過去の懺悔。
もし良かったら、愚かな男の後悔を見ていってやってください。
よろしくお願いします。
あれは私が高校二年のころだったか。
私は半年ほど前に振られた初恋の人の文化祭に妹を連れて出かけていた。
彼氏がいるからと振られた私は最後の矜持としてまったく気にしていないふりをしていた。
尤も、「その人」に「文化祭に来るか」と問われて妹をダシにして行ってしまうあたり、もうどうしようもないほどに未練が見えていたが、そこは蓋をした。
「その人」とは中学の部活の同期だった。
ノークラブデーなんてものがない当時、毎日顔を合わせて会話していれば、そのような感情が芽生えるのも当然だった。
私は「その人」と同じ高校に行くことを望んだが、それが実現するには、私の成績があまりに悪かった。
つまり「その人」は私よりもかなり頭がよかった。
私の通う学校の文化祭の少し秩序のないその日限りのバカ騒ぎとは異なり、「その人」の学校の文化祭は、どこか大人びていて、均整がとれているような気がした。
化学が好きな私は「化学研究会」という名前に惹かれ、その出し物に向かった。
妹も小学生ながら私の高校の教科書を読み、興味を示すような子供だったのですぐに賛成した。
「化学研究会」の出し物は大変興味深く、面白いもので、また私の通う学校では習わない様な内容で、しばらくそこで私と妹は展示物を眺めたりしていたが、次第に小腹が空いてきた。
「その人」が出るという吹奏楽部までの演奏まで時間も少しあるし、食べ物の出店にでも行こうか、私は妹にそう声をかけると妹は勢いよく首肯した。
そして目的の階に着いて、私たちは「どの出店のものを食べようか」なんて話していた。
そして食べるものを決めた私たちは、文化祭の出店としてはかなり長蛇の列といえるそれの最後尾に並んだ。教室を簡単に飾り付けられた数々の出店はどれも魅力的で、私たちの心を惹きつけた。
次はどの出店に行こうか、あまり遅いと「その人」の演奏会に遅れてしまう。
そんな話をしながら廊下に並ぶ出店を見ているその時だった。
私は見つけてしまった。
私ではない、顔だけ写真で見せられたから知っている、優しそうな男子学生の隣に座って、食事をしている「その人」を。
私にとって、「その人」はこの世界での輝きそのものだった。
だからこそ瞬時に見つけてしまったその姿は。
私が知らない、女性としての表情で。
私が最も求めたもので。
そんなことが脳裏でもはや言葉にもならずに刹那的に駆け巡った。
捨て去りたかった未練が、「幸せになれよ」だなんて強がりが、一気に去来して私の心をガツン、と殴りつけた。
私は既に買っていた食券を握りつぶし、妹の手を引いて足早にその場を立ち去った。
結局、文化祭に誘われても。
何年を共に過ごせても。
「その人」の一番にはなれないことを悟った私は、それでも吹奏楽を見に行くと「その人」に言った言葉を嘘にはできなくて、そのまま体育館へ向かった。
曲目は、覚えていない。