島流し鎮守府   作:レイノス

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2話から名前だけ登場していた瑞鶴さんが、本編初登場。

登場人物

熊野 わたくしのターンが……

時雨 次回からはまたツッコミ役。

満潮 長生きの何が悪いのかしら。

夕立 夕立はまだ若いっぽい。

瑞鶴 提督に付いてきた。

提督 名前だけ登場。本編に出番があるのはまだ先の話。

川内 名前だけ登場。時雨が無駄に名前を出すからこの欄に。

不知火 名前だけ登場。川内と同様。

萩風 名前だけ登場。川内と同じ。

利根 名前だけ登場。川内と……

鳥海 名前だけ登場。……

白露 名前だけ登場。彼女の遺志は時雨の中に生きている……かもしれない。

大井 名前だけ登場。200年くらい生きている?

朝潮 名前だけ登場。大井さんに会話してもらえる珍しい子。



第9話

 

時雨Side

 

「そういえば、どうして時雨さんのところの提督は、もっと早くに憲兵に更迭されたりしなかったのでしょうか?」

 

「僕が聞いた噂によると、憲兵に賄賂を送って見逃してもらってたらしいよ」

 

まあ、そんな話をしてる子がいたのをたまたま見ただけだから、本当かどうかはわからないけど。

 

「……それってホントかしら?あいつら、賄賂は遠慮無く受け取りつつ、密約なんて知ったこっちゃねえって言って、検挙も遠慮無くしてくるようなやつらよ」

 

それ賄賂になってないんじゃ……

 

「けど、時雨が断られたとはいえ、他の鎮守府への移動ですまされそうになったってことは、その提督にも問題ありって判断されたってことっぽい」

 

確かにそうだよね。断られたとはいえ……自分で言うとなんかつらいな……、移動処分ですんだってことは、あいつが憲兵に検挙されるような奴だったってことだよね。定期的に監査も入ってたはずなのにどうしてなんだろう?

 

「食事はレーションだけで休みも無いだなんて、ありえませんわ」

 

「たぶん、その子のところの提督は本人もそんな生活してたんじゃない?」

 

「ぽい?」

 

「あら、瑞鶴さん」

 

僕らがそんなことを考えていると、後ろからキリッとした顔の、髪をツインテールにした人が声をかけてきた。

 

「間宮さんに、これアンタたちに持っていって、って頼まれたわよ」

 

「あ、エビのことすっかり忘れてたっぽい」

 

「あら、美味しそうですわね」

 

うわっすごい!めちゃくちゃ綺麗に盛り付けられてるよ。

 

「瑞鶴さんは哨戒任務終わったの?」

 

「ええ、暗くなってきたからもう必要ないわ。そっちは今日配属された子よね?」

 

「あっ、ぼ、僕は白露型駆逐艦、時雨。これからよろしくね」

 

「翔鶴型航空母艦2番艦、妹の瑞鶴です。幸運の空母ですって?そうじゃないの、一生懸命やってるだけ…よ。艦載機がある限り、負けないわ!」

 

うーん……

 

「瑞鶴さんのは長いっぽい」

 

「しょうがないじゃない、私のせいじゃないわよ!」

 

自分のセリフなのに私のせいじゃないって、よく考えたらおかしいよね。……まあ、この件に関しては、ツッコム気はないけれども。

 

「久々に随分まともそうな子が入ってきたじゃない。私の方こそよろしくね」

 

ちょくちょく話に出てきていたけど、その印象通りいい人そうだね。

 

「瑞鶴さんもいっしょに食べるっぽい。不知火が参加しなかったから、4人だと少し多いの」

 

「ほとんど手をつけてしまっているので、少し申し訳ありませんが」

 

「あら、いいの?こんなにいろんなもの滅多に食べられないから、遠慮無くいただくわよ」

 

「さーんきゅっ!……って言わないのかしら?」

 

満潮そんな声出せるんだね……

 

「あ、あれは提督さんにしか//////…………ってそんなことより、不知火は参加しなかったの?」

 

「話の逸らし方が下手すぎない?」

 

え?提督と瑞鶴さんってそういう……

 

「不知火には、まだ一晩も経ってないのに歓迎はできないって、断られたっぽい」

 

「……相変わらずお堅い子ね」

 

「それでは、瑞鶴さんも参加なされたことなので、時雨さんのお話をもう一度……」

 

「えっ」

 

また話すの!?

 

「いや、それはいいわよ。提督さんからだいたい聞いてるし。………………あら、これ美味しいわね!」

 

「瑞鶴さんは熊野さんと違って、提督さんの話を真面目に聞いてるっぽい」

 

「そりゃ、瑞鶴さんは司令官の話は真面目に聞いてるでしょうね」

 

「満潮………………アンタ何が言いたいのかしら?」パクッ

 

「別に~、何でもないわよ」

 

「くっ、ニヤニヤしちゃって」モグモグ

 

「なんか満潮が楽しそうにしてるけど、あの2人って仲が良いのかい?」

 

「瑞鶴さんは、提督さんといっしょにここに来たらしいから、割と古株っぽい。だから、満潮とも結構付き合いは長いはずよ」

 

そうなんだね。いまいち、みんながここに着任した順番とかが、よくわからないね。今まで聞いた中だと、川内さんと満潮は古参メンバーだって話だったっけ。瑞鶴さんと提督が同じで、今の話だと夕立はそれより後なのかな。ああ、不知火は夕立より後って話だったね。萩風は夕立の案内係だったらしいから、夕立よりも前なはずだね。話を聞いている限り熊野さんは比較的最近で、その後に利根さんが来たんだっけ。利根さんの案内係だった鳥海さんもそれより前になるのか。あとは何人か名前は出てたけど、……これ以上のことはわからないね。

 

「ところで、さっき言ってたのはどういう意味なんだい?……確かにあいつも、レーションだけ食べて休み無く働いてたけど」

 

「ん?……ああ、それはね、基本的に憲兵が動くのは、艦娘を不当に扱ってるときか、看過できないレベルの問題が発生したときだけなのよ。」ゴクゴク

 

「……僕らのいた環境は不当じゃ無かったって事かい?」

 

そんなわけないよね。

 

「というより、不当と判断できるだけの確実性が無かったってところかしら」アムッ

 

「よくわかりませんわね」

 

「例えば不知火のいたところみたいに、艦娘だけに過酷な労働を強いているような場所だったり、萩風のいたところみたいに、艦娘を明らかに違う用途で扱ってたりする場所だと、確実に不当だって言えるわよね」ペロペロ

 

「それはそうだね」

 

不知火もそんな場所にいたのか……

 

「萩風っ!また現れたっぽい!?」

 

「名前出ただけで反応してるんじゃないわよ……」

 

夕立は萩風のこと警戒しすぎじゃないかな?

 

「それに比べると、時雨ちゃんのところは微妙なのよね。本人までそれを実践してるから、勝利のために必要なことだって言われちゃうと、憲兵側も口を挟みにくいのよね。実際、最前線だと、休みなんてほとんど無いとこも珍しくないわけだし」ツルツル

 

「…………それでも、僕のところは何人も艦娘が沈んでるんだよ。それだけじゃ納得できないね」

 

何人もだなんて言ったけど、僕自身は白露以外のことはあまり気にしていない。そういう意味では、僕もあまり人のことをどうこう言えないのかもしれないね。

 

「それこそ、艦娘が沈むのだってそこだけで起きてる話じゃないからね。むしろ、それだけ大変なんだってことで、休みなく働くことの必要性を訴える材料にもなりかねないし。艦娘が沈みすぎて、支配海域を奪われて本土を危険に晒してるとかになったら、さすがに問題になるけど……それは憲兵とかじゃなくて大本営が動くような事態だから」パクパク

 

「でも、あいつの杜撰な指揮のせいで………………ってそれこそ、憲兵に提督の力量を判断する権限なんて無かったね。……はぁ、本当にどうしようも無かったなんてね………………救いの無い話だね」

 

白露が助かる方法は無かったってことか………………いや、あの時僕が無理矢理にでも行動してれば……

 

「何言ってるのよ。少なくともそこにいた残りの艦娘は、時雨ちゃんのおかげで救われたんじゃない」モグモグ

 

「…………え?」

 

「さっき、看過できないレベルの問題が発生したときって言ったでしょ。所属艦娘に殴り飛ばされるような大事件が発生すれば、さすがに憲兵も徹底的に捜査できるわよ。時雨ちゃんが行動を起こしたおかげで、その提督の管理能力の追求にまで発展したのよ」ガブッ

 

「……………………」

 

「時雨ちゃんはその事件のこと後悔してるのかもしれないけど、その行動のおかげで救われた子もいるんだってことは、考えておいても良いんじゃないかしら?………………………………あー、ビールが欲しくなるわね」

 

僕が黙っていると、瑞鶴さんに優しく頭をなでられる。

 

「……ふふふ、なんか瑞鶴さんお母さんみたいだね」

 

まあ、僕らにお母さんなんて存在はいないけど。

 

「お、お母さんですって!?冗談じゃないわ!! …………いや、まあ、私ももう結構いい歳だけど…………」

 

そういえば、白露がいつも“いつか、絶対にアタシがこの鎮守府を、いっちばんに変えてやるんだ!”って言ってたね。ある意味白露がきっかけで、あの鎮守府があいつから開放されることになったのかな。…………それなら僕の行動にも、少しは意味があったのかもしれないね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

満潮Side

 

「最後のビール発言で、お母さんと言うよりおっさんっぽい」

 

「結構良いことをおっしゃってましたのに、ずっと何か食べてましたわね」

 

「いい歳って、……一応私より年下じゃない」

 

「満潮、そんな婆さんだったっぽい?」

 

「…………肉体年齢はアンタとたいして変わらないわよ」

 

長く生きてるだけであって、別に年をとったわけじゃないわ。

 

「艦娘ならみんなそうなのではないかしら?」

 

例え艦娘であっても、100年を超えれば相応に肉体は衰えるものよ。現に開戦当時に建造された艦娘の内の1人は、寿命で亡くなったそうだし。まあ、でも……

 

「ここにいる限り、年齢なんて考えるだけ無駄よ」

 

熊野さんもあと50年もすれば、わかるんじゃないかしら?……ああ、人間の司令官を見てればもっと早くわかるわね。

 

「この鎮守府だと誰が一番年上なのかしら?」

 

一応生きてる年数だけで言えば、大井さんが一番なんじゃないかしら?あの人、ほぼ開戦直後に建造されたって昔言ってたし。…………あの人今は提督と朝潮くらいにしか、まともに喋ってくれないけど…………

 

「そんなことより、瑞鶴さんが食べてくれたおかげでだいぶ片づいたわけだし、そろそろお開きにした方が良いんじゃない?」

 

「それもそうっぽい。フタヒトマルマルくらいまでには、時雨に夜間の注意事項を説明しなきゃ!」

 

「なんてことでしょう、瑞鶴さんが登場なさったおかげで、わたくしの過去語りがカットされてしまいましたわ」

 

「……そのうちできるわよ」

 

………………というか、話したかったのね……

 

 

 

 






「僕は別にあの事件のことを後悔はしていないよ」

「あら、そうだったの?」

「僕が後悔してるのは、白露を失う前に行動できなかったことだけだよ。例えあの日に戻れたとしても、きっともう一度殴り飛ばしてるだろうね。………………むしろやり直せるなら、今度は息の根を止めてやろうかな」

「……さすがにそこまでやっちゃうと、最初からここに送られてたんじゃないかしら?」

「むしろその方が、無駄に傷つかずにすんだかもしれないね………………」

「ここに直送はなかなかヤバいヤツだから、もっと警戒されてたかもしれないわよ」

「ああ、それはちょっと嫌かもしれないね。…………こうやってみんなに歓迎会を開いてもらえなくなっちゃうや」

「そうそう、現状の良かった部分を、ちゃんと見つめ直すのも大事よ」

「そうするよ、………………ところで、瑞鶴さんはどうしてここに配属させられたんだい?」

「え゛っ、そ、それはあれよ……、その……まあ、いろいろあってね……もう、何聞いてんの!?爆撃されたいの!?」

「あれ!?そんな怒られるような質問しちゃったかな?」



ようやく歓迎会が終了します。
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