モンスターハンター 焔の心   作:たつえもん

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※お詫び

 前回の後書きで「ハルトの隠された特技が分かる」と書いていましたが、長くなり過ぎるのもどうかと思ったので今回のパートを2分割し、更にプロットを修正したところ、その部分は次回も入らないことになりました。
 ハルトの特技はまた後日の更新でということで……。

 では、本編どうぞ!


第4話:ハンター少女との邂逅

 大社跡、エリア1。

 

 ハルトと見知らぬ少女はオサイズチからの逃走に成功し、川辺で座り込んでいた。

「はぁ、閃光玉があるならもっと早く言ってくれよ」

「すみません、あれが最後の一つだったのです。一つ分の効果時間の間に二人共逃げられる確証はなかったので」

「………それもそうだな」

 言い終えると、ハルトは少女の装備を眺めていた。

 

 彼女が背負っているのは、その身長には不釣り合いにも見える棘の生えた大きな骨を加工し、中を通すように穴を開け青い蓋のようなパーツが付いた鈍器。

 ボーンホルンという、狩猟笛に分類される武器だ。

 

 狩猟笛はその大きさを生かし、ハンマーのように相手を殴り付けて戦う。更に音を出す特殊な機構が組み込まれており、吹き鳴らすことで自分や周囲の味方に有益な効果をもたらしてくれるのだ。

 防具は濃紺のベースウェアの上から茶色のベストと篭手を着け、頭にはゴーグルを付けている。

 彼女の防具はレザーシリーズ。名前通りモンスターの毛皮をなめして作った防具であり、必要な素材も少なく安価に作れる為、初心者ハンターによく選ばれる防具の一つである。

 女性用と男性用であまり見た目が変わらない装備だが、女性用レザーシリーズは女性らしさを強調するかのように大胆に太腿を露出している。

 

 そして、改めて少女の顔を見ると、それは驚く程に可憐な顔立ちをしていた。

 肩に少しかかるくらいのセミロングの金髪に白い肌、優しげな淡い緑色の瞳はどこかお淑やかな雰囲気を醸し出している。

「あの………どうかしましたか?私の顔、何かついてます?」

「あ、いや!やっぱりハンターだからさ、装備とか気になっちまって」

「そうでしたか、お気持ちは分かりますが、あまり人をじろじろ見るのは感心しませんよ?」

 彼女の言い分はごもっともだった。

 苦笑を浮かべ、ハルトは謝罪の後に自己紹介がまだだったのを思い出す。

「あぁ、悪い……っと、そういえばまだ名乗ってなかったな。

ハルト・クルーガー。カムラって里の新人ハンターだ」

「アリス・フューリと申します、私もまだ最近ハンターになったばかりです。

あぁ、カムラの里なら先日訪れましたよ。少しの間滞在する予定なので、フィールドのことを知っておこうと探索ツアーに出ていたんです」

 アリスと名乗る少女の言葉を聞き、頭の中で何かがピタリと当てはまる。

「ひょっとして、ゴコクのじっちゃん……ウチのギルドマスターが言ってた里に来てるハンターってアリスのことか?

今カムラに来てるハンターは一人って言ってたし」

「恐らくはそうだと思います、偶然は重なるものですね。

ところで、ハルト様」

「は、はい?」

 思わず素っ頓狂な声が出てしまう。

 考えて見れば、ハルトは自分と同じくらいの年齢の女性(多分)とこんなに話すのは初めてだった。

「お腹、空いてませんか?」

と言われ、里を出てからしばらく何も食べていないのに気付く。空腹を自覚すれば、ますます気になってくる。

「あぁ……大丈夫、まだ支給品の携帯食料がある」

「待ってください。今ここは安全ですし、お腹が空いている時はもっと美味しいものを食べた方が気分も満たされると思いますよ」

 携帯食料は、大量生産と長期保存を目的に作られたものであり、はっきり言ってあまり美味しくはない。

 二人の近くに人を襲うようなモンスターはいないし、どうせ食べるなら美味しい方がいいに決まっている。

「ちょっと待っててくださいね、すぐに用意しますので」

と言うと、アリスは折り畳まれた機械を取り出し、地面に起きレバーを引くと二本のYの字型の金属の棒が展開する。

 

 ハンターの常備品、肉焼きセットだ。文字通り生肉を焼く道具で、上手く焼けば携帯食料を遥かに凌ぐスタミナを回復できるこんがり肉を作れる。

 骨にハンドルを付けた生肉をセットし、下側の台に火打石を使い着火させる。肉が炙られ、辺りに香ばしい香りが漂う。アリスはハンドルを回しながら無心で肉を焼いているように見えるが、頭の中では一定のリズムを刻んでタイミングを見計らっていた。そして、均一に火が入った瞬間を見計らい、肉を火から上げる。

「上手に焼けました!ハルト様、どうぞ」

 アリスは焼きあがった肉からハンドルを外すと、湯気を纏ったそれをハルトに差し出す。

「でも、アリスはいいのか?」

「私はいいんです。さあ、冷めないうちにお召し上がりください」

 再び勧められると、ハルトは大人しく受け取り、焼きたて熱々のこんがり肉に齧りつく。

 一口頬張ると、野趣(やしゅ)溢れる肉の旨味が味覚を支配し、咀嚼すれば染み出す肉汁が口一杯に流れ込んで来る。

 料理というにはあまりに粗末なものだったが、ダイレクトに肉の味を感じることができ、更に天気はよく心地よい風が吹き抜ける中で食べるそれは至福の瞬間を演出する。

 半分ほど食べたところで、アリスが興味深そうにハルトのほうを見ているのに気付く。

「どうした、じろじろ見るなって自分で言ってたろ……

あ、ひょっとして食べたかったか?」

「いえ、あんまり美味しそうに食べるもので、つい……

焼いてあげてよかったなあって、思ってたところです」

「そっか、ならいいけど」

 

 そして完食する頃には、ハルトはすっかり身も心も満たされていた。手拭いで口を拭き、肉焼きセットを片付けるアリスに礼を述べる。

「本当にありがとう、美味かったよ」

「喜んでいただけて何よりです。では、里に戻りますか」

「あれ、オサイズチと戦わないのか」

「本来なら、ハルト様はイズチ討伐、私は探索ツアーという名目で大社跡(ここ)に来ていたはずです。あのモンスターが出るのはギルドも想定外のはずですから、正式に狩猟依頼を出していただかないと」

「それもそうだな。アリスは凄いよ、俺と同じくらいに見えるのに、ちゃんと冷静に判断ができて」

「そんな……褒めても何も出ませんよ?」

 恥ずかしそうに頬を赤らめて微笑むその表情はとても可愛らしく、直視していれば並大抵の男は悶絶していただろう。

 

 この日初めてハルトはクエストに失敗した。

 しかし、彼の心にはこれは決してただの失敗ではなく、意味のあるものだという確信があった。

 

 

次回へ続く




 皆様、前回ぶりです。作者・たつえもんです。


 今回は、ハルトの窮地を救った少女との会話メインのお話でした(わざわざ名前を伏せているのは、後書きから読むタイプの方の為です。ハーメルンでは難しいかもしれませんが)。

 そして、今回のお話を書くにあたりライズでも女性キャラを作り、動かしてみたんですよ。

 いやあー…………可愛いっすね。
 執筆の参考のため、狩猟笛に初挑戦したんですが、ライズで狩猟笛の操作が簡単になってるらしく雑に殴ってるだけでバンバン自己強化できて楽しいですし、武器を構えてる時にゆらゆらするのがユニークでいいですね。
 本編に登場した女性ハンターと同じ名前でプレイしてるんですが、ボイス13がイメージにぴったりなんですよ。
 私は今までモンハンに限らず、どのゲームでも男性キャラしか使わなかったのですが、女性キャラを使う男性プレイヤーの気持ちが分かった気がします。


 さて、そろそろお別れの時間が近付いて来ました。
 次回はハルトがアリスと一緒にカムラの里に戻って来るのですが、そこでもまた一悶着あるとかないとか……。
 それでは、最後まで読んでくださりありがとうございます!
 また次回お会いしましょう。
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