まれる。部位破壊に成功したのだ。

 ヨツミワドウは大きく後ずさるが、反撃とばかりに地面を掬い上げるように張り手を繰り出すと、まるで竜巻が発生したかのような風圧が巻き起こり、ユーリは巻き込まれて吹き飛んでしまった。

「ユーリ様っ!」

「ボクは大丈夫や、そっちも来るで!」

 ユーリの声で前を向くと、ヨツミワドウが水を吐きかけていた。アリスは身体を屈めてギリギリで躱し、そのまま前転して距離を詰めて打撃を連続で浴びせる。ヒグラシもブーメランで後方支援を行い、腹部の傷に更にダメージを与える。

 ブーメラン攻撃を煩わしく思ったのか、河童蛙はヒグラシに怒りの矛先を向ける。自分への注意が逸れたことを悟り、アリスは隙を見て三音演奏から続けざまに気炎の旋律を繰り出した。

 狩猟笛の音色による強化を受け、二人と一匹はますます勢いに乗り、このエリア6で決着をつけるつもりで一気に攻めたてる。

 そして、ヨツミワドウが猛攻から逃れようと逃げ出した先には、予めユーリが仕込んでおいた起爆竜弾が設置されており、それを踏んだヨツミワドウは思わず転倒する。そこへアリスが突貫し、弱点の頭部へ力いっぱいボーンホルンを叩きつけると同時にユーリの貫通弾がヒットする。

 

「グロァァァアーーーーー………」

 その同時攻撃を喰らい、ヨツミワドウは天に向けて大口を開けて断末魔を上げ、そして動かなくなった。

「はぁ、ようやく……………討伐ですね」

「せやな、お疲れさん。剥ぎ取りをしたいところやけど、少し休んでよか」

 アリスとユーリはしばらく川辺に座り込み、疲れの混じった笑顔を見合わせていた。

 

 

 剥ぎ取りを終え、里へ帰る途中では、今回の狩りを振り返っていた。

「ヨツミワドウは強敵やったな、二人とオトモ一匹でもどうにか倒せたくらいか」

「はい、でも……………ハルト様は、単独でヨツミワドウを狩猟したと言っていましたが」

「マジか、やっぱりハルトはんは凄いのお…………

と言っても、実は今日「ハルトはんが来てくれたら」って何回か考えてまってたけどな」

 そうユーリが言った後で、アリスも被せ気味に話す。

「実は、私もなんです。ユーリ様とヒグラシさんが役不足というわけではありませんが、やはり私達の中で大きな存在になっているみたいですね」

「ああ、ボクらに家まで貸してくれて、ホンマに偉いであの人は」

 

 その後、二人は里に戻り、集会所にいたハルトと会うとすぐさま感謝の言葉を述べたのだった。

 もっとも、別の依頼から戻ったばかりで二人の話を聞いていなかったハルトは、やや困惑していたのだが。

 

 

次回へ続く




 皆様、2ヶ月ぶりです。作者です。

 まずは、長らくお待たせしてしまい本当にすみません!!
 私の職場が忙しいのと、個人的にショックなこともあり、メンタルもスタミナもほぼ無くなりかけていて遅くなってしまいました。次話はもう少し早く更新するようにします……。

 さて、本小説の投稿が滞っている間に、モンハンの大型アップデートが告知されました。実装はまだ先ですが、ますます小説を進めないといけない理由が出来てしまいましたね。

 では、最後まで読んでいただいてありがとうございます!
 また次回の更新でお会いしましょう。
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