モンスターハンター 焔の心   作:たつえもん

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第9話:激闘の後で

 大社跡に赴いたハルトとアリスは、激闘の末見事オサイズチを討伐した。二人共既に剥ぎ取りを終え、エリア3の端に座り込んで体の疲れを癒していた。

 

「よし、そろそろ里に帰ろうか」

「そうですね、行きましょう………っ!」

 十分に疲れも取れたので、拠点(メインキャンプ)に向かおうと立ち上がるが、アリスは上手く立てずに膝を突く。

「やっぱり、まだ痛いか………

応急処置だけでもするぞ、一回座りな」

「ですが、ハルト様のお手を煩わせる訳には……」

「オサイズチと戦ってる時、何度も助けてくれただろ?そのくらいの恩は返させてくれよ。

それに放っておくと余計に悪化するぞ」

 結局、アリスは言い返すことができず大人しく応急処置を受けることにした。ハルトが薬草の採取に向かう間、アリスは座って待つ。

 

「採って来たぜ、痛む所を見せてみな」

「は…………はい」

 そう言うと、レザーパンツの左脚甲を外す。更に足首に着用していたインナーも脱ぎ、細く白い脚が露わになる。その中で、足首の辺りだけが赤くなっている。

「(な、なんだか……恥ずかしいです)」

 応急処置の為とはいえ、自分は今ほとんど何も着けていない脚を見せている。アリスは羞恥心に頬を熱くさせ、俯いてしまう。ハルトもどこか恥ずかしいのか、なるべく患部だけを見るようにしてすり潰した薬草を塗っていく。そこに布を当て、更に包帯を巻いて手当を終える。

「これでよし………と。痛みが引くまでは時間がかかるから、しばらくは安静にする必要があるな」

「すみません、私の不注意でハルト様を手間取らせてしまって………」

「いいじゃないか、オサイズチは討伐したんだ。終わったことを気にしても仕方ないだろ?」

 懸命に励ますも、アリスはしょんぼりとしたまま立ち直れないでいる。それを見たハルトは少し考えた後、

「なぁ、アリス。腹減ってないか?」

「へっ?」

 予想だにしていなかった問いを受け、思わず間の抜けた声が出てしまう。直後、腹の虫がぐぐうぅっと元気よく返事をした。アリスは顔を真っ赤に染め、慌てふためく。

「すっ、すみませんっ………私としたことが」

「いいよいいよ、それじゃあ決まりだな」

 言うやいなや、ハルトは肉焼きセットを取り出し、生肉をセットすると点火、肉焼きを始める。頭の中で一定のリズムを刻みながら、目で、耳で、鼻で肉の焼け具合を確かめる。そして、頃合いを見て肉を火から上げ、

「上手に焼けました………だな。ほら、熱いうちに食べな」

「ありがとうございます、では………いただきますっ」

 焼けたばかりのこんがり肉を手渡す。少し遠慮がちに受け取り、一口食べるとぱぁっと表情が明るくなり、嬉しそうに残りの肉も食べ進めていく。食べ終わる頃には、アリスはすっかり満足そうな笑顔になっていた。

「それにしても、何だか不思議ですね」

「不思議?何がだ」

「私達が最初に会って、オサイズチから逃げた時は私がハルト様にお肉を焼いてあげたじゃないですか?でも、オサイズチを討伐した今は、逆にハルト様がこんがり肉を私に作ってくれた」

 言いながら、二人の脳内にはその時の情景が思い浮かぶ。たった数日前の出来事なのに、ずいぶん前の事のように錯覚する。

「私、最初に故郷を出て旅に出る時は不安だったんですけど………でも、今はカムラの里に来て、ハルト様に会えて、ハンターになって良かったって、そう思います」

「あぁ、俺もだ。よし、そろそろ帰るか」

「はい、ご迷惑をお掛けして………っ」

「そっか、まだ痛いんだな。んー………ほれ」

 立ち上がった直後に顔をしかめたアリスを見て、ハルトは背中を向けしゃがみ込む。彼女はその意味を悟り、またしても赤面する。

「え、そ、そんなこと………結構ですっ」

「まともに歩けないんだろ?ならこうするしかないだろ。拠点に着いたら、ポポ車に乗るから少しの間だけだ」

「で………では、失礼して」

 そっとハルトの背に乗り、肩に手を置いて体重を掛ける。人が乗っているのにその背中は軽く、ハルトはすんなりと立ち上がり、アリスの膝を支えて歩き出す。

 

 

 自分はあくまで、旅の途中でカムラの里に立ち寄っているだけ。その時が来たら、いつか里を去り、彼に別れを告げなくてはならない。だけど今はもう少し里での、彼との時間を楽しもう。

 いずれ訪れるであろう現実に思いを馳せ、レザーシリーズを纏った一人の少女は少しだけ彼の背中に身を寄せるのだった。

 

 

次回へ続く




 皆様、前々回ぶりです。作者です。

 ということで、今回はちょっと短めですが、オサイズチを狩猟した後での二人の時間を描いてみました。
 普通、ゲームだと目的のモンスターを討伐して、剥ぎ取りを終わるとその後は1分が過ぎるまで暇になるじゃないですか?取りに行きたい素材があっても、倒したい小型モンスターがいても1分経ったら強制的に帰らないといけないので、これは二次創作ならではの描写です。
 それにしても、アリスはよく赤面しますね。ちょっとだけ先の展開に触れますが、彼女は世間知らずで男性と関わった経験もほぼゼロなので、そこに関して純粋なんです(ハルトも同じく女性経験は限りなく少ないですが、里長とギルドマスターに男前パワーを鍛えられてるので)。

 さて、次回は新しいフィールドに出向きます。大型モンスターとの戦闘はありませんが、二人の装備も変化が訪れるかも?(←変化ある時の言い方やん。)

 では、最後まで読んでくださってありがとうございます!
 またお会いしましょう。
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